夜空に輝く星の魔法   作:雪色ココア

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此処からは魔理沙視点です。


始めてのダイアゴン横丁

昨日あったことを表現するならばそれはタチの悪い夢だろう。

 

「本当に行くの?」

カミラがそう聞いてくる

 

「行ってみて何も無かったら、夢だったてことだろ?」

 

私は自分の思っている以上に面白い事が好きだった。

知りたい事はその論理が分かるまで、面白い事はその理由まで知りたい

そんな人間だったからだ。

 

「取り敢えず…この《漏れ鍋》?ってところに行けば良いんだな」

 

漏れ鍋なんて不思議な名前だと思いながらロンドンの街を歩く。

30分ばかり歩いた頃だろうか、《漏れ鍋》と表札の掛かっている

古いパブを見つけた。

「此処で…合ってるな、多分」

 

そう思った根拠は、私以外の人間がこのパブに目線の一つも向けないからだ、おおよそ魔法使いにしか見れない魔法でもかかっているのだろう。

 

中に入ると思ったよりも、掃除が行き届いており、外から見た店の大きさよりも、数倍大きく見えた。

 

「魔法って凄いな」

 

「お嬢ちゃん、もしかして此処初めてかい?」

小柄なバーテンのおじさんにそう聞かれて

 

「はい、そうなんです、此処に来いと言われまして」

 

「何か飲みたい物でもあるかい?始めての子には一杯サービスするのが決まりなんだ、バタービールでいいかな?」

 

「あっ、じゃあそれでお願いします」

流石に未成年にお酒は飲ませないだろうと思ってそう答えた。

 

バーテンは瓶からジョッキに琥珀色の液体を注いでカウンターにドンと置いた。

 

泡立っているソレはどう考えてもお酒にしか見えなかった。

 

「ビールって名前だけど、コレにアルコールは入ってないよ」

そう言われて、恐る恐る、その飲み物に口をつける。

 

「…美味しい」

本物のビールと同ように泡立っているソレは甘く、昔食べたショートブレッドを思い出させるような優しい甘さだった。

 

「だろう?どこの店でも、バタービールは人気なんだ」

 

ゆっくりとバタービールを飲んでいると入り口の方が騒がしくなって来た

その中心には一人のメガネをかけた男の子が困惑した様子で色々な人達と握手を交わしているのが見える。

 

「あれがハリー・ポッターって人なのか?」

 

「そうだよ」

バタービールを飲んでいる間に私はバーテンのおじさんから魔法界の最低限の常識を教えてもらった。

 

バーテン曰く、僅か一歳の時に名前を呼ぶことも憚られるような闇の魔法使いを撃退して有名になったとか。

 

「お前さんがマリサ・キリサメで合っとるかい?」

ハリーの近くに居た小山ほどの大男が私に話しかけてくる。

 

「はい、私が霧雨魔理沙です」

改めてこの時、自分が魔法界に足を踏み入れたことを悟った。

 

「そうか、このダイアゴン横丁でお前さん達の買い物の手伝いをする、ルビウス・ハグリッドだ。そんであっちで人だかりを作っているのが…」

 

「ハリー・ポッターですね?」

彼にそう尋ねる。

 

「そうだ、やっぱり有名だな、お前さんと同じホグワーツの同級生になる

子だ、おっと、そろそろハリーを連れ出してやらないとな」

 

そう言ってハグリッドは人混みの中からハリーを引っ張り出してきた。

魔法界の有名人にしてはあまり身体は丈夫そうには見えなかった。

 

「ハリー、紹介しよう、そこのお嬢ちゃんが今回の買い物の道連れだ、もしかすると同じ寮になるかも知れん」

 

「よろしく、私は魔理沙、マリサ・キリサメだ」

 

「僕はハリー、ハリー・ポッター」

 

「君も初めて来たって聞いたけど本当?」

ハリーは少し不安げに辺りを見回している

 

「私も初めてだ、正直驚いた、なんせ色々な人達(一部は人なのかすら疑わしいが)に会って頭がパンクしそうなんだ」

 

「僕もだよ」

 

同じ境遇の人間と会えて良かったという感じで笑いかけてくるハリーに笑い返すと、ハリーは赤くなった。

 

「挨拶は済んだな?そんじゃ、ダイアゴン横丁まで行こう、これ以上ここにいるとハリーが死んじまう」

 

私とハリーを連れてパブの奥にある小さな庭へ出る、レンガの壁に囲まれてる、何も無いところだ。

 

「言った通りだろう?ハリー、お前さんは有名だって」

体に見合わない、ピンク色の傘でレンガの数を数えながらハグリッドは

面白そうにハリーにそう言った。

 

「三つ上がって…右に二つ……」

レンガを数えながらブツブツ何かを言っているハグリッド

 

訳がわからずハリーを見たが、ハリーも肩をすくめた

 

「よしと、二人とも下がってろよ」

そう言いながらハグリッドはレンガを三回叩いた

 

