IS~一人の転生者、報われる日は来るのか?   作:姫百合 柊

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大っっっ変遅くなってしまい、読者様本当にすいません。

今年初の投稿が遅すぎるっ!?何をやっているんだ、私は!?

リアルに筆が進まなかったことや忙しかったという言い訳が………あ、いや、すいません!

では、第七話お楽しみください。

遅すぎる明けましておめでとうございます。
今年もこの小説や司君、作者・姫百合柊をよろしくお願い致します。m(__)m


第七話・相談、激突

 

織斑がよく分からないことをカミングアウトした。…あの、さっきの真剣さを返して下さい。

 

「………織斑、お前ふざけてないか?ふざけているなら俺は帰るぞ」

 

まだストレッチが終わってなかったし、しかもIS纏って動いていたりしたから疲れたんだよな。早く夕飯食べて寝たいし。そして、デュノアが本当に女だとしたらそんな重要なこと何で俺に言うのか、理由が分からなかった。

 

「司!俺は真剣だって!ふざけてなんかない。シャルは本当に女の子なんだよ!」

 

少々声を荒げて話す織斑。うーん、まぁ確かに嘘をついているようには見えないけど…本当、何で俺に相談したんだろうか。謎だ。

 

「…なぁ織斑。仮にデュノアが女だとして何で俺に言ったんだ?悪いが俺に相談したところで何もしてやれないぞ」

 

「なっ!?なんでだよ、司!」

 

驚愕をあらわにする織斑。…そんなに驚くことか?

 

「いや、だってな?俺はデュノアをどうこう出来る力を持っている訳じゃないし、織斑、お前がそこまでして助けたいと思っている理由も知らん訳だしな」

 

「…………俺は」

 

一夏が暫く考え込んで、何か言いかけた所でストップをかける。

 

「いや、言わなくていい。たとえ、理由を聞いたとしても答えは同じだと思うしな」

 

「何でだよ司!友達が困っていたら助けるのが本当の友達って奴だろ!?シャルと俺は友達じゃないって言うのかよ!!」

 

「別にそう言う訳じゃない。言い方が悪かったな。……まぁ俺が言いたいのは、俺に言うよりお前のお姉さんに言ったほうが良いんじゃないかってことだ」

 

暫く言い淀んでいた一夏だったが、ゆっくり口を開く。

 

「……千冬姉には…」

 

「心配を掛けたくないってか?まぁそうだろうな。この学園の先生ってことは生徒の安全、そして操作技術・技量の向上のためにやらなきゃいけない事が山ほどあるだろうからな。その気持ちは分かるさ。だが仮にデュノアが本当に女だったとしたら、それは俺たちが口を出して良い話じゃない。そう言う国のゴタゴタは先生とか大人に任せておけばいいんだよ。俺達は何にも出来ないんだからな…」

 

項垂れていた織斑が不思議そうな面持ちで聞いてくる。

 

「……国のゴタゴタって…司、シャルの男装の件はデュノア社が関係してるって知ってたのか?」

 

「ん?何の話だ?」

 

本当にこいつは何を言っているんだ?デュノアの男装の事情?俺が知るわけないだろう。

 

「シャルが男装しなくちゃならかったのはフランスのデュノア社社長、シャルの父親に強制されたことだって……」

 

「いや、知るわけないだろう。俺がそう思ったのはデュノアが代表候補生だからそう思っただけだ。候補生と言えど国で選ばれているからな。…あぁ、もちろん実力でだが。だからデュノアが女だとしたら、何かの形で国が絡んでいるはずだと思ったから俺は何も出来ないと言ったんだが……父親がな………」

 

ある意味驚愕した内容だった。デュノアの過去、それは父親に良いように使われていたというものだった。

 

父親に奪われた時間がある。酷く自分と似たものを感じた。そしてそれよりも自分とは違うという矛盾も感じた。

 

 

「シャルって、代表候補生だったのか?」

 

「…うん。別に隠していたわけじゃ無いんだけど、言う機会が無くて………でも何で君は知ってたの?」

 

織斑とデュノアの視線が俺に注がれる。

 

「あー、入学して2、3日したら織斑とオルコットさんが俺と模擬戦するみたいなことになってただろ?その時織斑先生に呼ばれててな、聞かされたのはその時だ」

 

デュノアは頷いていたし、織斑はあ~成る程だからあの時と言っていた。ふぅ、もういいだろうか。

 

