追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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護衛依頼

 さて、仲間が増えてから数週間が過ぎた。

 

 俺は七級に、アロイスは六級に、シノブとイージスも八級にランクアップした。

 

 このことにより、ようやく本格始動が出来る。

 

 四人もいれば仕事の幅も広がり、色々な依頼を受けることができるからだ。

 

 

 

「さて……それじゃ、どうするかな?」

 

「そうですな……七級のオークは当然として……これなんかどうです?」

 

「七級からある護衛依頼と探索依頼か…… イージス、シノブ、お前達はどちらが良い?」

 

「私は探索ですかねー。自分の特技を生かせますし」

 

「オ、オイラは護衛かな。探索とか足を引っ張りそうだし……シノブさん、ごめ……いえ、なんでもないです」

 

「えへへ、それで良いんですよー。謝る必要はありませんからねー」

 

 イージスも少しずつだが、癖が抜けてきてはいるな。

 何より、シノブはおおらかで優しいからイージスとも上手くやれそうだ。

 

「団長、どうする? 意見が分かれましたぜ。俺は意見を言わないので、団長が決めてくれ」

 

「……まあ、二対二だとらちがあかないか」

 

「それもあるが……俺はあえて意見を言わない立場でいようと思っている」

 

「えっと……どういう意味だ?」

 

「人数が増えてくると客観的に見る奴が必要だと思ってな。何より、俺は年齢も経験も上だ。その俺の意見が合っていると思っちまうだろ?それじゃ、成長もしないぜ。もちろん先達者として、明らかに間違っているものには口を出すが」

 

「そうだな……わかった、アロイス。ありがとな、お前がいてくれて良かったよ」

 

「むぅ……ユウマさんが信頼している……私も頑張らないと!」

 

「オイラもです!」

 

「へっ、団長の右腕は俺だっ!」

 

「いや、なにを張り合っているんだ……そうだな、護衛依頼を受けようかと思う」

 

「団長、理由はなんだ?」

 

「俺もシノブもイージスも、この国では世間知らずな方だと思う。俺は貴族街出身で、人々基本的な生活を詳しくは知らない。シノブは言うまでもなく、そもそもこの国に来たばかりだ。イージスは長年いるが、それどころではなかったと思うし」

 

「まあ、良いと思うぜ。護衛依頼は村々を回ったりもするからな」

 

「二人とも、いいか?」

 

「仕方ないですねー」

 

「オイラは良いですよ」

 

「よし、ではどれにするかだな……うん?」

 

 依頼書を眺めていると、気になるものを見つける。

 

「どうしましたー?」

 

「いや、これが気になってな。一昨日からあるが、急募と書いてある」

 

「団長、どれどれ……うむ」

 

『大切な人を探しています。目撃情報を得たのですが、一人ではそこまで行くことが出来ません。どうか、そこまで護衛をして頂けないでしょうか? お願いします!』

 

「オ、オイラ、この人の依頼を受けたいです!」

 

「しかし……安いな。だから、残っているんだろうが」

 

 アロイスの言う通りだ。

 護衛依頼というのは、基本的に高額なものが多い。

 基本的には裕福な商人や、貴族などが依頼をすることが多いからだ。

 しかし、この依頼書は本来の三分の一程度しかない。

 だが急募と書いてあるので、きっと精一杯のお金なのだろう。

 

「アロイス、すまないが……」

 

「目に入っちまった以上、それが気になるんだろ? わかっているよ、団長がそういう奴だっていうのは……仕方ねえ、俺はそういうアンタに惚れてんだ」

 

「アロイス……ありがとな。二人もいいか?」

 

「オイラはもちろん!」

 

「良いですよー。さあ、行きましょー」

 

 俺は良い仲間を持ったな……本当に。

 

 依頼書を受け付けに持っていき、記された場所へ向かう。

 ぞろぞろと押しかけるのもあれなので、俺とシノブで行くことにする。

 その間に、イージスとアロイスには買い出しに行ってもらう。

 護衛依頼ということは、食材や衣類などが必要になるからだ。

 

 

 

「ここか?」

 

 とある平屋の民家に到着する。

 扉をノックして、声をかける。

 

「こんにちはー。冒険者ギルドで依頼を受けたものです」

 

 バタバタと音がして扉が開かれる。

 若い女性の方なので、俺は素早く一歩下がる。

 

