追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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???との出会い

 ひとまず、場所を変えることにする。

 

 何故なら……めちゃくちゃ注目の的になっていたからだ。

 

 

 

「あぅぅ……」

 

「おい? いつまで恥ずかしがっているんだ?」

 

「恥ずかしいに決まってますわっ! あんな大衆の面前で……!」

 

「まあ、いいじゃないか。これで、俺のパーティーということが知れ渡るだろう。何か言ってきたら俺にすぐ言ってくれ。俺の仲間を侮辱するならタダじゃおかない」

 

「…………」

 

 なんだ? 固まってしまったぞ?

 

「聞いているのか?」

 

「ひゃい!?」

 

「うおっ、びっくりした……」

 

「さ、さらっと言うんですから……」

 

「むぅ……まあ、良いでしょうかねー。私は愛人でも良いので」

 

「待て待て、そもそもそういう関係ではないから」

 

「あ、遊びだったんですか!? くすん……」

 

「ユウマ!? 複雑ですが、男としてそれはどうかと思いますわよ!?」

 

「おいこら! 話をややこしくするなっ!」

 

「えぇー? 面白くないですか?」

 

「面白くないっ!」

 

「えっ? でも、そうすると愛人を認めないといけない……?」

 

「おい、ホムラ。何をブツクサ言っている?」

 

「い、いえっ! 何でもありませんわっ!」

 

「さて……これは話し合う必要がありそうですねー」

 

 ……やれやれ、随分と賑やかになったもんだ。

 

 

 

 その後は解散となり、何故かシノブはホムラと一緒に行くと言ってた。

 

 二人で話しがあるとか……まあ、初めての女性仲間だしな。

 

 色々と話したいことや、これからのことがあるだろう。

 

 俺達男には、どうしてもわからないこともあるし。

 

 仲良くやってくれるなら良いことだ。

 

 ……何故か、少し背筋が寒くなった理由はわからないが。

 

「さて、そうなると夕ご飯をどうするか」

 

 シノブと食う予定だったからなぁー。

 

「すいませんが、少しよろしいですかな?」

 

 俺が振り返ると、七十歳くらいの男性がいた。

 身長も高くなく、背筋も少し曲がっているが……。

 何となく、雰囲気のある方に見えた。

 もしかしたら、お医者様や先生の類かもしれない。

 

「ええ、なんでしょうか?」

 

「少し道に迷ってしまいまして……」

 

「なるほど、地図はありますか? もしくは、名前はわかりますか? えっと、ここなら……では、案内しますよ」

 

「ほう?」

 

「えっ?」

 

 今……一瞬雰囲気が変わったような。

 

「いえいえ、迷ったと言っただけなのに、随分と親切な方だと思いまして」

 

「えっと……お節介でしたかね?」

 

「そんなことはありませんよ。もしよろしければ、案内して頂いても?」

 

「ええ、もちろんです」

 

「物腰も柔らかく、言葉遣いも丁寧……驕った様子もない」

 

「……何か変でしょうか?」

 

「申し訳ない。人を導く仕事をしているのですが、若いのにしっかりしているなと感心していたのです」

 

「やはり、そうでしたか。佇まいや、雰囲気があったのでそうではないかと」

 

「ほほっ、嬉しいですな。では、お願いしますよ」

 

「ええ、こちらです」

 

 

 

 お爺さんの歩幅を合わせ、ゆっくりと歩く。

 

「えっと……お名前をお伺いしても?」

 

「これは私としたことが……親切な若者に感動していましたね。私の名前は、オーレンと申します」

 

「お褒めのお言葉ありがとうございます。私の名前はユウマと申します。冒険者を生業としている者です」

 

「ほう? ……貴族の方ではないのですか? その所作や言葉遣い……」

 

「訳あって、家名を名乗ることは控えているのです。申し訳ありませんが……」

 

「いえいえ、そういう方もいらっしゃるでしょう。ところで、恋人はいらっしゃるのかな?」

 

「へっ?」

 

「ほほっ、緊張なさっているようなので……」

 

 確かに何故かわからないが、この人を見ていると背中に汗をかく……。

 物腰も柔らかく、優しそうなご老人なのに……。

 多分、教育者ということがそうさせているのだろう。

 

「も、申し訳ありません。オーレン殿が悪いわけではなくてですね……」

 

「いえいえ、わかっております」

 

「恋人ですか……いませんね」

 

 シノブとは、まだそういった関係ではないし。

 兄貴に世継ぎが出来るまでは、俺にその気はない。

 

「ほう……しかし見た目も良いし、性格も良さそうです。きっと、モテるのでは?」

 

「いえ、そんなことはありませんよ。いまいち、自分というものがわかっていないのです。あまり、家から出ることもなかったので」

 

 軍では男だらけだったし、学校では女子から避けられていたし。

 というか、ヒソヒソ話をよくされていた。

 もしかして……あれってイジメだったのか?

 

「なるほどなるほど……自覚がないタイプと。お答えし辛かったら、答えなくて良いのですが……家族と上手くいってないので?」

 

「父親と兄貴と少し……」

 

 やはり先生ということなのか、自然と言葉が引き出された。

 

「優秀な次男坊に嫉妬していると……うむ、良くある話ではありますね」

 

「生徒さんにも?」

 

「ええ、いますよ。中には長男を排除して、自分がという生徒も」

 

「そうですか……」

 

「今のは極端な話ですが、国のためを思うのならそれでも良いと思いますがね」

 

「それは……?」

 

「長男だからといっても、優秀でなければ次男が継げばいいのです。もっと言えば、外から婿なり養子なりでも良いのです」

 

「凄い考え方ですね……」

 

 これって、聞かれたらまずいよな?

 貴族批判に値するし……。

 

「ほほっ、この辺りにしておきましょうかね。ただ、貴方はその気はなさそうですね?」

 

「ええ、俺には考えられないことです。家は兄貴が継げば良いと、本気で思っております」

 

 ただ、エリカに理不尽な行いをするなら——そうはいかないが。

 

「争う気はないと……ふむ」

 

「あっ、ここですね」

 

「おやおや、楽しくてあっという間でしたね。すみませんね、案内してくれた方に説教臭いことを申しまして……」

 

「いえ、そんなことはありません。話を聞いてもらって、改めて自分の気持ちに気づきました。オーレン殿、ありがとうございました」

 

 俺は頭をしっかり下げる。

 本当に、少しスッキリしたからだ。

 家を出て冒険者になったことで、何か考え方が変わるのではないかと思っていた。

 しかし、やはり兄貴を押し退けてまで継ぐ気は無い。

 

「そうですか、なら良かった。では、失礼しますね——ユウマ-ミストル殿」

 

「ええ、オーレン殿……えっ?」

 

 俺が顔を上げると、オーレン殿はすでに建物に入っていた……。

 

 俺……ミストル家って言ってないよな?

 

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