追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

43 / 50
ひとまず解散……とはならず

 自己紹介も済んだので、お互いの事情を改めて説明する。

 

 そして、それぞれがどんなことを願っているのかを……。

 

「さて、シノブのおかげでほとんど確定したと言っていい」

 

「どうする? すぐに報告するか?」

 

「いや、その前に……アテナさんは、どうしたいですか?」

 

「アタイかい?」

 

「ええ、妹さんは……その……」

 

「気を使うことはないさ。最悪、死刑になるってことだろ?」

 

「え、ええ……」

 

「そりゃ、何にも感じないって言ったら嘘になるが……でも、あの子が悪さをしているなら責任は取らないといけない。それに、それを止めてやるのもアタイの……姉としての役だろうさ」

 

「そうですか……わかりました。では、ギルドマスターに知らせてきますね。アテナさんは、一緒に来てください。きっと説明が必要ですから。みんなはここで待っててくれ」

 

 俺が部屋の外へ行くと……。

 

「……ユウマとか言ったね?」

 

「え?」

 

「ありがとね、アンタはいい奴だよ」

 

「いえ……」

 

 俺には推し量れないが……きっと、辛いだろうな。

 

 

 

 そのまま、受付に向かう。

 

「すみません、ユウマと申します。ギルドマスターに会いたいのですが……」

 

「ユウマ様ですね、すぐに通すように仰せつかまっております」

 

 

 

 すぐに通されて、以前の部屋の前に到着する。

 

「失礼します、ユウマ様をお連れしました」

 

「おや? 何か伝え忘れてたのかな? どうぞ」

 

 ……無理もない。

 さっきの今で、こんなに状況が変わるとは思うまい。

 

「では、私はこれで」

 

「ありがとうございました。では、失礼します」

 

 中に入ると、秘書の方とギルドマスターが不思議そうな表情をしている。

 

「どうかしましたか? その女性は?」

 

「いえ、実は……」

 

 この三時間くらいの出来事を伝える。

 

「……何かの罠ですかね?」

 

「少し、話が美味すぎます」

 

「無理もないことです。俺も、あまりにトントン拍子に進んで……少し戸惑いましたから」

 

「いえ、貴方を疑っているわけではありません」

 

「アタイのことを疑ってるんだね?」

 

「はい、そうです。冒険者カードを見せてもらっても?」

 

「もちろんさ……はいよ」

 

「五級の冒険者……偽物の類ではなさそうですね。ライラ君、他の支部に確認を取ってくれ」

 

「はい、かしこまりました」

 

「すまないね、ことがことだから。伯爵クラスが絡んでいるとなると……色々と下準備が必要だからね。ひとまず他の支部に確認して、君の素行を調べさせてもらうよ」

 

「いや、気にしないさ。むしろ、好感が持てるよ。どうやら、今回のギルドマスターは優秀みたいだね」

 

「以前の方は、少し頭が固い方でしたから」

 

「ふ〜ん……ここにいるのも悪くないかもね」

 

「それで、この後はどうしたら良いですか?」

 

「ひとまず確認が取れるまでは待機でお願いします。その後に、こちらでも擦り合わせを行い、最終的な判断をしてお伝えします。報酬も、その時に確定ということで」

 

「わかりました。では、お待ちしてます」

 

「いやはや……まさか、今日頼んで今日のうちに来るとは……」

 

「ふふ、これは持っている人材ですね。人当たりも良く、腕も良いですし」

 

「ええ、シグルド殿の言う通りかもしれませんね」

 

「あまり持ち上げないでくださいよ。慣れていないもので……」

 

 こういう時って、どう返していいか迷うんだよなぁ。

 叔父上とかなら……まあな!とか言うんだろうけど。

 

 

 すぐにでも準備に取り掛かるというので、俺たちは退出する。

 

 そして、再び仲間達の元に戻る。

 

「さて、ひとまず依頼達成ということになったが……」

 

「この後はどうする? まさか、こんなに早く終わるとは思ってなかったしな」

 

「他の依頼も受けてませんしねー」

 

「だが、新たな依頼を受けるのもまずい。いきなり呼び出されることもあるだろうし」

 

「すまないね、アタイのせいで」

 

「いえ、それはお気になさらないでください。そもそも、貴女がいなければもっと時間がかかってましたから。貴女は、どうする予定だったのですか?」

 

「まだ、この街に着いたばかりだからね。何もなければ宿を確保したり、街を散策するつもりだったんだよ」

 

「なるほど……もう夜になるな。イージス、お前が宿に案内してやれ。あそこは値段の割に良いところだったはず」

 

「へっ? お、オイラがですか?」

 

 どうやら、イージスは彼女のことが気になっているようだからな。

 

「ああ、お前はあの辺りにも詳しいし、この土地にも馴染んでいるからな」

 

「アタイは別に、一人でも……」

 

「あ、案内させてくださいっ!」

 

「……そうかい。じゃあ、悪いが案内してもらえるかい?」

 

「はいっ!」

 

 二人は俺たちに挨拶をして、部屋から出て行く。

 

「団長、良いところあるぜ」

 

「ふふ〜ホントですねっ!」

 

「なに、俺だってこれくらいの気は遣えるさ」

 

「じゃあ、俺は飲みに行ってくるぜ」

 

「おう、俺に頼るなよ?」

 

「うっ……が、頑張るぜ」

 

「シノブはどうする? 宿に帰るか?」

 

「ご飯でも行きませんかー?」

 

「そうするかね」

 

 俺たちもギルドを出ようとするが……。

 

「あれは……」

 

 ホムラが、他の冒険者ともめている?

 

「お前はパーティーから出て行け!」

 

「そうよっ!」

 

「ええ! 出て行きますともっ! こちらから願い下げですわっ!」

 

 ……穏やかじゃないな。

 

「ユウマさん……」

 

「ん?どうした?」

 

 俺の服を引っ張り、視線であっちを見てと訴えてくる。

 

「なんだよ……ロイドさん?」

 

 ギルドマスターが受け付けの奥で手招きをしている。

 

「なんか、呼んでますよ?」

 

「ちょっと行ってくる。お前はここで様子を見ててくれ」

 

 

 

 よくわからないが、そちらに近づくと……。

 

「ユウマ殿、申し訳ない」

 

「どうしたんですか?」

 

「あの騒ぎなんですが……」

 

「止めなくて良いんですか?」

 

 さすがにエスカレートしてきたけど……。

 

「いえ、事情がありまして……私が出るわけにはいかないんです」

 

「はぁ……」

 

 ギルドマスターが気を使ってる?

 そんなの……数えるくらいしかいないぞ?

 

「とある方との約束により、私が手助けすることは禁止されているのです。ホムラさんの両親には、私は世話になったもので……私情が入ってしまいますから」

 

「なるほど、それはそうですね」

 

「というわけで……ユウマ殿が面倒を見てくれませんか? 貴方のパーティーに入れてあげて欲しいのです」

 

 ………はい?

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。