追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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再びの出会い

 アロイスとパーティー組んでから一月が経った。

 

 その間は実家に様子を見に行ったり、叔父上と稽古をしたり……。

 

 アロイスと共に、依頼を受けて日々を過ごしていた。

 

 ちなみに、1日に依頼を受けられる数は決まっているらしい。

 

 なので、まだランクは上がっていない状態だ。

 

 

 

 特に変わったことといえば……。

 

 伸び悩んていた剣技が、叔父上の稽古の効果なのか、少しずつ伸びていること。

 

 限界だと思っていた魔力の総量が、少しずつ上がっていること。

 

ただ、明確な理由はわかっていない。

 

 なにより……俺の、アロイスに対する口調だな。

 

 最近になってようやく慣れてきた。

 

「アロイス、次はどうする?」

 

「そうだな……そろそろ、コボルトや薬草集め以外を受けてみるか」

 

「おっ、やっとか」

 

 アロイスが、この1ヶ月は基本的な依頼しか許可しなかった。

 その訳はこまめに仕事をして、始めのうちはギルド職員に顔を覚えてもらうこと。

 荷物運びや街の中の依頼をうけて、人々に顔を覚えてもらうこと。

 そして、双方から信頼してもらえるようになることだった。

 それに納得した俺は、この1ヶ月はそのように過ごしていた。

 

「大分顔が売れてきたからな……お前さんは見た目も良いし腕もある。さらには性格まで良いときたら当然だな」

 

「見た目は母上に似たからなぁ……剣の腕には自信はあるし。ただ、性格が良いとは思わないぞ?」

 

 親父や兄貴のことは嫌いだし、死んでも悲しまないと思うし。

 もちろん、死ねとまでは思わないけど……。

 

「いや、性格良いだろ。人当たりは良いし、依頼以外でも手伝ったりするし……貧困街や孤児院に行ったりしてるし」

 

 貧困街出身のアロイスには言ってあるが、俺は定期的に孤児院に通っている。

 ただ、それは優しいからじゃない。

 怪我をした孤児やお金がない方のために、教会勤めだった母上が通っていた。

 だが、今は事情があり回復魔法がほとんど使えない。

 なので、息子の俺が代わりに行っているだけだ。

 

「それは……まあ、色々と理由があるんだよ。ほら、依頼を受けよう」

 

「それもそうだな……よし、これにするか」

 

「ゴブリンか……」

 

 醜い容姿の気持ち悪い魔物だ。

 オスしか生まれず、人間や亜人の女性を孕ませることで繁殖する。

 なので、オークと並んで全女性の敵と言われている。

強さはコボルトと大差ないが、集団で生活するので難易度は上だ。

 

「経験はあるか?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「そういや軍経験があるんだったな。じゃあ、依頼を受けて出発するか」

 

 アロイスには貴族であることを伝えてある。

 いずれ、元がつくことも含めて。

 アロイスも身の上を話してくれたのでフェアじゃないからな。

 

 

 少し距離があるので、馬を走らせて目的地に向かう。

 

「この先の村で目撃情報があったんだな?」

 

「ああ、そうだぜ。村人が何人か行方不明だそうだ」

 

「それなら急がないとな……!」

 

 

 

 無事に村に到着し、村長に話を聞くと……。

 

「1週間前くらいから目撃がありまして……その辺りから何人かが行方不明になりまして……」

 

「わかりました、お任せください。では……」

 

 詳しい場所を聞いた俺たちは出発しようとしたが……。

 

「あの! 他の冒険者達が先に来て……まだ、帰ってきていないのです」

 

「なに? どんな奴らだった?」

 

「確か、女性が二人と男性が三人だったと思います」

 

「そうですか……わかりました。では、行ってきます」

 

 

 

 

 その後村を出て、街道を少し外れた森に到着する。

 

「この辺か?」

 

「ああ、目撃情報と一致するぜ」

 

 すると……発見した!

 

「いるな……よし、馬を置いていこう。小回りがきかないし」

 

 近くには同じように馬が繋がれている。

 おそらく、他の冒険者だろう。

 

「おう、それがいい」

 

 訓練された馬なので、ゴブリンくらいなら問題ないだろう。

 

「よし……アロイス! 行くぞ!」

 

「おうよ! 団長!」

 

「なあ……それってどうにかならない?」

 

「白き風のリーダーはお前さんだ。そして、俺はそれを認めた。ならば団長だろ?」

 

 この間から、急に呼ばれるようになった。

 男として認めたから問題ないとかって……よくわからないが。

 

「ハァ……まあ、良いか」

 

 そのまま走り、すれ違い様に——鞘から抜く!

 

「ギャア!?」

 

 俺の抜刀により、一撃で地に伏せる。

 

「オラァ!」

 

「ギャキャァ!?」

 

 アロイスは、両手持ちの斧によりゴブリンを両断する。

 

「相変わらずの一撃だな!?」

 

「団長こそ!」

 

 二人でゴブリンを始末しつつ、進んでいると……。

 

「た、助けてくれぇ——!」

 

「ヒィ——!」

 

 二人の男がこちらに向かってくる。

 おそらく、格好からして冒険者だろう。

 

「アロイス!」

 

「おうよ!」

 

 二人で、彼らを追っていたゴブリンを始末する。

 

「た、助かった……」

 

「し、死ぬかと……」

 

「おい、他の奴らは?」

 

「確か女性二人と、もう一人男性がいたはずですね?」

 

「そ、それは……」

 

「い、いいだろ! そんなこと!」

 

「お前ら……見捨てたな?」

 

「なに?」

 

「し、仕方ないんだ! 数が多くて! 一人が捕まって……!」

 

「チッ! すでに巣を作っていたか……!」

 

ゴブリンの繁殖力は半端ない。

弱い魔物だが、数の暴力は侮れない。

 

「アロイス、こいつらはもういい。今すぐ行けば間に合うかもしれない」

 

「ああ、そうだな。お前達……冒険者のルールは知ってるな? 覚悟しておけ」

 

 パーティーを組んだ冒険者を見捨てることは犯罪に値する。

 でないと、そういった奴らが増えるからだ。

 

「く、くそっ!」

 

「チクショー!」

 

 俺たちは其奴らを放置して、森の奥へと進んでいく。

 

 

 

ゴブリンを始末しつつ、そのまま走り続けると……。

 

「ギャキャ!」

 

「ゲゲェー!」

 

「私は誇り高き一族のホムラ! ケダモノ達! ワタクシに触れられると思わないことですわ!」

 

 女性を背にしつつ、杖を構えて古今奮闘する女性がいた。

 そして、その近くには男性が倒れている。

 間違いなく……死んでいる。

 

「アロイス! お前は群れに突っ込んでくれ!」

 

「おう!」

 

「閃光乱舞!」

 

 俺は女性の前に立ち、目にも止まらぬスピードで連続斬りを食らわせる。

 

「旋風刃!」

 

 アロイスは斧を振り回して、ゴブリンをスクラップする。

 

「あ、貴方達は……!?」

 

「同じ依頼を受けた冒険者だ! 今は協力して倒す! いいな!?」

 

「ワ、ワタクシに指図しないでくださいませ! ですが——良いでしょう! 一緒に戦うことを許可いたしますわ!」

 

「なんというか……うん、まあいいや」

 

 とりあえず仲間を見捨ててないし、悪い奴ではなさそうだし。

 

 俺は意識を集中し、ゴブリンの大群と向き合うのだった。

 

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