どうも、書いててラウラがヒロインしてるなぁと思った姫百合柊です。
ではでは、第二十二話どうぞ。
現在時刻19時半。大宴会場と呼ばれる場所で俺たちは夕食を取っている。
因みにあの後、相川さん、鷹月さん、本音さんたちがビーチバレーに誘って来た。俺はルールやらバレーやらがよく分からんので見学と言うことでバレーはやらなかったがデュノアさんやラウラ、遅れてきた織斑先生や山田先生が入って試合を始めると凄い試合になった。何でこんな動きが出来るんだろうと思うことが多々あった。が、とても面白い試合だった。
その後、皆が泳ぎ対決なるものを開催したりしたが、俺は泳げなかったので先生に泳ぎを教えてもらったりした。ラウラは泳げなくはないものの水泳では無く、顔を水に浸けないようにする泳ぎでどちらかと言えば犬掻きのようなものらしく一緒に泳ぎの練習をした。
「うん。やっぱり、おいしいなぁ」
そして俺は今、お刺身を食べている。
織斑が言うにはお刺身はカワハギというものらしく、初めて食べたのだが美味しい。小鍋も付いてきており、白身や椎茸、葱などの野菜もしっかりと煮込まれているようで大変美味しい。
こうのような食事は初めてだったが良いものだと思う。あと、この旅館、花月荘の決まりで『食事中は浴衣着用』らしいのだが存外、浴衣というものは着心地がいいなと思った。
その後、食事をしていたのだが一騒動あった。というか織斑が起こした。
正座に慣れていないオルコットさんの為に織斑が食べさせて上げようとしたのだ。まぁ、そんなチャンスを見逃す面々ではなく、自分もするようにと催促して騒がしくなる。すると織斑先生が登場した。
「……お前たちは、はぁ。どうにも体力が有り余っているようだな。なら食後に砂浜を走って鍛えて来い。距離は、そうだな。砂浜3往復で十分だろう、どうだ?」
始めは呆れ、次にニヤリと笑いながら言ってくる先生。それに織斑たちは慌てながら答える。
「いえいえ!とんでもないです、明日は早いので食事をしたらすぐに寝ま……」
そこまで織斑が言ったが別に声が上がった。
「分かりました、教官の言う通り食後、20:00(フタマルマルマル)時から始めます」
「本当ですか織斑先生、走ろうと思っていたので丁度良かったです。では食後に走りますね」
ラウラと司が同時に声を上げたのだ。そして互いの顔を見る二人。
「ん?司もか」
「ラウラもですか、気が合いますね。一緒に走りますか」
『うむ。そうだな、そうしよう』とラウラが意気込んだところでまた、声が上がった。
「おっと、走りと言ったら陸上部。私たち(陸上部)を舐めてもらっては困るよ。食後に3往復なんて軽い軽い。ってことで皆、私たちも走るよー!」
『うおーぃ』や『うぇへぇ!、長崎君と走れるー』、『3往復かー、今日チロッと走ったけどあんま距離なかったし5往復くらいは行けるかなー』と盛り上がっていた。凄いな、陸上部。
因みに織斑たちは『マジか、お前ら』みたいな顔で見ていた。いやいや、織斑お前そんな顔してっけどお前も走るんだよな、ん?……それにしても、ここの料理美味しいなぁ。
◇◇ ◇◇◇
あれから着替えて、本当に砂浜に行き6往復もした。さすが陸上部と軍人という体力をしていた。自分は後半バテていたが陸上部の面々とラウラはケロッとしていた。そこから陸上部式柔軟をして解散となった。
汗も掻いたので折角だから温泉に行った。旅館なので当然男湯と女湯に別けられている。変な時間帯に来たせいか人が居らず、実質貸し切りみたいな状態だ。
まぁ、IS学園にも最近大浴場なるものが出来たらしいし貸し切りみたいだが俺、入ったことないしな。入ったことのある織斑がちらっと漏らしていたが入浴時間が疎らで女子たちの後になったり、前になったりとまちまちらしい。
しかし、ここは凄いな。露天風呂まであるなんて。
眼前に広がる海を一望出来る。今は夜で昼間のような景色は見れないが、星や月明かりが辺りを照らしていて、また違った風情があった。
「…………」
温泉に浸かりながら目を閉じ、耳を澄ます。海の音、水の音、自分以外の声が小さくしかしハッキリと聴こえる。
目を開け、もう一度外に顔を向ける。満月と満天の星空が広がっていた。キラキラと星は瞬いていて、月は吸い込まれてしまいそうな程、綺麗だった。
◇◇ ◇◇◇
「……はぁ、いいお湯だった」
温泉から上がって、別段することもないので部屋に戻る。気分は部屋着よりも浴衣だったのでそっちを着ている。良いよね、浴衣。
あれ、まだ山田先生は戻って居ないのか。まぁ、先生の分の布団も敷いておこう。
うーむ、しかし本当にすることないな。何時ものようにIS関連の内容を復習しようにもノート類は置いて来てしまったし。
……そう言えばあれを持ってきていたような。……あ、あったあった。手作りのアロマキャンドル。自室で作った自分のちょっとした趣味の一種の代物。
