お久しぶりです、柊です。
スランプとか入っていたのでキャラを忘れてしまったりしてしまったのですが、二十話どうぞ。
活動報告も書きましたのでよかったら。
「んー、後はどうします?」
織斑先生と別れ、二人と+αの悲鳴を遠くで聞きながらこのあとの予定を確認する。触らぬ神になんとやら。
目的の水着は買い終えたので、することが無くなったと言えば無くなったのだ。
「私は別段考えていなかったな。水着を買うのが目的だったからな」
と、ラウラがそう言い、山田先生と鷺ノ宮も同じだった。
うーんと考えていると何処からか、可愛らしくお腹が鳴った。それは誰だったかなんて探す気はなかったのだが山田先生がとっても恥ずかしそうに真っ赤になってお腹を押さえていたので誰かはすぐに分かった。
「あ、じ……じゃあ何か食べませんか?」
「そうですね、お腹も空きましたし」
と言うわけでレゾナンスの付近にあった飲食店に足を運んだ。
◇◇ ◇◇◇
「で、この後どうします?」
結局、つい先ほどまでしていた会話に戻ったな。そう思いながら食後に注文したコーヒーを啜る。
「そうだなー、俺はもう帰ってもいいかなー」
「そうだな、私も特に予定はない」
「私もです」
上から鷺ノ宮にラウラ、山田先生という順だ。ブランケットさんは言わずもがな。
「なるほど。じゃあここでお別れですね」
「む、どういうことだ司よ」
「いえ、折角なので足りなくなっていたノートとか買って行こうかと思いまして」
「……うむ、そうか」
何だか一瞬考えてたみたいなんだけど、なんだ?
その後会計を済ませ、そこで解散となった。
「さて、行くか。……そう言えば一人で買い物とか何気に初めてだな」
ぼそっとそう呟いて歩き始めた司。どこに行くのか、どこに在るのか分からないままフラフラっとし始めた。
1フロアごとにある程度散策していた時、突然声を掛けられた。
「ちょっとそこの男!これ、重たいから持って」
ん?と思い、声のした方向に顔を向けた。30代位の女の人が自分を指差してきた。
「は?私がですか。……何故」
女尊男卑。ISを動かせる女子が偉くて、動かせない男子は下に見られる。そう言う世間だとIS学園で教わってきた。だがIS学園にはそう言う女の子はいない、と思う。優しい人が多いのとやはり学園に男子がいないからだろう。
さて、この状況どうしようか?まぁ、妥協は必要だろう。こっちが折れないと不利になることしかなくなる。用は我慢してやればいい……理不尽には慣れてるから。
「…………これはもう会計に?」
服が積まれた籠を手に取り、確認する。答えは分かっていたが当然の如く俺持ちだ。しょうがないとは言え訳が分からない。
「…………えーと、全品で2万7850円になります」
高っ!?と口から出そうになった言葉を飲み込む。足りっかな。
「……じゃあ、3万円からで」
「はい、3万円からですね。お釣りは……」
はぁー、手痛い出費だ。ウォーター・リリー社でテスターをやっているため、ある程度お金は貰っているがそれを無駄に使わされた気分だ。
「……ん?」
何処からともなく何かを感じ、振り向く。しかし当然だがただ人が行き交っているだけだ。
何だろ、この感じ……視線?うーむ、居心地悪いなぁ。
さて、所で聞き流していたが段々要求がエスカレートしてきたぞ。どうすりかな、逃げるか?
「ごめんごめん、待たせてしまったね」
どうしようか悩んでいるとそんな風な声が聞こえてきた。
「いやー、取材が長引いちゃってさっ。じゃあ、買い物行こうか?」
するりと腕を組んで来て、エスコートしていく女性。凄いわ、こんなことが自然に出来るんだから。
因みに買い物の女の人は何か喚いていたが、腕を組んで来た女性の顔を見たら固まって動かなくなってしまった。
『さぁ、早く早く』と急かされ彼女とともにその場所を後にした。つか、この金髪の女の人誰?
