令和ぬ〜べ〜短編集   作:ウルトラオタク

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1話と2話における美樹の視点から、
こんなやりとりがあったらな〜という
妄想です。

え?今更?な気もしますがよろしければどうぞ!!


クラスメートの想いー彼らが先生をぬ〜べ〜と呼ぶ前のお話ー

美樹「ちょっ……ちょっと教師に殴りかかるって……」

 

学年が上がり、5年生になった新学期の1日目。

 

あたし・細川美樹の担任になった鵺野先生の除霊……という名のはったりを見ていた時に、事件は起こった。

 

始業式の時に見かけたヘンテコな眉毛だけど結構男前な顔つきの鵺野鳴介先生は昔、親友の郷子の近所に住んでいたという。

 

どんな人かと聞いたら第一声で優しい人と言っていたのだが、不思議な力で除霊をしてもらったと何やら言いづらそうにしながらも伝えてきた。

 

このご時世に除霊なんて古臭いと言うか時代遅れというか、とにかく胡散臭い印象で鼻で笑ったものだ。

 

しかも、郷子がそう言った後で廊下の電気が消えたと思えばドライアイス?とか、スマホのお経とか、火の玉(!)とか、物凄く凝った小道具を使ってアニメで言うところの霊能力者とでも言うのかな?それっぽい演出をしながら鵺野先生は現れた。

 

物凄い異様な雰囲気で登場したと思えば昔とても人気と聴いたアニソンのメロディーが流れて、お経の後の雰囲気がぶち壊しになったと思えば自分の用意した火の玉で燃え上がったりと、その時点で私の中でこの教師は鈍臭い変人認定された。

 

その後、からかいも込めて不思議な力を見せろと言って目玉が動く絵画に塩を投げてお清め?を始めるわ、怖がりの律子先生に逃げられるわと散々な目に遭うのだが、ここまでノリノリで茶番に付き合ってくれる鵺野先生は間抜けながらもこれまでの先生とは違うタイプなのでこれはこれで面白そうだなと思うようになった。

 

………ここまでは良かったのだが、その後で先に言った事件は起こった。

 

なんと、クラスメートの広が鵺野先生のなんちゃって除霊や経文(だっけ?)を見て怒り出したかと思えば先生に向かって殴りかかったのだ。

 

広は郷子、克也、まことと共に入学当時から私とつるんでる友達の一人で、お調子者なサッカーバカながらも明るくてノリのいい奴だった。

 

ところが、最近人が変わったように無口になり、かと思えば話しかけただけで睨みつけるわ怒鳴りかかるわ感じの悪い雰囲気となった。

 

今日も不機嫌そうに教室の端っこに一人座っていて、克也やまことも話しかけにくい雰囲気を醸し出していた。

 

私は克也あたりと喧嘩してるのかと思ったが、おかしくなったのはあいつの方らしい。

 

どうせ何か腹の立つことでもあって不機嫌なだけだろうと対して気にしなかったのだが、まさか担任に暴力を振るうとは思わないのであたしもドン引いたものだ。

 

そして、後に聞いた話だが放課後のサッカーの練習中に、とうとうチームメイトを殴って謹慎を受けたのだと言う。

 

そこまで豹変すると私も流石に怖いと思うので夜の帰りに見かけても関わらないつもりだった。

 

気になったのは、郷子が広に声をかけようとした時に何やら異様な雰囲気で沈黙したことだけど………

 

まさか次の日にあんなことになるなんて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきから何度も名前を出している郷子は私の親友で、一言で言うと『気が強いけど何かと世話を焼くお人好し』な奴だ。

 

私、広、克也、まこと、そして郷子の5人は入学当初からの付き合いで、いつも何かとつるんでいる腐れ縁だ。

 

長い髪をツインテールにしているぺったんこな奴(え?小学生だとそれが普通?まあ、私と比べたらそうなるけどね♪)で、そこそこ真面目な奴。

 

私が何かを話す度に何かと注意したり、呆れた視線を向けてくるが不思議と気が合い、今では学校の中で一番の友達になった。

 

