夜空に輝く星の魔法   作:雪色ココア

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新生活と不思議な魔法

『私もお母様の様になりたい!』

 金髪の少女と男が机を挟んで口論をしていた。

 

『お前には無理な話だ、お前は母親とは違うのだから』

 

『私だってやれるんだ!』

 初めて不思議なこと(魔法)が起こせた日だった。

 

『…もう、私に娘はいない』

 男は冷たい瞳で少女を見下ろした。

 

「ッ!?」

 私は布団を跳ね飛ばした。

 

「ハハッ…随分と懐かしい夢だな」

 母親が死んで一週間後のことだった。

 父親の言葉の悲しみとショックで家から逃げ出した。

 悲しみを具現化した様な土砂降りの雨の中どこに行くでもなく、ひたすらに家から遠ざかった。

 

 大方、初めての事や不思議な事で興奮していたから夢を見たのだろう。

 そう考えながら私は顔を洗いに行くためにベッドから降りた。

 

「あれ?おかしいな」

 つけていたクォーツ式腕時計が動いていなかったのだ。

 ホグワーツに来る前にメンテナンスもしっかりして貰ったし、何よりも日本製だ。だから時計の問題では無いと思う。

 

「おはよう、マリサ」

 振り返るとそこにはアリスがいた。

 

「おはよう、アリスも早起きだな」

 

「まぁ、いつもこの時間に起きているから、勝手に目が覚めるのよ。それより、どうしたの?そんな顔して」

 

 私が不思議な顔をしていたのだろう、アリスが聞いて来た。

 

「いつも使っている時計が動かないんだよ」

 

「そう言えばこの城、マグル製品が使えない様に保護呪文がかけられていると聞いた事があるわ」

 

「腕時計は買い換える必要がありそうだな」

魔法界でも使える時計ならダイアゴン横丁とかで探してみるべきだろうか?

 

 そうしているうちに朝食の時間になった。

 アリスと一緒に女子寮から出ると、同じタイミングでハリーとロンが一緒に出て来た。どうやら彼等も同じ部屋だった様だ。

 

「おはよう、ハリー、ロン」

 

「あぁ…おはよう、マリサ、アリス」

 ハリーは少し寝ぼけているし、ロンはネクタイが曲がっていた。

 

「ロン、ネクタイが曲がっているぞ?」

 私は少し背伸びをして、ロンのネクタイを直した。

 

「あっ!ありがとうマリサ」

 顔を真っ赤にしながらロンは礼を言った。

 

 4人で朝食を食べた後は、大広間でそのまま授業の受け方や生活の仕方を覚えて、その後から授業が始まるらしい。

 

 

 

 

 ホグワーツでの生活は大変だ。

 142の個性豊かな(?)階段や扉に、動く肖像画等、覚えるまでは中々教室に辿り着くのもやっとのことだった。

 

 授業に関しては、座学が多い、杖を振って言葉を唱えるだけでは無いと言う事は承知していたが、殆どの授業は座学と実習で、水曜日の夜には望遠鏡を覗き星や惑星を学び、週三回、温室で不思議な植物を学んだ。

 

 退屈な授業は「魔法史」でレコーダーから再生された様な一本調子な声に睡魔と戦いながらノートを書かなくてはいけなかった。

(時々、ハリー達から見せて欲しいとせがまれるから大変だった)

 

 杖を振る授業としては「闇の魔術に対する防衛術」は肩透かしを食らった。授業は座学が大半で、教室はニンニクの匂いが強く、担当のクィレル先生がルーマニアで吸血鬼に襲われた時のトラウマからニンニクをターバンに入れているとか噂されていた。

 

 逆に杖を振るのが主な授業としては「変身術」が挙げられる。

 

 変身術の担当はマクゴナガルだった。

 

「変身術はこの学校で学ぶ魔法の中では最も複雑で危険なものの一つです。いいかげんな態度で私の授業を受ける者は教室から出て行ってもらいますし、勿論、二度と教室に入れる事はありません」

 

 マクゴナガルはいつもの厳しい口調で生徒にそう釘を刺した。

 

 それから教卓を豚に変化させて、元に戻した。

 非生物を生物に変化させられるとは思わなかった。魔法とは不思議なものだと改めて実感した。

 

初めは小さな物からと言う事、マッチ棒を針に変える所から始めるらしい。

 

 マクゴナガルは理論や仕組みを黒板に書きながら適宜解説をする。

 私は全てを羊皮紙に速記しながら、論理を読み解く。

 どうしてだろうか、見たこともない方程式のはずなのに、どこか見覚えのある形をしている。

 

 そうして私達にマッチ棒が配られる。

 

「コンバードル」

 杖を向けて言葉に出してみたが、やはりマッチ棒は変化しない。

 

 他の生徒達も呪文を唱えながら四苦八苦していた。

 

 やっぱり、仕組みを理解しないと出来ないんだろうか?

