ポケットモンスター チームオブブルース 作:局務事通交ピルア
「モグリュー、あなをほる!」
自分はまだまだ未熟者だと思い知らされたエンザンは鍛え、クチバジムに挑んだ。
クチバジムは使用ポケモン1体のシングルバトル、出てきたのがライチュウだった。
最近のライチュウはなみのりを覚えるからじめんタイプで余裕だろうと攻めてカウンターをくらうケースが多々ある。読み通りと言うべきかライチュウはなみのりを覚えていた。だが、来ると分かっている攻撃ほど楽なものはない。モグリューはあなをほる攻撃でなみのりを逃げては隙が生まれてのヒット・アンド・アウェイ作戦に出た。何度も何度も攻撃をし……
「ライラーイ……」
「ライチュウ、戦闘不能!モグリューの勝ち!」
「オーーッマイガァアアアット!!」
喧しい。
エンザンは順調に3つ目のジムバッジをゲットした。
オーキド博士にその事を報告し、次に向かうのはシオンタウン。シオンタウンはゴーストタイプのポケモンの生息地だから行くしか道は無い。
「ねぇねぇ、そこのぼく!」
「……なにか?」
「あたしさ、サントアンヌ号のチケットを持ってんの。でもさ、今から彼氏とデートって感じなの!だからこのチケットは不要でさ……捨てるの勿体ないし、あんた行ってくんない?慈善活動って感じ」
コレは確かロケット団の罠だったか。
ロケット団が仕掛けたサントアンヌ号の事件に巻き込まれた……サントアンヌ号は目と鼻の先にある。ここでチケットを断れば不自然に思われる。
ガッツリと活動していて一般人にも知られている悪の組織か……
ロケット団と言えばカントーやジョウト地方ではとても有名な悪の組織だ。
最近は悪の組織が世界をどうのこうのではなくなったが、最近じゃない悪の組織は世界を支配したり色々と企んでいた。特にロケット団はなんだかんだで滅びない組織なのは知っている。だからポケモンを持って冒険をする=ロケット団の様な悪人と関わる覚悟を持たないといけない。そんな方程式を頭の中で弾き出しながらもサントアンヌ号に乗船をした。
「……しっかりと金をかけているな……」
船内が思った以上に豪勢だった。世界一周をしている豪華客船、サントアンヌ号は伊達じゃない。
コーヒーを貰えばカタログギフトとかで貰いそうな高いコーヒーの味がした。コレでポケモンを奪うだけで採算性が取れるのだろうか?とスゴくどうでもいいことを考えている。
作業員の一部はロケット団……が、1から10までロケット団員じゃない……出店の店員はサクラでもなんでもなくホントに出店か。
「そこのイケメンな坊っちゃん!ちょっとちょっと……ここだけの話を聞いていかないかい?」
「あいにく、金のタマゴを産むコイキングは要らないな」
「ギ、ギクリ!?」
アニメではおなじみになっているコイキング売りのオヤジがコイキングをエンザンに売りつけようとした。
このコイキング売りのオヤジは悪徳業者なのは知っているから先に断っておくとコイキング売りのオヤジが逃げた。あんな悪徳業者を入れていてこのサントアンヌ号の品位とかブランド力とかそういうのを失わないのかとコーヒーを啜る。
「あ!エンザン!」
「……ハロー、ボンジュール、ニイハオ、ナマステ……どれだったか……」
コーヒーを啜っていればサトシ御一行と遭遇をする。
サントアンヌ号で主人公と顔を合わせたのならばあのセリフを言うべきかと試してみるのだが、ライバルがなにを言っていたのか思い出せない。なにやってんだ?とサトシは呆れる。
「サトシ、知り合いなの?」
「こいつはエンザン、オレと同じでマサラタウンのトレーナーだ」
「…………ジムは大丈夫なのか?」
「ああ、親父がジムを預かっている」
「え、タケシ知り合いなのか?」
「知り合いもなにもサトシが挑みに来る前に挑んできたトレーナーだ……マサラタウンのトレーナーだから覚えているよ」
タケシがこの場に居るので挨拶をすれば驚くサトシとカスミ。タケシはニビジムでバトルをした関係性で、覚えていると言った。
中々のバトルを繰り広げたから覚えてくれていたのかと少しだけ嬉しくなるが顔には出ない。
「マサラタウンのエンザンだ」
「あたしはカスミ!」
「そうか」
「…………なんか反応が薄いわね」
「エンザンは顔が動かないタイプだから……エンザン!ポケモントレーナー同士!同じ日にポケモンを貰ったマサラタウン出身同士!やることは1つ!……いけるか、ピカチュウ?」
「ピィ!」
「悪いが今はバトルするつもりは無いぞ」
同じ日に同じ町でポケモンを貰ったポケモントレーナー同士、ここは1つポケモンバトルだ!と燃えているサトシ。
相棒であり友達であるピカチュウは両頬にビリビリと電気を溜めているのだがエンザンは普通にバトルを断った。燃えているサトシと闘志を剥き出しにしているピカチュウはズッコケた。
