私たちを乗せた小舟はゆっくりとホグワーツ城の真下にある崖の中へと入っていく。暗いトンネルを潜ると、船着場が見えた。
「コレ、お前さんのヒキガエルかい?」
全員が岩の上に降り立った後にボートを確認していたハグリッドにより私達が探していたカエルは無事にネビルの元に戻って来た。
私達はハグリッドの持っているランタンを目印に石段を登り始める。
「みんないるな?お前さんはしっかりヒキガエル持っとるな?」
石段を登り終え、大きな樫の扉の前でハグリッドは確認して、その扉を三回叩いた。
その瞬間巨大な扉が少し開き、中からマクゴナガルが姿を表した。
「マクゴナガル先生、一年生の皆さんです」
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かります。一年生の皆さん。私の後についてきてください」
マクゴナガルは一年生を見回した、私と目が合った時に少し止まった様な気もしたが、気のせいだろう。
一年生はマクゴナガルに先導され、玄関ホールの脇にある小部屋に入った。
「一年生の皆さん、ホグワーツ入学おめでとう」
マクゴナガルは部屋全体を見渡しながら挨拶をする。
「貴方たちの歓迎会がまもなく始まりますが、その前にどこの席に座るか、どこの寮に入るかを決めなくてはなりません。寮の組み分けは非常に大切な儀式であり、入った寮の寮生が皆さんの家族の様なものであり、寝食を共にする大切な家族。グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンの四つの寮があります。それぞれ輝かしい歴史を持ち、偉大な魔女や魔法使いが卒業しました。どの寮になったとしても皆さんの誇りとなるでしょう」
「まもなく全校生徒の前で組み分けの儀式が始まります。身なりを整えておくように」
マクゴナガルが出ていった後、一年生達は近くの人と声を抑えて話し合った。
「いったいどうやって寮を決めるんだろう」
ハリーがロンに尋ねた。
「試験のようなものだと思う。凄く痛いってフレッドは言ってたけど、きっと冗談だ」
「試験か…全校生徒の前でやる様なものだからそんなに危険じゃないんじゃないか?」
「確かに…マリサはどんな試験だと思う?」
「学力ではなさそうだし…面接とかじゃないか?」
私はチラリとアリスを見た。アリスもこちらの考えに気づいたようで、肩をすくめた。
「魔法関係の試験じゃないのかもな」
アリスの反応を見てそう考えた。
「どうして?」
「魔法使いでも知らない生徒がこんなにもいるんだ、魔法を使った試験なら、最初の封筒に書いてありそうじゃないか?」
ハリーの問いにそう答えた私は、ネビルと一緒に来ていた少女を見た。
彼女は今まで覚えたのであろう呪文を早口で呟いていた。
「アレでもあの子、マグル生まれなんだって、手紙が来るまで魔法使いだとは知らなかったんだとさ」
彼女も魔法使いの家の生まれなのだろうなと思っていたからコレにはかなり驚いた。
「マリサは?何か勉強して来たの?」
「教科書を読む程度だ、魔法は失敗した時が怖かったから」
もし魔法を失敗して部屋が吹き飛んだらと思うと怖くて杖を振ろうとすら思わなかった。
「まもなく組み分けが始まります。一列になってついてきてください」
マクゴナガルが戻ってきて、私達一年生は一列になり、再び玄関ホールを横切り、二重扉を開いて大広間に入った。
大広間はとても不思議な空間だった。何千本もの蝋燭が宙に浮かび、四つの長机を照らしている。既に机には上級生が座っており、一年生達を見つめていた。天井には吸い込まれる様な黒い空に星が輝いていた。上座には職員のテーブルがあり、私達はそちらに背を向ける形で整列した。
マクゴナガルが私達の前に椅子を一つ置く。そこに一つのボロボロの帽子を置いた。すると帽子がピクリと動き、帽子が裂け目を口のように開いて、歌い始めた。
歌を要約すると、帽子を被ると帽子が自分に相応しい寮を選んでくれる。
勇気があり騎士道精神溢れる者の集うグリフィンドール、勤勉を友とするハッフルパフ、知識を求めるレイブンクロー、如何なる手段を使っても目的を遂行するスリザリン、試験というより面接のようなものだと思っていたが、まさか帽子と面接することになるなんて思わなかった。
「僕達はただ帽子を被れば良いだけなんだ!フレッドめ、トロールと戦えなんて言ったくせに」
ロンは兄に騙されたことに憤慨していた。
マクゴナガルが羊皮紙の巻物を手にして前に出た。
「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子を被り、組み分けを受けてください」
「アボット・ハンナ」
マクゴナガルに呼ばれて金髪のおさげの少女が少々転びそうになりながら椅子に座る、恐る恐る帽子を被ると、一瞬の沈黙の後、帽子は大声で宣言する。
「ハッフルパフ!」
ハッフルパフの机から歓声が上がった。
「ボーンズ・スーザン」
「ハッフルパフ!」
「ブート・テリー」
「レイブンクロー!」
次々と寮が決まり宣言された寮からは歓声が上がった。
先程列車の中でロンと喧嘩していた少女(ハーマイオニーというらしい)は少し考え込むような沈黙の後にグリフィンドールと叫んだ。
「キリサメ・マリサ」
マクゴナガルに名前を呼ばれて、私は椅子の前まで移動する。
そしてその椅子に置かれた組分け帽子を取る。
触ってみると、見た目よりも更に古い物であるという事を感じた。
椅子に座って組み分け帽子を被る。生徒の目が私一人に向けられるのを感じながら、私は目を閉じた。
『ほう、アッシュフィールドの直系か…まだあの家の子供がいたとはな。知を求める貪欲さ…現実を直視できる強かさ…そして奥底に眠る努力。難しい…非常に難しい』
頭に直接低い声が響く感覚に少し驚いたが、組分け帽子の最初の言葉が少し引っかかる。
(直系?古い家なのか?…アッシュフィールド家、一体何者だ?)
