追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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特訓の日々

 イージスと特訓を始めて一週間が経過した。

 

 しばらく、冒険者活動を休みにしたこともあり……。

 

 密度の高い鍛錬に励むことが可能となった。

 

 そして……今日、その成果が出始める。

 

 

「くっ!?」

 

「へ、平気ですか!?」

 

「ああ、問題ない……ヒール」

 

 腫れ上がった箇所を、自らの魔法で癒す。

 

「何度見ても凄い……無詠唱だし……」

 

「ヒールくらいならな。それに威力も下がるし。それより、大分慣れてきたな?人に対して思い切り攻撃することに」

 

 ちなみに、敬語はやめてくださいと土下座をされてしまった。

 教えて頂く身なので!と……まあ、歳も二つ違いなので気にしないことにした。

 

「喜んでいいのかな……?」

 

「難しいところだな……快楽に酔いしれることはよくないが、いざという時に大切な者を守れるように慣れておくといい」

 

「大切な者……」

 

「例えば……良くない例えだが、イージスの村が盗賊に襲われたとしよう」

 

「ええ!?」

 

「例えばの話だ。幸い、あの付近は巡回する兵士も多いからな。ただ、世の中に絶対はない。そして、その時……お前が臆したことで、大切な誰かが死んだら——どうする?」

 

「そ、それは……!」

 

「大切な妹や弟を守れずに後悔するか?」

 

「い、いえ! それだけは!」

 

「ならば鍛錬を続けよう。今の感じを常に出せるように。言っておくが……練習で100出せても、本番では半分出れば良い方だと思う。しかし、それも鍛錬を重ねていくことで差が縮んでくるはずだ」

 

「はい! 引き続き宜しくお願いします!」

 

「ああ、こちらこそな」

 

 そして、再び鍛錬に戻る。

 

 

 

 それから、また一週間が過ぎ……。

 

 冷やかしなどがあると集中できないと思い……。

 

 ひと気のない所で特訓していたが……ついにバレてしまった。

 

「団長……説明していただけますかね……?最近、見ないと思ってたら」

 

 アロイスから、ゴゴゴと効果音が聞こえるようだ……!

 

「す、すまない……」

 

「お、オイラが悪いんですっ! 人がいると集中して鍛錬ができないと思って!」

 

「イージスだったな?」

 

「ヒィ!? は、はい……」

 

「団長、前にも言いましたが……」

 

「いや、アロイス……少し待ってくれ。イージス、アロイスと戦ってみろ」

 

「あぁ?」

 

「え!?」

 

「ほら、俺がいるから安心しろ。死なない限りは治せるからさ」

 

 とりあえず説得をして、イージスとアロイスが対峙する。

 

「チッ、仕方ねえな。ほら、かかって来いや!」

 

「は、はい! ……ハァァァ!!」

 

 気迫を込めた一撃が繰り出される!

 よし! 良いぞ! スピードもある!

 

「なにぃ!?」

 

 アロイスが咄嗟にガードする……が。

 

「え……?」

 

「……俺が力負けした?」

 

「どうだ、アロイス。こいつは役立たずの臆病者か?」

 

「……いや、違う。こいつは……訂正するぜ」

 

「お、オイラが……? あの新人から鬼と呼ばれているアロイスさんを……」

 

「おい、イージスと言ったな?」

 

「は、はいっ!」

 

「俺は、まだ認めない」

 

「はい……そうですよね」

 

「だが、そのチャンスを与えないほど薄情でもない。何より、団長が求めているからな」

 

「えっと……?」

 

「つまり……お試し期間として、明日からパーティーを組むぞ」

 

「アロイス、ありがとな。イージス、とりあえず明日からよろしくな?」

 

「え……? お、オイラを……?」

 

「お試しだからな? 命を預けられないと思ったら……」

 

「はいっ! 頑張ります! よろしくお願いします!」

 

 こうして、ひとまずパーティーを組む流れとなった。

 

 さて……ここからが本番だな。

 

 

 

 その翌日、早速依頼を受けてみる。

 

 内容はゴブリン退治に決めた。

 

 これなら、イージスが足を引っ張っても……平気だと思ったが……。

 

 そう上手くはいかないようだ。

 

「おい!?」

 

「ギヤキャ!」

 

「ヒィ!?」

 

「チッ! オラァ!」

 

「ゲゲェー!?」

 

 イージスがびびって動けないので、アロイスが代わりに始末する。

 

「イージス! 慌てるな! 食らっても大したダメージにはならない!」

 

「で、でも……」

 

「俺はいくらでも付き合う! さあ、もう一回だ」

 

「は、はい!」

 

 

 その後も続けるが……。

 

「はぁ……」

 

「団長、こいつはダメですぜ?」

 

「アロイス、決めつけるのは早い。すまないが、もう少しだけ手伝ってくれ」

 

「頭をあげてくれ! 全く……お人好しですな」

 

「ユウマさん……オイラのために、頭を下げて……」

 

「当たり前だ。俺がアロイスに頼んでいるからな」

 

「なんで、オイラのためにここまで……?」

 

「俺は役立たずなんていないと思っている。それはただ単に自分の得意分野を見つけられなかったり、人より少し成長が遅かったりするだけだと思う。そして、俺はイージスがそれだと思った……そして、俺は強いやつより——強くあろうとする奴が好きだからだ。イージスがその意思を持っている限り、俺は力を貸そう」

 

「ユウマさん……」

 

「しゃーねえ! おい! やるぞ!」

 

「は——はいっ!」

 

 

 だが……そう簡単にいったら苦労はしないよな。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「ゼェ……疲れたぜ」

 

「うーん……怖いか?」

 

「す、すみません……」

 

「謝ることはない。ただの疑問だから」

 

「こ、怖いです……いや、大して痛くないのはわかっているんです。でも、どうしても身体が動かなくて……」

 

 ……よし、荒療治になるが……これしかないか。

 

 

 

 その後、ゴブリンが現れるが……。

 

「ギャキャ!」

 

「うわっ!?」

 

「チッ! まだダメか!」

 

「アロイス! 動くな!」

 

「なに!?……わかったぜ」

 

「ユウマさん……?」

 

 俺は武器を捨て、イージスの後ろに立つ。

 

「さあ、イージス。お前の後ろには誰がいる?」

 

「ユウマさんが……オイラが大好きな……」

 

「ギャキャ!」

 

 ゴブリンが迫ってきている。

 

「ありがとな。その俺は、今無防備な状態だ。お前が避けたり、びびったらどうなる?」

 

「……ユウマさんが怪我を……」

 

「俺はお前を信じる……だから——ここから動かない、なにがあろうともだ」

 

「ギャキャー!」

 

 もう目の前まで来ている……さあ、どうだ?

 

「オイラを信じる……そんな人、今まで誰も……」

 

「お前は自分を信じなくていい、その代わりに——俺が信じるというお前を信じろ」

 

「ユウマさんを……」

 

「ギャキャ!」

 

「ウ、ウワァァァァ——!!」

 

 渾身の一撃が放たれる!

 

「ギャ……ガ……」

 

 その一撃はゴブリンを粉砕する。

 

「おし!」

 

「よくやった!」

 

「オ、オイラが……? これを?」

 

 ふぅ……ヒヤヒヤした……。

 

 どうやら、賭けは成功したようだな。

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