「まぁ、そう言う訳だ、じゃあな」

 

言って帰ろうとしたが織斑に慌てて止められた。

 

「ちょっ、ちょっと待てって司。まだ話は終わってない!」

 

まだあるのか?もう話すことは何も無いんだが。

 

「いや、俺の話は終わった。あとはデュノア個人の問題だ。大体その男装の発端が父親にあるならそれは家族の問題だろ?それこそ他人が口を出していい内容じゃない。」

 

織斑の手を払って、言い聞かせるように喋る司。それはまるで自分にも言っているように。

 

「それとな織斑、他人の過去に踏み込んで良い時といけない時ぐらい分かるはずだ。デュノアの過去はまさにそれだ。確かに辛いときに手を貸してやりたくなるのも分かるさ。たが自分の問題は自分が決着を着けなきゃならねぇ時もあるんだ。その時にお前は力を貸してやればいい。だがその判断はデュノアに決めさせろ。間違ってもお前がその判断に口を出すな」

 

織斑は何も言えずに固まっていて、俺はチラリとデュノアのほうを見た。表情は影に隠れて見えなかったがどんな表情をしているかわかった。まぁ、あれだけ織斑が言って自分は何もしなかったんだ、浮かんでいるのはきっと、失望とかそんな表情だろうと思った。

 

「……せっかく相談してくれたのに悪いな。変なことばっかり言っちまって。まぁ、俺の言葉は流してくれて良い。俺はこのことは誰にも言わないから安心してくれ。ただ織斑、お前の姉さんには相談してみろよ。…………じゃ」

 

返答も聞かず部屋を出た。何も喋らず自分の部屋に戻る。

 

「……なに偉そうに言ってんだかな。決着着けねぇといけないのは自分の方だってのにな………」

 

思わず渇いた笑いが出た。

 

「…………行かなきゃな……墓参り」

 

何かを決めるように、そう呟き、自室へと戻って行った。

 

◆◆◆◆◆

 

次の日、朝起きて一番最初に思ったことは昨日の織斑とデュノアのことだ。話も碌に聞かず、押し付けるようにして出てきてしまった。やってしまったと盛大に後悔した。自分でもなぜあんなに言ったのか分からない。いや織斑が何故一番に俺に相談してきた方がわからないが今はそれはどうでもいい。まぁ、信頼してくれたんだろうと言うことにしよう。

 

だが、それがあの結果だ。結局俺は信頼して相談してくれたであろう織斑を裏切ってしまったことになる。

 

「………はぁ、何やってんだろうな俺。最近こんなんばっかりだ」

 

また気分が憂鬱になった。自分が招いたことなのでさらに質が悪い。

 

「………午後くらいに織斑のとこ行って謝るか……謝ってどうにかなる問題じゃないだろうけど」

 

謝って、デュノアの問題を後で織斑と一緒に考えようと思い、日課のランニングの為にベットから降りた。その時、何かが足に当たりドササッと崩れる音がした。何だと思い音のした方を見ると積み重なったノートが崩れていた。中身が見えるように崩れているのもあり、書かれている内容が何なのか分かる。

 

そのノートに書かれていることはISについての基本知識や各機体の特徴、打鉄の事などが細かく書かれていた。また、あるノートには上から下までビッシリと字が書かれているものもある。その中から一冊を手に取る。

 

「これ、授業でやった所だな。……駄目だ、覚えられてねぇや…。後でもっかい復習しないと……あ、そう言えば昨日ノート切らしたんだった。また買わなきゃな」

 

よく見ると司の机の下には積み重なったノートが大量に置いてある。机の下の空間は殆どノートによって場所を取られているほどだ。

 

とそんなことを言いながら司はランニングの為に部屋をあとにした。

 

◆◆◆◆◇

 

適度に汗をかいた後、格納庫には行かず職員室に行った。IS・アリーナ使用許可を先生に貰いに行くためだ。

 

時刻は8時。この時間帯なら誰か先生がいるだろうと思ったからである。朝早くにアリーナに行けば誰とも合わないだろうし、周りも気にしないで済む。それに前、射撃練習していて、たまたま装備一覧を見ていたら、【超長距離射撃兵装装備「撃墜(げきつい)」】という覧があった。

 

え?何これ……兵装?兵装ってことは……戦争とかに…?ヤバイな、日本。

 