するとレンガに命が吹き込まれた様に動き、大きなアーチ状に姿を変えるアーチの先には石畳の曲がりくねった通りが先が霞んで見えるほど伸びていた。

 

「ダイアゴン横丁へようこそ」

ハグリッドはニッコリと笑った。

 

「買い物をする前に金が必要だったな、グリンゴッツへ行こう」

ハグリッドの先導でダイアゴンを進む、通りに面した店には、様々な訳の分からない物が並んでいた。

 

「ハグリッド、グリンゴッツって?」

ハリーが聞いた。

 

「小鬼が経営しとる銀行だ、あそこに盗みに入ろうなんて狂気の沙汰だわい」

 

他の建物よりも高くそびえる、白い建物が見えた。

 

「あれがグリンゴッツだ」

 

扉まで行くと近くに居た浅黒い肌の指の長い生き物が扉を開けた。

広々とした大理石のホールで小鬼達が仕事をしている。

 

私達はカウンターに近づいた。

近くに居た小鬼にハグリッドは

「ハリー・ポッターさんとマリサ・キリサメさんの金庫からお金を出しに来たんだが」

初めて来たのに金庫なんてあるはず無いと思っていたのだが。

 

「鍵はお持ちでいらっしゃいますでしょうか?」

 

「ハリーの方の鍵は持っているはずだが…」

そう言ってポケットをひっくり返しているのを見ながら。

 

「ハグリッドさん、私ここが初めてで金庫なんて無いと思うんだけど」

 

「何を言っとる?その首にかけている鍵がグリンゴッツの鍵じゃ無いか」

首にかけてある小さな金色の鍵はお母さんが最期にくれた物だった。

 

「これで合ってるんですか?」

そう言って首にかけた鍵を小鬼に渡す。

 

「確かに、これはアッシュフィールド家の金庫の鍵です」

母親のファミリーネーム、まさか本当だったとは思わなかった。

 

「あったあった、それとホグワーツから手紙を預かっとる」

ハリーの金庫の鍵と手紙を渡すハグリッド

 

「713番金庫の【例の物】についてだが」

 

「承知しました、グリップフック!」

受付の小鬼は別の小鬼を呼んだ

 

グリップフックに続いてホールから外に続く無数の扉の一つは向かった。

 

「713番金庫?」

気になったのでハグリッドに聞いてみた。

 

「ホグワーツの仕事でな、極秘なんだ」

案の定ダメだった。

 

扉の先には石造りの通路が繋がっていた、そこから少しずつ下に降りると小さな線路が見えた。

 

グリップフックがトロッコを呼び出し、全員でそれに乗る。

 

発車すると、ものすごい速さで曲がりかねる線路を失踪する。

地底湖の付近で巨大な石筍と鍾乳石が床と天井から伸びていた。

 

「僕、いつも分からなくなるんだけど」

ハリーがハグリッドに聞いた。

 

「石筍と鍾乳石の違いって何なの?」

 

ハグリッドは真っ青な顔をしていたので代わりに私が答えた。

 

「石筍は床から上に伸びて、鍾乳石は天井から伸びるらしい」

 

「マリサって物知りなんだね」

無邪気にそう言われると何故かくすぐったくなった。

 

「私も昔、分からなくて調べたんだ」

 

小さな扉の前でトロッコは止まったが、ハグリッドと降りたもののグッタリとしていた。

 

扉の横に『ポッター』と書かれていたからハリーの金庫だろう。

その中には大量の金貨や銀貨が積み上がっていた。

 

少し待っていると、ハリーがとても嬉しそうに巾着を膨らまして帰って来た。

 

私のはハリーの金庫から大して離れていなかった。

 

『アッシュフィールド』と書かれた金庫の扉を開けると、そこには色々なフラスコやノートが置いてあり、その近くにはハリーの金庫より少し少ないくらいの、金貨や銀貨が入っていた。

 

「これが、私の金庫…」

私の家族について自分が何も知らなかったことを改めて感じながら、自分のバッグに金貨と銀貨を入れた。

 

そしてトロッコは更に深く、スピードを増して潜っていった。

 

713番金庫は、鍵では無く、小鬼の手で開く様だった。

その中には小さな小包みが一つ置いてあるだけでハグリッドはそれをコートにしまい込んだ。

 

中身は気になったがこの類のものは知らない方が幸せというのは知っている。

 

ジェットコースターの様なトロッコに乗って私達グリンゴッツから外に出た。

ハグリッドの顔は青を通り越して真っ白になっていた。




流石にカナ文字の生徒達の中で一人だけ漢字なのも変なのでカタカナ表記でいきたいと思っています。

魔理沙の名前
父親が霧雨(普)で母親がアッシュフィールド(魔)です。
アッシュフィールドさんが霧雨さん家に嫁いで魔理沙が産まれます。

お金の単位
原作通り17シックル=1ガリオン、29クヌート=1シックルです
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