ずっと一緒にいてわかるのだが、郷子は本当に人が良いというか、お節介というか、クラスメートの誰かが困っていると何かと気にかけて相談に乗ることが多い。その様子を見る度にお母さんみたいな奴、と揶揄ったこともあった。

 

そして今回も、怒りやすくなり暴力事件を起こした広をクラスで唯一話しかけるなど気遣っていた。

 

知り合いが豹変すると声を掛けづらいものなのに、いつもと変わらずに接することができるのは相変わらずと言うかなんと言うか………

 

でも郷子は広と仲が良く、何かと痴話喧嘩じみたじゃれあいをする仲だ。

 

長い付き合いのあたし達は揃って『爆発しろ』と思いつつも2人の仲を見てきたので、郷子になら広も乱暴なことはしないだろうと心のどこかで思っていた。

 

なのに、あんなことになるなんて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美樹「郷子………!!郷子しっかり……!!

 

ち……血が出てる…!!」

 

次の日、鵺野先生がタブレットの扱いに難儀していた時に、突然広が怒り始めた。

 

只事ではないと気遣った郷子が声をかけると、広は突然郷子に手を出したのだ。

 

まさか、広が郷子を突き飛ばすとは思わなかったので私も驚いた。

 

郷子が倒れた方から大きな音がしたからまさかと思い駆け寄ったら、赤い水溜りが床に広がっていた。

 

郷子が怪我をしたことで教室は大パニック。まことはいきなりの状況に腰を抜かしているし、克也は他のみんなと一緒に保健室へ行って氷を取りに行くと叫んでいた。

 

そして当の広は自分の手を見ながら何か譫言のように呟いていた。

 

美樹「広………!!!

 

あんた自分が何をしたのかわかってんの!?」

 

あたしは怒りのままに広に詰め寄り、胸ぐらを掴んだ。

 

美樹「郷子はずっとあんたのこと気遣ってたのにそれを……!!」

 

広「………!!俺は……」

 

広が怯えたような表情を見せる。郷子に怪我をさせといて、なんであんたがそんな反応をするんだ。

 

腹を立てた私は掌を振り上げた。

 

今、自分でも怖い顔をしてると頭のどこかで理解しているけど知るか。

 

一発引っ叩いてやらないと気が済まない。

 

そのまま、広の頬を掌が直撃しようとした時だ。

 

郷子「待って…!!

 

私は大丈夫だから……!!」

 

美樹「…!!郷子…!!」

 

掌が止まった。振り返ると、郷子が朦朧としながらも顔を上げて私を止めているのが見えた。

 

鵺野先生がハンカチを当てて応急処置しているが、それでも痛々しい。

 

美樹「大丈夫って……あんた血が……」

 

広を離して郷子に駆け寄ると、痛みで朦朧としながらも郷子は言葉を続けた。

 

郷子「広を……責めないで……あいつは……悪くないから………」

 

………!?

 

あんたは何言ってんのよ……!!

 

人が良いのも大概にしてよ……!!!

 

美樹「なんで庇うのよ!!少しは怒りなさいよ!!

 

ずっと心配してたあんたに酷いことしたのよ!!?

 

あんたがやんないなら私がとっちめて……!!」

 

ギュッ………!!

 

怒りで興奮する私の手を、郷子は静かに、だけど力強く握った。

 

お人好しな………ううん。

 

優しい郷子の温もりを感じる手だ。

 

それだけで、自然と私の言葉も止まり、血が登っていた頭も冷えていくのを感じた。

 

郷子「こんな怪我……どうってことないから……。

 

私は大丈夫だから………お願い……私を……信じて……。」

 

美樹「っ……………。」

 

頭の怪我で痛い癖に、それでも郷子は子供を安心させるかのような優しい笑顔を向けてくる。

 

これじゃあ、どっちが心配してるのかわからないじゃない……

 

私が言葉を失ったところで、肩をポンっと優しく叩かれる。

 

鵺野先生だ。

 

ぬ〜べ〜「美樹。ここは俺に任せてくれ。

 

広と一緒に郷子をすぐに病院へ連れて行かないといけないから、みんなと自習していてくれ。」

 

美樹「で………でも………。」

 

鵺野「大丈夫だ。明日にはまたみんながいつも通り学校で過ごせるように俺がなんとかする。

 

