どうも、遅くなりました。司・ラウラ対一樹・箒の戦闘はこれで終わりになります。
なんだか物足りないと思った方、すいません…戦闘描写って難しいですね……。
では、第十三話です。どうぞ
そう言えば、こんな風にまともに戦うのなんて数回しか、いや2回ほど(オルコットさんと一夏と)しかないな、と思いながら司は箒と斬り結んでいた。
「はあぁぁぁ!!」
やはりというか、予想通り自分よりも剣術が上手い篠ノ之さんに押されている形になっている。
なんとか防いでいるが精一杯と言った感じだ。
距離を空けようとして斬撃に晒されながらもアサルトライフル【焔備】を呼び出し、苦し紛れにばらまいた。少しでも当たるかな、なんて甘い想像をしていたがきっちり避けていた。
だが、これで俺と篠ノ之さんとの間に空間が出来た。これを利用してこの状況を打破する手を考える。
…………。あるにはあった、が痛そうだな。って考えてる時間は無さそうだ。
再度、刀を携えて突進してくる篠ノ之さん。また打つ、斬る、突く、薙ぐを繰り返す。これに俺はタイミングを見計らって仕掛ける。
俺が上段で仕掛け、篠ノ之さんが横上に薙ぐようにして受けた。
――ここだ。
当たった瞬間【水仙】の持つ力を無くした。
すると【葵】が当たった衝撃で手から武器【水仙】が飛んだ。
これで俺は一時的に完全に無防備になる。ここまでは計画通り。後は篠ノ之さんが突っ込んで来てくれるかだが……。
「ふん、武器を無くしたな。これで終わりだ!」
そう言って刀を振り上げながらこちらに向かって来た。
――よし、来た!
そこから俺は篠ノ之さんに向かいながらある構えをとる。左足を前に出し、右足を半歩分下がらせる。そして腕を交差させて開手にし、それを頭上までもっていって構えは完了。開いた手の背拳で刀を挟み込むようにして取るのを意識する。
後手にまわってしまったが十分、半歩下がらせた右足で大きく踏み込む、と同時に開手背拳で来る刃を挟み取る。念のために肩部シールドを腕へ移動させていたのだがやはり痛い。
「いってぇ……!」
「なっ…!」
ISと言えど傷は負わないが衝撃くらいは来る。分かってはいたがさすがに痛い。だが止められた。
司が行ったこの構えは空手にある『十字受け』にあたる。
すかさず止めた刃を両手の甲でガッチリと挟み、そのまま90°横に反らす。
「くっ……」
反らすのと同時に刀自体を自分側に寄せるようにしたので篠ノ之さんは体勢が崩れた。それを利用し、手刀ならぬ足刀を左足で前蹴りの要領で繰り出す。
「ぐはっ……くっ!」
足刀が良い感じに胴に入ったからか篠ノ之さんが飛ぶようにして転がっていった。そんな大きすぎる隙を見逃す訳がない。
【焔備】か【撃墜】、どちらが良いか一瞬だけ悩んだが【撃墜】を呼び出した。
理由は、意外に多くエネルギーを消費してしまっていたこと。なのでここら辺で勝負を決めたかった。
起き上がろうとしている篠ノ之さんにそうはさせまいと【撃墜】の照準を合わせ、引き金を引く。
轟音が続けて鳴り響いた。一発は篠ノ之さんに当たり、もう一発は土に当たり地面が爆ぜた。
打鉄は防御に軸を置いた機体だ。いくら【撃墜】と言えど一発当たった程度でエネルギーがゼロになったか怪しいところだが……。
用心のため、俺は【撃墜】の弾を再装填して構える。
「…うっ……くっ……嘗めるなあぁ!!」
土煙が晴れ、出てきたのは、激昂した篠ノ之さんだった。
「やっぱり削り切るのは無理だったか」
