IS~一人の転生者、報われる日は来るのか?   作:姫百合 柊

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大変お待たせしてすいません!!

テストの勉強が入ってしまい、書く時間が取れませんでした。本当に申し訳ないです。

本編ではなく、閑話なのですが楽しんで頂けたら幸いです。

ではどうぞ。

※アクセス数、3万5000件超え、被お気に入り500件。物凄く嬉しく思います。読者様大変ありがとうございます。


閑話・保健室の会話と闇の中の少女の語り

 

この会話は司が保健室の先生に注射を射たれた後の話である。

 

ソフィア・ガーネット・パヴレツカ(ソフィア・G・パヴレツカ)。それが私の名前だ。もともとロシアで研究員として働いていたが、医師免許や教員免許も持っていて、軍医として働いていたこともあってか3年前にこの学園に着任した。今は保健医として働いている。

 

「ソフィア先生!聞いていますか?」

 

突然だが私は今、怒られている。目の前にいる人は山田真耶先生。普段おっとりしていて、とても大人には見えないがしっかりしている女性だ。こういう人物が怒ったりすると恐ろしいと感じると思ったのだが、山田先生は別らしい。

 

「えぇ、しっかりと聞いていますよ山田先生。長崎君の話でしょう?」

 

「はい、そうです。先程話をしたのですが、よく分からない物を注射されたと言っていました。何を注射したんですか?」

 

「ただの栄養剤ですよ」

 

そう言って笑って誤魔化す。だが山田先生はじぃ~っと見つめてくる。あまりにもだったので私が折れた。

 

「……いや、すいません。栄養剤ではないです」

 

「…やっぱりですか。それで、何を注射したんですか?」

 

聞いた話、私は患者にどうも過保護と言うかやり過ぎてしまうらしい。

 

つい先日、足を擦りむいた女の子がいた。普通ならば消毒してガーゼか絆創膏を貼ればいいらしいのだが、私は消毒して、私の作った傷口に塗るクリームを付け、ナノマシンを薄い透明なフィルムにしたシートをはり、そこからガーゼもしくは絆創膏を被せる。それをすると傷の治りも早く、瘡蓋(かさぶた)の過程を飛ばして治り、傷痕がまったくと言っていいほどに無くなるから喜んでくれるのだが、他の先生達のやり方を見ていたら自分のやり方がまったく違うと言うことに気が付いた。

 

「私が作った、自然治癒力を高めるナノマシンを長崎君の肩から直接注射したんです」

 

「だ…大丈夫なんですか?それって」

 

予想外の答えだったのだろう。少し顔を青くする山田先生。まぁ、当然の反応だ。

 

「えぇ、毒物ではないのでまったく問題はないです。肩に注射したナノマシンも血中を通って全身に運ばれます。ただし数週間程度で自然分解しますので安全ですよ」

 

これは本当だ。現に私の体で一度試したのだから、断言できる。

 

山田先生はほっとしたような表情をした。

ただ、と私は付け足した。

 

「ただ、そのナノマシンの治癒の限界を超えてしまったら危ないです。ナノマシンが周りの細胞まで巻き込んでその細胞を殺してしまうという可能性がありますから」

 

実験体(マウス)にも打ち込んで、どこまでが限界なのか試したことがある。個々によって差はあったが大体、体の一部欠損や深い切り傷、体に穴が空かない限り殆どが治ることが分かった。

 

「大丈夫ですよ、山田先生。普通の高校生はそんな重度の怪我なんて負いませんから。しかもここはIS学園。ここほど安全なところはないですよ」

 

山田先生はそ、そうですよね!?うん!と何やら大きめな声で言っていたがバッチリと聞こえている。そのあとハッ!書類が!?と言って足早に出ていってしまった。

 

部屋が静かになり一息つく。

 

「……普通の高校生か」

 

言葉を反復して、思い出す。長崎司という子のことを。

 