皿の上に乗せ、持って来ていたマッチでいざ火を着けようとしたところで待てよと思い留まった。そうしていたら部屋の襖が叩かれた。
「司、居るか?私だ。ラウラだ」
「あれ、こんな時間にどうしました?」
襖を開けて出て見ればラウラだった。時刻は既に10時を回っている。早い人はもう寝ている頃だろう。
「いや、シャルロットが何処かに行ってしまって暇なのでな、司のところに来たのだ」
なるほどな、と関心してからラウラを部屋に入れる。どうしたものか分からないので取り合えずお茶を出す。
「はい、お茶です。どうぞ」
「うむ、ありがとう」
二人で向き合ってお茶を飲む、そんなゆっくりとした時間が流れた。……あ、そうだ折角ならラウラにも使ってもらおう。
「……ラウラ、これ良かった使ってくれませんか?」
「うん?……蝋燭か?」
「いや、これはアロマキャンドルですね。うーん、まぁ、いい香りがする蝋燭みたいな物で、寝るときとかお風呂のときとか気持ちを落ち着けたいときなんかに。着けるといい物ですね」
まぁ、自分が作った物なので市販の物には劣ると思いますけど、と言ったがラウラは手元にあるアロマキャンドルを暫く見つめていた。
「……折角なので着けてみます?」
そんなラウラを見て、そう口にした。そしてラウラはコクリと頷いた。
山田先生が部屋に戻って来たときに迷惑と成りそうなのだが、キャンドルをお裾分けするので許して欲しいと思う。
部屋を暗くして、キャンドルに火を着ける。和室が火の明かりによって光と影に分かれ、先程とは違った雰囲気となった。
キャンドルの匂いは定番とも言えるラベンダーにした。ラベンダーから抽出した精油を多く入れて匂いを強くするのでは無く、ほんのりと香るくらいの量を入れて蝋の長さも数十分で終わる長さに調整してあるのだ。
「……良い香りだな」
そう一言だけ呟いて、目を閉じた。自分も同意してラウラと同じように目を閉じる。
何分くらいそうしていたか分からないがラウラが居た方から衣擦れのような音が聞こえたので何かと思い目を開け、そちらを見た。そうしたら体勢が崩れ、舟を漕いでいるラウラがいた。
起こすのは可哀想かと思ったがこのままにしておくのもどうかと思いラウラの部屋まで運ぶことにする。取り合えず、まだ運べないのでラウラを布団の上に横にする。
バックを漁り、渡された一覧表で部屋の位置を確認して数個、種類の違うアロマキャンドルを『良かったらどうぞ』と言う書き置きと一緒に持っていく。
さぁ、いざと言ったところでどうやって運べば良いのだろうと思った。ラウラは部屋着ではなく、自分と同じように浴衣だ。これではおんぶは難しい。数秒考えてから肩と膝を両手で持って運ぶことにした。
まぁ、『お姫さま抱っこ』という持ち方をしているのだが司にその知識は無い。おんぶの他にラウラに負担の少ない持ち方はと思って出た運び方なのである。
そのままラウラの部屋まで運ぶ。やはり時間が時間なだけに誰とも会わなかった。
部屋までたどり着き、一応ノックして声を掛けてみたがデュノアさんはまだ戻っていなかった。布団が敷かれていたので布団に寝かせて毛布をかける。そして机の上に書き置きとキャンドルを置こうとしたら浴衣に引っ掛かりを感じた。何だと思い見てみるとラウラが袖の部分を掴んでいた。
ありゃ、いつの間に。でもまぁ、小さい頃から馴れてるからなぁ、こうゆうこと。一人ずつ寝かそうとしたら皆が 何か話してや子守唄歌ってや頭撫でてと一斉に言ってきたりしたことがあったなぁ。しかも、俺と一緒に寝かしつける役を担っていた二人も何故か混じっていたし。歌とかは無理だったけど頭撫でてたらすぐに寝てくれてたっけなぁ。……今元気でやってるかなぁ、あの二人は。
そんなことを思い出していたからだろう、無意識の内にラウラの頭を撫でていた。あっ、と気付き頭から手を離す。いつの間にかラウラの手も離れていたので立ち上がって机にキャンドルを置く。
「お休み、ラウラ」
部屋を出る前に聞こえてないと思うがそう口にして部屋を後にした。
自分の部屋に戻って来たがまだ山田先生は帰って来ていなかった。なので机の上に山田先生と織斑先生の分のキャンドルを数個、置き手紙と一緒に置いておく。ラウラと同じく『良かったら』という内容なので使ってくれたら嬉しいが別に人にあげても構わない。
ただ、眠りに落ちる前に何だか山田先生は凄く喜んで使ってくれそうで、織斑先生は表情には出さないけど喜んでそうなそんな風景が思い浮かんだ。
前回の話でのほほんさんの登場を期待していた方がいましたらすみません。あれですね、セシリアが使っている香水、レリエルのナンバーシックスってやつの魔力に負けてしまったんですよ。それではしゃぎ疲れてって感じです。やっぱり女の子なんですよね。