追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~ 作:おとら0205
早く、一流の冒険者にならないと……。
このままだと……望みもしない結婚をさせられてしまいます。
もちろん、我が家には私しか跡を継げる者はいません。
なので、一族の血を絶やさぬために、いずれは結婚することにはなるでしょう。
ですが、私は亡き両親に代わり、一流冒険者になる夢を叶えたい。
もちろん、貴族にして冒険者という両親に憧れていることが一番の理由です。
「もう! なんなんですの!?」
冒険者活動を始めた私ですが……うんざりしてしまいます。
男性の方々は、私の身体をジロジロ見てきたり口説いてきますし……。
女性の方々は、陰口や嫌がらせをしてきますし……。
「ワタクシは……ただ、普通に冒険者として活動したいのに……」
もちろん、私にも責任はあります。
昔から人見知りが激しく、ついキツイ言葉を使ってしまうことです。
今では、どちらが本当の自分かがわからないほどになってしまいました。
「でも……最初に出会ったあの人は、今考えると紳士的でしたわ」
冒険者生活を送ってみて気づきました。
平民と関わることがなかったのですが、おそらく私が変なのでしょう。
あのような親切な方にまでキツイ言葉をかけてしまうなんて……。
「で、でも……どう言ったらいいかわからないですもの……」
ただ、ありがとうと言いたいだけなのに……。
「あの方も新人と言っていましたわね……また、会えるかしら?」
それから一月が過ぎて……また、私は荒れていました。
「もう! どうしてですの!?」
「ホムラ、どうかしたかのう?」
「お爺様……男の方々が、私の身体を舐め回すように見てくるのです……」
「それは致し方ないことじゃ。お前は亡き娘によく似た美貌の持ち主じゃからな」
「で、でも……無理矢理に連れ込もうとするのはどうかと思うのです……」
「うむ……安心せい。其奴は最近見るか?」
「え?……そういえば、最近は見ないような……?」
「ならば気にするでない。そういう輩は放って置いても減っていく……自滅したりしてな」
「そ、そうなのですね……」
お爺様の言う通りに、そういった方々は減ってはきましたが……。
それから数日後、また私は荒れております。
「どうしてですの!?」
「今度はどうしたのだ?」
「パーティーを組んでくれる方がいなくて……」
男性は相変わらずだし……。
たまに組めても、パーティーを置いて逃げ出すような方だし……。
貴女といると自分が惨めになると、女性には敬遠されるし……。
良いと思う女性は、冒険者を辞めてしまうし……。
「それでは冒険者は辞めるかのう?」
「い、いえ! 二十歳まではお願いしますっ!」
「しかし、大事な孫をそんな状態にするのものう……」
「ユ、ユウマという方もいますっ!」
「ほう? 其奴はどんな男なのだ?」
「え、えっと……優しくて紳士的な方ですわ……あと、しっかりと叱ってくれると言うか……」
何より……応援してくれると。
女性は結婚して子供を産むのが一番と言われる世の中で……。
そんなこと言ってくれる人は初めてのことでしたわ。
「ふむ……彼奴の孫か……それに奴の甥っ子か」
「え? ……ご存知なのですか?」
「まあ、少しな……だが、それは本人以外は話さん方がよい」
「ええ、それはわかっております」
「ならば、パーティーに入れてもらえばいいのではないか?」
「そ、それは……でも、ライバルって言ってしまいました……」
もちろん……入りたくないと言ったら嘘になります。
あの方に惹かれている自分がいることも……。
「そうか……ならば、あちらから誘われるような人物になることじゃな。それならば、何も問題はあるまい?」
「——!! そ、そうですねっ!」
そうだわ! 私が一流の冒険者になって……。
そしたら——ユウマの方から誘ってくれるかも!
よーし! 見てなさい! ユウマ! 貴方を振り向かせてみせますわ!