まぁ、兎に角、気になってそれを選択してみたら、戦車砲みたいにでかく長い砲身。それにグリップとトリガー。胴体に弾薬カートリッジと排莢部分だけを着けただけの簡素な作り。衝撃吸収ゴムの塊ででできたストックを着けてても殆ど衝撃を殺せない程の反動。そして弾が2発しかないし、当然のことだが連射なんか出来ない。だが威力は絶大。

 

まぁそんなことなんか知らずに、アサルトライフル【焔備】の感覚で撃ったら大変なことになった。まず肩が脱臼しかけた。そして射撃位置からだいたい1mくらい吹っ飛ばされた。

 

着弾場所を見てみると、的から大きくズレていたし、当たったであろうアリーナの壁が大きく壊れていた。あと音も凄かった。まさに爆音と言ってもいい。その音のせいでアリーナにいた人ほぼ全員が俺に視線を向けていた。

 

気まずくなりその日の訓練はそれで終わりにした。だが、脱臼しかけた肩が痛くて堪らなかった。相当痛そうな顔をしていたのだろう、たまたま会った山田先生にすぐに心配された。

 

「…あ、長崎君、いつも……ってどうしたんですか!?」

 

「……あぁ、山田先生、どうも。いや、先程までI訓練をしていたんですが、見たことない装備があったので試しに撃ってみたら肩を痛めてしまって……」

 

「見たことない装備?」

 

首をコテンと傾けたせいで眼鏡が少しズレてしまった山田先生。

 

「はい、【超長距離射撃兵装装備『撃墜(げきつい)』】って名前なんですけど…」

 

「……え?長崎君あれを使ったんですか?あれは反動がとても強い物ですから、だ…大丈夫でしたか!?」

 

名前を聞くなり顔が驚きと言った表情になり、体の確認のためかポンポンと叩いてくる。

 

「え?ちょっ…山田先……いッ!!??」

 

肩を叩かれた時、体の中に電撃が通ったような激痛が走り、痛みで言いかけていた言葉が引っ込んだ。

 

「あ…す、すいません……」

 

俺の反応が反応だったのでシュンとしてしまった山田先生。なんだろ、山田先生見てたら微妙に痛みが和らいだ俺はおかしいのだろうか。

 

「……えっと、山田先生、保健室ってどこでしたっけ?」

 

今だに場所を覚えていない俺ェ……。正直恥ずかしい質問である。

 

「えっと、ここからですと、そこの角を左に曲がって、2番目の角を右に行けば保健室ですが、心配なので私もついていきます!」

 

山田先生が優しすぎて俺涙出てきそう。痛みなのか分からないけど……。取り合えず山田先生と一緒に保健室へ。というか俺保健室入るの初めてだな。

 

その後、保健室の先生に見せたらやはり脱臼だった。だが重症では無かったらしく、外れかけた関節を戻してもらったが2、3日固定して絶対無理に動かさないことと言われた。まぁ、確かに癖になっても困るので言われた通りにした。そして3日後くらいにもう一度先生の所に行ったら右肩関節部分に注射された。音も無くいきなり注射されたので驚いて飛び退いてしまった。と言っても注射された後だったので意味は無かったが。その中身を聞いたが教えてくれなかった。未認可のよく分からない薬でないことを信じたい。ナノマシンとかそんなのであってほしい。

 

それから注射をのおかげか、驚くほど痛みは引き、3日ほどしたら肩も普通に動かせるようになった。

 

◇◇◆◆◆

 

ということがあったからな、あれを撃つときは気を付けないと。そんなことを思いながら職員室に入った。中には山田先生を含み、数人の先生しか居なかった。まぁ休日だしそんなものだろうと思ったが織斑先生が居なかったのが意外だと思った。織斑先生は休日でも学校にいるような気がしていたんだが……うーむ、違ったようだ。取り合えずそのことは置いておいて山田先生に声をかける。

 

「山田先生」

 

「あ、長崎君おはようございます。早いですね」

 

「おはようございます。早くに目が醒めちゃいまして。どうせならISの訓練でもと思いましてね。あの、アリーナと打鉄の使用許可をもらっても良いですか?」

 

「はい、構いませんよ。ちょっと待ってて下さいね」

 

そう言って山田先生はパタパタと机に向かっていった。そして紙を手にして戻って来た。

 

「はい、こっちが貸し出し用紙です。それからアリーナは第三アリーナを使用してください」

 

