IS~一人の転生者、報われる日は来るのか?   作:姫百合 柊

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お待たせ致しました。待っていて下さった皆様、本当に申し訳ねぇです。

ふ、筆が進まねぇ……。

第十話、どうぞ。


第十話・タッグと不穏な音

鷺ノ宮が来た日の放課後、俺は山田先生との補習終わりに、タッグのパートナーはどうするのか、と部屋割りについて聞かれた。

 

あ、因みにタッグについて基本誰とでも組んで良いらしいが、専用機持ち同士が組むと他の実力があまり分からなくなるから、専用機持ち同士がパートナーの場合はエネルギーを3割減らして戦うらしい。

 

パートナーについては正直決まっていない。だからもういっそのことランダムに決められるので良いかな?と思っている。

 

部屋割りについては鷺ノ宮のことだ。簡単に言えば、同部屋になってしまうが構わないか?とのことだった。一人部屋でなくなってしまうのか、と名残惜しいものがあったが、首を縦に振った。

 

いや、だってさいつも山田先生の顔を見ているからか山田先生若干疲れが顔に出ているような気がするんだよね。そんな状態で『嫌です』なんて言えないじゃん?実際同部屋で構いませんって言ったらほっとされたし。

 

そんな山田先生を見ていたからかつい言葉が漏れてしまった。

 

「山田先生、ちゃんと寝ていますか?」

 

「は、はい?」

 

「あ、いえ、何か疲れているようでしたので……」

 

いや、本当。いつもの山田先生より何か元気がないような気が……。

 

「疲れがないと言えば嘘になりますが、先生このくらいは慣れっこなのでへっちゃらですよ。私よりも長崎君の方が寝ていますか?目元に薄っすらとですが隈がありますよ」

 

うえ!?マジか、気づかんかった。

 

「まぁ、寝ていると言えば寝ている方なので大丈夫ですよ」

 

どっちもどっちですね、はい。………何か、いつも放課後補習という名で山田先生に聞きに行って教えてもらったりしているから、なんか罪悪感っぽいのが………。

 

「あの山田先生、何かですね…目の疲れを取るには温タオルで温めるとか、ぐっすり眠るには適度な運動をしたほうが良いらしいですよ」

 

「え?そ、そうなんですか?」

 

つい口に出てしまっていた。山田先生の疲れた姿を見ていたらついね。

 

…………そう言えば、と今の山田先生を見ていたらふと思い出したことがあった。

 

真綾(まあや)という女の子が山田先生に似ているということだ。外見はあまり似ていないと思うが眼鏡を掛けていて、髪が長い。身長は160㎝くらい。引っ込み思案なせいか頼まれても断れないから、いつも無理をしていた気がする。俺も一緒に手伝っていたらいつの間にか『司お兄ちゃん』と呼ばれていたっけ?懐かしいなぁ…そっから皆俺のことを『お兄ちゃん』と呼ぶようになったんだよな。

 

……っと、いかんいかん話が脱線してしまうところだった。

 

「まぁ、気が向いたらでいいので試してみてください」

 

「いえ、せっかく長崎君が教えてくれたんですから今日やりますよ。…えっと、運動と目に温タオルでしたっけ?」

 

「はい、そうですね。運動と言ってもそんな激しく動かなくても良いらしいので軽いジョギングくらいで大丈夫かと」

 

「そうなんですか?良かったです、先生運動はあまり得意ではないほうなので」

 

そうか?少なくとも俺の中では山田先生はしっかりとした先生だ。運動だって不得意とは思えない。

 

「誰にだって得手不得手はありますから、俺だってありますし。というか山田先生は運動が不得意、ですか?俺にはそうは感じませんでしたが…ISの操縦もやっぱり上手いですし、授業で見せていただいた瞬時加速(イグニッション・ブースト)中急上昇からの急降下ストップも完璧でしたし、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を左右一回ずつ展開してからその勢いを殺さずに急上昇も凄かったですし、それから……」

 

「わ、分かりました!分かりましたからも、もうそれ以上は。……は、恥ずかしいです」

 