『フーム…他者を思いやれる優しさもある。やはりハッフルパフか』
どんどん私の顔が赤くなっている様な気がする。こんな事を言われる事がなかったのでとてもくすぐったい様なそんな気持ちだ。
『ハッフルパフに入れば君は偉大になれるとしても?』
組分け帽子がそう誘惑してくる。
『偉大な魔法使いよりも、人を助けられる魔法使いの方が良い』
偉大なだけで無益な人間よりも、実際に力になれる人間の方が立派だと思っている。
「フム、現実的な考え方だ…ならば、グリフィンドール!」
帽子がそう叫ぶと割れんばかりの拍手がグリフィンドールのテーブルから鳴り響いた。
「アリス・マーガトロイド」
帽子は2分ばかり考えた結果。
「グリフィンドール!」
アリスは私の向かい側の椅子に座った。
「ハリー・ポッター」
ハリーの名が読み上げられると、生徒達は一斉に話すのを止め、全員がハリーを一目見ようと首を伸ばしていた。
組分け帽子が何かを聞く様に裂け目を動かしていた後。
「グリフィンドール!」
その瞬間、今までで一番大きな歓声がテーブルから起こった。
ハリーはヨロヨロと私の隣に座った。
その後、ロンも無事にグリフィンドールに組分けられた。
ロンはハリーの隣に腰掛けた。
組分けを見ていると、人によって帽子の考える長さが極端だと感じた。
私やハリーみたいに少し時間のかかる生徒もいれば、ロンやマルフォイの様に帽子を被った瞬間には寮の名が叫ばれる生徒もいた。
その後最後の組分け(ザビニ・ブレーズ、結果スリザリン)が終わり、上座の中央に座っていた、老人が立ち上がる。恐らく彼がこのホグワーツの校長、アルバス・ダンブルドアだろう。おおかた校長の祝辞と言ったところだろうか、この手の話は長いだろうな、と思って身構えていると。
「新入生の諸君、入学おめでとう。在校生の諸君、久しぶりじゃ。歓迎会を始める前に、わしから言うことはこれだけじゃ。それ、わっしょい、こらしょい、どっこらしょい! 以上じゃ」
…想像以上に短かった。
「凄い…不思議な方なんだな?校長先生って」
「確かに少しおかしな人だね…」
「おかしいだって?」
ロンの隣に座っていた監督生…確かパーシーとか言う人が聞き返した。
「あの人は天才さ!世界一の魔法使いだ!…でも少しおかしいかな?うん君、何か食べるかい?」
パーシーにそう言われて、私はさっきまで空だった大皿が食べ物で一杯にらなっている事に気づいた。
「それにしても組分け困難者が出るなんて…何年ぶりかしら?」
向かいに座っていたアリスが、ステーキを切り分けながらそう呟いた。
「組分け困難者?」
私はローストチキンを切り分けながら聞き返した。
「別名ハットストール。組分け帽子が5分以上組分けしなかった新入生の事をそう呼ぶのよ」
「珍しいのですか?」
ハリーも気になっていた様でアリスに質問していた。
「珍しいですよ」
アリスの代わりに隣にいたゴーストがそう答えた。
「ここ数十年間、一度もなかった事です。最近ではハットストールという単語自体、覚えている生徒はかなり少ないでしょう」
「そう言えば自己紹介がまだでしたな、私は___」
「僕、君のこと知ってる!ほとんど《首無しニックだ!》」
そのゴーストの自己紹介を遮ってロンが突然口を挟んだ。
「ほとんど首無し?」
ハリーが不思議そうにゴーストに尋ねる。
ゴースト…ニックは会話の主導権を握れなかった事が気に障った様だ。
「ほら、この通り」
ニックは自分の左耳を掴んで引っ張った。するとその頭が外れて横に落ちる、どうやら首の皮一枚で胴体と繋がっている様だ。
その後、先程と同じ様に皿から料理が消え、校長先生のお知らせというか諸注意があった。
要約すると。
禁じられた森への侵入は文字通り禁止であること。
授業の合間に廊下で呪文を使わないこと。
そして最後にこう締め括った。
「最後に、とても痛い死に方をしたくない者は、今年いっぱい、四階の右側の廊下には入らぬことじゃ」
最後の学校にはおおよそ似つかわしくない言葉に少しゾッとした。一体何があるのだろうか?