5年3組は俺が守るから、今は俺に郷子と広を任せてくれ。」

 

美樹「…………わかった。」

 

さっきまでタブレットの使い方に四苦八苦していた頼りない姿が嘘のような、力強くて、だけど優しい笑顔に私は頷いた。

 

大丈夫だよね………郷子………。

 

先生と広が郷子を病院に連れて行った後、私達は重い空気の中で自習するのだった。

 

いつもズルしてスマホを見たりするのに、そうしようとする気持ちすら湧かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の帰り道。私は途中まで克也やまことと一緒に帰っていた。

 

郷子と広がいないだけで随分と寂しくなるものだ。

 

克也「大丈夫だって美樹。

 

すぐに頭を冷やして応急処置もしたんだからすぐに治るって。」

 

まこと「そそそ……そうなのだ…!!

 

郷子ちゃんだって信じてって言ってたし……!!

 

こう言う時は友達の僕らがどっしりとしていないとなのだ〜…!!」

 

美樹「うん…ありがとう克也、まこと。

 

………でもまこと……そう言う割には声が震えているけど?」

 

まこと「ひ…酷いのだ〜!!

 

僕だって不安なのを我慢してるのに!!」

 

克也「あはは……そう茶化してやるなよ。

 

それに、なんだかんだで自分よりも慌ててる奴がいた方が冷静になるしな。」

 

まこと「克也くんも意地悪〜!!!」

 

だけど、二人が励ましてくれたおかげで少しは元気が出てきたと思う。

 

克也がまことを揶揄って、私がそれを見て思わず吹き出していた時だ。

 

〜〜〜〜〜♪

 

スマホで電話がかかったのだ。

 

郷子からだった。

 

私は克也とまこときも聞こえるようにスピーカーを入れて、慌てて電話に出た。

 

美樹「もしもし郷子!?あんた大丈夫なの!?」

 

郷子『わっ!!ちょっ………声大きいって…!!

 

びっくりするでしょ!』

 

克也「郷子からか!?」

 

まこと「良かったのだ〜!!郷子ちゃん生きてた〜!!」

 

郷子『生きてたって大袈裟だなぁ……

 

全然平気!!見た目よりも大したことなかったって。』

 

美樹「し……心配させないでよぉ………あんた、結構血出てたんだからね……!!」

 

良かった、の一言が言えれば良かったのだが、素直にそう言うのはなんとなく照れ臭かった。

 

だけどそうか………大事にならなかったのか………。

 

人知れずホッとする私に克也とまことが笑顔を向けてくる。

 

良かったなと、言われてるみたいでなんだか照れ臭くなり、視線を逸らしながら話を変えた。

 

美樹「それでその……広は?あいつはどうしたのよ。」

 

郷子『今、ぬ〜べ〜と一緒にいるよ。

 

やっぱり…あいつ今大変なことになってるみたい…。』

 

ぬ〜べ〜………は確か鵺野先生が気軽に呼んでくれと言っていたあだ名だっけ。

 

今時教師相手にあだ名なんてドラマみたいだなと思っていたが、郷子はもともと知り合いだったこともあってか普通にそう呼んでいるな。

 

というか……

 

美樹「大変って………あんたの方がよっぽどだと思うけど……」

 

郷子『だから私の怪我は本当に大したことないんだって!!

 

………ちょっとうまく説明できないんだけど、広は今病気みたいなものになってるのよ……。

 

多分普通の人に話してもすぐにわかってもらえないようなものに……

 

だからそれを誰にも言えなくて、苦しんでるんだと思う…!!』

 

克也「え………病気…?

 

あの元気を絵に描いたような広が…?」

 

まこと「でも…………最近の広くんの様子がおかしいからありえなくないのだ…!」

 

美樹「病気って………

 

そりゃあいつの様子は最近おかしかったけど単にキレやすくなったとかじゃないの……?」

 

郷子『本当だよ!!

 

だって……私も小さい頃に同じような目に遭って大変だったことあるんだから!!」

 

ここで驚きの事実に私達は目を大きく見開く。

 

郷子も同じようなことに……?