 

「コンバードル!」

 頭の中に方程式を浮かべながら、私は呪文を唱えた。

 すると、体の中心から、腕にかけてを何か暖かいものが通っていく感覚と共に杖から閃光が出た。

 

 すると、マッチは見事な銀の縫い針に変形していた。

 

「凄い!どうやってやったの?」

 ハリーが驚いた様に目を見開いて聞いた。

 

「あの方程式を頭に浮かべたんだ」

 そう言って私は黒板の方程式を指差した。

 

「マリサは私達(普通の魔法使い)とは少し違うやり方なのね」

 アリスは不思議なものを見る目で私を見た。

 

「え?こうやるんじゃないのか?」

 

「なんて言うのかしら…普通の場合は魔法をかける対象をどう変化させるかとか、考える方法が一般的なんだけど…方程式を使ったやり方は初めて見たわ」

 アリスの針は先端がまだ赤色のままだった。

 

「僕のなんかピクリとも動かないよ」

 ハリーは落胆した様に言った。

 

「僕もだよ」

 ロンも同じ様に落胆した声で肩を落としていた。

 

「私もアリスの言う方法でやってみようと思う」

 私はマッチ棒が針に変化する所を頭に浮かべながら、呪文を唱える。

 

 先程と同じ様に閃光が走ったが、針は木製のままだった。

 

「どうやって木を銀に変化させるんだ?」

 素材の変化だけはイマイチ想像がつかなかった。

 

「少しずつ銀に染まる感覚で考えてみたらどうかしら?」

 アリスの針は既に銀色の縫い針に変形していた。

 

「やってみるか」

 二度目の閃光が走った後には、私のマッチ棒も銀の縫い針に変形していた。

 

「やった!」

 

「凄いわ、マリサ」

 

「僕にも教えてくれない?」

 

 今日の授業でマッチ棒を完全に変化させることができたのは私、アリス、そしてハーマイオニーだけだった。

 

 ハリーは私と同じ様に針が木製で、ロンは銀色のマッチ棒に変形していた。

 

 マクゴナガルはハーマイオニーの変化させた縫い針がいかに銀色でいかに尖っているかを褒め称えた。

 

「何でマリサやアリスのには何も言わないんだ!?」

 授業終わりにロンが憤慨した。

 

「まぁ、ハーマイオニーの奴が一番近かった、それだけだろ?」

 私にはロンはハーマイオニーの事が気に入らない様に見えた。

 

 入学から数日が後の金曜日の朝の大広間

 

「なぁ、今日の授業って合同だったよな?」

 

「えぇ、スリザリンと魔法薬学の」

 スリザリンと答えた瞬間にハリーとロンの目が険しくなった。

 

「担当のスネイプはスリザリンの寮監だ。いつもスリザリンを贔屓するってみんなが言ってる、真偽は今日分かるさ」

 ロンが憂鬱そうにそう言った。

 

 ロンの言葉が終わると同時に、郵便が届き始めた。

 最初の日は随分と驚いたが、最近ではもうすっかり慣れたものだ。

 

 生徒達の元に小包や手紙が落とされていった。

 そのうちの白いフクロウが一匹こちらに向かってくる。

 そのままハリーの膝の上に手紙を落とした。

 

 「誰からだろう?」

 

 ハリーは興奮を抑えきれない様子で慌てて封を破った。

 そして手紙を取り出し読むと、自分のカバンを漁り始めた。

 

「誰か何か書くもの持ってない?」

 

「私ので良いなら」

 私は愛用しているCS社の万年筆を貸した。

 

ハリーは手紙の裏に返事を書くと、白いフクロウに持たせた。

 

「ハグリッドが今日の午後にお茶しないかって」

 

「確かに今日の午後は授業が入ってないからな」

 

「ロン達も一緒にハグリッドのところに行かない?」

 

「私は行くが、二人はどうする?」

 

「勿論僕は行くよ」

 

「私も行くわ」

 

 全員がハリーの誘いを受けると、ハリーは嬉しそうに笑った。

 それにしても魔法薬学か…面白そうだ。

 

 魔法薬学の教室は地下牢にあり、上の教室に比べて少し室温は低かった。

 壁には所狭しとアルコール漬けの動物の入ったガラス瓶が並べてあり少し気味が悪かった。

 

 スナイプは出席を取る時にハリーに嫌味を言っていた。

 どうしてなのかは分からないが、私にはハリーを憎んでいる様に感じる。

 

