追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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イージス視点

 オイラは今、ギルドの一角で手紙を書いています。

 

 故郷に暮らす家族達に向けて……。

 

『みんな元気ですか? オイラは元気にやっています。ランクアップもしたし、身体つきも成長しました。仕事も順調に進んで、少しずつですが稼げるようにもなってきました』

 

 本気でそう書けることに、涙が出そうになる。

 団長のお陰で、こうして初めての気持ちで書ける。

 今までは嘘をついていたから……両親に嘘だけはつくなって教わったのに。

 

「心配かけたくなくてついた嘘だけど……嘘をついたことには変わりはない」

 

 今度帰ったら、両親にきちんと謝ろう。

 そして、これまでのことを話そうと思う。

 

「何より、団長のことを話したい」

 

 オイラの生活は、ここ数週間の間で劇的に変化した。

 

「あの時、団長が声をかけてくれたから」

 

 冒険者になってから、ずっと役立たずと言われていたオイラに。

 最初は体格も良くて、皆から期待されていたけど……。

 

「すぐに化けの皮が剥がれちゃったんだ……当たり前だけどね」

 

 戦闘経験もないし、武器の扱いも知らない。

 学もないし、専門的知識もない。

 

「そんなんじゃ、上手くいくわけがなかったんだ」

 

 学ぼうにもお金はかかるし、日々生きるだけで精一杯だった……。

 

「きっと、このまま……いずれは、どこかで死んじゃうと思ってた」

 

 でも、そうはならなかった。

 団長が、オイラを仲間にしてくれたから。

 

「それだけじゃなくて、稽古までつけてくれて……」

 

 毎日毎日同じ時間にきて、オイラを特訓してくれた。

 オイラが怪我をすれば、貴重な回復魔法を惜しみなく使ってくれた。

 そんなことしても、団長には得がないのに。

 

「オイラにあそこまで付き合ってくれた人はいなかった……」

 

 今までもそう言ってくれた人はいたけど、すぐに居なくなってしまった。

 もちろん、オイラが悪いんであってその人は悪くない。

 

「それところが、お金まで……」

 

 みんなで命がけで稼いだお金を、オイラにお祝いだって……。

 オイラどんなに辛くても泣かなかったけど、嬉し涙は我慢できなかった。

 

『新しい素敵な仲間達に恵まれて、オイラは楽しく過ごしています。だから、安心してください。詳しいことは帰ったら話すけど、ユウマさんって人のおかげなんだ。すごく優しいし頼りになって、オイラが守りたい人なんだ。いつか、みんなにも会わせてあげたいです。そのおかげもあり、多めに仕送りを送ります。これはパーティーのみんなが、オイラの昇進祝いにくれたものです。オイラをここまで育ててくれた両親に使って欲しいです。だから、遠慮なく使ってください』

 

 ……フゥ、こんなところかな?

 長くなりすぎると、お金もかかるし。

 書きたいこと書いたらきりがないし。

 

「イージス!」

 

「団長?」

 

「書けたのか?」

 

「ま、まだです、すみません」

 

 ギルドに報告しているついでに書いているので、みんなもそれぞれの場所にいたんだった。

 

「謝ることはない。というか、謝り癖をどうにかしろ」

 

「すいま」

 

「おい?」

 

「あっ——ご、ごめ……あ、う、え、」

 

 え? 謝っちゃいけない? どういうこと?

 

「すまん、俺が悪かった。悪いことをしてないのに、謝る必要はないということだ」

 

「そ、そういうことですか……無意識に癖になってるみたいです」

 

「まあ、仕方ない。なら、少しずつでいいさ。手紙、見てもいいか?」

 

「え? は、はい」

 

 き、緊張する! 変なこと書いてないっけ?

 

「ふむ……俺のこと褒めすぎじゃないか?」

 

「そんなことないですっ! 書き足りないくらいですよ!」

 

「お、おう……ありがとな」

 

 団長は褒められ慣れていないみたいです。

 こんなにかっこよくて、綺麗で性格も良いのに。

 オイラには詳しいことはわからないけど、こんなオイラでも力になれることがあるはず。

 だから……。

 

「ええ! 団長は素晴らしい人です! オイラの恩人です!」

 

「わ、わかった! もういいから!」

 

 オイラにできるのは、団長を褒め続けることだ。

 きっと、何かしらの理由があるんだと思う。

 なら、それ以上にオイラが……!

 

「団長は……」

 

「そ、それより!」

 

「はい?」

 

「手紙の内容はさておき……ここに書いてもいいか? そうじゃないと、多分心配するぞ?いきなり大金が届いたら」

 

 あっ、一筆添えてくれるって本当だったんだ。

 いや、嘘だとは思ってなかったけど……。

 

「は、はいっ! ありがとうございます!」

 

「では、失礼」

 

 団長は、オイラとは違い綺麗な字で書いていく……。

 

「うわぁー、字が綺麗ですね」

 

「そうか? ……まあ、そういう教育は受けているしな。というか、書いてるところを見られるのは恥ずかしいんだが……」

 

「あっ——すいま……あれ?」

 

「そこはすいませんでいいと思うぞ?」

 

「す、すいません」

 

 そのあと二、三分ほどで書き上げたみたいです。

 

「ほれ、確認をしてくれ」

 

「は、はい」

 

 内容を確認すると……。

 

『イージスの仲間のユウマと申します。彼はとても真面目で優しい男ですね。きっと、ご両親の育て方が良かったのでしょう。私はこれからも、そんな彼とパーティーを組んでいきたいと思っております。今回のお金についてですが、新しく仲間になったこと。そして、ランクアップしたこと。そのお祝いとしてイージスに渡した真っ当なお金です。なので、どうするかはイージスにお任せしております。ですがご両親も心配だと思うので、もし機会があればお会いしたいと思います。その手配はこちらでしますので、お手紙のお返事をお待ちしております』

 

「な、なんでここまでしてくれるのですか……?」

 

 また、涙が……。

 

「別に大したことはしてないさ。俺が思ったこと、したいと思ったことをしているだけだ」

 

「したいこと、思ったこと……」

 

 オイラがしたいこと……この方の恩に報いたい!!

 

 思ったこと……この方を守りたい!!

 

「団長!」

 

「ん?」

 

「オイラ、まだまだ弱いけど……きっと——貴方を守れる盾になってみせます!」

 

「ああ、期待してる」

 

 そう言い、団長は照れ臭そうにします。

 

 そんな方だから、なおさら思う。

 

 この方を守りたいと……。

 

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