おい、VSセシリア、VS一夏は?話が違うじゃねぇかと思っている方々、すみませんm(__)m
作者の力及ばずそこまで書けませんでした。
あと、少し設定と違くしました。
朝4時30分。薄暗くまだ誰もが寝ている時間だが一人、起きている人物がいる。
「…はぁっ………はぁっ、はぁっ………」
その人物が動くのと同じくして金属が少し擦れ合っている音と地面を踏むたびにガシャンといかにも重そうな音が聴こえてくる。
「…はぁ、はぁ……とう、着。やっぱり、キツいな……」
着いたのはIS格納庫。纏っていた訓練機件専用機の打鉄を解除し所定の位置に戻す司。
「ふぅー…いつもありがとな打鉄」
そう一言掛け、今来た道を今度は生身で戻る。戻っている最中ふと思ったことを呟く。
「しかし、よくもまぁ打鉄やらEOSやら、貸してくれたよなぁ…まぁ、打鉄は俺の専用機だから仕方ないとしてもまさかEOSまでとは…さすがにあれは驚いたな」
EOS(イオス)、正式名称(エクステンデッド・オペレーション・シーカー)国連製造のパワードスーツ。何故俺がそんな物のことを知っているのかと言うと、山田先生が教えてくれたのだ。
補習を受けてる時に打鉄のことやリヴァイブなどのことを聞いていたらそう言えば、と言い説明してくれた。なんか以外に熱心に説明してくれていたが、可愛かった。すごく。
ちなみにEOS、打鉄は俺がそれを纏って走っている。動力補佐無しで。
いやー重いのなんのって。打鉄はなんとかいけるが、EOSは無理だった。歩くのだけで精一杯。外したら歩いただけなのに筋肉ぷるぷるいってるんだぜ?しかもその後授業だから大変だった。織斑先生に寝るなって叩かれたよ。
そんなことを思っていると目の前に寮が見えてきた。残り少しなので全力で走る。
走り終わり、しばらく息を整えてから自室に戻る。
こんな早朝に出たり入ったりを繰り返しては普通はルームメイトに迷惑なのだが幸い、司は一人部屋なので問題はない。
時刻は6時。まだまだ余裕なのでゆっくりと支度をする。支度をしている最中、不意に昨日の言葉が頭をよぎった。
「…出来損ない、か。そう言えば、久しぶりに言われたな」
出来損ない、この世界に来る前は散々言われた言葉だった。しかし、こっちの世界では前ほどではないが言われなくなった。
父親は俺のことを嫌っていたが母親は俺の頑張りを見守っていてくれたし、学校では少なかったが応援してくれた奴もいた。
しかし今度は前世の記憶が頭をよぎった。
『長崎、お前はどうしてこんな問題もわからかないんだ?』
『長崎君ってさー、いっつも勉強してるよね。ガリ勉っていうかなんか気持ち悪くない?』
『あんた、どうしてそんな風に育っちゃったんだろうね』
俺を哀れんだ目で見る教師。クラスでコソコソと陰口を言う女子達。俺を否定するような物言いの母。
胃が締め付けられるように痛かった。
「……ぐっ……ゲホ、ゲホッ…はぁ、はぁ……」
吐いてしまわないようになんとか耐える。だがこんな体調で授業を受けたとしても身にならない。なので最悪休むことになってしまうのだが、生憎とまだ時間はある。なので少しでも寝て体調の回復に努めようとした司。
このとき睡眠が出来たのは少しの救いかも知れない。
◆◇◆◇◆
「……え、専用機、ですか?」
入学して最初の放課後、織斑先生に呼び出され職員室に来ていた。
「そうだ。一年とは言え男子のIS操縦者はお前と私の弟しか居らんからな。特例として専用機を持つことになっている」
「は、はぁ……あれ?それって大丈夫なんですか?」
「何がだ?」
たしか今日やってた授業でえーっと…あっ。
「確か、ISって467機しか無いんじゃなかったですか?