「この授業では魔法薬調剤の厳密な化学と絶妙な芸術を学ぶ」

 呟く様な小さな声だったが、その声を聞き逃す事はなかった。

 

「この授業では杖を振り回すような愚かしい真似はやらん。それでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。ふつふつと沸く大釜、立ち上る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力……心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力。諸君がこの見事な真理を理解することは期待しておらん。私が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である。ただし、私がこれまで教えてきたウスノロたちより諸君がまだマシであれば、の話になるが」

 

 静かだった地下牢がより静まり返った。

 初めの演説としてはこれ以上効果的なものは無いだろう。

 

「ポッター!」

 いきなりスナイプはハリーの名前を呼んだ。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になる?」

 

 ハリーとロンが顔を見合わせていた。

 どうやら答えを知らない様だ。

 

「わかりません」

 

 ハリーは素直にそう答える。

 スネイプはその様子をせせら笑う。

 

「チッチッチッ、有名なだけではどうにもならんらしい」

 

 因みにこの間ずっとハーマイオニーは手を挙げていた。

 

「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいと言われたらどこを探すかね?」

 

 ハーマイオニーは更に高く手を挙げる。

 だが、聞かれているのはハリーだ。

 ハリーは表情を暗くしながら先程と同じ答えを口にした。

 

「クラスに来るまでに教科書を一度も開かなかったのかね? ポッター、ええ?」

 

 

 

「ふむ…ならばミス・キリサメ、君に質問だ。モンクスフードとウルフスベーンの違いは何か?」

 

 なるほどな、演説(・・)は此処が肝なのか。

 要は此処で素質のある無しを判断しているのだろう。

 才能では無く、咄嗟の機転と柔軟な思考がこの授業では求められているのだろう。

 単純な知識だけではなく、経験と思考力を問うているのだ。

 

 正解は分からないが、減点されるとは思えなかった。

 

「…アコニツムで正解ですか?」

 アコニツム、トリカブトの学名であり、スネイプの質問の二つはトリカブトの別名である。

 

「成る程…」

 スネイプは少し目を見開いた。

 

「教えてやろうポッター。アスフォデルとニガヨモギを合わせると眠り薬となる。この薬はあまりに強力なため、『生ける屍の水薬』と言われている。ベゾアール石は山羊の胃から取り出す石で、大抵の薬に対する解毒剤となる。モンクスフードとウルフスベーンはアコナイト、学名ではアコニツムとも言うが、トリカブトな事だ。さて諸君? 吾輩の言った内容を全てノートに書き取れ」

 

 ペンと紙を取り出す音と共にスネイプは言った。

「本来、ミス・キリサメ1点与えるべきだろうが、先程のポッターの無礼な態度の為に取り消さざるを得んな」

 

 得点出来るとは思っていなかったのでコレには少し驚いた。

 私はハリーの申し訳なさそうな視線を浴びながら、ノートにメモをとった。




日本製の時計
多分カ◯オ製だと思う(作者の愛用品)

ロンのネクタイを直すくだり
魔理ちゃんは男に関する知識が無いと良いなと思った作者の心のままに筆を進めた結果がコレです。

マッチを針にする魔法
呪文が無かったので作者の造語です
conversion(変換)+needle(針)をたして
コンバージョン+ニードル=コンバードル
と言うことです。

変身術のやり方
私の完全に考察です。

魔理沙の魔法
此処、よく覚えておいてください。※今後の大切な部分
(全て私の完全な考察です)
ハリー達が使う魔法は効果や威力を想像して、それを杖(媒体)を通して魔法を発現する、(通称 想像魔法型。想像力が肝なので、無言呪文が可能であるという事、ただ触媒を変えたりすると魔法の効果が落ちる)

魔理沙の魔法は方程式を一種のソースコードとした魔法の発現方法ということにしてあります。(通常 術式型。方程式と詠唱が必須の為、無言呪文が不可能である。しかし、上手に応用すれば、杖以外の媒体でも杖と同じ程度の威力を保ったまま魔術が使用できるという事になります。)

因みに魔理沙はこの二つを両方とも使用出来ます。

妖精の呪文
1〜2年生は妖精の呪文、3年生から呪文学と名称が変わる教科。算数が数学に変わる様なもの。

CS社の万年筆
作者の愛用しているコ◯ウェイ・スチュ◯ート社の万年筆
魔理ちゃんの育ちの良さを表したかった。

トリカブトの学名
ハリーがこんなこと言おうものなら10点は確実に減点されるが、魔理沙をとある人と重ねたスネイプはコレに1点を与えた。
真相はハリーの減点のためでもあるのだが。
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