追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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調査開始

 ギルドマスターとの話を終えた俺は、仲間達の元へと戻る。

 

「どうだった?」

 

「ここでは話辛いな……部屋を借りるとするか」

 

 冒険者ギルド内部には、お金を払うことで使用できる個室がある。

 パーティーの作戦会議や、クランなどの集まりが使用する。

 防音になっており、外に聞こえることはない。

 

「なに? ……厄介事か」

 

「ああ、そうなるかも。ただ、その前にランクアップの申請をだってさ」

 

「おっ、全員分が通ったか」

 

 ゴンザレス討伐により、全員が昇格することになったが。

 どうせなら、みんなで上げようということで待っていた。

 

「えっとアロイスさんは五級、ユウマさんが六級、私達も七級ですね」

 

「お、オイラが七級……!」

 

「これで、全員が銀級冒険者になったな。中堅クラスのパーティーということだ」

 

「へっ、ようやくか。俺はこっから上がることは難しくなるぜ」

 

 五級から上に上がるには、単純に依頼を受けるだけでは上がらない。

 試験が行われ、それに合格しないといけない。

 さらにはギルドマスターとの面会もある。

 四級から人数がガクッと減るのはそのためだ。

 

 

 その後、受付にて新しいギルドカードを受け取り、そのまま部屋を借りる。

 

 部屋に入って、俺は先程の話を簡潔に説明する。

 

「伯爵か……大物だな」

 

「えっと、八人しかいないんですよねー?」

 

「ああ、八つある都市の領主という意味合いもあるからな」

 

「そんな人が……? なんで?」

 

「さあな……まあ、大方の予想はつくが。というわけで、指名依頼を受けた。俺としても気になるところなので、調べたいと思うんだ」

 

「異議なしだぜ。ギルドマスターの心象を良くしておくに越したことはない」

 

「私もですー。さっさとランクアップしたいですもん」

 

「オイラもですっ! 困っている人達がいますから!」

 

「よし、全員一致したな。帰りに一応報告はしておくとして……役割分担をどうするかだな」

 

「全員で行動するのは効率が悪いだろうぜ」

 

「オイラは、何をすれば良いのか見当もつかないです……」

 

「いや、わからないことをわからないと言えるだけ良い。イージスは街の住民から聞き込みをしてくれ。お前は好かれているしな。聞き方は……最近、行方がわからない人っていますか?と聞いてくれ。行方不明者の依頼を受けたということにしよう」

 

「お、オイラに出来るかな……でも、やってみます!」

 

「ああ、無理はしないでいいからな。相手に気づかれないためとはいえ嘘をつくことになる。向き不向きがあるのは仕方ないのことだ」

 

「俺はどうする?」

 

「アロイスに言う必要はあるのか?」

 

「団長はお前だぜ? それに合っているかの確認だ」

 

「やれやれ……厳しいこと。アロイスは酒場に決まってるだろ?」

 

「正解だ」

 

「いや、ニヤリじゃないから。そんなのすぐにわかるし。というか、飲まれるなよ?」

 

「へっ、この俺を誰だと思っている?」

 

「二日酔いで俺に治してもらうおっさん」

 

 今のところ、俺の解毒魔法は叔父上とアロイスにしか使っていない。

 いや、使わないに越したことはないんだが……複雑である。

 

「ぐっ……た、たまにだろ? ほら、シノブにも教えてやれ!」

 

「全く……シノブは、その隠密性を活かしたいな。そうなると……いや、しかし」

 

「ユウマさん、遠慮なくどうぞ〜。というか、怒りますよ?」

 

「……これは俺が悪かった。すまん、シノブ。危険だが、スラム街に行ってもらえるか?そこには情報屋がいるらしいのだが、滅多に会えないという。どうやら、気配を消すことに長けているという噂だ」

 

「もしかしたら、私と同じ隠密系かもしれませんねー。わっかりましたー!」

 

「俺は貧困街に向かう。あそこは、昔から通っているから不自然ではないからな」

 

 こうして役割分担を決めて、俺たちはギルドを出て行った。

 

 

 

 俺は久々の一人ということで、少しの寂しさを感じていた。

 

「今までは友達もいなかったし……いつの間にか、あいつらが大きな存在になっていたんだな」

 

 そんなことを考えつつ、人々から話を聞いていく。

 

 すると、ある主婦の方から有力な情報が出てきた。

 

「行方不明者? 確かに、最近孤児が増えたとは思ったのよ」

 

「それはどういうことでしょうか?」

 

 俺もゴタゴタがあり、最近は行けてなかったが……。

 

「親が商人とか冒険者だっていう子が、最近孤児院に入ったって聞いたわ」

 

「なるほど……その親が行方不明になったと」

 

「怖いわよねー。みんなお金が必要に迫られてる家だったらしくて……」

 

 お金をエサにして呼び寄せたか。

 これは、当たりかもしれない。

 

「ありがとうございます」

 

「良いのよ、ユウマ君は良い貴族だもの。冒険者でも頑張ってね」

 

 主婦の方にお礼を言い、俺は孤児院へと向かう。

 

 

 孤児院に到着すると……。

 

 真っ赤な髪で、小柄な女の子がいた。

 

 その女の子は子供達と遊んでいる。

 

「見ない顔だな……孤児にしては大きいし」

 

 ボランティアの方かもな。

 俺も昔は似たようなことやってたし。

 

「あら、ユウマ君」

 

 少し歳を召しているが、背筋の伸びた女性が俺に気づく。

 彼女こそが院長先生のモネ先生だ。

 

「院長先生、ご無沙汰しております。中々顔を出せずに申し訳ありません」

 

「良いのよ、元気でさえいてくれれば。それにお金を送ってもらっているわ。いつもありがとうございます」

 

「いえ、母上共々大変お世話になっておりますから」

 

 友達もいなく、エリカがいない頃は、ここが俺の遊ぶ場所だった。

 親父と兄貴は構ってくれなかったし、同じ貴族の連中は好かなかったし。

 母上も息抜きを兼ねて、結婚してからも訪れていた。

 

「あまり、無理をしてはいけませんよ? こっちのことは気にしないでいいですから」

 

「ええ、わかっています。出来る範囲でお手伝いをさせていただきます」

 

「ふふ、ありがとう。それで、今日はどうしたの?」

 

「実は……最近、孤児が増えたと聞いたので」

 

「……そうなの。冒険者を親に持つ子や、借金を抱えた商人の人とか……皆は捨てられたって言うけど、本人達はそうは思っていなくて……」

 

「実は、行方不明者の調査をしてまして……」

 

「ああ、そういうことなのね」

 

「何時頃からですか?」

 

「ここ、半年くらいかしら……?」

 

「なるほど……ところで、あの女性は?」

 

 なんだが、さっきから気になるんだよな。

 

「ああ、初めてかしらね。アテラさん!」

 

「なんだい!? 今、忙しいんだよっ!」

 

「少し挨拶をしてもらっていいかしら?」

 

「仕方ないね。アンタら、遊んでな」

 

「あー!! ユウマさんだっ!」

 

「こんにちは!」

 

「ああ、こんにちは。少し待っててな。あとで遊んであげるからさ」

 

「「「はーい!!!」」」

 

「良い子だ。初めまして、ユウマと申します」

 

 ……あれ? 反応がない……。

 

 俺が頭をあげると……その女の子は固まっていた。

 

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