「二人は生き延びてくれ」と言い残して自爆した俺、呪いによって人知れずリスポーンする   作:似非自己犠牲マン

3 / 6
第3話 邪神の使いの雑談所と獣人の娘

【今日も今日とて】邪神の使いの雑談所 870【リスポーン】

 

ここは邪神、ヴァルモルタ様の使い専用の掲示板です。他の神の使いは書き込み禁止

 

201.名無しさん@リスポーン

もう、マジ忙しい。呪い持ち、簡単に死に過ぎだろ~

 

202.名無しさん@リスポーン

最近の呪い持ちは節操がなくていかんな。死はもっと悲哀に満ちたものでないと

 

202.名無しさん@リスポーン

あちしの担当の子は、いいリスポーンしたにゃん。めっちゃエモい。

 

203.名無しさん@リスポーン

うん? どの子?

 

204.名無しさん@リスポーン

新人のカイルにゃん

 

205.名無しさん@リスポーン

あぁ、【自爆】スキル持ちのこ?

 

206.名無しさん@リスポーン

そうにゃん

 

207.名無しさん@リスポーン

ヴァルモルタ様も期待してた子だね。どんな死だったの? 

 

208.名無しさん@リスポーン

味方が発動させてしまったダンジョントラップにより絶対絶命! まだ駆け出しのパーティーがミノタウロス五体に敵うはずはない! 全滅の気配が漂い始めた時、前に出たのは、カイル! カイルは単身でミノタウロス達に突進し、【自爆】を発動!  「二人は生き延びてくれ」その身を犠牲にして、仲間達を救ったのであった!

 

209.名無しさん@リスポーン

うおおぉぉぉおおおおお……!! あち~!! その後にしれっとリスポーンするのたまんね~

 

210.名無しさん@リスポーン

曇った? 仲間達は曇った!?

 

211.名無しさん@リスポーン

バチ曇りにゃ~。新しくダンジョンが出来た町に行ってみるといいにゃ~。悲しみの果てに沈むパーティーメンバーの様子が見れるにゃ~

 

212.名無しさん@リスポーン

うひょ~、絶対見てえぇえええええ!!!!

 

213.名無しさん@リスポーン

今のリスポーン終わったら、絶対見に行くわ~

 

214.名無しさん@リスポーン

んで、カイルは何してるの? 次の【自爆】→リスポーン見たいんだけど

 

215.名無しさん@リスポーン

今、森で見つけた死体から剥いだ衣服を、泉で洗ってる。

 

216.名無しさん@リスポーン

初心者あるあるじゃん。リスポーン慣れしてくると、事前に着替えとか用意しておくんだけどね。人に見つからないところに

 

217.名無しさん@リスポーン

まぁ、これからにゃ~。カイルは

 

218.名無しさん@リスポーン

【自爆】スキル持ちは期待できるなぁ~

 

219.名無しさん@リスポーン

今後も注目やね

 

 

#

 

 

 何とか見つけた湧き水の泉で獣人から頂いた衣服を洗い、血を落とした。今はその服をしぼって枝にかけ、乾くのを待っているところである。

 

 引き続き全裸。もう陽は落ちて薄暗く、気温も下がってくる。濡れた衣服を着て体温を奪われるのはまずい。少なくとも、明日陽が昇るまでは全裸確定である。

 

 俺は湧き水の泉の近く大木に身を委ね、明日からについて思案にくれていた。

 

 手元にあるのは、獣人を吊るしていたロープ。そして、幸いなことにその側で拾ったナイフ。獣人をいたぶっていた代物かもしれないが、今はそれを気にする余裕はない。

 

 ロープとナイフと木の枝があれば、即席で投げ槍を作ることが出来る。森にすむ小さめの動物やモンスターであれば、狩ることもできるだろう。

 

「火がないと生で食べることになるのか……」

 

 気分が暗くなる。生肉を食べて食あたりし、死亡。そしてリスポーンの流れは避けたい。

 

「とりあえず、食べられる植物をみつけて、湧き水でしのぐか……」

 

 火と狩はその後だ。なんなら、街道まで移動して誰かのお世話になるのもいい。服さえ着ていれば、なんとか相手をしてくれるだろう。たぶん……。

 

 そんなことを考えていると、遠くで小さな音がした。腐葉土の上の枝を足で踏み折ったような音だ。

 

 俺は慌てて木の枝に干していた服を回収し、音のした方から死角になるように大木に身を潜ませた。

 

 右手にナイフを握り、左手にロープを巻く。何かあったときは、これらが頼りだ。素手で何かに対峙できるほど、俺は強くない。

 

 足音が徐々に大きくなる。冒険者ならば、もう少し警戒した歩き方をするだろう。となると、二足歩行のモンスターだろうか? 湧き水の泉を目的にして来たのかもしれない。だとすれば、ここは危険だな……。

 

 しばらくして現れたのは、真っ白な髪をした若い女の獣人だった。年齢は15歳ぐらいだろうか。俺よりも若い。ドレスのような服を着ていて、とても森歩きをするような恰好ではない。

 

 甚振って殺された獣人の男と、森に慣れない獣人の女。無関係とは思えない。

 

 身を隠しながら観察していると、女は湧き水の泉の淵に近付き、手で水を掬い始めた。余程喉が渇いていたようで、ごくごくと何度も飲み干す。

 

 周囲を警戒している様子はない。

 

 森慣れしておらず、ドレスのような恰好をした、真っ白な髪の獣人。トラブルの臭いしかしないな……。

 

 女は水を飲んで満足したのか、立ち上がってフラフラと歩き始める。その足取りは怪しく、体力の限界を迎えているように思える。

 

 少し歩くと、女は木の根に足を引っ掛けて転んでしまった。そのまま身体を丸くし、小さく悲鳴をあげている。

 

 全くもって隙だらけだ。

 

 しばらく時間が経っても、女は起き上がらない。いや、起き上がれないのだろう。呼吸のリズムを見る限り、眠っているように思える。

 

「どうすんだよこれ……」

 

 陽は完全に落ちた。すぐそばに、体力の限界で無防備に地面に転がる女。夜になればモンスターが跋扈するであろう、森の中でだ。

 

「仕方ねえなぁ」

 

 俺は、この場所で朝まで女と付き合うことにした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。