読んでもらっている身分で厚かましいと思っておりますが、どうか評価、お気に入りのほどよろしくお願いします。(土下座)
トロール事件の後、ハーマイオニーは少し周囲への態度を軟化させた。
ハーマイオニーはロンとハリーに勉強を教えるようになり、二人もそれを受け入れた。
コレは幸運だった。私とアリスだけだったらクィディッチの練習が本格的に始まっていたハリーの宿題まで手が回らなかったからだ。
ホグワーツの生徒が熱狂するクィディッチシーズンの到来だ。
生徒間ではクィディッチについての議論が白熱しており、その話を聞くうちにルールが分かるようになっていった。
要約すると。
赤いクアッフルと呼ばれるボールを三つのゴールにシュートする『チェイサー』と呼ばれるポジションが三人。
ゴールを守る『キーパー』が一人。
そして選手に体当たりをして妨害するブラッジャーと呼ばれるボールから選手を守り、相手チームに打ち返す『ビーター』が二人。
金色のスニッチと呼ばれるピンポン玉程度の小さなボールを捕まえる『シーカー』が一人。コレがハリーのポジションでもある。
この計七人でチームらしい。
クアッフルがゴールに入ると十点、シーカーがスニッチを取ると百五十点で即座に試合が終わるらしい。
因みにシーカーが捕まえられない場合は永遠に続くとか。
「…コレを考案した人間は頭がおかしいのかしら?」
アリスは呆れたようにそう言った。
スニッチの点数についてはともかく、ブラッジャーについては私も色々とおかしいと思う。せめてゴムボールとかでやるべきだ。
鉄球でも顎の骨を折った人のいる程度って…魔法で治せるからって色々と危ないと思う。
私達は休み時間に、中庭に出ていた。
凍えるような寒さだったが、ハーマイオニーが魔法で火を出していた為、そこまで寒くはなかった。
この青色の火は瓶に入れて持ち運べるものらしい。
「まぁ、度々危険だって抗議はされてきたらしいけど、クィディッチ連盟の上層部は鉄球のスリルが良いって言う伝統派が多いんだ」
「確かに大怪我のリスクを抱えながら飛ぶのはスリル満点だな」
私は皮肉混じりにそう答えた。
「まぁ、チェイサーが百五十点以上差をつけないとシーカーは安心できないわけだ」
「やめてくれよ、負けられなくなっちゃうじゃないか」
ハリーは少し顔を青くしてそう言った。
そんな会話をしていると、スネイプがやってきた。
魔法の火は禁止されているだろうと思って私達は火を隠すようにくっついた。
スネイプは足を引きずり通り過ぎようとしたが、立ち止まってハリーの方を向いた。
少し考えたような顔をしながら、スネイプの目線はハリーが持っていた『クィディッチ今昔』と呼ばれる本に向けられていた。
「ポッター、そこに持っているのは何かね?」
ハリーは大人しくスネイプに本を差し出した。
「図書室の本を校外に持ち出してはならん。渡しなさい。グリフィンドール五点減点」
「きっと規則をでっち上げたんだ」
スネイプが去った後、ハリーは怒ったようにそう言った。
「…あの足はどうしたのかしら」
「…そう言えばハロウィンで駆けつけた時にはもう怪我をしていたような気がする」
ハーマイオニーの独り言で私はトロール事件の時にスネイプは足を怪我していたことを思い出す。
あの時は驚いていてあまり見ていなかったが、足を出血していたように見える。恐らくハロウィンのあの時に怪我をしたのだろう。
「知るもんか、でも、もの凄く痛いといいな」
ロンは悔しそうにそう言った。
その夜、いつもより騒々しい談話室で私達はハーマイオニーと一緒に妖精の呪文の宿題を解いていた。
私とアリスはハリーとロンのチェックをハーマイオニーと行いつつ、アドバイスを行う程度だったが。
ハリーは落ち着きのない様子で問題を解いていた。
大方、試合前の緊張で思考がまとまらないのだろう。
こういう時は大体本を読んだりして気を紛らわせると良い。
「ちょっとハリーの本を取り返して来る」
「えっ、僕が行くよ」
ハリーは椅子から立ち上がってそう言った。
「ハリーが行くと多分、グリフィンドールの点数が減ると思うぞ?」
スネイプとハリーは相性が悪い、仮にでも緊張状態のハリーと口論にでもなったら大変だ。
点数を人質に取り、ハリーを黙らせた私はローブを着込んで寮の外へ出る。
行き先は一階下の職員室だ。
職員室のドアをノックしようとすると中からスネイプとフィルチの会話が聞こえた。
「忌々しい奴だ。三つの頭に同時に注意することなんてできるか?」
犬、三つの頭…間違いない。あの部屋の犬だ。
あの怪我は例の部屋のケルベロスに噛みつかれたという事だろう。
ハロウィンの夜、確かスネイプの足は出血していた…あの部屋に入って負傷したと考えるのが妥当か。
何の目的があるんだ?