「せっかく再会出来たんだからバトルの1つぐらいしようぜ!」
「サトシ、あんたがバトルしたいって気持ちは分からなくもないけれども」
「こんなスゴい豪華客船でバトルは色気もなにもないだろう?」
バトルを断った事についてなんで?となるが、カスミとタケシがせっかくの豪華客船なんだから豪華客船を楽しまないといけないのになにやってんだよと呆れている。
エンザンはこの後に起きることを知っているから断っているのだがタケシとカスミは別の解釈をした。言っていることも一応は正論、と言うか豪華客船にまでやってきて豪華客船らしいことをしていない。ただただ何処かに行くだけの船でなく豪華客船だ。バトルは何時でも出来るがサントアンヌ号のパーティは今回限りだ。
「美味そうな飯もあるし……エンザン、食べに行かないか?」
「いや、俺は今からご飯を食べに行くからいい」
「……え?」
バトル欲求を抑えたサトシはサントアンヌ号の立食のところに見るからに美味しそうな料理の数々がある。
ここは無理にバトルをするよりも美味しい料理を食べようと思いエンザンを誘えばエンザンは飯を飯で断った。
「ゴミ箱は」
「っと、ぅぉわぁ!?」
「あ、すみま……」
コーヒーを飲み終えたエンザンはコーヒーが入っている紙コップを捨てるべくゴミ箱を探しにいった。
その過程で眼鏡をつけている男性にぶつかった。ゴミ箱を探すために遠くを見つめていたので視野が狭くなった。直ぐにエンザンは謝罪をするのだが眼鏡をつけている男性から警察手帳が落ちた。ただの警察手帳ではない、国際警察の警察手帳だ。
コードネーム ハンサム そう書かれている手帳を見たので思わず固まった……声を出さないようにしているのだがガッツリとハンサムの国際警察としての手帳だと見てしまった。見なかったことにしようと思っていると男、いや、ハンサムに口を手で覆われた。
「シーッ」
エンザンがなにも言わないだけでなにかを言い出す可能性がある。エンザンはハンサムの事をそこそこ知っているが、ハンサムはエンザンの事を知らない。周りに警察が居るだなんだと言われればロケット団も下手に動くことは出来ない。ハンサムは取り敢えずは騒がないでほしいのだと頼み込み、船内から船上に出る。
「いきなりですまない……私は国際警察の者なんだ」
「……警察手帳をプライベートまで持っていく、なんて都合の良い話はありませんね」
「ああ、ここには仕事として来ている……コードネーム、ハンサムと言う」
「なにも見なかった、聞かなかったといきたいところですが船の上なので逃げることは出来ません。ですので聞ける範囲の事は教えてください……」
「む……驚かないのかね」
「顔と声に出ていないですが結構驚いています」
ゲームとかでサントアンヌ号に警察が乗っていたが……まさかハンサムが乗っているとは思っていなかった。
声にしないし顔に出ないタイプなのだがこれでも結構驚いている。なにも見なかった聞かなかったという言葉で通したいがそれはそれで怪しまれるので聞ける情報だけ聞いておこうと聞いてみる。
「実はロケット団がここに潜んでいるという情報を手に入れた……そこで潜入捜査を……」
「……ハンサムさん……ポケモンバトルの腕には自信がありますか?」
「ポケモンバトル?……まぁ、地方リーグに出場することぐらいならば容易いが」
「ここは船の上なのでロケット団は好き勝手し放題です、なので暴動が起きた場合は取り押さえる戦力が必要です」
「む…………そうだな……」
「ロケット団の有名な事件の大抵はポケモンを盗むこと、ここには多くのトレーナーが居る。相手側が人海戦術を使ってくる以上はこっちも人海戦術を使う……相手にジムリーダーの様な頭1つ抜けている実力者が居ればその時点で勝てない……」
「…………酷く、冷静だな」
「これぐらいは初歩的な事だと思いますよ……情報が聞けたので失礼します」
豪華客船を装い、招待した普通ならばサントアンヌ号に乗れないポケモントレーナーからポケモンを奪う。
シージャックをするつもりなのだろうが、相手側が手練れな可能性を一切考慮していない。ポケモントレーナーならばポケモンを育成している。力で挑んでくる以上は力で抵抗される……国際警察が動くとはやはりロケット団は大きな組織だな。
エンザンはコーヒーが入っていた紙コップをゴミ箱に捨てる。ハンサムがロケット団を捜査しているが……おそらくは意味が無いだろう。色々と調べたがロケット団のボスのサカキは社会的地位を得ている。ロケットコンツェルンのトップの顔を持っている。そしてウラウラ島のしまキングのクチナシと知り合いな関係性から考えてそれなりに権力を持った私欲に塗れた連中を買収し、捕まえれない立ち位置にしている可能性が高い。