「あぁ、正確にはコアがだがな。男が動かせるのは謎だから、データが欲しいと言うことだそうだ」
「なるほど」
やったよ山田先生!俺覚えてたよ!!と心の中でガッツポーズ。
「織斑の専用機はもうあるからな、長崎の専用機だけだ。どこの社も是非と言っていたが流石に一週間は無理だったようだ」
え?無理だったの。じゃあなんで俺呼ばれたの!?しかも一週間って短っ!?
「だがウォーター・リリー社は一週間で作って来たそうだ」
織斑先生が説明しているとき、肩をポンポンと叩かれたのでそちらを向く。
人指し指と俺の頬が当たる。なのでその手の人につつかれた形になる。
突然のことに困惑する司とため息を吐く織斑先生。
「いやー成功、成功。どう、ビックリした?」
「え?いや、まぁ、はい」
「…あー、長崎、この人がお前の専用機を作った人だ」
「え!?」
「どうもどうも、ウォーター・リリー社社長の水面 睡蓮(みなも すいれん)です」
社長の水面睡蓮さんと言うのは女の人だった。大体160cmくらいの身長がある。
ただ司が気になったのはその人の表情だ。つねに笑っているというか微笑んでいる。前世ではそんな人は居なかったのでよくわからないと言った気持ちになる司。
しかし、相手が挨拶をしたのだからこちらも挨拶をしなければと思うくらいには思考は回復していた。
「あ、あぁ…ど、どうもご丁寧に。自分は長崎司と言います。よろしくお願いします社長………って社長!?」
訂正、まだ回復していなかったようだ。
「あははっ!うんうん良い反応だよ。やっぱりそうでなくちゃねぇ」
「…んんっ!あー水面さん、早く本題に入って頂きたい」
織斑先生が少し面倒臭気に言って、水面さんがはーいと返事をして眼鏡を掛けた。すると雰囲気がガラリと変わった。
「コホンッ!先程紹介しましたが改めまして、私がウォーター・リリー社社長の水面睡蓮と言います。本日は私共の製作したISに乗って頂くことになりますが宜しいですか?」
いきなりの変わりようにただ頷くことしか出来ない司。それを了承と取り、恐縮ですと言って話を進めていく水面さん。
えぇ~!?なんなのこの人、眼鏡掛けただけであそこまで雰囲気変わるか!?普通。
例えるなら、優しそうで朗らかな人が眼鏡を掛けただけで凜としたバリバリ仕事出来ますよと言う人になったのだ。
「私共の製作したISは高速機動、高火力を主に製作しました。スラスターの数は4門でありながらも燃費が良く、拡張領域は最大で31器もの武装が収納できます」
ただ31器ではなく35器にしたかったのですが私共の技術では35器が限界でしたと付け加えた。
ISに関しては素人なのでただ頷くことしか出来ない。たんたんと話が進んで行く。それで俺と水面さん、織斑先生は第二訓練アリーナへ来ていた。
「それでは長崎さんにこのISに乗って頂きます」
そう言って見せてくれたISは、黒を基調とした機体だった。形は打鉄とラファールを混ぜた感じだ。でもそれでいて他の専用機などよりもスリム。
「……かっけぇ」
「ふふっ、気にいって頂けてなによりです。では、どうぞ」
思わず漏らしてしまった呟きに喜色満面と言った風に答える水面さん。やはり嬉しいのだろう。
乗るように促されその機体に乗る司。
「―――これは?」
「ん?どうしたんだい」
「あ、いや、すいません水面さん。この機体、動かせないみたいです」
「えっと…どういうことです?」
よくわからないと言った風な水面さん。
「あの、乗った瞬間にこのISが色んなことを教えてくれたんですが、でもまだ貴方は駄目だよってこのISが」
「ISが持ち主に…語り掛けた?……てか私達の徹夜の日々がぁ!」
項垂れる水面さん。てかキャラが崩れた!?
