追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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ランクアップ

 無事に魔物討伐を終えた俺達は、薬草集めを進めていた。

 

 そんな中、警戒をイージスに任せ、俺はアロイスに質問をする。

 

「なあ、オークの報酬ってどうなるんだ? 例えばだが、俺は八級だから七級の報酬は受け取れるが……」

 

「ああ、ランク外の突発的な討伐の扱いか。報酬自体は受け取れるが、ポイントはそのランクに上がった際に受け取れるシステムだったはずだ。だが、イージスは九級だが問題はないぜ。その前のゴブリンやコボルトでランクアップするだろうからな。そのままポイントと報酬がつくだろうぜ?」

 

「なるほど……ポイントが加算されてしまえば、一気にあげてしまう奴がいるからか?」

 

「そういうことだ。強いだけでは優秀な冒険者とは言えないしな。この仕事は信用や信頼、積み重ねなんかも必要だ」

 

「へぇ……もっと野蛮な感じかと思ったが、そうでもないんだな」

 

「まあ、そういった面があることは否定できないぜ。ただ、そういう奴らは自然と消えていくからな」

 

 そんな会話しつつ、薬草を集め終わる。

 

 そして、急いで王都へと帰還する。

 

 

 

 王都に帰り、無事に報告を済ませると……。

 

「はい、確かに。これでユウマ様は七級に、イージス様は八級となりました」

 

「よし! やったな、イージス」

 

「はいっ! 四年間上がらなかったのに……! ウゥゥ……」

 

「おいおい、泣くなよ。家族にきちんと手紙を出しておけよ?」

 

「は、はい……!」

 

「団長、場所を変えようぜ」

 

「ああ、そうだな。イージス、付いてきてくれ」

 

 解散せずに、イージスとアロイスの共にテーブルに着く。

 

「さて、イージス」

 

「はい?」

 

「今回の報酬は全てお前に渡す。もちろん、オークも含めてだ」

 

「えっ!? な、何故ですか!?」

 

「お前、今まで仕送りなんてろくにできてなかったんだろ? これを送って、家族を安心させてやるといい。もちろん、俺も一筆添えるからさ」

 

「で、でも、これはオイラだけのお金じゃ……」

 

「ちらりと聞いたが……弟と妹を学校に行かせたいんだろ?」

 

「ランクアップのお祝いだ。遠慮なく受け取れや」

 

 確か、依頼中にそんなことを言っていたはずだ。

 その後に、アロイスと話し合って決めておいた。

 ランクアップのお祝いに、まとまったお金を渡そうと。

 

「でも、団長だってランクアップしたのに……」

 

「上の学校に入るにはお金ががある……わかるな?」

 

 聞いたら上の子が、来年から中等部に上がるらしい。

 そこからは値段は高くなっていく傾向にある。

 何故なら、専門知識を学ぶことが増えるからだ。

 税金のことや、国のことなども含めて。

 

「はい……それに、年齢制限もあります」

 

「ならば気にするな。もしどうしても気になるというのなら……この後の働きで返してくれたらいい」

 

「ああ、そうだな」

 

「アロイスさん、団長……わかりました! このお金は有り難く頂きます! そして、いずれ——このご恩をお返ししますっ! このパーティーの盾となって!」

 

「へっ、まだまだひよっこのくせに……が、悪くねえぜ」

 

「それでいい。さて……おい、バレてるからな?」

 

「アレー? この間より消してたのにー」

 

「なっ!?」

 

「いつのまに……」

 

 少し離れたところにいた女性が、俺たちに近づいてくる。

 

「やりますねー? 昨日の今日で、私の気配を覚えましたか?」

 

「まあ、そんなところだ。視線も感じたしな」

 

「あちゃー、恋する乙女の視線が出ちゃいましたかー」

 

 そんなことを言いながらウインクをしてくる。

 不覚にもドキッとした自分を殴ってやりたい。

 

「……突っ込まないからな?」

 

「つれないですねー」

 

「天草忍とか言ったな?」

 

「はい、アロイスさんでしたっけ?」

 

「登録は済ませたんだろうな?」

 

「ええ、もちです。ちなみに、これですよー」

 

 そこには九級と書かれた冒険者カードがある。

 

「おっ、もう上がったのか?」

 

 まあ、コボルト程度は敵じゃないだろうな。

 人間にしか見えないから、荷物運びも問題ないし。

 

「はい、今さっきですねー」

 

「お、オイラなんか、すぐに抜かれちゃう……頑張らないと!」

 

「それで、団長……どうするんで?」

 

 まあ、俺の貞操を度外視すれば……。

 こんな優秀な人材はそうはいないし、人柄も悪くない。

 何より……。

 

「なあ、アロイスは怖くないのか? そして、イージスを見下した目で見てないな?」

 

 アロイスを見た大体の女性は逃げ出すし。

 あのイージスのやり取りを見ていたなら、普段どんな扱いかわかるはずだ。

 

「えっと……正直言って怖いですねー。でも、貴方が信頼してるのが側から見てもわかるのでー」

 

「そ、そうなのか……へへ」

 

 照れているんだろうが……そうは見えない。

 

「イージスさんって人は、今のところは特に何も。さっきの言葉に通ずるものがありますが、私は私の目で見たものしか信じないのでー」

 

 ……いかん、この子いい子だ。

 いや違う……好みだ。

 ハァ……耐えるのにも一苦労しそうだな。

 

「見てくれるのは、これからのオイラってことか……よーし!」

 

「それで、どうですかー?」

 

「ああ……天草さんでいいのか?」

 

「シノブって呼んでくださいっ!」

 

「わかった、シノブ……俺のパーティーに入ってくれるか?」

 

「もちのろんですっ! よろしくお願いしますねー」

 

「おうよ、よろしくな」

 

「へへ、仲間が増えましたねっ!」

 

 なんだか……いつの間にか、すっと輪に入り込んだな。

 

 でも、これなら上手くやれそうだな。

 

 あとは……俺自身の自制心との戦いか。

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