顔を真っ赤にして止めにかかった山田先生、そこまで言って少し俯いてしまっていた。

 

「………えっと、なんの話をしてたんでしたっけ?」

 

「あ、は、はい。えっと……部屋割りのことです」

 

なんの気概もなく生活出来ていたんだが、それももう終わりか…。そう思うと何だが惜しいな。

 

「そうですね、一人部屋なので相部屋は問題ないですね。ただ一人部屋に慣れてしまったので惜しいと言えば惜しいですね」

 

「そ、そうですか…あ、あの、無理には言いませんよ!嫌だったら言っていいですよ!」

 

山田先生がそう言って、ぐっと近づいてくる。いくら身長差があるとは言え、圧されてしまった。というか前屈みというか殆ど抱き着いているような感じだったのである。触れてはいないが。

 

「いや、あの、本当に大丈夫ですから。山田先生、自分は問題ありませんから」

 

そう言って山田先生の両肩を掴み、すっと元の位置へ移動させた。

 

「そ、そうですか………」

 

俺の行動で我に返り、何とか言葉を絞り出してから、ボッと顔が紅くなり俯いたままになってしまった。俺自身もどうすれば良いのか分からず固まってしまっていた。

 

◇◇ ◇◆◇◆◇◆

 

そこから5分か10分位固まっていたが、鐘の音で我に返った。見ると山田先生も同じだった。

 

何だが何とも言えない雰囲気だったので、その空気を振り払うように山田先生に別れを言って踵を返した。すると山田先生が呼び掛けてきた。

 

「……?…あ、長崎君」

 

「?。はい?」

 

「その左腕の……ブレスレット…ですか?切れかかっていますよ」

 

ブレスレット?……あぁ、これのことか。そう思い左腕をチラリと見た、そして山田先生の前に左腕を捲って見せた。

 

「………これは……良く出来ていますね。ミサンガですか?」

 

「そうです。貰ったんですよ、子供の頃に。……俺の大切な物の一つなんです」

 

そう言って笑ったら、山田先生も微笑んでくれた。

 

 

◇◇ ◆◇◆◇◆

 

あの後山田先生と別れ、自室に向かっていた。散らかってはいないが何となく綺麗にはしておこうと思ったからだ。

 

暫く歩いていたら前方の方に変な突起物を見つけた。立ち止まって何かと目を凝らしたが、どうせ織斑がまた何かやらかしたんだろうと思った。

 

しかし、よくよく思い返して見れば、織斑の部屋はもう過ぎてしまったはずだ。ではあれは何だ?と不思議に思う。確かめる為に少し早足になる。

 

「……………」

 

突起物の前まで来たとき俺は言葉が出てこなかった。それは扉から出ていた。いや、出ていたと言うよりは刺さっていたと言う表現が正しい。

 

武骨なデザインのナイフ。サバイバルナイフと呼ばれる代物が手紙と共に扉に縫いつけられていた。しかも俺の部屋に。

 

「…………は?…」

 

たっぷりと間を空けて出てきた言葉はそれだけだった。あまりの出来事に言葉が出てこない。

 

取り合えずこのままではまずい気がしたので、中に持って行こうとしたが、中々に深く刺さっていて抜くのに少し手間取った。

 

部屋に入ったとき何か違和感を感じた。その違和感が何なのかと首を廻らせてみた。すると使っていない方のベットにでかい段ボールやバックなどの荷物が置いてあるのを見つけた。

 

「…………なんだこりぁ…」

 

荷物の数が2、3個だったが、段ボールが大きかった。通常の段ボールよりも一メートルほど。

 

驚きはしたものの他人の荷物を漁るような失礼なことはしない。すっと思考を切り替えて、先程の手紙を読みに掛かる。

 

手荷物をベットに置き、一応ナイフを金庫にいれておく。鍵+暗証番号付きの金庫だからそう容易には空けられないはずだ。

 

ナイフは端の方に刺さっていたため、手紙を読むのには支障はない。

 

「……………」

 

手紙を読んで驚いた。まさかと思い二度見したが内容は同じだった。

 