「IS適性値はどうだ?長崎」
今まで黙って見ていた織斑先生が不意に口を開いた。
「えぇ、それなんですが『F』なんですよ」
「え、Fぅ!?」
いきなり反応する水面さん。確かにIS適性が『F』なのは意外だろう。意外と言うより異常だろうと思う。
何故俺がこの専用機に乗れなかったのか、思い当たる節がある。それは俺が転生者だと言うことだ。元々この世界の人間ではないのにこっちに転生した。それだけでも十分イレギュラーな存在だ。なのにISに乗れるように神様が強引に書き替えたのだ。ISの方も不快極まりないだろう。専用機も乗れなくて当然だ。
「…………一応確認しておくけど、打鉄には乗れるんだよね?」
「はい、乗れます。というか打鉄にしか乗れないんですが……」
「……はい?」
おぉふ、水面さんがポカンとしてらっしゃる。
「えぇっと、なんでか解んないんですが最初に触ったISしか動かせなかったんです。他の打鉄も動かそうとして見たんですが動かなくて………」
「…………」
俺の言葉を聞いて水面さんは何か呟きながら考えこんでしまった。
や、ヤバイ失望させてしまっただろうか!?……いや、まぁ当然か。折角専用機作ったのに、それが乗れませんってなったんだ。落胆して当然だろう。あー、なんかスゲェ申し訳ねぇな。
司が悩んでいると水面が突然、良しと言って手をパンと叩いた。
「…うん、だいたい纏まった。あーコホンッ!長崎司さん、我々の会社と契約して頂けませんか?」
「はい?………えっと、何故ですか?あなた方の製作した専用機を動かせなかったんですよ。それで何故、俺に契約を薦めるんですか?」
至極疑問だった。普通なら俺みたいな奴に契約を薦めないはずだ、それなのに水面さんは契約してくれるか?と言った。何故?打鉄しか動かせない奴と契約してメリットはあるのだろうか?
「うん、そうだね。専用機を動かせなかっのは流石にビックリしちゃったよ。でも打鉄が動かせるなら私たちも展開武装を提供することが出来るよ。元にした機体に打鉄も入っているからね。そして何より良い宣伝になる。君も凄いけど私たちの武器もスゴいってね」
「……良いんですか?俺で」
気になったことを質問する。いくら利害が一致すると言っても限度があるはずだ。今回はそれを上回っている。
「ん?もしかして動かせなかったの気にしてる?いやー気にしないで気にしないで。この子も、まだ駄目って言ったんでしょ?なら完全に乗れないって訳じゃないんだからそんなに気落ちしなくてもいいよ。IS適性が上がったら乗れるようになるだろうし、それにこの機体、【黒牡丹(くろぼたん)】も君の為に作った機体だ。なら君に乗ってもらったほうがこの子も喜ぶはずさ」
「………」
何と言えば良いかわからなかった。今までは、失望させてしまうことが多かった。それでも良いと言ってくれた人なんて居なかった。でも目の前の人は良いと言ってくれた。こんな俺でも。ならそれに応えたいと強く思った。
「……こんな俺で良ければ、是非」
「うん。契約成立だ。宜しく頼むよ、長崎君」
そう言って手を差し出してきた。俺はその手を握った。少し震えていたかもしれない。
長崎を帰らした後、織斑千冬と水面睡蓮は話をしていた。
「良かったのです?長崎で。あなた方の社なら他にもできるのでは?」
「そうかもしれないね。でも私個人であの子に興味がでてきたんだよねぇ。―――さん、貴女に言われていなくても私は彼と契約しましたよ」
呟いた最後の言葉は千冬に届いたかわからない。
「……そうですか、ではまた後日に」
「えぇ、わかりました」
あっそうだと言って足を止め、こちらに歩を向ける水面。
「あの子を認めてやってください。過去に何があったかはわかりませんが少々自分を否定しすぎている節がある気がしますから」
そう言って歩いて行ってしまった。
あの子、それは長崎のことだろうと千冬は思った。
「ふっ、そんなこと分かっているさ」
ふっと笑い誰に聞かせるもなく一人呟いた。
いかがでしたでしょうか?お、面白かったですか?
次話、次話こそはセシリア、一夏と対決になる筈です。