女の子はよく保健室に来るが二人しか居ない男の子はまったくといっていいほどこない。いや、先程一人来たが。肩が痛いと言う理由で。見てみると肩が脱臼しかけていたのだ。もう少しで完全に外れるというところまで来ていた。これは少々まずいなと思い、そっとナノマシンを注射したんだが彼は注射の存在に気付くとバッと飛び退いてしまった。注射が嫌いだったのか?と思ったが、知らぬ間に注射されるのは怖いだろうと思い、少し申し訳ないと思った。

 

しかし、私は見た。飛び退いた瞬間翻った衣服から見えた肌。痣や擦りむいたような傷、何かで切ったような傷痕がたくさんあった。ん?と目を疑ったが気のせいだろうと思い、考えないようにしていたが、やはりあれは錯覚などではない。何故と疑問に思った。何故十六歳そこらの少年の体にあのような傷があるのか。だが暫く考えたところで答えなど出るはずもなかった。

 

◆◆◆◆◆

 

 

少女は闇の中にいた。闇から産まれたと言ってもいいだろう。

 

闇しか知らず、闇と常に一緒だった。だがそんな彼女にも部隊の仲間というものがいた。辛い訓練に共に耐えた、仲間と呼べるものが。

 

だが、ISの運用が本格化してきた頃、その被害は私にも降りかかって来た。

 

ISの適性率を上げるために目にナノマシンを移植。それは疑似ハイパーセンサーと呼ぶべきものでISを装備しなくとも、動体視力、反射神経を爆発的に向上させるものだ。

 

私はそれに適応出来なかった。…いや、出来なかった訳ではない。その大き過ぎる能力を私は使いこなせなかった。それに体がついて行けず、私の軍の成績は最悪だった。それから私に待っていたのは、部隊員からの嘲笑と侮蔑そして『出来損ない』という烙印だった。まさに地獄だった。その頃の私は何を考えて生きていたのか、何故生きていたのかさえ分からない。ただただ何も考えていなかったんだと思う。

 

だが、そんなとき教官が私の前に現れた。教官は光を見せてくれた。あの人の言った通りの訓練をしたら、今までが嘘のように感じられた。嘲笑や侮蔑ももう気にならなくなった。ずっと煩わしかった『瞳』も使いこなせるようになった。軍のIS部隊としても私は一番になった。今の私があるのは全部教官のおかげだ。

 

その頃から強く思った。あの人の側にいたいと。憧れもした。あの強さに。

 

私は意を決して教官にどうしてそこまで強いのか?どうすれば強くなれるのかと聞いてみたことがある。教官は弟から強さというのは何なのかを教えられることがあるといって、優しく微笑んで自らの弟のことを話した。そんな顔で笑う教官を見たとき、胸がチクリと痛んだ。

 

その分からない感情はやがて、憎しみへと変わった。教官にそんな顔をさせる弟とやらが気に入らなかった。なによりも教官の経歴に傷をつけたことが気にいらなかった。

 

だがこんな私にもカミサマとやらはチャンスを与えてくれた。

 

教官の弟、織斑一夏が世界初の男性IS操縦者として現れたのだ。私はすぐさま入学手続きをした。だが私のIS【シュヴァルツェア・レーゲン(黒い雨)】はまだ完全に調整ができていなかった。発表された段階では調整が完全になるまではあと少しというところだった。だがらあのような中途半端な時期に転入するしかなかった。

 

だが私の他にも転入生が二人いた。驚いたことに二人とも男だということだ。しかしどうでもよかった。私がここに来た理由は教官にまた指導してもらうため、教官の弟である織斑一夏を倒す為である。

 

教官はあの頃と変わっていない。私が憧れたあの頃のままだ。しかし織斑一夏。教官の弟だというのにその腑抜けた表情。ますます気に入らん。そして気がついたら私は織斑一夏に平手を喰らわせていた。教官の前でという気持ちもあったが少しスッとした。

 

