追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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鍛錬の成果

 シノブが帰ったあと、部屋の掃除や、日課の訓練をこなす。

 

 そして一通り終わった後……二人がやってくる。

 

「団長、おはようございます!」

 

「よう、団長……災難だったぜ」

 

「おはよう、二人共……もう来たのか?」

 

「来ましたぜ。いつのまにか部屋に入ってきて、殺されるかと思ったぜ」

 

「オイラの方も……死ぬかと思った……」

 

「すまんな、二人共。それで、どうした?」

 

「俺の方は許可したぜ。あの強さは戦力になるし、タイプ的に団長の代わりにもなれる。あと斥候役にもなれるし、女子がいることにもよって依頼の幅も広がるしな」

 

「そうか……確かにな。女子がいるっていうのはポイント高いかもな。護衛対象が女性の場合もあるだろうし」

 

 お風呂や着替えは、俺たちが見張るわけにはいかないし。

 

「オイラも許可しましたよ。というか、オイラなんかにも許可をもらいに来たことが嬉しかったです」

 

「おいおい、お前だって白き風のメンバーなんだからな?しかも、先輩になるかもしれない」

 

「が、頑張ります……!」

 

「そのあと、登録に行くって言ってたぜ。ただ、俺が最低限のルールを教えておいた。団長はもうすぐ七級に上がるから、十級ではパーティーは組めないと」

 

「ん? 俺、もう上がるのか?」

 

「俺の感覚ではな。戦争でのポイントも付いているだろう。あと、二つくらい受ければ上がるはずだ。ちなみに、俺は保留にしてある。まずはイージスのランクを上げなくてな」

 

「す、すみません……」

 

「なに、気にすることはないさ。なっ、アロイス?」

 

「ああ、もちろんだ。その分、あとで働いてくれれば良い」

 

「はいっ!」

 

「さて……じゃあ、早速受けに行くか」

 

 

 その後俺たちは、冒険者ギルドに入り依頼書を眺める。

 

「イージスが九級だから、八級の依頼……ゴブリンやコボルト退治と、薬草集めにしておくか」

 

「よし、さっさとやっちまおうぜ」

 

 すぐに受理され、俺たちは都市を出発する。

 

 

 そして……ゴブリンとコボルト達の縄張り争いに遭遇する。

 

 そこに乱入をして、始末していく。

 

「イージス!」

 

「ガルル!」

 

「はいっ!」

 

 槍のひと突きが、コボルトを貫く。

 

「オラァ!」

 

「グギャ!?」

 

 斧により一撃が、ゴブリンを両断する。

 

「うん、俺が何もしなくても安心して見ていられるな」

 

 これに遊撃のシノブという女性が加われば……。

 俺は指示出しや回復に専念して、時に前線にも出るという戦法がとれる。

 

 

 結局二人だけで、敵を殲滅してしまう。

 

「お疲れさん……ヒール」

 

「おっ、助かるぜ」

 

「あ、ありがとうございます。で、でも、大した怪我じゃないですよ?」

 

「擦り傷程度だが、バカにしてはいけないからな。そこから傷が炎症することもある」

 

「……そうなんですね、気をつけます」

「ああ、それで良い。俺と一緒に、少しずつ学んでいこう」

 

「さて……むっ? 団長、血に惹かれてやってきましたぜ?」

 

「あれは……二体のオークか」

 

 七級クラスの魔物で、豚の顔に人の身体という気味の悪い魔物だ。

 ゴブリンと同じ習性を持ち、オスしかいない。

 まさしく、全ての女性の敵というわけだ。

 

「ど、どうします!?お、オイラのランクじゃ……」

 

「ランク自体は上だが、問題あるまい。イージス、お前が一体を倒すんだ」

 

「えぇ!? む、無理ですよ!?」

 

「いや、本来の実力が出せれば倒せるはずだ。俺が信じられないか?」

 

「オイラじゃなくて……団長を信じる……や、やってみます!」

 