仮にもホグワーツの教師だ、闇の魔法使いではないだろう。
あのトロールを陽動だと理解し、盗みに入られているか確認の為にあの部屋に向かったのだろうか?
隠された物のセキュリティはどうやらホグワーツの教師すらも知らないようだ、きっと知っているのは校長だけだろう。
私は音が響くように扉を2回ノックする。
少しの足音の後にスネイプがドアを開けた。
「どうしたのかね?」
「昼休みに没収された本を返して貰いに来ました」
「…少し待っていなさい」
スネイプは扉を閉めて、二分ほどで戻ってきた。
「コレで合っているか」
スネイプの差し出した表紙には『クィディッチ今昔』と確かに書かれていた。
「はい、ありがとうございました」
私は会釈をして、寮の方に歩いて戻った。
戻る道中、私は先程の会話から仮説を立てていた。
やはりハロウィンのトロールは陽動の為の囮であり、本命は別の魔法使いである可能性が高い。
スネイプは陽動だと看破し、例の部屋に向かったが、ケルベロスに噛みつかれ撤退。
このことから、恐らく盗みに入った魔法使いも退散している可能性が高い。
寮に戻って私は宿題を終わらせたハリーに本を渡した。
「マリサ、大丈夫だった?」
「普通に返してくれたぞ?」
私は先程の会話を三人に話した。
「…ということなんだ」
「あの部屋にスネイプが?」
「私の仮説だとそうなるな」
「スネイプがあの犬の守る何かを狙ったって可能性は?」
「流石に無いでしょう、もし狙っているなら、誰が聞いているかも分からない職員室でそんな事話さないわ」
ロンの問いにアリスが反論する。
「そんなことよりハリー、明日の試合、頑張れよ?」
少し重くなった雰囲気を壊すように私はハリーの肩を軽く叩いた。
「…うん」
ハリーは少し俯いてそう言った。
——そうして翌日
ハリーの初試合であるグリフィンドール対スリザリンの試合が行われる日だ。
クィディッチというものは、多分マグル世界のサッカーに似た、ポピュラーなスポーツらしく、テーブルの所々ではクィディッチの話題で持ちきりだった。
私の隣にいたハリーは青い顔をしていた。
「ほら、何か食べないと」
「何も食べたく無いんだ」
「トーストをちょっとだけでも」
「お腹が空いていないんだ」
ハーマイオニーは優しい声色でそう言ったがハリーは青を通り越して白い顔になっていた。
「ハリー、負けても仕方ないだろ?だってお前は他の選手よりも歳が下なんだ、それにルールだって知ったばかりだ」
負けた時の免罪符くらいにはなるだろう?と続けながら私はハリーの皿にソーセージを置いてハリーに差し出す。
ハリーは少し顔色を戻しながら私から皿を受け取った。
十一時には殆どの生徒が競技場の観客席に詰めかけている。
中には双眼鏡を持った生徒もそれなりにいた。
観客席は高所にあるとはいえ、試合の動きが確認しづらい場面もあるのだろう。
私、アリス、ロン、ハーマイオニーの順に座りながら試合時間まで待機した。
「そろそろだな」
私は競技場の下を指差してそう言った。
グリフィンドールとスリザリンの双方が寮の色である赤、緑のローブを着てグラウンドに整列する。
グラウンドの中央には審判のマダム・フーチが立っており、その足元にはクィディッチで使用するボール達が納められたトランクが置かれている。
「皆さん、正々堂々戦うように」
両方の選手が集まるのを待ってからフーチはそう言った。
フーチが銀のホイッスルを咥えると同時に選手が箒に跨る。
ホイッスルが高らかに鳴ると同時に十五本の箒が空へと矢のように飛んで行く。
『さて、最初にクアッフルを取ったのはグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソン! なんて素晴らしいチェイサーでしょう、同時にかなり魅力的でもあります』
『ジョーダン!』
『失礼しました先生』
実況はビーターのフレッドとジョージの双子の親友であるリー・ジョーダンがマクゴナガルの監視を受けながら実況をしていた。
選手達はパスを繰り返し、ビーターに妨害されながら、縦横無尽に飛び回った。
双方で妨害やパスが繰り返されたが、グリフィンドールのアンジェリーナが先制点を決めた。
「ちょいと詰めてくれや」
聞き慣れた声がしたかと思うと、私の横にハグリッドが現れる。
私達は席を詰めて、ハグリッドが座れるよう観客席に場所を空けた。
「小屋から見ておったんだが、客席で見るのはまた違うのでな。スニッチは現れんか?」
ハグリッドは首からぶら下げた大きな双眼鏡をポンポン叩きながら聞いた。
「少なくとも両方とも見つけた感じは無さそう」
上空で旋回しているハリーを指差しながら私はそう返した。