それから数日後、転入生の一人、長崎司という男が模擬戦をすると小耳に挟んだ。正直どうでもよかったが織斑一夏とも戦うらしいので奴の実力を知るには丁度いいと思い見に行った。

 

見に行って思ったことは長崎司というやつは何故専用機を使わないのかということだった。いくらコアが貴重だといっても女にしか乗れないISに男が乗れたのだ。男がISに乗る。それだけでも十分にデータはとれるが専用機ならなおさらだ。専用機を提供しない企業などないはずだが……と思っていたら試合が始まった。

 

試合が終わり、結果は長崎司が負けた。当然と言えば当然だろう。専用機と訓練機だ。勝敗は見えていた。しかし私は目が離せなかった。織斑一夏の戦いにではなく長崎司にである。

 

戦い方は素人丸出しのお粗末なものだったが決して諦めず、常に勝とうと模索して動いていた。そんな奴を見ていて不思議と昔の自分を思い出した。自分はあそこまで必死になったことはあっただろうか?

 

いや、あることはある。だがそれは教官が来てからだ。教官が来る以前の私はどうだった?どこかで諦めてしまっていたのではないか?もしあの時教官が来てくれなかったら…とそこまで考えて私はその事を考えるのをやめた。

 

それから奴のことが妙に気になっていた。そして合同演習のときに話しかけた。顔を見たとき初めて分かったことがある。それは目だ。奴の目は澄んではいる、だが奥の方が濁っていたのだ。私は鏡を見るということをほとんどしないからあの時や今の自分の目など知らないがきっとこのようになっているんだと感じた。

 

こいつは何を経験してきたのか?もしかしたら私と同じような経験があるのではないかとも思った。そのことを聞こうとしたが何故だが口が動かなかった。代わりに出てきたのは試合のことだった。

 

いい試合だと思ったのは紛れもなく私の本心だ。少なからず私はその試合から目が離せなかった訳だしいい試合と呼ぶに相応しいだろう。

 

長崎からは一瞬、言い淀んでから答えが返ってきた。ん?と思ったが気にすることはなく、少しの間だか会話が続いた。会話の最後で私は自分のこと少し長崎に呟いていた。何故奴に話したのか今でも分からない。

 

それから数日経った休日、私は二人の専用機持ちに戦闘を吹っ掛けた。理由は単純、織斑一夏を誘き寄せるためだ。しかし、奴が来る前に教員に止めに入られるか、教官に止められるかも知れないのでちょとした賭けのようなものだった。

 

だが止めに入ったのは長崎だった。止めに入ったのは友達だから、仲間だからと言う理由だった。

 

正直、私はもう仲間というのは信じられなかった。信じれるのは自分だけだ。長崎の言葉を聞いて少し感情が爆発した。また奴に私のことを話してしまったのだ。教官のこと、力のこと。

 

そして長崎から返ってきた答えは、力は扱いきれなければそれはただの暴君にしかならないと言うことだった。そうなのだろうか。力とは示してこそ価値があるものだ。それを振るわなければ何もないのと同じではないのか。

 

私が長崎の目を見て、奴が私の目を見る。ただただ沈黙が流れた。だがそれは織斑一夏、シャルル・デュノアの乱入で破られた。

 

このまま戦ってもよかったのだが気分がのらなかった。長崎と話しているうちに興が削がれてしまったんだと思う。織斑一夏には続きはトーナメントでということを言った。長崎にも。

 

正直、奴とはあまり戦いたくない。技量・力量とも私の方が上だが勝てるという明確な想像があまり浮かんで来ないのだ。

 

そんなことを思い、考えながら私は自室に戻って行った。

 





閑話どうでしたでしょうか?

この話ではソフィア先生、ラウラがどう思っているのかを描いたつもりです。ほぼラウラだけですが…。

うーん、更新ペースを上げたい……。

次からは本編です。そろそろタッグマッチをやりたいですね。まぁ、頑張って行こうと思います。

では、次話もお楽しみに~。

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