山田先生から紙をもらい、スラスラと書いていく。もう慣れたものだ。しかし、第三アリーナか…格納庫から近いな。山田先生が気遣ってくれたんだろうか?だとしたら嬉しいな。

 

「……っと、書けました。それと第三アリーナですね、ありがとうございます」

 

「はい、確かに受け取りました。……あの~長崎君」

 

俺が書いた紙を受け取った後、山田先生が尋ねてきた。

 

「はい?なんですか?」

 

「長崎君のIS、打鉄ですが一時専用機にすることは出来ますよ?初期化(フォーマット)と最適化(フィッティング)を行えば、待機形態にした打鉄でもアクセサリー状態になりますから。でも本当にやらなくていいんですか?長崎君なら特別にって学園が許可を出しているんですが……」

 

「いえ、打鉄の貸し出しを最優先で廻してくれるだけで十分ですし、俺に打鉄の『初期化』と『最適化』をするってなると何か、皆に悪い気がしまして、俺にするくらいならもっと他の人達でもいいんじゃないかと思ってしまうんですよね」

 

俺の説明を受け、しばし呆ける山田先生。だがその後フフッと笑って、そうですかと言った。

 

職員室を出るときに山田先生に頑張ってくださいねと言われた。何かやる気が出たわ。

 

◇◇◇◇◆

 

第三アリーナまで着いた俺は早速、『撃墜(げきつい)』の射撃練習をする。

 

朝の静寂な空気の中、誰も居ないアリーナに大砲のような破裂音が約10秒間隔で一発、二発と木霊した。

 

撃ち終わりと同時に空薬莢が排莢(リジェクト)され地面に落ちる。

 

「…っふぅ~……いってー」

息を大きく吐き出す。いつの間にか息を止めてしまったようだ。

 

先程のはISを展開させて、加速推進翼(スラスター)を起動させていたから衝撃は初めの頃ほどとはいかないが、まだまだ凄く痛い。一日に何発も撃てないなと思い、的を見る。

 

「……外れてるな、見事に」

 

弾は的から大きく上にズレていた。まぁ、撃った時あんだけ銃身が上に反れればそうなるかと思ったんだが……これだと実戦で使い物にならないな。どうしようか?と司が考えていると誰かが近づいて来た。

 

「大きい音がしたので誰が何をやっているのかと思いましたら、長崎さんでしたの?」

 

「あれ?オルコットさん、おはようございます」

 

なんとオルコットさんが話しかけて来た。試合後から普通に話したりしているんだが、いやまぁ俺からは喋らず織斑に促されてからだが。取り合えず、挨拶は大事だよな、うん。

 

「えぇ、おはようですわ。お早いんですね?」

 

「えぇ、何か目が醒めちゃいまして、どうせなら練習をと思いまして。そういうオルコットさんも早いですね?まだ8時ですよ?」

 

「わたくしは休日はいつもこの時間帯にはISを動かしているんですわ。ところで、先程の音はいったい…」

 

音の正体が気になるのか聞いてきた。でも隠すほどのことではないので教える。

 

「これです。この【撃墜(げきつい)】っていうので練習していたんです。といっても、的には全然当たりませんでしたが」

 

ついっと視線をそちらへ向ける。続けてセシリアも顔を向ける。

 

 

「……見事に上に外れていますわね」

 

オルコットさんの言葉に思わず苦笑した。それからオルコットさんは何か考え込んでしまったので、再度射撃の練習をする。

 

空になった弾薬カートリッジを交換して、薬室に装填する。しかし、落ちている薬莢を見てみて、でかいなと思う。マジで戦車砲使ってんじゃないだろうか?

 

そしてまた、 先程と同じように撃つが同じように外れてしまう。……何故だ?うーんと悩んでいるとオルコットさんが声をかけてきた。

 

「……射撃を見て思ったことなのですが、貴方のIS、反動相殺装置ついていますの?」

 

「え?反動相殺、ですか?」

 

分からないと言った風で返す。それが伝わったのか、そうですと言って説明してくれた。

 

「実弾兵器には反動がありますよね?簡単に言えばそれを軽くしてくれる機能のことですわ。わたくしのブルー・ティアーズはレーザーやビット等を扱うBT兵器ですから反動はあまりありませんが一応付いているんです。打鉄にも確か付いていたと思うのですが……」

 

メニュー開いて、それを確認する。

 

「……ありますね。OFFになってますが」

 

まぁ、授業で銃を撃つ訓練なんてやってないんだよね。だから付いてなかったのかな?しかしこんなに便利なものがあるんだったらもっと早く教えて貰いたかったわ。

 

「……わたくしはそんな状態であの時、長崎さんの攻撃を喰らってしまったんですの、なんだが複雑ですわ」

 

なんだがオルコットさんがボソボソ言ってる。え?何?俺何かしましたか?