「……ボーデヴィッヒさんが何で俺とタッグを?」

 

思ったことがつい口から漏れてしまった。だってそうだろ?失礼かも知れないがボーデヴィッヒさんだぞ?……うむ、以外だ。

 

 

『私とタッグを組まないか?』

《Laura Bodewig》

 

 

手紙にはそう書かれていた。名前が途中までしか分かんなかったが、英語では無くドイツ語なのに気が付き何とか読めた。幼い頃ちょっとした事情でドイツ語勉強したんだが、やっぱりもう殆ど覚えていなかった。

 

「…うーん、ボーデヴィッヒさんは何で俺にタッグ申請を?他にも良い人はいると思うんだけどなぁ」

 

ボーデヴィッヒさんとのパートナーが嫌だと言うわけではない。ただ俺にタッグを申し込もうと何故思ったのか。理由が見当たらないのだ。

 

しかし別に断る理由もないし、パートナーをどうするかで悩んでいたのも事実なのでパートナーになってくれるならこちらとしても嬉しい限りだ。明日にでも了解との旨を伝えるとしよう。

 

そう思った俺は少しでも操縦が上手くなるように、訓練機を申請しに職員室へ向かった。

 

 

司が出ていった部屋で、段ボールがガサリとひとりでに音をたてた。

 

 

◇◇ ◆◇◆◇

 

ラウラ・side in

 

今日の私は少しおかしい気がする。何がおかしいのかはっきりとは分からないがいつもの私とは違うような、そんな漠然とした感じだ。

 

ふと少し前に書いた手紙に視線を落とす。

 

『私とタッグを組まないか?

《Laura Bodewig》 』

 

この手紙は、長崎司宛だ。手紙を書いたのは何となくで特に深い意味は無い。

 

日本語には慣れたつもりだったが、癖が出て名前をドイツ語で書いてしまった。書き直してもいいが、何だがそれはそれで気が進まなかった。

 

学年別トーナメントというのは二人一組で出るもので、パートナーが決まらずとも試合前にパートナーがいない者同士が組み合わされる。別段誰がパートナーになっても構わんが何となく長崎にしようと思い付いた。奴と一度試合ったときに撃ってきたあの砲撃、止められはしたものの受けていればダメージは大きいものだったろう予測できるからだ。それに他の者よりも積極的に練を積んでいるから他の奴よりもやり易いのではないかと思ったからだ。

 

…しかし、よく考えてみれば誰かに手紙を書いて出す、というのは初めてかもしれない。

 

「…………考えないようにするか」

 

考えたら何か余計なことまで……そう言えばクラリッサが何かそれっぽい事を言っていた気がする。

 

「……まぁ、いい。さっさと行くか」

 

少し考えたが出てこなかったので、思考を切って教室へ向かう。

 

◇◇ ◆◇◆◇◆

 

教室に入り、席に座った時ふと長崎をチラリと見た。その時手紙を部屋に忘れてしまったことに気が付き、『むぅ』と思い長崎から視線を外して考える。

 

昼に部屋に戻り、長崎に渡せばいいか。うむ、そうしよう。

 

だが昼に姿が無かったので結局放課後になってしまった。しかも今は放課後で長崎は副担任と話している。

 

そこでふと奴に直接渡す必要はあるのかと思い至った。

 

……無いな。しかし何故私がこれきのことで頭を悩まさなければならないのか。考えたら腹が立ってきたのでぶつけるとしよう。

 

しかしながら私は長崎の部屋を知らない。織斑一夏の奴の場所なら知っているのだが……。

 

知らなかったので教官に聞いた。特に何も聞いて来なかったが少し頬が緩んでいたような……。

 

 

教官に教えて頂いた通りの部屋に着いた。そこで私は手紙と持ってきたナイフを扉へ叩き付ける。

 

自分の思った通りの場所に綺麗に刺さったので幾分スッとした気分になり、私はその場を後にした。

 

 

ラウラ・side out





第十話、どうでしたでしょうか?

そろそろ、そろそろタッグマッチ戦に行きたいんですが…まだ行けない気がする……。

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