鳴羽田ヴィジランテにヒーラー生やしてみた   作:ゴリ押しこそ至高

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ヤバいのは薬かオッサンか

あの一件の後、マイトパーカーの人(親切マンと名乗っていた)とオッサンを護衛にしながら和歩を家まで送った。

 

叔母さんに和歩を引き渡す時は流石に2人には隠れてもらったが、まあ致し方ない処置だろう。

 

今は男3人で夜の街を歩いている。

 

「妙な事になりましたが……とりあえず落ち着ける場所に行って親切マンさんの治療をしましょうか」

 

「あ、そっか…俺ボロボロだった……それじゃ俺の家に」

 

「そっかって……身内を助けていただいた身で説教するのもアレですが、自身の体の怪我くらい気にしてくださいね?」

 

「おうその通りだぞ親切マン!体の状態の把握は活動において大切だ」

 

このオッサン、しれっとついてくる気か……?

 

「……その、アンタいったい何者なんですか?」

 

「怪しい者じゃない」

 

「怪しくないヤツは武器と覆面装備で路地裏うろついたりしないと思いますが……」

 

「アンタも恩人ではありますが、いかんせんあの光景を見せられると……」

 

「そのうち慣れる」

 

きっと親切マンも同じ事を思っている。慣れてたまるか。

 

 

 

「ただいま〜!いや〜疲れた!」

 

「この外観でマジで物件なのかよ……」

 

認識を改めよう。親切マン(この人)も変な人だ。

 

安いからってボロボロのビルの屋上の明らか違法建築の部屋住むか?普通。

 

「灰廻航一19歳、仁波大学1年生…”コーイチ“と呼ぶぞ」

 

2人してバッとオッサンの方を振り向くと、親切マンの財布を勝手に見ている!

 

「それとも”親切マン“の方がいいか?」

 

「ちょ…俺の学生証!てかサイフ!勝手に見ないでくださいよ!」

 

うん、オッサンがぶっちぎりで変な人だから住処が変なんぞどうでもいいや。住めば都なんだろきっと。

 

「で、お前はなんと呼べばいい?」

 

「…とりあえずトウカとでも呼んでください、はい消毒〜染みますよ〜」

 

「いでででで!染みる染みる!」

 

もうめんどくさいのでさっさと治療してしまおう。

 

普段の活動用に消毒液や脱脂綿やゴム手袋等、救急キットの中身みたいなラインナップはカバンに揃っている。

 

普通の救急キットと違うのは、絆創膏や包帯とガーゼ等の傷を保護する物が無い事だ。

 

傷はどうせ個性で塞ぐ。

 

指に炎を灯すと、親切マン…コーイチさんがびっくりした顔で後退りしたので説明する事にする。

 

「この炎を初めて見せたのが攻撃に使った時なので怖いかもしれませんが、コレは当てた部分の治癒力を活性化させて傷を治す効果がありますので安心してくださいね?熱くも無いので」

 

「ほう…便利なモンだな?てっきりその程度の傷を焼いて塞ぐつもりかと思ったぞ」

 

「そう思ってたなら止める素振りくらい見せてくださいよ!?」

 

「人焼ける代物を人質とってる相手にぶっ放すワケ無いでしょう」

 

ましてその人質、身内の女の子だぞ。

 

 

 

「一般人を(ヴィラン)にする薬物……」

 

結構ガッツリヤバそうな事件だった。

 

下手したらちょっとしたケンカレベルが一気に大災害ってワケだ。

 

「いいかコーイチ、トウカ、コレは被害規模の問題だ」

 

「「被害規模?」」

 

「通常の敵は敵らしい変わった格好や攻撃的な格好をしている連中が多い…最初っから悪事をやらかすつもりだからな」

 

「……ああ成程、トリガーを使った突発性敵はそれに該当しない場合が多いから、予測が難しいって事ですか?」

 

「その通りだ…警察も職業(プロ)ヒーローも後手に回らざるを得ん」

 

「あー普通の人に紛れちゃって発見が遅れるし、個性も強化されてるから被害規模が大きくなりやすいのか」

 

「そこで俺たちの出番だ」

 

………たち(・・)

 

「俺とおまえたち3人で怪しい奴を呼び止めて舌を確認する」

 

「舌?」

 

「いやあの、俺はそんな活動するつもりは」

 

「“トリガー”の常用者は副作用で舌が黒く変色する…それが目印だ」

 

「聞いてます?ちょっと?」

 

「舌が黒い奴は即座に殴り倒し、売人の情報を聞き出し…ドラッグの流通を根本から断つ!」

 

「え…いきなり殴っちゃうんですか?まずは話し合いを試みるのは…」

 

「コーイチさん!?何故参加前提みたいな質問を!?絶対危険ですって!」

 

「先手必勝だ!ジャンキーどもが“トリガー”を使う前に片をつける」

 

「そもそも「舌見せ」の時点で断られそうですが…」

 

ヤバい!コーイチさんのスタンスが参加前提になってきてる気がする!

