追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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ホムラとシノブ

 ……一体、何のお話なのかしら?

 

 いきなり、ひと気のないところに連れてこられてしまいましたが……。

 

 念願だったユウマの仲間になれた直後、シノブという女性に誘われたのです。

 

 私がユウマを好きということは知らないはず……。

 

 そうなると……なんで呼ばれたのかしら?

 

 

 

「ホムラさんは、ユウマさんが好きなんですよねー?」

 

「ぽえっ!?」

 

 思ってるそばからバレていましたっ!

 

「ぽえっ……初めて聞きましたね」

 

「う、うるさいですわっ! べ、別に好きなんかじゃありませんっ!」

 

 うぅー……なんでいつもこんなセリフしか出てこないのっ!

 

「あっ、なら良いんですよー。では、私は好きなので邪魔しないでくださいね?」

 

「うっ……」

 

 良いなぁ……どうして、そうストレートに言えるのかしら?

 

「……私はユウマさんの役に立ちたいです。そしてユウマさんを煩わせたり、心苦しい思いをさせるのは嫌です。もちろん隙があれば攻めはしますけど、ユウマさんが本気で嫌がることはしないつもりです」

 

「シノブさん……」

 

 その目はとても真剣で、私は自分が恥ずかしくなってきます……。

 

「貴女がユウマさんを好きではないというのなら、それはそれで良いんです。私にとってもライバルが減って万歳ですからねー。でも……仮に好きだった場合、同じパーティー内で好きな人が被るという状況になりますよね?」

 

「そ、そうねっ! か、仮にですけどっ!」

 

「そしたら、ユウマさんは気まずいというか心苦しいと思うんです。本人には、今はその気はないようですし……でも、貴女が好きでないなら良いです」

 

 羨ましい……きちんと好きと言えて、相手の気持ちを考えられる貴女が。

 私は恥ずかしいとか、自分の素性のこととか……そんなことばかり。

 でも……私だってユウマが好きです。

 見た目以外を褒めてくれた男性は初めてだったもの。

 

「ワ、ワタクシは……ユウマが好きですの……」

 

 熱い……! 身体が燃えるよう……!

 

「知ってますよー」

 

「はえっ?」

 

 一世一代の告白にも関わらず彼女は平然としております!

 

「そりゃーわかりますもん。同じ人を見ているんですからー」

 

「そ、その割には随分と余裕ですわね? ワタクシなんか眼中にないと?」

 

 確かにシノブさんのが素直で可愛いけど……。

 

「いえ、そんなことはありませんよー? 貴女はとても美人ですし、ユウマさんと同じ人族ですからね」

 

「……とりあえず、ありがとうと言っておくわ。では、なぜ?」

 

「うーん、そうですねー……割と、貴女を気に入っているからです」

 

「へっ?」

 

 シノブさんに気に入られている……?

 私はひどい言葉ばかり……。

 

「私の正体には気づいていますよね?」

 

「ええ、エデン出身の方ということは……」

 

 私は生まれにより、彼らと接する機会があります。

 それに亜人という言葉を嫌うことも。

 

「貴女は破廉恥とか、はしたないとか言いましたけど……一度たりとも言いませんでしたから——亜人のくせにと」

 

「そ、そんなのは当たり前ですわっ!」

 

 私はこの国を代表する家の者!

 たとえ周りがそうでも我が家だけはっ!

 それが亡き父上と母上との約束ですっ!

 

「えへへ、そう言ってくれるんですねー。でも、それって少数派なんですよ。口では言えますけど、態度は誤魔化せませんから」

 

「……否定はできませんわね」

 

 まだまだ他種族への忌避感は根強いものがあります。

 

「でも、貴女はそうしなかったのでー。だから、上手くやっていけるかと思って」

 

「えっと……どういう意味かしら?」

 

「二人でユウマさんの女になりましょう」

 

「な、なっ——!? やっぱり破廉恥ですわっ!」

 

「むぅ……そんなに変ですかね? 子供を作るのって大事なことなんですよー?」

 

「わ、わかってますけど……二人でっていうのは?」

 

「あれ? 一夫多妻制じゃないんですか?」

 

「い、いえ、一夫多妻制ではありますわ」

 

「なら良いじゃないですかー。最近、ユウマさんに色目を使う女の人が増えてきて困ってたんですよー。そんなミーハーな人達に用はありません」

 

 ……確かに、パーティーを組んだ女性の方々も言っていたわ。

 ユウマって貴族なの?とか。

 まだ恋人はいないのか?とか……。

 きっと名前が知れてきて、ただのルーキーではないことに気づいたのでしょう。

 

「なるほど……」

 

「なので、私達で牽制をしようかと。すでに二人いて、隙間はありませんよーって。ユウマさんは、今のところ恋人を作る気はないみたいですから」

 

 おそらく、貴族であることが関係してますわね……。

 

「つまり、二人でユウマを守るということですね?」

 

「そういうことですねー」

 

「そ、そういうことでしたら……良いですわっ!」

 

「決まりですねー。じゃあ、よろしくです——ホムラ」

 

「こ、こちらこそ——シノブ」

 

「えへへー、人族の女の子の友達が出来ましたー」

 

 わ、私が友達!?

 

「あ、え、う……よろしくしてあげますわ」

 

 もう! なんでそんな言葉しか出てこないのっ!

 

「はい、よろしくです。あっ、それで……」

 

 その後、ユウマ達がギルドマスターから依頼を受けていること。

 

 もしかしたら伯爵クラスが関わっているかもしれないこと。

 

 そして返事と調査待ちということを聞かされます。

 

 ……これは、私でも力になれることがありそうですわ。

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