ボーデヴィッヒさんの下に【蓮】を飛ばす。負けないとは思うが鷺ノ宮の実力が分からないので何とも……。しかし、ボーデヴィッヒさんの『AIC』は発動させるのに少しだけ間が出来てしまう。そこを突かれたらボーデヴィッヒさんでも対処が難しくなってくるだろう。できるだけ戦闘に専念してもらいたい。
俺は【蓮】を操りながらの戦闘になり、センサーに頼りきりになってしまう。
そう漏らしながら、再度向かって来る篠ノ之さんに【撃墜】を撃ち込んだ。
◇◇ ◇◇◇◇◇◇◇
「欲を言えば、2対2で戦いたかったですね。篠ノ之さんも強いですが司君も強い。ですが今の篠ノ之さんでは勝つのは難しい。なので通して頂けませんか?」
「ふん、それは2対2なら私に勝てると言ってるように聞こえるが?それと、通りたかったら、通って見せろ」
互いに一言二言言葉を交わし黙る。幾ばくかの沈黙の後、両者共に動いた。
ラウラはレールカノンをぶちかまし、一樹はアサルトカノン【ガルム】を右手に重機関銃【デザート・フォックス】を左手に出し、撃つ。
ラウラの砲撃をシールドを使って防ぎ、避け、空に急上昇することで回避し、急旋回、ジグザグ、様々な方法で砲撃を避け、後に出した6本のワイヤーブレードも全て撃ち落としていった。
一樹の弾幕をレールカノンでかき消し、プラズマブレードで切り裂き、ワイヤーブレードで攻撃を阻害させ、それでも漏れた弾を全て【AIC】で止め無力化する。
一進一退の攻防、それでも僅かにラウラの方が瞬間的に勝っていた。
ジリジリと押されていく一樹は心の中でぼやく。
「(くっそー、やっぱりボーデヴィッヒさんは強い。さすが候補生レベルが違うね。隙間を縫って行こうとした度に止められる。というかもう嫌だ。疲れた、寝たい、布団に沈みたい、休みたい)」
一樹は若干場違いなことを考えていたりしていた。
そんな間も手を休めることなどしない。そんなことをしたらあっという間に喰われてしまうからだ。
両手に【ブレット・スライサー】を展開。近接戦闘に持ち込む。対するラウラも両の手にプラズマブレードを形成させこれを迎撃する。
斬り、裂き、薙ぎ、突き、切り上げし、切り下げし、鍔迫り合い、剣の腹で突きを受け、反らし、空いた手で追撃。
それぞれ斬撃の応酬が繰り広げられる。両者共にギリギリと言ったところで防いでいるが隙が少しでも出来たらそれは崩れる。
そんな中、不意に一樹が後退する。ラウラがそれを追う。プラズマブレードでそこを突こうとしたら大質量の物体が、【フラッカーディルト・ガル】で跳ね上げられた。
上に弾かれる形になり、多大な隙が出来た。そこに一樹は両手に【レイン・オブ・サタデイ】を展開させラウラにこれでもかとぶち込む。至近距離から腹部に。
しかし、その隙間に割り込むようにして【蓮】が入ってきた。
防御パッケージ【蓮】が防いだお陰でダメージはほぼ負わなかったが、撃ち出された量が多かったので衝撃で吹き飛ばされた。
舌打ちをして体勢を直ぐさま戻す。そして一樹の槍、【フラッカーディルド・ガル】の穂先がこちらに向けていられているのに気が付いた。
ランスが発射の為に爆発。それと同時に紅い円錐型の穂先がラウラに向かって飛んでいく。
穂先が当たる直前、巨大な2つの花弁が形成され、ラウラの前に一つの影が立った。
◇◇ ◇◇◇◇◇◇
怒っているせいか、攻撃が直線的になっているのだか如何せん慣れていない武器のせいでやりにくい。
「(くそっ、分かってはいたが、実戦でここまで扱いづらいとは)」
超長距離射撃兵装装備【撃墜】を撃って地味に削っているが、実体シールドで防がれたりと一手が足りない。どうすっかな、こっちは【撃墜】で近接ブレード【葵】を防いでいるけどなんか壊れそうだ……っておいおい!ボーデヴィッヒさん危なくねぇか?