「ぼ、冒険者の方ですか!? あのっ!」

 

「ええ、そうですよー」

 

「あっ、ありがとうございます! あの! 私を連れていってください! お願いします!」

 

「ユウマさん?」

 

 どうやら、相当テンパっているようだな。

 ここは、まずは落ち着いてもらわないと。

 

「お嬢さん、まずは落ち着いてください。お名前を教えて頂けますか?」

 

「あっ——わ、私ったら……ロナと申します」

 

「いえ、無理もないことです。まずは、詳しくお話を聞かせてもらっても?」

 

「そ、そうですよね。ええ、ではお入りください」

 

「ええ、ではお邪魔させていただきます」

 

「お邪魔しまーす」

 

 中に入り、リビングに案内されるが……他の気配がしない。

 ほっ……シノブを連れてきて正解だった。

 女性だけの家に、男だけで行くのはよろしくない。

 

「それで依頼の件ですが……」

 

「はい、実は……婚約者がいるんですが、オランが私のために……!」

 

「落ち着いて、ゆっくりと、順を追って……」

 

 出来るだけ優しい口調で、ロナさんに問いかける。

 それにしても……随分と所作が綺麗だな。

 これは……あのパターンか。

 

「えっと……私とオランは婚約者なんです。その、えっと……」

 

「失礼……ロナさんは貴族の娘さんですね?」

 

「えっ!? ど、どうしてわかったのですか?」

 

「へぇー、全然わかんないですねー。団長は何故?」

 

「いや、大したことではない。所作が綺麗だったこと、まだ若いのに言葉遣いなんかも丁寧だし……何より、同じ匂いがしたからな」

 

「貴方も……道理で、冒険者の方にしては立ち振る舞いが紳士だと思いました」

 

「ありがとうございます。でも、平民の冒険者にも紳士な方はいますよ。先ほど、私のためにとおっしゃいましたね?」

 

「はい……恥ずかしいことに駆け落ちをしてまして。両親が平民との結婚は許さないって……両親の気持ちもわかるのですが、私は彼以外には考えられなくて」

 

「素敵ですねー!」

 

「ありがとうございます……でも、彼はそれを良しとはしなくて……きちんと私の両親に認められたいって」

 

「見えてきましたね……平民の方が貴族に認められるのは……手柄を上げるか、それ相応の対価が必要ですね」

 

「そうなんですっ! 彼も冒険者で、賞金首を発見したから、その住処に攻め込むって……彼は貧しいから冒険者になったけど、本来は戦いなんか向いていないのに。でも、そこで大金を得て、両親にも認めてもらうって。私は貧乏でも良いから、彼と穏やかに過ごせたらそれで良いのに……」

 

「普通の女性はそうですよねー」

 

「そうかもな……ただ、男というのはバカなんだよ。見栄をはりたい生き物だからな。しかし、賞金首か……名前はわかりますか?」

 

「はい……仲間の一人が発見したそうで、ゴンザレスという山賊だそうです」

 

「まずい」

 

「え? 何かですかー?」

 

「奴は手強い……彼のランクは?」

 

「八級です……でも、仲間には六級もいるから平気だって……」

 

「奴は五級相当の実力と書いてあったな……六級なら不可能ではないか。ただ、敵味方の数にもよる。急いだ方が良さそうだな」

 

「やはり、そうなのですね……彼は気丈に振る舞っていましたが、とても不安そうに見えました。だから、私は彼に怒られることを承知で……生きてさえいてくれればいいんです。でも、こんな安いお金じゃダメですよね……でも、これ以上のお金はなくて」

 

「貴女のその覚悟、受け取りました。その依頼、引き受けましょう」

 

 俺がアロイスに怒られることは覚悟しておこう。

 

「えっ!? いいのですか?」

 

「ええ、ちょうど良いタイミングです。俺らも名前を上げたいと思ってましたので。ついでに、ゴンザレスも始末しましょう。そして、その報酬をいただきます」

 

「私が気を使わないように……ありがとうございます!」

 

「団長、どうしますか?」

 

「シノブはこの方を連れて、先に入り口へ。そして、馬を四頭用意してくれるか?」

 

「あいあいさー!」

 

「では、すぐにでも行きましょう」

 

「よろしくお願いしますっ!」

 

 俺はシノブと別れ、急いでアロイス達の元にいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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