夜空に輝く星の魔法   作:雪色ココア

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不思議な杖

金庫からお金を取り出した私達は、グリンゴッツの外に出た。

長い間太陽を見ていなかったから私は目を細めた。

グッタリした様子のハグリッドがゆっくりと口を開いた。

 

「まずは制服だな」

 

ハグリッドは一つの看板を顎で指す。

 

「ちょっと漏れ鍋で元気薬をひっかけてきて良いか?あそこのトロッコには参った」

 

ハグリッドと別れた私達はハグリッドの示した店に向かった。

 

「マダム・マルキンの洋装店…多分ここだよな?」

私はハリーに聞いてみた。

「そうだと思う」

 

店の戸を開けるとずんぐりした魔女がこちらを見て。

 

「お嬢ちゃん達もホグワーツなの?」

私が口を開く前にそう聞かれたので頷いて答えた。

 

恐らくマダム・マルキンだろうと思われる、魔女に店の中に連れて行かれ踏み台に立たせる、隣には既に採寸中の少年がいた。

 

「やぁ、君も今年からホグワーツなのかい?」

 

少年の肌は白く、整った顔立ちをしていた。

 

「そうだな」

 

「そう、ならホグワーツで必要な物の買い出しという訳かい」

 

気取った声音で少年は続ける

 

「父上は隣で教科書を買っているし、母上は何処かで杖を見ている、まぁ僕が一番欲しいのは箒だね、持ち込んではいけないって書いてあったけどこっそり持ち込んでやる」

 

「競技用の箒?」

 

「そうさ、ニンバスの新型が出たんだ、これまでのどの箒よりも速いに違いない、君は箒を持っているの?」

 

そう言って少年は私の方を見ると目を大きく見開いた、そして直ぐに目を離した。

 

「いいや、持ってない」

 

「君はクィディッチはやらないんだね」

 

「クィディッチって?」

 

「クィディッチを知らないなんて、マグルの生まれなのか?」

 

「家族がいないから分からないな」

少し目線を落とす

 

「それに家族だって片方が魔法使いな事以外知らなかったし」

実際、親父は私が魔法使いなんて知らなかったんだから。

 

「君は優秀な魔法使いになれるよ」

少年は慌ててそう言った。

 

「魔法使いって知ったのも少し前だから私は魔法界に疎いんだ」

私は魔法界の常識しか知らない。

 

「君が教えてくれると助かるんだけど、多分君は魔法界では有名な家柄なんだろ?」

 

「何でわかったんだ?」

 

「身なりが良い事と、それに見合った雰囲気だったから」

 

「そうかい?マルフォイ家の後を継ぐ者としては嬉しいね、僕はマルフォイ、ドラコ・マルフォイ」

 

「私はマリサ、マリサ・キリサメ」

 

マルフォイは私に聞く

 

「一緒に入って来た子は誰だい?」

 

「私と同じ最近まで魔法使いって知らなかった子」

ハリーは有名だから、下手に名前を言って居心地を悪くさせたく無かった。

 

「二人で来たの?」

 

「ホグワーツの案内役の人と来たんだ」

 

「それってアレかい?」

顎で指す先にはこちらに向かって来るハグリッドがいた。

 

私は頷く事で肯定した。

 

「ハグリッドか…そうだよな、ホグワーツの召使のようなものだし」

 

ハグリッドはこちらを見て大きな手を振ろうとしたが、周りの人に当たりそうになっていた。

 

「言うなれば野蛮人だって聞いたよ、学校の領地内の掘っ立て小屋に住んでいて、酔って自分のベッドに火をつけるらしい」

マルフォイは嘲笑う様にそう言った。

 

「彼っt「まぁ自然の中で暮らすのには憧れるな、キャンプは好きなんだ」

ハリーが何かを言う前に私はそう言った。

彼の目は明らかにマルフォイを不愉快だと言っていたからだ。

 

「自然の中で暮らすのも面白そうだ」

 

「さぁ終わりましたよ、お坊ちゃん」

話しているうちに採寸を終わらせた様だ。

 

「じゃあ、マリサ、次はホグワーツで」

マルフォイは踏み台から降りて、商品を受け取り、通りに出ていった。

 

「ハリー、別に私はハグリッドの事を嫌っていないし、あんな風には思ってないぞ。ただあの場で喧嘩になるのは困るだろ?」

 

「そうだけど…」

なぜ同調するような言葉を言ったのか、と目で聞いて来る。

 

