デカくて強い女が無双する話 〜竜の罪、歩き破戒巫女〜   作:Suzuki-Romy

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変異

 やはりといういうか。、シロは律儀にも待っていた。

 

 

「リアンヌ様、お待ちしておりました」

 

 

 勝手に待っていたのに罪悪感をくすぐってくる。

 私がデカいからか、シロが小柄だからなのか、キラキラとした目で見上げてくるのだ。忍者なんだし面を下げていればいいのに。

 

 

「皇都に向かう」

 

 

 だからなのかつい行き先を告げてしまう。

 いやこれは仲間に連絡をさせて歓待して貰うためだ。私は皇国の客人であるし、仮に害されようとも跳ね除ける自信がある。

 

 こうして常人の倍以上のペースで旅が始まった。

 道中は標的の縮尺を測り間違えた賊を討ち、勘の鈍い獣を狩り過ごした。

 

 そして皇都への道程の半ばを少し越えたあたりの山中、私は悲鳴を捉えた。

 

 文字通りの全速力で駆け抜けた先には化け物と倒れた家畜、そして腰を抜かした男がいた。

 

 化け物は家畜を食むのをやめてこちらを見据えるとすぐに戦闘体勢へと変わる。

 

 

「あんたら、にげろ! スクナは化け物なんだ。それが更に化け物になって帰ってきやがった、勝てっこねぇ!」

 

 

 腰を抜かしたまま、男がそのように悲鳴のように叫ぶ。

 スクナとやらはこの化け物の名前か。

 

 化け物は背丈が私を超える4mはあるのではないだろうか。しかも腕は2対4本。しかし良く見ればボロのようなものをまとっている。

 

 これはおそらく魔力による変異に失敗した人間だ。

 知性やら理性やらを落っことしたのだろう。よだれををダラダラと垂らしながら唸り声をあげている。

 

 魔力による変異の失敗はそれなりにあると私は考えている。人間でない動物だが、火を起こして酸欠に至るものや肥大化した角や牙、今までなかった羽をうまく扱えずにいるものを見かけたことがある。

 

 おそらく、人間にしては大きな変異の代償があったのだ。

 

 問題はどこまで知性が落ちているかだ。人の技を使ってくるならかなり強い。獣が如き知恵と力押しならば────

 

 スクナなる化け物は迂闊に間合いに入ったばかりに爆風に押し出された巨獣狩りの薙刀に裂かれた。

 

 魔力による強度の底上げも大したことなし、魔力量の割に弱い。

 

 裂かれたことで怖気づいた化け物は逃げ出す。

 当然だが追う。生かしておいて良いことがない。シロも追ってくる。

 

 逃げ出した先は山の中での高魔力地帯だった。

 

 だからだろう、私は反転し避けた。

 

 しかし化け物は私に追われていたことで鈍っていたのか大顎に喰らい付かれる。

 

 それは毒顎。小山を一巻きするような大百足だった。

 

 化け物は必死に抵抗しているが駄目そうである。魔力量では負けていても魔力の密度では優っているのだからやりようはあるはずだが一矢も報いることが出来なさそうだった。

 

 しかし問題は大百足だ。

 元々数が多い虫は変異も多いが、天敵が多く、ここまで大きくなるまでに食われる。残しておいてはどこまで大きくなるのかさっぱりわからない。ここで討つべきだ。

 

 変に化け物を討ち漏らすことを避けるためにタイミングを図る。

 

 そして私は対巨獣を見据えた薙刀を大百足の頭部を落とすように飛び上がり魔法の爆発の勢いに重力を加えて振り下ろした。

 

 魔力の強化があったところで強化ごとぶち割る一撃、そして私の魔力はやつの魔力の表層を割いていた。

 

 慢心。

 

 事実やつの甲殻は割れていた。

 しかし手応えが違った。

 

 割れた甲殻が剥がれると真新しい甲殻が凹んだ状態で出てくる。そして割れた断面と真新しい甲殻には金属光沢。

 

 鎧。

 

 意図的なのか偶然なのかやつは鎧をまとっていた。それも金属質の。

 

 通常魔力の変異は巨大化、角や棘の肥大化や新たに生えることが多い。そして稀に火を扱ったり、雷を扱ったりするものが現れたりする。また火を扱う変異個体が現れるのは過去山火事があったところという情報があった。

 

 以上のことから魔力の変異には経験ないし知識が関わってくると私は推測している。

 

 だからこそ、視力もろくにない百足が金属をまとっていた事実に私は驚きを禁じえなかった。

 

 そしてそのままやつの体に跳ね飛ばされた。

 魔法によるガードが甘く、モロにダメージが入っていた。

 

 そして感じる気配ではこのまま追撃に掛かってきている。さっきの一撃で驚き逃げてくれればいいものを。魔力変異個体はこれだから厄介なのだ。

 

 私は自身の決めた略称も忘れてキレていた。

 

 もうどうでも良かった。

 

 そもそも虫はグロテスクで嫌いなのだ。近づきたくもない。

 

 ────奥の手を切る。

 

 

 我が身に植められた「竜の心臓」を起動する。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 わっちは見た。

 助けに入ろうとした際、強く吹き付けた風に跳ね飛ばされる中。

 

 白い無機質な肉がリアンヌ殿を包み、直後に大百足の顎が襲った。

 

 体勢を立て直し見れば、大百足が白い肉の塊のようなものを加えている。

 

 そしてその肉の塊は徐々に大きくなり、大百足はたまらず放り出した。

 

 私はその時、大百足から目を外して白い肉塊に目を奪われていた。

 

 瞬く間に骨が生えて、肉が覆い皮が張る。

 そして輝く宝石が如き白い半透明の鱗が覆っていく。

 

 わっちはは再会したのだ。

 

 ────白竜様と。

 




なろう系ウルト⚪︎マン
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