「攻撃されて体力を使わないようにしてるんだ、見つけたら攻撃されるから、それまでは体力を温存しておかせたいんだ」
ロンがそう解説してくれた。
「おっと、我らがグリフィンドールの最年少シーカー、ハリー・ポッターが飛び出した!」
ハリーは矢のように急降下していった。
しかし、スリザリンの選手から体当たりをされて弾き飛ばされてしまった。
グリフィンドールの観客席から非難の声が上がる。
この騒動でハリーはスニッチを見失ってしまった。
「退場させろ!審判、レッドカードだ!」
マグル生まれのディーンはそう叫んだが、残念なことにクィディッチに退場の概念はない。
その後のペナルティシュートで得点し、また試合が再開されたが、ハリーの箒が大きく横に揺れた。
風は強くない筈だが、その後もジグザグと飛んだりと、まるで振り落とすかのように激しく動いた。
「いったいハリーは何をしとるんだ?」
双眼鏡で見ていたハグリッドも異変に気が付いたのか、不思議そうに呟いた。
「さっきの衝突でどこかおかしくなったのかな?」
「そんなこたぁない。箒に悪さをするには強力な闇の魔術でないと無理だ。それにハリーが乗ってる箒はあのニンバス2000。チビどもには手出しできん」
その言葉を聞いてハーマイオニーはハグリッドから双眼鏡をひったくり観客席の方を確認した。
「やっぱり、思った通りだわ。スネイプを見て」
ハーマイオニーから双眼鏡を貸してもらいスネイプを見た。
そこには、観客席の真ん中の方でハリーのほうを凝視しながらブツブツと何かを呟いているスネイプの姿があった。
「呪いか?」
アリスに双眼鏡を渡しながら聞く。
「きっとそうね、目を動かしていないもの」
ロンに双眼鏡を渡しながらアリスはそう答えた。
「だとしてもどうすりゃいいんだ?」
双眼鏡を覗きながらロンはそう聞いた。
「私に任せて」
そう言いながらハーマイオニーは姿勢を低くして観客席に消えていった。
「何をするつもりだ?」
「あの手の魔法は目線を逸らせば効力を無くす筈よ」
だが、私には疑問が残った。
ホグワーツの教師であるスネイプが本当に魔法を掛けるのだろうか?
途中でクィレルを突き飛ばし、レイブンクローの生徒の間を縫って、ハーマイオニーはスネイプのローブに火をつけた。
「無茶するなぁ」
ロンは驚いたようにそうポツリと言った。
「確かにアレなら目を逸らさざるを得ないわね」
スネイプは火に気付いて火を踏み消そうとしている。
次の瞬間スタジアムに歓声が爆発した。
急いでグラウンドを確認すると地面に着陸したハリーが金のスニッチを吐き出していた。
「ハリー・ポッターがスニッチを取った!百五十対六十でグリフィンドールの勝利です!』
まさか本当にスネイプがハリーを殺そうとしていたとでもいうのか?
試合後、私達はハグリッドの小屋で箒の異変について話をしていた。
「スネイプは君の箒をじっと見つめながらずっと何かを呟いてた。きっと呪いを掛けていたに違いない」
「馬鹿な、なんでスネイプがそんなことせにゃならん?」
ハグリッドは私たちがアレだけ横で騒いでいたにも関わらず、全く聞いていなかったらしい。
正直私もハグリッドと同感だった。
しかし、ハーマイオニーが火をつけてからハリーは動けるようになった訳であり、証拠としてはスネイプがやったように見える。
ハリーは私から聞いた話をハグリッドにした。
その後の話を要約するとこうなる。
例のケルベロスはフラッフィーという名でハグリッドのペットの一匹。
そして、フラッフィーは『何か』を守っている。
その『何か』にはニコラス・フラメルという人間が関わっている。
これ以上は聞く前に追い出されてしまった為、分かっている情報はこれだけだ。
…それにしても今回の事件も含めて、少なくとも興味本位で首を突っ込めばその首を叩き切られる、そんな予感がした。
この事件…背後には一体何がいるんだ?
ブラッジャー
箒から人間を叩き落とすために作られた鉄球、昔は石に呪文を掛けて使用していたが、砕けた破片が別々に選手を追いかけて非常に危険なため、今は砕けない素材を使用している。
作者個人としては魔法界特有の頭のネジが飛んでいった物品だと思っている。
クィディッチ実況
クィディッチの実況は双子のウィーズリーの親友であるグリフィンドール生のリー・ジョーダンがマクゴナガルの厳しい監視のもと実況し、所々でグリフィンドールびいきな発言を行いマクゴナガルに注意を受けている。小説版だと話を逸らしすぎて大声を出されることもしばしばあった。
ハリーの初キャッチ
スニッチを取ろうとした時にバランスを崩して口の中に入ってしまった。