サカキが目に見えた大胆な事件を起こしたのならば現行犯で捕まえれる。
ただこのサントアンヌ号で事件を巻き起こす事を考えてロケット団は金を持っている。表の顔であるロケットコンツェルントップだから……金の力で誤魔化される。もう既に警察側もある程度の買収は済ませているだろう。
サカキを本格的に逮捕をするならば現行犯逮捕からの引き返せない悪事の証拠をネットに拡散する。サカキの様な世渡り上手な悪党ならば初手で潰さないといけない。逆にそうしないと無駄に長引き、最終的には逃げられる。そうなれば法で裁けないタイプの悪党を裁くと言う厄介なのが出てきて負の連鎖の始まりだ。
「動くな!」
「持っているポケモンを寄越しな!」
今回の一件は具体的にどういうオチを迎えるかは知っている。ハンサムは色々と騙されたりしているのだろうかと思っていると如何にもなロケット団の格好をしているロケット団員達が一斉に現れた。背中には吸い込みマシンを背負っており、サントアンヌ号の乗客達のモンスターボールを吸い込んでいく。
「全員、ポケモントレーナーだ!だったらポケモンを使って退治するぞ!」
ロケット団がと慌てている中で日頃からロケット団に狙われているサトシは動じず、ポケモントレーナーらしく悪者退治をする!とピカチュウに視線を向ける。ロケット団員の1人にピカチュウは10まんボルトを放ち、背負っていた機械が爆発した。中に入っているモンスターボールが飛んでいき中からポケモン達が出てきた。
フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、ピカチュウ、イシツブテ。どれもカントー地方ではメジャーなポケモン達だ。サトシのピカチュウが攻撃をしたのをキッカケに自分達もポケモンを使おう!となった。
「リザード、はじけるほのお!」
この状況で見過ごすほどにエンザンは薄情な人間ではない。リザードを出してロケット団のポケモンにはじけるほのおを当て倒す。
自慢の吸い取りマシンは破壊された。持っているポケモンも倒された。何かすごい奴が現れる!と言うことはなく、普通に負けた。
「誰か、いとをはくを覚えているポケモンを……俺のバタフリーだけじゃ限界がある」
「エンザン、オレのバタフリーも協力するぜ!」
「ラタ!」
「あ……そうだった」
ロケット団員を退治したのでエンザンはバタフリーのいとをはくでぐるぐるに縛り付けた。
スピアーを持っているトレーナーやトランセルを持っているトレーナーが顔を出していとをはくで縛るのを手伝う。だがそれでもまだ足りない。サトシは自分のバタフリーもいとをはくを覚えているからバタフリーを出そうとしたのだが食後の運動とポケモンバトルをしたジェントルマン相手にバタフリーをラッタと交換をしていた。
「……バタフリー……」
なにも深く考える事をせずにバタフリーを交換に出したことを後悔しているサトシ。
ラッタが入っているモンスターボールを見つめているとサントアンヌ号が大きく揺れ動いた。津波にやられ、船体が大きく傾いた。
ロケット団とは無関係な船長は問題無いなんて言い出したが、更に傾いた。船長が即座にゴムボートに乗って逃げようとしたのを見てコレはまずいと感じたのか他の乗客達もゴムボートに乗り込んだ。
「すまない、ロケット団員達を運ぶことは出来ないだろうか?」
沈むサントアンヌ号になんて乗っている場合ではないと我こそはとゴムボートに乗り込んでいく乗客達も。
自分も早い内に乗っておくかと思っていればハンサムが話しかけてきた。ロケット団をぐるぐる巻きに縛っているのでロケット団員はまともに動けない。ハンサム自身もポケモンを持っているが、それだけでどうにかする事が出来ない数だ。
「バタフリー、いけるか?」
「フリ!」
出しっぱなしにしていたバタフリーにいけるかどうかを聞けばバタフリーはねんりきでロケット団員達を動かした。
ジェントルマンと話し合いをしているサトシ達を見かけたのだがなんだかんだで上手く生き延びる、そういう存在だと無視し……ゴムボートに乗り込み、数十分後に救助船がやって来た。
「ご協力、感謝いたします」
クチバの港に戻ればロケット団員達はジュンサーさんに連れて行かれる。
ハンサムはその場には居ない。ハンサムの狙いは逮捕しにくい情報が不透明なロケット団の幹部クラスの人間だ。このレベルはジュンサーさんに処理を任せることにしている。
ポケモンマフィアであるロケット団に勇敢に立ち向かったポケモントレーナーとしてエンザンは褒められる、しかし感謝状とかそういうのは要らないので断った。せめて美味しいご飯でもとなったが、再び飯を飯で断った。