◇◇ ◇◇◇
「さっきは大変だったねー、君」
「そうですね。まぁ、慣れているので……」
俺は取り合えず先程の金髪の人と一緒に近くの喫茶店へ入っていた。彼女はオレンジジュース、俺はアイスコーヒーを頼んだ。
「…………」
「…………」
沈黙。いや、沈黙と言うよりは彼女が俺をジッと見ていた。あんまりにもジッと見るもんだから気まずい。
居心地が悪くなり、誤魔化すようにアイスコーヒーを口に含んだ。それに気が付き彼女もまたオレンジジュースを口に含んだ。
そしてまた沈黙。…………お通夜かっ!何だこれ、この雰囲気。
「……あの、先程は助かりました。ありがとうございます、えっと……」
「おっと、そう言えばそうだったね。私はナターシャ、ナターシャ・ファイルス」
そう言ってナターシャはサングラを取った。なるほど、ナターシャ・ファイルス・さんね。
「先程はありがとうございました、ファイルスさん。正直困っていましたので」
いやー、本当あそこまでしつこいっつーか、面倒臭いのは初めてだったからな、うん。……うん?
ふと顔をファイルスさんの方へ向けたら、何やらポカンとしたような表情をしていた。
「えっと、どうしましたか?」
……本当になんかしてしまっただろうか?
「……ぷっ、あはははっ!」
俺が内心おろおろしていたら、何かいきなりファイルスさんが笑い出した。
「君、面白いね……うん、うん、長崎司君か……覚えたよ。…………もっとお話していたいけど時間がきてしまった」
時計をチラリと見て立ち上がり、そう言いながら伝票を持って行ってしまう。素早い行動に何も反応が出来ずに此方がポカンとしてしまう。
「ここは私が出すよ。お姉さんからの奢り。じゃあね、長崎君。『See you when I see you』」
と、去り際そんなことを言って帰ってしまった。
『See you when I see you』。……確か意味は、『いずれまた会いましょう』的なニュアンスだった筈だ。
――また、こうやって会って話をする日が来るのだろうか?
そんな風に思いながら俺も喫茶店をあとにした。
◇◇ ◇◇◇
目的のノートとか、小物を買い、クッキー等のお菓子が小分けされているのをそれなりに多く買って店を出た。
……そう言えば店で感じたあの視線は何だったんだろうか?うーん、ファイルスさんだったのだろうか?……まぁ多分そうだろうな。
そんなことを思い出しながら歩いていたら、目的地に着いてしまった。予定していたのと違い、遅くなってしまったと思う。
何だか緊張なのか動悸が激しくなってきた。足が震えてしまう。動きづらくなった気がした。
数瞬その場で悩んだが、意を決して扉を開ける。
真っ先に目に飛び込んで来たのは懐かしくも子供の頃の面影を残し、大人になった彼女だった。
彼女の周りには自分の知らない子供たちがたくさんいた。そんな中、目が合う。瞳が見開かれるのが分かった。
「……お帰りなさい、司兄さん」
「……ただいま、真綾」
見開かれた瞳が涙で濡れていたが、笑顔で言葉を返してくれた。そんな暖かい反応が帰ってきたことがやっぱり嬉しい。
何だか、緊張していたのが馬鹿らしくなるくらいの反応だった。
その後、父さん、母さん、兄さん、姉さんが来て『おかえり』と行ってくれた。血が繋がっていなくとも、やっぱり家族は良いなと安心する。
――自分の無くしてしまったものだから。
皆と話したりしていたら日が落ちるまで居てしまった。山田先生とかラウラとかは遅くなり過ぎたことを心配していたが大丈夫だと言っておいた。
また、帰ろうと思う。まだまだたくさん話たいことがある、ISのこととか日常のこととか。
◆◆ ◆◆◆
暗闇で人が一人、話している。
「……おい、そっちの準備は出来てんだろうなババア」
『相変わらず口の悪いことね、『ヘンリー』』
「……俺をその意味のわかんねぇ名で呼ぶな、寒気がする」
『はいはい、準備は着々と進んでいるわ。あと10%と少しって所でしょうね。予定通りよ』
「予定通りなら問題ねぇな。じゃあな」
『えぇ、『Have a nice day』』
そう言って相手の方から電話は切れた。
「……何が『ご機嫌よう』だくそったれが」
悪態を吐き、夜の空を見上げ、見つめる。吸い込まれそうなほど深い空。
「――こんな世界……」
そんな呟きは誰にも聞こえず、消えていった。
どうだったでしょうか?皆様がこいつ誰?とか思っている子たちの真相は後々明かしていきたいと思っております。
ではでは。