 

「…んんっ!ですが、これで反動はいくらか良くなる筈ですわ」

 

確かにそうだと思い、反動抑制装置をONにして撃ってみることにする。

 

「…………ふぅー……」

 

見られているせいなのか若干緊張する。深呼吸を数回繰り返してから撃つ。

 

一発、二発とまた、けたたましい音が響く。撃って見て感じたのは、確かに前よりも反動は少なく撃ちやすいと感じた。的はどうなったと思い前を見る。

 

「………的に、当たって、る?」

 

ど真ん中とはいかないが、的には当たっていた。それが何故か妙に嬉しかった。

 

「今度はちゃんと当たっていますわね」

 

「はい!オルコットさんのおかげです。ありがとうございます」

 

「ふふっ、何だかこちらまで嬉しくなりますわね」

 

そう言って微笑む姿はお世辞無しで美人だと思った。織斑め、何で気付かないんだ?

 

「はぁ、オルコットさんも大変ですね」

 

「?。何がですか?」

 

「いや、織斑のこと好きなんですよね?あいつは全く好意に気が付かないから、好きになった人は苦労するなと思いまして」

 

「なっ…す、好きって、わたくしが一夏さんをですか!?」

 

顔をすっごく真っ赤にして話すオルコットさん。正直その反応だけで、あぁ織斑のこと好きなんだなと分かります、はい。

 

「はい。違うんですか?」

 

「…………いつから気が付いていましたの?」

 

顔を下に向け、小さい声で聞いてきた。

 

「えー、織斑のこと好きなんだなと思ったのは最近ですね。初めのうちは、織斑に対してやけにスキンシップ多いなと、まぁそれが外国なりの表現なんだなと思っていました。ですが、他にも織斑のこと好きな女の子いますよね?」

 

「………えぇ、箒さんと鈴さんですわ。他にもいるかと思いますがわたくしが知っているのは主にこのお二方かと」

 

普通に喋っているが顔が紅い。まぁ、自分の好きな人が他人にバレるって恥ずかしいよね?俺は知らんが。

 

「オルコットさんが篠ノ之さんと凰さんと、何て言うのかな…張り合ってる?内に、あぁそうなんだなと思いましたね。篠ノ之さんと凰さんの場合は露骨過ぎてすぐ分かりました」

 

「…ぁ………ぅ………」

 

顔を先程よりも真っ赤にして、口をパクパクさせている。相当恥ずかしかったんだろう。

 

「あ、いや、別に織斑に言うとかしないので安心してください。ただまぁ、頑張ってくださいね」

 

「え、えぇ。ありがとうございますわ。そ、そちらも訓練頑張ってください!」

 

脱兎の如くと言った感じで、オルコットさんも自分の訓練に行ってしまった。何か、またやっちまった感があるなと思った。ふと時計を見て、あと少ししたら織斑のところに行くかと決めた。

 

◇◇◆◇◇

 

二発撃ち終え、一息付く。周りを見ると空薬莢がたくさん転がっていた。

 

「………あれ?俺こんなに撃ったっけ?」

 

時刻を確認し、驚く。現時刻15:25分。前に確認した時間から約3時間ほど経っていたのだ。

 

「……どうしよう。今から行ったとしても織斑、部屋にいるかな?」

 

行くか行くまいか悩んでいると後ろから声をかけられる。声の主は、布仏本音(のほとけほんね)さんと相川清香(あいかわきよか)さん、鷹月静寐(たかつきしずね)さんである。

 

「あれ?なっきーだ~。やっほ~」

 

「本当だ!長崎君だ!ど、どうしよう、私話すの初めてだよ!」

 

「わ、私も初めてだよ!だ、だって長崎君、何となく雰囲気が怖いというか何て言うか…」

 

「え~?そんなことないよー。なっきーは私と一緒にご飯作ってくれたよ~」

 

それを聞いて二人に激震が走る。

 

「……なん…だと!一緒にご飯を作る、と言うことは」

 

「すでに、長崎君の部屋に入っていると言うことに……」

 

「「本音、恐ろしい子!」」

 

あの、コントみたいなことやってるけど丸聞こえだからね?そんなに距離ないからね?