「ああ、では準備をしておいてくれ。アロイス、俺がやる。イージスのフォローを任せていいな?」

 

「ああ、任せておけ」

 

「俺も初めてだな——さあ、やるか」

 

 強化をせずに、そのままの状態で走り出す。

 

 イージスも、後ろから追ってくる。

 

 走りながら、叔父上の言葉を思い出す……。

 

 

「いいか、ユウマ。お前の魔力総量は高いし、強化も上手い。だが、それに頼りすぎている節があるな」

 

「はい……どうしても膂力が足りずに、魔力強化に頼ってしまうことは多々あります」

 

「おそらく、お前の剣技が伸び悩んでいるのはそれが原因だ」

 

「え?」

 

「回復魔法は一流と言っていいだろう。だが、剣は二流だ。なぜなら、剣の威力を魔力で補っているからだ」

 

「はい……」

 

「お前が魔力を持っていない場合は足から腰へ、腰から腕へと力を連動させて体全体で振るう剣技のはずだ」

 

「なるほど……」

 

「だから、魔力強化は控えろ。危険な時以外は、自分の剣技のみを使用することだな」

 

「わかりました! 師匠!」

 

「よせよ、照れるぜ……それに大会に出ても、準決勝に進出がいいところだろうな」

 

「大会では魔力が使えないからですね?」

 

「ああ、そうだ。お前が箔をつけたいなら最低でも大会準優勝は必要だ。わかったなら、一からやり直すといい」

 

 

 

 ええ、わかっています。

 

「フゴォー!」

 

 オークの槍による一撃を寸前で躱し——懐に入る。

 

「回転剣舞」

 

 足と腰を連動させ、体全体を駒のように回す!

 そして下から斜め上に斬りあげる!

 

「ブィー!? フゴォ!」

 

 腹から血を流しつつも、奴が反撃をしてくる。

 

「チッ! 仕留めきれないか!」

 

 七級の魔物とはいえ、やはり単純な力が足りない。

 

「フガァァ!」

 

 だが、これで引き剥がしには成功したな。

 そのまま引きつけて、イージスと距離を取る。

 

「こっちだ!」

 

「フゴォ!」

 

「シッ!」

 

 槍と剣が交差する。

 

「俺が力負けするよな……だが」

 

「フガァァ!」

 

 力が足りないなら、魔力を使えないなら——相手の力を使えばいい!

 相手の突進攻撃に合わせ——剣を放つ。

 

「回転剣舞」

 

「グガ………ガ……」

 

 先ほどの箇所に、もう一度同じ剣技を叩きつけた。

 

「よし……魔力なしでも何とかなったな」

 

 さて、イージスの方に行くとしよう。

 

 俺が近づいていくと……佳境を迎えたようだ。

「セァ!」

 

「フゴォ!」

 

 俺とは違い、真っ向勝負となっている。

 槍と槍がぶつかり合い、双方退かずの状態だ。

 

「アロイス、どうだ?」

 

「悪くないぜ。一歩も下がっていないし、きちんと攻撃もしている」

 

「成長したな……いや、違うか。今まで積み重ねてきたものが、ここに来て開花してきたんだろうな」

 

「全く……団長が言い出した時は、何を血迷ったかと思ったが。こいつは、中々の拾いもんかもしれないぜ」

 

「ああ……おっ、決着がつくな」

 

「フガァ……フゴォ……」

 

「ハァ……ハァ……」

 

「フゴォ!」

 

「ハァ!」

 

 双方槍を繰り出すが……一瞬早くイージスの槍が、敵を貫いていた。

 

「ブガ……」

 

 大きい音を立てて、オークが倒れる。

 

「で、できた? お、オイラにもできた!」

 

「よくやった! イージス! これで、もう誰もお前を役立たずとは呼べまい! いや、俺が言わせない!」

 

「団長……はいっ! この力で、あなたの役に立ってみせます!」

 

 これは、俺もうかうかしていられない。

 

 イージスに負けないように、純粋な剣技を磨いていかないとな。

 

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