「最初から心象を悪くするのは得策じゃ無いからな」

親父の店で手伝いをしていた頃に人との付き合い方は学んでいた。

 

「僕は正直に言いたい」

 

「真っ直ぐだな、それはそれで良い考えだと思うぞ」

 

採寸を終わらせて、商品を受け取り外に出ると、ハグリッドはアイスクリームを渡して来た。

 

「ありがとうございます」

 

「ハリーも後少しか、買う物は多い、今日は忙しいぞ」

 

商品を持ったハリーにアイスを手渡すと、私達はまたダイアゴン横丁を移動する。

次に買うのはペンと羊皮紙。

不思議なインクや羽ペンが置いてあった。

ハリーは色の変わるインクを買っていた、私はワタリガラスの羽ペンを買った。

次は『フローリシュ&ブロッツ書店』と言う店で教科書を買う事にした。

 

「にしても凄い量だな、ハリー、あの本じゃないか?」

 

私は新入生用の教科書の場所を指差してハリーに伝えた。

 

「うん、そうだね」

 

ハリーは何かの本に読み耽っていてこちらの声が届いてなかった。

ハリーの本の表紙を覗き込むと、『呪いの掛け方、ー解き方友人をうっとりさせ、最新の復讐方法で敵を困らせよう〜クラゲ脚、その他あの手この手』という本だった。

そんなにも、さっきのマルフォイの言葉が許せなかったのだろうか?

取り敢えず、教科書セットを買ってバッグに入れていると、ハグリッドがハリーを引きずって教科書セットを買わせていた。

 

「僕、どうやってダドリーに呪いをかけたら良いのか調べてたんだよ」

 

「それが悪いとは言わんが、マグルの世界では特別なことがない限り魔法を使っちゃいかんのだ、それにな、呪いなんてお前さんにはまだ早い」

 

ハリーはハグリッドにそう言われて、ゆっくりと歩き出した。

 

「ハリー、ダドリーって?」

私は聞いてみる事にした。

 

「僕が居候している家の子供だよ」

憂鬱そうなハリーの痩せ細った体と、粗末な服装を見るに見てどうやら良い関係ではないと感じた。

 

「そうか」

これ以上聞くのは可哀想だと感じたのでそう返した。

 

その後は魔法薬の大鍋や秤、望遠鏡などを買っていった。

ハリーは誕生日プレゼントとして、真っ白なフクロウを買って貰っていた。

 

そして最後に杖を買いに行く事になった。

その買い物の店は狭く、古そうなみせだった。

剥がれかけている金文字には『オリバンダーの店、紀元前三八ニ年創業』と書いてある。

扉の横のショーウィンドウには、色褪せた紫のクッションに一本の杖が置かれていた。

 

扉をゆっくり開けると、店の奥でベルが鳴った。

 

「凄い量の杖だな」

カウンターの奥には杖が入った箱が天井まで積み上げられていた。

 

「いらっしゃいませ」

柔らかな声が聞こえた。

まるで今現れたかの様に大きな薄い色の目の老人が目の前に立っていた。

 

 

「お待ちしておりましたよ、ハリー・ポッターさん。貴方は実にお母さんと同じ目をしていなさる。あの子がここで最初の杖を買っていったのが、つい昨日のことのようじゃ」

 

ハグリッドと昔話をした後に、オリバンダーはハリーの杖を選び始めた。

杖選びとは杖と魔法使いの相性によるらしく、何回か杖を変えて試していた。

 

「難しい客じゃの、何心配めさるな。必ずピッタリ合う物をお探ししますでな。おぉそうじゃ…滅多にない組み合わせじゃが、この杖はどうかな」

 

まさかと言った様子で一本の杖をハリーに渡す。

その瞬間に私は、今までの何かとは違うと感じた。

ハリーが杖を振ると、赤と金の火花が飛び出した。

 

「不思議じゃ…」

呟く様にオリバンダーはそう言った。

 

「何がそんなに不思議なんですか?」

とハリーが聞いた。

 

「ポッターさん。ワシは自分で売った杖は全て覚えておる。貴方の杖に入っている不死鳥の羽と同じ不死鳥の羽を芯にした杖を兄弟杖と呼ぶが、その杖がその傷を負わせたという…」

それはつまり、『例のあの人』がその兄弟杖を持っていたという事だろう。

 