 

「あー、一応言って起きますけど、布仏さんは寝ぼけて間違えて俺の部屋に入ってしまったからでして、ご飯を作ったのは布仏さんがお腹を鳴らしたらですよ?」

 

「わ~!なんで言っちゃうの?なっきー。恥ずかしいよ~!」

 

「なんだー」

 

「やっぱり、本音は本音かー」

 

二人とも何かほっこりしている。まぁ分からなくもない。自分も長い袖を振り回してポカポカしてくる布仏さんをみて何かほっこりするからな。

 

それから布仏さんを宥め、問う。

 

「ここに居るってことは訓練しに着たってことだと思いますが訓練機は……」

 

三人とも訓練機には乗っていない。ちなみに俺は布仏さんに叩かれる前に降りた。

 

「そこにあるよ」

 

と指差したのは入り口付近。確かにISが二つある。あれ?二つ?

 

「二つしかないんですが……布仏さんと相川さん、鷹月さんのうち、誰が乗るんですか?」

 

とそちらに顔を向けると、二人は驚いた顔をしていた。ヤバイ、名前間違っていたか?

 

「…私達の名前、覚えててくれたの?」

 

「え?あ、はい。クラスメイトの名前は覚えるようにはしているんですが苦手で、お二人とも合っていました?」

 

「は、はい!合ってます!」

 

「う、うん。合ってます」

 

良かった、間違っていなかったようだ。

 

「それで、乗る人は?」

 

布仏さんと相川さんが手を上げる。

 

「訓練機の順番がやっと私達に回って来たんだよ~」

 

「うーん、私はあと二人か一人だった気がするな」

 

え!?それって…もしかして鷹月さんが今日訓練出来ないのって俺のせいか?………うん、俺のせいだわ。

 

「……すいません、鷹月さん。鷹月さんが今日訓練機乗れなかったの俺のせいかも知れないです」

 

そう言って頭を下げる。そしたら慌てながら良いよ良いよと言ってくれた。うぅむ、罪悪感がハンパじゃない。

 

「…あっ!でしたら俺の機体に乗ってください。三人で来たのに一人だけ乗れないってのも嫌だったでしょうし、俺は少し休憩しようとしていたので、どうぞ使ってください」

 

「え!?いいの!?」

 

「なにー!静寂だけずるいぞー!」

 

「そうだ~、そうだ~」

 

「フフフ、これは私に与えられた特権よ!」

 

何か、微笑ましいくらい仲が良いな。その光景を見守っていたら、爆音と土煙が上がった。土煙が晴れ、その方向を見てみると近くにオルコットさんに凰さんが居た。

 

どういう状況か分からないが流れ弾が来たらヤバイので、急いで打鉄に乗って三人を俺の後ろに来させる。これでまぁ、三人の盾にくらいはなるだろ。

 

 

よくオルコットさんと凰さんの方を見て見ると、二人とも上を見ている。何だと思い、俺もそちらを見る。肉眼でははっきりと顔までは分からないが、あの黒い機体には見覚えがある。

 

「……あれは、ボーデヴィッヒさんか?」

 

ハイパーセンサーを使い、確認。うん、確かにボーデヴィッヒさんだ。と言うことはさっきの音はボーデヴィッヒさんがオルコットさんと凰さんに向けてやったってことになるな。

 

だが、それでもここが危ないということに変わりはないので、布仏さん、相川さん、鷹月さんの三人を急いで避難させることにする。

 

「三人とも、俺のISに掴まってください。距離があるとは言え、流れ弾の危険がありますから早く」

 

「う、うん」

 

相川さん、鷹月さんが俺の両腕に、布仏さんは肩車。……あれ?おかしくね?