 

「そういう怪しい奴も即殴りだ!!」

 

コイツはもっとヤバい!シンプル危険人物だ!

 

「ハハ…またそんな……冗談キツいっすね〜」

 

絶対冗談じゃねえよ!

 

「行くぞ!パトロールだ!」

 

「今の内容実行したら多分しょっ引かれますって!コーイチさんも止め…なんでパーカー着直してんですかオイ!」

 

 

 

「疲れた…殴られた人治してたら逸れたし……つーかもう舌ぐらいちゃっちゃと見せて逃げろよどいつもコイツも……どうしてチンピラムーブかましちゃうんだよ…明らかにやべー相手だろうが…」

 

疲労で公園のベンチでぐったりする。

 

冷静に考えると徹夜で活動しているのだ。そりゃ疲れる。ご飯カロリーバーだし。

 

ふと公園の反対側に目をやると、見慣れた人が何故かあの2人と話していた。

 

「和歩……?何やって…ああもういいやめんどくせえ……」

 

あの2人は変人ではあるが、和歩に危害を与えたりはしないだろう。

 

もういっそ寝てしまおうか………なんか反対側がうるせえな?

 

「うわぁ!!今度はヒーロー相手にケンカ始めた!!」

 

「あのオジサン絶対オカシイでしょ!?」

 

「……………話が変わってくるな」

 

流石にそれは放置出来ない。少なくとも和歩とコーイチさんは絶対悪くないので助けねば。

 

「ボクらが怪しい者じゃないってあの人に説明してくれませんか!!」

 

「いや無理ですよコーイチさん…少なくともオッサンは明確に怪しい者というか、怪しまれる段階を既に越えてますもん」

 

「あ、トウカ!アンタあのケンカ止めらんない!?口で止めれる気がしないんだけど!」

 

「物理的に止めろと?アレ見て言ってんの?オマエ俺に死ねってか?」

 

あの一発でもクリーンヒットしたらKO確実な暴力のやり取りに物理介入なんぞ自殺と変わらん。

 

「いえあの…私急ぎますので」

 

「ううん…無理か!そりゃそうか…」

 

「俺たちもこれ以上巻き込まれる前に離れますか?」

 

「う、うーん……放置する方が怖い気もするんだけど」

 

巻き込まれたのだろうサラリーマンを尻目に相談していると、不意にスマホを弄り始めていた和歩が叫ぶ。

 

「2人とも!ちょっと待ってその人なんか知ってるかも!!」

 

「「へ?」」

 

サラリーマンに視線が集まる。サラリーマンは冷や汗をかき始めたかと思えば、脱兎の如く逃げ出した。

 

「ほら逃げた!怪しい!!」

 

「と、とりあえず追っかけよう!」

 

「ああもう!次から次へと!」

 

まあ逃げる口実にさせてもらおう。何故か追いかけるのに乗り気の和歩を放置するわけにもいかないし。

 

と、思ってたんだけど……そうはいかないらしい。

 

「よう…また会えたな」

 

昨日のチンピラ!と、残り2人はどうしちゃったんだよその姿!

 

とりあえず今はすごくとっても間が悪い!

 

「……忙しいんで話は後で聞きます!」

 

なので放置!追うぞ怪しいヤツを!

 

「……ハァ!?」

 

「今相手してられないので!どうせ後で合流するんであっちのオッサンと神妙に待っててください!出来ればぶちのめされといてください!」

 

「…ナメやがって!」

 

「ちょっとトウカ!挑発してないでこっちに…」

 

ブシュ!という音と共に、チンピラの姿が変わる。

 

「昨日のオトシマエつけさせてもらうぜ」

 

舌が黒く変色してる…例のトリガーってヤツか。……アレ俺ヤバくね?

 

「……オトシダマなら大歓迎なんだけどな」

 

「減らず口叩いてんじゃねえぞ!」

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