 

郷子『その時も、いろんなお医者さんに診てもらったけど原因がわからなくて……私はずっとこのままなのかと不安になって………

 

だけどね、助けてもらったんだ。ぬ〜べ〜に。』

 

ここで鵺野先生の名前が出たってことは……前に話してた除霊の話だろうか…

 

そりゃあ、さっきは頼もしい雰囲気を出してたけど……

 

美樹「でも、あのハッタリ除霊の時にあんたも記憶に自信無くしてたって…」

 

郷子『あ……あの時はちょっと記憶を美化しすぎたかなって思ったけど、私を助けてくれたのは本当なの!!

 

…………ぬ〜べ〜はね。初めて出会った時から間が抜けてるしどこか頼りないけどね。

 

困っている人がいたらいつも全力で助けてくれるとてもかっこいい人なんだよ。

 

だから私信じてるんだ、ぬ〜べ〜なら、広を助けてくれるって…………。』

 

美樹「郷子…………」

 

郷子『だから………お願い。広が治ったらまたみんなで一緒に過ごそうよ……

 

じゃないと……私達が信じてあげないと……あいつ1人になっちゃうから……』

 

美樹「〜〜〜〜!!

 

もう、わかったわよ!!!本当に人が良すぎるんだから…!!」

 

郷子『……!!美樹…!!』

 

克也「そうだな……うん、そうだよな。

 

郷子がここまで言うんだったら、俺達も待っててやらないといけないよな。」

 

まこと「ちょ………ちょっと話についていけてないけど…!!!

 

僕も友達として努力するのだ…!!!」

 

美樹「その代わり………!!!

 

散々心配かけたお仕置きであいつにケーキの一つや二つ奢らせてやるんだからね!!!」

 

郷子『あんたってやつは……………。

 

だけど………ありがとう…みんな…!!』

 

その後、私達はもう暫く話をしてからスマホを切った。

 

その夜、郷子の言葉で不思議と心配する気持ちも減っていたのだろうか。

 

大量の流れ星が落ちる頃には私は将来の夢である大金持ちになることを全力でお祈りしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日…………朝礼にて。

 

広「みんな…………迷惑かけて本当にごめん!!!」

 

いつもの性格に戻った広がみんなにそう言った。

 

雰囲気からして、いつもの広に戻って安心したみんなは笑顔で広を快く向かい入れた。

 

その後、広は私や克也やまことにも謝ってきて、昨日言った通りケーキ奢れと言ったら物凄く困るわ郷子と鵺野先生に叱られるわ大変だったので結局許してやることにした。

 

こうして、いつの間にかいつもの広に戻っていつもの日常に戻ると思われたが、変わったことが一つ………

 

ぬ〜べ〜「それじゃあ、放課後にサッカーのチームメイトにも謝りに行かないとな。

 

彼らも只事じゃないとわかってくれていたからお前のこと心配してたぞ?

 

俺も行くから忘れないようにな!!」

 

広「あはは……わかってるよ!!

 

ありがとう、ぬ〜べ〜!!」

 

美樹「え………あんた、いつの間に鵺野先生のことあだ名で呼ぶようになったの???」

 

郷子「あはは…昨日、色々とあったからね………」

 

美樹「色々って何よ…??」

 

広「色々は色々だよ。

 

まあ、俺も初めて見ることばっかだったから上手く説明できないけどさ……

 

一つだけ、はっきりと言えるぜ。」

 

美樹・克也・まこと「???」

 

広「俺達の先生の本当の姿を見たら、みんな絶対にぬ〜べ〜のこと好きになるぜ!!!」

 

郷子「まあ、本当はそうなるような機会が無い方が平和だったりするんだけどね〜。」

 

どう言うことだろう…………元気いっぱいに告げる広と苦笑いしながら告げる郷子の言葉の意味がよく理解できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時の私達は本当にちんぷんかんぷんだった。

 

だけど………いずれわかることになる。

 

まこと「ぬ〜べ〜……ありがとうなのだ。」

 

克也「今だ、ぬ〜べ〜!!」

 

美樹「ありがとう!!ぬ〜べ〜!!」

 

 

 

 

 

私達の先生が、最高にかっこいい先生だってことを!!

 

 

 




ぬ〜べ〜の二次創作…もっと増えろ〜!!!
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