 

「…布仏さん、何で肩車?」

 

「だって私の掴まるところがないよ~!」

 

ま、まぁこの際しょうがない。

 

「しっかり掴まっていてください!」

 

そう言って、加速推進翼(スラスター)展開させる。速く動いてしまうと三人の体に負荷がかかってしまうので速すぎず、かといって遅すぎたら危ないのでしっかり移動しないといけない。俺が動いたのとほぼ同時に戦闘が始まった。後ろから激しい音が聞こえる。

怖いがこの三人の方が怖いに決まっている。ISを纏っておらず生身で戦闘に巻き込まれかけているのだ。恐怖は俺の比ではないだろう。

 

「……大丈夫だ、絶対」

 

無意識の内に声が出ていて、両腕に少し力が入る。俺なりに彼女達を励まそうとしたんだろうか?絶対なんてあり得ないが、少しでも彼女達の気が紛れてくれればいいと思った。

 

チラリと相川さん、鷹月さんに視線を向ける。すると二人ともこちらを見ていて、視線が合ったとき力強く頷いた。布仏さんは頭上から頑張って、なっきーと言ってくれた。

 

励ますつもりが逆に励まされちゃったなと内心そう思い、不思議と怖いとは思わなくなった。

 

◇◇◇◇◇

 

三人を入り口付近、訓練機のところまで運ぶ。ここなら流れ弾が飛んでくる確率は低いだろうし、二人にはISに乗ってもらえば、取り合えずは安全だろう。いざとなったらISの絶対防御がある。

 

ハイパーセンサーであちらの様子を確認する。ボーデヴィッヒさんは無傷、オルコットさんと凰さんは満身創痍といった感じだった。

 

「…………専用機持ち二人がかりであれって、どんだけボーデヴィッヒさん強いんだよ」

 

自分が加勢しに行ってもやられることが目に見えているがやらない訳にもいかない。どうしようか考えていたら足に何かが当たった感触がした。見てみると、それは空薬莢だった。

 

「…!。そうだ、あれなら…」

 

あれなら、少しくらい気を逸らすことが可能なんじゃないかと思った。別段、ボーデヴィッヒさんに攻撃を当てるつもりはない。というか当たらないだろう。

 

すぐに『長距離射撃兵装装備【撃墜(げきつい)】』をメニュー覧から呼び出す。布仏さん達がいるところでは撃てないので移動する。後ろから危ないよと声を掛けられたが大丈夫と言って移動。といっても4~5メートル離れただけだが。

 

「よし………頼むぞ、【撃墜】」

 

息を止め、体の揺れを少なくする。心臓が少しうるさく感じた。

 

一発目――

大砲のような音とともに一発目の弾丸が発射。放たれた弾丸は狙い通り、手前の地面に着弾、土と煙を巻き上げた。ボーデヴィッヒさんの姿が見えなくなってしまったが、気を惹くには十分だ。

 

暫くして土煙が晴れかかってきて、もう一度撃とうとした時に警告音と表示。

 

『自機、敵にロックオン中。警告。攻撃弾道、左斜め方向、前方警戒』

 

警告とほとんど同じタイミングで煙の中から攻撃が来た。

 

「なっ……………ぐぅ!?」

 

完全には避わしきれず、左腕に衝撃が来た。腕がもっていかれそうになるような衝撃と反動で吹き飛ばされた。

 

そのとき手に持っていた【撃墜】のトリガーを偶然引いてしまった。弾丸の行き先は分からない。

 

吹き飛ばされ、地面を数回転がり痛みで少し意識が朦朧としていたが、顔を前に向けたとき驚愕で意識がはっきりと戻った。

 

偶然撃った弾は、ボーデヴィッヒさんのところにいった。喰らえばただでは済まないが、ボーデヴィッヒさんは喰らっていなかった。

「……止まって、る?」

 

片手を前に出し、そこから膜のようなものが形成され、手前で弾丸が止まっていた。

 

「……ふむ、停止結界を使っても腕が少し痺れたな。まともに喰らえばヤバかったかも知れん」

 

誰に言うまでもなくそう呟き、開放通信(オープン・チャンネル)に接続。

 

いきなり誰かから通信が入った。何とか了承ボタンを押す。すると驚くことに通信してきたのはボーデヴィッヒさんだった。

 

『驚いたぞ、長崎。まさかお前が助けに入るとはな』

 

地面に伏してしる体を起こして、なんとか声を出す。

 

『………えぇ、一応…友達の大切な仲間らしいですからね。本人が居ないんじゃ、俺がやるしかないなと思っただけですよ』

 

『……ふっ』

 

それにただ鼻を鳴らして答えただけだった。

 

『仲間か……くだらないな。かつては私もそんなものがあると思っていたよ。………だが、そんなものはまやかしだと知った、いや思い知らされた』

 

声のトーンが低くなり、顔を伏せた。ボーデヴィッヒさんも過去になにかあったのだと思った。

 

『まさに、地獄の底にいた。だがそんな私を教官は救ってくれた。また私に光を見せてくれた』

 