「流石に冗談ですよね?」
私はパーシーに向かって呟いた。
「多分本当なんだと思う、でも変だな、立ち入り禁止の場所がある時はその理由も説明するはずなのに…」
パーシーの様子を見るに本当の様だ。
「では、寝る前に校歌を歌いましょうぞ!」
校長先生が声を張り上げると、先生達の顔が一気に強張った。
校長先生が指揮者の様に杖を振ると、金のリボンが杖から出て、テーブルの上に歌詞を作った。
「ではみんな好きなメロディーで。では、さん、はい!」
全員が好きな曲調で空中に表示された歌詞を歌い始める。
私も有名な民謡のリズムで歌詞を歌い切る。
最後、双子のウィーズリー兄弟が歌い終わると校長先生は大きな拍手をした。
「あぁ、音楽は何にも勝る魔法じゃ、さぁ諸君、就寝時間じゃ、駆け足!」
グリフィンドールの一年生は監督生であるパーシーに続いて大理石の階段を上がる。
「意外だったな、アリスがグリフィンドールだなんて」
「私も正直驚いているわ、お母様達はみんなレイブンクローだったから」
廊下にある絵画が指を指したり、手を振ってくるのを見ながら、パーシーについて行った。
しばらく歩くと、パーシーは廊下の突き当りにある一つの婦人の肖像画の前で立ち止まる。
「合言葉は?」
婦人がパーシーに問いかける。
「カプート ドラコニス」
パーシーが答えると肖像画は前に倒れた。肖像画の奥には丸い穴が開いていた。
一年生達は一人ずつ穴に入っていった。私とアリスの二人がかりでネビルの手を引き、穴に引き込むと、そこには円形の部屋が広がっていた。
部屋には座り心地の良さそうな肘掛け椅子が並んでいて、とても居心地が良さそうだ。
パーシーの指示で私達は男女それぞれの扉から寮に入る。おそらく外から見た塔の一つだろう。螺旋階段を登り、最上階の部屋の扉を開ける。
そこには真紅のカーテンがかかった、4本柱の天蓋付きのベッドが五つ並び、その一つに私のトランクがあった。
「どうやら長い付き合いになりそうね」
アリスの荷物は私のベッドの隣にあった。
「そうだな、改めてよろしく頼む」
そう言って私は手を差し出す。
「えぇ、よろしく」
「貴方達も同じ同じ部屋だったのね」
私達が荷物を片付けていると声がした。
振り返ると列車の中でネビルと一緒にいた少女、ハーマイオニーが声をかけてきた様だ。
「あぁ、これからよろしくな」
「よろしく」
私達はそれぞれ挨拶を返す。
その後、二人のルームメイトが来た。
それぞれラベンダー・ブラウンとパーバティ・パチルという、パーバティの妹のパドマはレイブンクローに組分けされたそうだ。
「今まで一緒だったのに、寂しくないのか?」
「まさか、双子の呪いにかけられたみたいに全く同じなのに、寮まで一緒だったら見分けがつかないわ、でもこれで見分けがつくでしょ?」
確かに二人とも同じ様な容姿だから、見分けがつかなかったかも知れない、現に彼方が名乗らなかったら間違えていたかも。
ラベンダーの方は流行りの分かる女の子という感じだ。最も、魔法使いのという注釈がつくけど。ファッションとか聞いてみても良いのかも知れない。
お互いがそれぞれ挨拶を終えると、荷物の少ない人間から順に寝巻きに着替えて就寝した。
私もベッド下の収納に荷物を入れ終わるとお気に入りの寝巻きを着て、ベッドに潜る。まだハーマイオニーは本を収納していたが、眠気が溜まっていたのか私は簡単に意識を手放せた。
組分け困難者
別名ハットストール、組分けに5分以上かかった人間の事を指す。既知のハットストールはマクゴナガル副校長とワームテールことペティグリューが挙げられる。
魔理沙の素質
スリザリン以外の全適性がある、レイブンクローに相応しい知識への貪欲さ、ハッフルパフに相応しい勤勉な努力家であるところ、グリフィンドールに相応しい理由は他人の為に力を使えること。帽子的にはハッフルパフかグリフィンドールの二つで迷っていたが、最終的にはグリフィンドールに選ばれた。
ルームメイト
女子寮の人数が不明なのでハリー達と同じ5人部屋にしました。
アリスの組分け(舞台裏)
組分け帽子(私)としてはレイブンクローにしようとも考えたのですが、友人A氏曰く…「キマシタワーを作る為には必要な行程だ」
B氏「マリアリは俺のジャスティス」
等、意味不明な供述をしており…
結果
組分け帽子(私)「まぁ…確かにこの二人が一緒だとストーリー改変も簡単かも知れん、ならばグリフィンドール!」
という事になった次第にございます。お
《ファッションとか聞いてみても良いのかも知れない》
魔理沙も女の子です、やっぱりお洒落はしてみたい年頃ですよね。