追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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作戦計画

 あれから、一週間が経過した。

 

 その間の依頼は、都市の中で出来るものに限定した。

 

 街の清掃から、孤児院の子供たちの世話……。

 

 平民の方々からの細々とした依頼……。

 

 だが、これも必要なことだろう。

 

 魔物と戦ったり、賞金首と戦うだけが冒険者の仕事ではない。

 

 そういうのが誉れとされがちだが、人々の役に立っている点は同じである。

 

 

 

「ユウマ君、今日もありがとうございます」

 

「いえ、また何かありましたらお呼びください」

 

 今日は孤児院にきて、子供たちの相手をしていた。

 一人で来ようかと思ったら、何故かシノブとホムラがついてきたが……。

 まあ、意外と面倒見が良く、結構人気があるみたいなので良かった。

 

 ただ一つ問題があるとすれば……。

 

「お姉ちゃんはユウマさんの彼女なの?」

 

「ち、違いますわっ!」

 

「そうですよっ! ユウマさんの彼女は私ですもんっ!」

 

「ちげえよっ!」

 

「え!? わ、ワタクシはユウマの彼女なのですか!?」

 

「そっちじゃねえよっ! シノブにいったんだよ!」

 

「ふふ、楽しい方々ね」

 

「あっ、騒がしくて申し訳ない」

 

「いいのよ、楽しくて。あの子達も笑顔だし……たとえ立場が違っても、良い人がいるってことは知っておいて欲しいから」

 

「院長先生……」

 

 さすがは貴族の孤児から、平民の孤児、果てはエデン出身の孤児まで面倒を見てきた方だ。

 シノブとホムラの正体にも気づいてるに違いない。

 

「そういえば、彼女は……?」

 

「アテラさんは、あれからきてないわ」

 

「申し訳ない、俺のせいです」

 

「謝ることはないですよ。何か事情があるんでしょうから」

 

 

 孤児院の皆に挨拶をして、2人と共に都市の中を歩く。

 

「ホムラっ! あれ着ませんか!?」

 

「あ、あんなの着れませんわっ! 布面積が……あぅぅ……」

 

「2人でユウマを悩殺ですよっ!」

 

「おい? そういうのはせめて本人のいない場所で……ん?」

 

 アロイスが血相を変えてこちらに向かってくる。

 

「団長! ここにいたかっ!」

 

「アロイス、どうした?」

 

「ギルドマスターから呼び出しがかかったぜ!」

 

「なに? ということは、いよいよか」

 

 アロイスに礼を言い、そのままギルドに向かう。

 

 

 中に入ると秘書の方と、アテナさんが待っていた。

 その側にはイージスもいる。

 

「ユウマ殿、お待たせしました」

 

「やれやれ、アタイは寝不足だってのに……」

 

「いえ、こちらこそお待たせしました。アテネさんもすみません」

 

「ふふ、相変わらず生真面目な方です。では、アテナさんとユウマ殿はついてきてください」

 

「じゃあ、みんなは待っててくれ」

 

「やれやれ、仕方ないね」

 

 

 秘書のライラさんについていき、以前来た場所にくる。

 

「マスター、2人をお連れしました」

 

「はい、どうぞ」

 

 中に入ると……叔父上がいた。

 

「はい?」

 

「よっ、ユウマ」

 

「えっと……何で叔父上が?」

 

「アンタの叔父さんなのかい?」

 

「まあ、ひとまずは座ってください」

 

「では、私はお茶を入れてきます」

 

 俺とアテネさんは、ひとまず2人の対面に座った。

 

「まずは、アテネさん」

 

「なんだい?」

 

「申し訳ありませんでした。調査により、貴女の疑いは晴れました」

 

「頭を上げておくれよ。ギルドマスターが頭を下げるもんじゃないよ。だが、個人的には悪くない気分だね」

 

「いえ、こちらが間違っていたのなら謝るのが筋ですから。私の頭一つで、優秀な人材が得られるなら安いものです」

 

「そういうことかい……抜け目もないと。良いね、ここでしばらく世話になるよ」

 

「それは良かったです」

 

「で、叔父上?」

 

「まあ、待て。俺は関係ないというか……ったく、何で俺がこんな面倒なことを……あの野郎め、国王だがなんだか知らないが……」

 

 何やらブツブツ言っているが……。

 

「シグルド殿」

 

「ちっ、わかってるよ。確かに、俺が出た方が収まりはつく」

 

「では、説明します。まずは、サウス伯爵の悪事が確定いたしました。とある方が、私達が得た情報を元に調べてくださいました」

 

「とある方……失礼ですが、信憑性は?」

 

 伯爵クラスを調べるって……どんな方だ?

 

「いえ、当然の疑問かと。名前は明かせませんが、確かな情報です」

 

「そうですか、それならば良いです」

 

 きっと、俺に知らせて良いレベルじゃないってことだな。

 

「して、その方と話し合いまして……サウス伯爵を捕らえて良いと」

 

「なっ!?……なるほど」

 

 領主権限を持ち、伯爵であるサウスを捕らえると許可をする。

 そんなのを出せるのは1人しかいない——我が国のトップ以外には。

 

「まあ、そういうわけです。今回は冒険者に被害が多く、発見したのも冒険者ということで、こちら側で解決することを許可して頂きました。ただし、国としてもそれでは面子を保てません。かといって、貴族が率いては反発する冒険者もいるでしょう」

 

「なるほど、それで叔父上が……」

 

 叔父上は冒険者からも圧倒的な支持を得ている。

 あの大会を見て、冒険者になった人も多い。

 

「そういうことだ。めんどくさいが、一応伯爵だしな。断っても良かったが……まあ、たまには暇潰しも良いだろう」

 

「叔父上が率いることで、冒険者の反発を防ぐ。そして国のしての面子も保つと」

 

「ええ、その通りです。面倒なことですが、そういう世界ですから」

 

「だが、俺は基本的には何もしないつもりだ。お前がリーダーとなって、奴を仕留めろ」

 

「お、俺が?」

 

「クラスは中堅ですが、発見したのは貴方です。それに、調査を成功させたのも。誰からも文句は出ませんし、させません」

 

 俺にできるだろうか?

 まだまだ未熟者の俺に……。

 

「ユウマ」

 

 顔を上げると、真剣にこちらを見る叔父上がいた。

 

「お前の目的はなんだ?」

 

「最悪の場合に備えて……自分だけの力で、エリカを守ること」

 

「俺に頼らない姿勢は評価する。で、今回はチャンスじゃねえか?」

 

 叔父上の言う通りだ。

 ここで名を上げることは、この先を考えたら……。

 

「わかりました。若輩者ですが、精一杯やらせて頂きます」

 

 「決まりですね。では、ひとまず終わりにいたしましょう」

 

 俺がリーダーか……。

 

 どこまでやれるかわからないが……。

 

 覚悟を決めてやるしかあるまい。

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