「くそっ…」
直ぐ様【蓮】を展開させる。弾幕は防いだ。しかし槍の弾丸か……【大輪】じゃ防げないな。今からやって展開間に合うか?
篠ノ之さんの相手をしている時ではない。シールドに当てて吹き飛ばし、距離を稼ぐ。そして俺はボーデヴィッヒさんの前に立った。
◇◇ ◆◇◇◇◇◆
私は焦っていた。何処か冷静な部分の私がこのままでは負けると告げている。
何故かは分からない。攻めているのは私だし、攻撃だって多く当てている。だか何かが消えない。私は弱いのか?
負けられない。一夏の為にも、何より自分の為にも。
だがそんな私の意気込みとは露知らず相手は適当にあしらって私に背を向けて行った。
私は相手にもされないのか。ふざけるな。ふざけるなよ。
「……くっ…ああああぁ!」
吹き飛ばされながらも何とか体制を立て直し、奴に追い縋った。
◇◇ ◇◇◇◇◇◇
ボーデヴィッヒさんのところに無事に到着したがまだ【天輪】が不完全だ。にしてもまさか、【天輪】まで使うことになるとは…。これ結構な切り札だよ?これじゃあ【大天輪】まで使わされるかも知れんね。
【天輪】は【大輪】の上位版である。数十の蓮の花があるのが【大輪】であるならばそれを二つに集約したのが【天輪】。その【天輪】を一つにしたのが【大天輪】になる。
先程出した【天輪】は花弁が四重なっており、防御力も上がっている。
それをボーデヴィッヒさんのところにやっているが、ぎりぎり完成……してない!?
普通は内から形成していくのだが、焦っていたのか外側から【天輪】を創ってしまっていたのだ。そうなってしまうと本来の防御力は十分には発揮はされなくなる。
鉄の鏃(やじり)とエネルギーの塊が激突して、激しい音が鳴った。
「ぐっ……うううぅっ!」
完成していない中心点に撃ち込まれているので【天輪】を無理矢理閉じて防御を行っている。なので衝撃がもろに手に伝わってくる。
「ボ、ボーデヴィッヒさん。お、俺ごと空間を固定してください。もしくは鷺ノ宮の奴を叩いてくれると有り難いです…」
防ぐことに集中力を割いているので中々【蓮】が完成しない。そして手の方も限界に近かった。
『警告!敵機接近感知。方向3時。所持近接ブレード』
打鉄から危機を知らせる電子音。3時と言うと篠ノ之さんか。くそっ、今は手が離せん。
「はぁああああっ!!」
雄叫びをあげて突進してくる篠ノ之さん。ボーデヴィッヒさんが舌打ちをして【AIC】を発動させる。空に縫い付けられた篠ノ之さんは抜けようとも藻掻くが抜けられない。その状態でレールカノンを撃ち、着弾と同時に【AIC】を解除して吹き飛ばす。
よし、これで……と思った時、カツンと音がした。音がした方向、前を見る。鷺ノ宮が投げたであろう手榴弾が弾かれ地に落ちそうになっていた。
――誘爆か。
そう思った時にはもう遅く、手榴弾は爆発し同じように穂先も爆発した。
爆炎と爆風のなか、鷺ノ宮は司とラウラがまだ健在だと言うのが分かっていた。
「ぴゅー♪防ぎ切りましたか」
「ゲホッ!ゴホッ!くそ、やってくれたな、ボーデヴィッヒさん!大丈夫ですか?」
悪態をつきながらボーデヴィッヒさんの元へ駆け寄って行く。
「私は助かったがお前は大丈夫か」
「今ので殆どのエネルギーを持っていかれました。しかしボーデヴィッヒさんが無事で良かったです」
まだ大したダメージも受けていないことにホッとした。
「篠ノ之さんは?」
「そこらへんでダウンしているだろう」
篠ノ之さんは脱落か。しかし火力強いなー。俺もそんな一手が欲しい。