「貴方はきっと偉大な魔法使いになる…もっとも、『あの人』もある意味では偉大な事をしたのだが…」

 

そう言ってオリバンダーは私の方を見る。

 

「お嬢さんはもしや、アッシュフィールド家の?」

 

「母がそうでした」

 

「やはり、貴女のお母様と同じ髪をしていなさる」

母親も私と同じ金髪だったということか。

 

「杖腕はどちらかな?」

さっきの会話から、利き腕だという事は知っていたので右腕を差し出す。

 

私の腕の寸法を測り終えると、オリバンダーは一つの杖を手渡して来た。

 

「桜に不死鳥の羽、三二センチ」

手に取ってみたが、オリバンダーはすぐに取り上げてしまった。

 

「白樺にドラゴンの琴線、二四センチ」

次は手に取るか取らないかの所で取り上げられてしまった。

 

「ふむ、この手の杖とは相性が悪いようじゃな。どの様な杖が良いか…」

オリバンダーは少し唸ると、カウンターの奥に消えていった。

 

「もしかすると…この杖ならば…」

そう言って持って来た箱はこれまでの杖の箱とは違い、装飾のされていない、真っ白な箱に入っていた。

「楓にヒヒイロカネの柱、三一センチ」

手に取ってみると、体が少し暖かくなった気がした。

 

「この杖は、私の先代が杖の探究の一環として作った杖じゃ、ヒヒイロカネという物は、人の心に感応してその力を引き出すのじゃが、これまでの所有者は魔力のバラつきが出て非常に気まぐれな杖になるのじゃが…」

 

試しに振ってみると、大小沢山の星が杖から飛び出した。

 

「貴女には、とても強い忠誠心を誓っておる、もしや先代の言っておった『共鳴』というものなのかもしれぬな」

 

「共鳴とは何ですか?」

聞いたこともない現象だった。

 

「先代の話によると、杖がその持ち主に忠誠を誓い、尚且つその所有者の精神が、芯と密接に結びついた場合には、たとえ奪われたとしても、その杖の忠誠心は変わらず、貴女にのみ忠誠を捧げる、という仮説を立てておった…お嬢さん、名前は何と?」

 

「マリサ・キリサメです」

 

「マリサさん、この杖は貴女に生涯の忠誠を捧げるじゃろう」

 

そうして私はこの杖を買った、試作品であるが故にお金は取れないと言われたから、ハリーの杖と同じ7ガリオンを払って、店を出た。

 

「みんな、僕のことを特別だと思ってる」

『漏れ鍋』からの帰り道でハリーはポツリとそう言った。

 

「漏れ鍋のみんな、クィレル先生、オリバンダーさんも……でも、僕、魔法のことは何も知らないし、何が僕を有名にしたのかも分からないんだよ、当時のことだってなんにも覚えてない」

 

ハグリッドは優しい笑顔でこう言った。

「心配するな、ハリー。すぐに様子が分かる、誰でも一から始めるんだ、そりゃ、大変なのは分かる、確かにお前さんは選ばれた、だがな、ホグワーツは楽しいところだ……実は今も楽しい」

ハリーを元気付けるのにこれほど良い方法はなかっただろう。

 

そうして私の店の前まで来ると、ハグリッドは封筒を手渡して来た。

 

「ホグワーツ行きの切符だ」

封筒を渡しながらそう言った。

 

「九月一日、キングズ・クロス駅発。細かい事は全部切符に書いてある」

 

「今日は一日中ありがとうございました」

 

「何、ホグワーツの仕事だ、次はホグワーツで会おう」

 

「ハリー、長い付き合いになりそうだ、これからもよろしくな」

 

「そうだね、よろしくマリサ」

 

ハリー達と握手を交わし、二人を見送った後、店に荷物を入れる作業に取り掛かった。




マルフォイ
魔理沙に一目惚れしたフォイさん。

魔理沙
気配りが出来て、他の子より社会経験が豊富なので同年代の子供達よりも精神年齢は高い。

ヒヒイロカネの杖
持ち主の精神に感応する金属であるヒヒイロカネを杖の芯にしているため
並の持ち主が使用すると、精神状態によって魔法力にバラつきが出る、しかし、極稀に杖が持ち主を選び、更に持ち主の精神がヒヒイロカネと共鳴した場合、杖の忠誠心は揺るぎないものになる。
元ネタは魔理沙のミニ八卦炉
ハリーの杖
原作通りの兄弟羽根の杖となっています。
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