教官、誰のことか容易に分かった。織斑先生のことだ。

 

『憧れたよ、あの人の強さに。どうすればあそこまで強くなれるのか、考えた。力だ!力があればいいと思った。圧倒的なまでの力があれば、また教官と同じ所に私は立つことができる!』

 

語尾が強くなっていき、最後にはほぼ叫ぶように言っていた。だが、そのような力強い言葉を聴いても、司はただ空しいと思っただけだった。

 

『……力は確かに大切だ。………力が無ければ何も守れないから、何も示すことが出来ないから』

 

体の痛みを忘れて、ただ真っ直ぐにボーデヴィッヒさんを見て、言葉を紡ぐ。

 

『……力を手にしたとしても、使い方を間違えればそれは力とは呼ばない。ただの暴力だ』

 

過去の光景がフラッシュバックする。それを振り払うようにキツく目を閉じ、またゆっくりと開いた。

 

「…………………」

 

「…………………」

 

互いに視線が交差、沈黙がその場を支配する。誰も喋らない。

 

しかし沈黙は銃弾の音とともに破られた。

 

「――!?……ちっ!」

 

動いたのはラウラだった。いきなり警告音とディスプレイに横方向からの攻撃と表示された。驚きはしたが冷静に攻撃方向に向けて『停止結界』を発動させる。

 

「…雑魚が次から次へと」

 

ボーデヴィッヒさんが視線を向けた先に、司も視線を向けた。

 

「……織斑、デュノア…」

 

デュノアが銃を二丁構え、織斑が白式を纏い、一振りの刀を展開していた。

 

助けに来たのか、騒ぎを聞きつけたのか、どちらにしろ今は助かった。あの空気の中で戦いたくなかったから。

 

織斑から通信が入った。なんだと思い、出てみる。

 

『司!大丈夫か!?』

 

通信を入れた途端にでかい声で喋られたので耳が痛かった。

 

『…あ、あぁ、俺は大丈夫だがオルコットさんと凰さんが大丈夫じゃないかもしれない』

 

『なっ!?………くそっ!あいつ』

 

女の子のことをあいつって、やっぱり怒ってるな。いや、そりゃ怒るか。

 

『あぁ、いやISがあるから命に別状があるってほどじゃない。まぁ、なんだ…助かったよ、織斑。デュノアにもそう伝えてくれ』

 

『―!。へへっ、気にすんなって友達だろ』

 

そんな会話をしてそこからが早かった。織斑が瞬時加速(イグニッション・ブースト)をしてボーデヴィッヒさんに突っ込む。しかしバリアのようなもので止められる。が、すかさずデュノアが銃火器で援護。

 

ボーデヴィッヒさんが銃弾を避けるためにかざしていた手を離した。

 

すると織斑にかかっていたバリアのような拘束が解けた。織斑はすぐさま瞬時加速(イグニッション・ブースト)をし、ボーデヴィッヒさんの背後に回り込んで二人を回収する。

 

「一夏!二人は大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫みたいだ。機体の損傷は結構あるし、気は失ってるけど無事だ」

 

織斑達の戦闘をただ見ていることしか出来ない。やはり専用機持ちの戦いはレベルが違うなと感じた。

 

その戦いを見ていたら、ふとボーデヴィッヒさんとまた、視線が交差した。

 

「…………飽きたな」

 

動きを止め、何かを口にしたボーデヴィッヒさん。ここからじゃ聞こえない。

 

「……なに?」

 

「興が冷めた。織斑一夏、続きはトーナメントでだ。……長崎もな」

 

織斑達に何かを言い、ISを解除してスタスタと歩いて行った。

 

織斑とデュノアもIS無しのボーデヴィッヒさんを襲う訳にも行かず、何か不満と言った顔をしながらこちらに向かって来る。後ろから声がしたので振り返って見ると、布仏さん達もこちらに来ていた。

 

ほっと一息ついた途端に体に痛みが走った。特に酷いのはボーデヴィッヒさんの攻撃を喰らってしまった左腕だった。

 

「……ぐっ……腕、折れてるかも………」

 

地面に倒れ、気を失った。

 

 





第七話どうでしたか?面白かったでしょうか?いろいろ不安です。

さて、第七話。一夏の相談からラウラとの戦闘とあり、次ぐらいでいよいよトーナメント戦ぐらいまで行きたいなと考えております。

それでは、次話をお楽しみに。

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