「篠ノ之さんは…やられてしまいましたか。あそこで分断されたのが痛かったなぁ。ボーデヴィッヒさんは易々と通してくれないし、長崎君のあのパッケージは防御力強すぎるし、うーん、どうしたものかなぁ」
一樹は今後の攻撃の手をどうするか暫し考えてから『まぁ、戦いながら考えて行くか』と結論付けて二人に向かって行った。
「来たか。ボーデヴィッヒさん、俺が防御に廻ります。攻撃面は頼みました」
そう言って【大輪】をボーデヴィッヒさんと自分の周りに展開。戦闘に入ると防ぐことに専念しなくてはならなくなってしまうがここでボーデヴィッヒさんがやられてしまったら俺では鷺ノ宮の奴に勝てそうにない。無論、ボーデヴィッヒさんが負けるとは思えないが先程のような攻防では攻めることに手一杯になってしまって防ぐことが疎かになるだろう。なので攻撃に専念して欲しいのだ。
「あぁ」
そう言ってレールカノンを一発ぶち込んでから、ワイヤーブレードを展開してから駆けて行く。
そこからはまた凄まじかった。ハイパーセンサーで補い何とか凌げていたものの。【蓮】の弱点を見破られたのか近接戦闘が多くなった。
【蓮】の弱点、それは近接攻撃にとことん弱いことだ。特に斬られることに弱くブレード類で来られたら装甲は紙同然まで性能が落ちる。そのくらい相性が悪い。
「……あー、ダメだ。こりぁ気付かれてるね。となると、遠距離か近接になるが……」
【水仙】のリミッターを一つ外す。帯電率を5%から15%に。すると淡い蒼色を帯びていた刀身がほんのりと黄みを帯び始める。
「まぁ、やられる覚悟で行きますか」
淡い蒼黄色をした【水仙】を構え、ボーデヴィッヒさんと鷺ノ宮のところへ向かった。
◇◇ ◆◇◇◇◇◇
火花が舞った。何回も、連続で。音が響き、地が爆ぜる。火が散り、地が抉れる。
両者とも拮抗しており、あと一手が欲しかった。しかし一樹にはその一手は残されていなく、必然的にラウラにその一手がまわる。
一樹のISが警告を鳴らす。その後、刃が割り込んできた。
「(きっつい。割りととかそんなの以前に2対1はやっぱりきつい!参ったな、負ける気はないんだけど負けそうだ。くぅ~、対一になった時に強引にでも良いから行けば良かった)」
内心では泣き言を漏らしているが、きっちりと応戦して見せている一樹。だが司が混じって来た戦闘から攻撃を受けることが多くなった。それどころか機体が一拍遅れて動く。そこは全て司に斬られた所なのであの刀が関係しているのはわかる。
「(まだ足りないか。…仕方ない、もう一段外そう)」
そう思い、司は【水仙】の2つ目のリミッターを外した。と同時に【水仙】の色みが増し、大きくバチリと雷が弾ける。リミッターが外れたことにより帯電率が15%から30%に上がったために起こった現象だ。
刃同士を合わせていたため、一樹はその光に目を焼かれ、数瞬視界が奪われる形となった。
その状態では動くことは困難。とっさに足を止めてしまった。そしてそれが致命的だった。
「(しまっ…!)」
止まった敵など格好の的だった。ラウラのAICに捕まり空間に捕らわれ身動き一つ出来なくなる。
手を前に出しているモーションから、肩のレールカノンを鷺ノ宮へと向ける。そこで一樹は悟る。
「(あぁ……これは負けましたね)」
ラウラは2発、鷺ノ宮に撃ち込んだ。それで鷺ノ宮のシールドエネルギーが無くなり、俺とボーデヴィッヒさんが勝利した。
いかがでしたでしょうか?第十三話。
次話ではまた司くん達が当たります。
いやー最近寒いですね、どうぞ皆様も風邪に気を付けてお過ごし下さい。では、また次回~