追放から始まる英雄譚~心優しき青年は真の力に目覚める~   作:おとら0205

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突入

 都市を出発して、数日後……。

 

 ようやく、サウス伯爵領に到着する。

 

 そして都市の中ではなく、中継地点である宿に泊まることにする。

 

 俺たちは、都市の西口から一気に攻める予定だからだ。

 

 

「ふぅ……なんとか前日に着けたな」

 

「えへへー、そうですね」

 

「……おい? 何をしている?」

 

いつの間か、ベットにはシノブがいる。

 

「はえっ? 部屋にいますよー?」

 

「お前の部屋はここじゃない!」

 

「え〜いいじゃないですかー。減るもんじゃないですし」

 

「俺の精神力が減るわっ!」

 

 耐える方も大変なんだよっ!

 

「むぅ〜」

 

「膨れても無駄だからな? ほら……」

 

 その時、バーン!という音がする。

 

「ここにいましたわねっ!?」

 

「あっ、バレましたー」

 

「ユウマ! 貞操は無事ですか!? この破廉恥娘!」

 

 貞操って……普通は逆だと思うのだが?

 

「ホムラもどうですかー? 一緒にイチャイチャしませんかー?」

 

「い、一緒……! は、初めては二人きりでロマンチックな雰囲気で……って! そうじゃないわっ!」

 

「おい? もう一度言うけど、ここ俺の部屋だからな?」

 

 すると……ドアからアテネさんが見える。

 

「お取り込み中かい? いやはや、モテる男は大変だね」

 

「勘弁してくださいよ……」

 

「さ、三人なんて破廉恥ですわっ……!」

 

「はぁ……シノブ、ホムラを連れて部屋を出てくれ」

 

「仕方ありませんねー。ほら、行きましょー」

 

「へっ? ちょっと!?」

 

 ホムラを引きずり、シノブが部屋を出て行った。

 

「悪いね、邪魔して」

 

「いえ、正直言って助かりました。俺は、今はその気はないので」

 

「へぇ……本当に変わった男だね。あれだけ器量の良い女性に言い寄られて……」

 

「まあ、そこは否定しません。それで……アテラさんのことですね?」

 

「ああ……そうだね。あの子について決めておかないといけない」

 

 あの後ギルドマスターからは、彼女についても色々聞かされた。

 もちろん、聞いたのは俺とアテネさんだけだ。

 

「色々調べた結果……無実の人間は殺してなさそうということです」

 

 あくまでも、伯爵子飼いの者の始末担当らしい。

 加担はしているが、直接冒険者を殺したりはしてなさそうだと。

 

「でも犯罪には変わりないね。伯爵の悪事を知った上で加担しているからね」

 

「まあ、そうなりますね……貴方の手で殺しますか?」

 

「……死刑よりは、アタイが殺した方がマシかね」

 

「まだ、わかりませんが……情状酌量の余地があるかどうかですね」

 

「しかし、捕らえるとなると……リスクが高いね」

 

「お話がしたいですか?」

 

「……そうだね。結果がどうなるかはわからないけど」

 

「では、捕らえる方向で行きましょう。一応、あちらからも出来れば捕らえるようにと言われていますし……無論、犠牲が出そうなら……」

 

「わかってる、その時は遠慮なく仕留める……ありがとね」

 

「いえ……」

 

 アテネさんは何とも言えない表情をしている。

 

 そして、夜は更けていった……。

 

 

 

 

 翌朝、朝食を食べ、最終確認をする。

 

「アテラさんは捕らえる方向で行く。ギルドマスターにも言われているしな。アテラさんが始末屋だとしたら、情報は沢山持っているはずだからだ」

 

「おう、わかったぜ。見つけ次第……誰が相手をする?」

 

「まあ、私とアテネさんですかねー」

 

「アンタの身のこなしは凄かったね。アタイでも捉え切れるか……」

 

「えへへー、アテネさんも凄かったですよ? 私、避けるの大変でしたもん」

 

 先ほど、試しにやってみたが……。

 アテネさんの腕前は一流クラスだった。

 狙った的は外さないし、シノブを接近させなかった。

 

「同じような腕と思っていいんですね?」

 

「ああ、アタイと似たようなものさ」

 

「では、強敵ですね。皆、狙撃には最新の注意を払ってくれ。シノブ、警戒を任せてもいいか?」

 

「あいあいさー!」

 

「アロイスは先頭に立って先陣を切ってくれ。お前なら他の冒険者も付いて行きやすいだろう」

 

「おうよっ!」

 

「イージスはアロイスの後ろについてくれ。いざという時はアロイスのガードを頼む」

 

「はいっ!」

「真ん中はアテネさんで頼みます。それらしき人がいたら知らせてください」

 

「はいよ」

 

「俺とホムラは最後尾だ。おい、ホムラ。言っておくが、俺の側から離れるなよ?魔法に集中するお前には、矢を射られたら防ぎようがない。俺が必ず守るから、安心して良い」

 

「ひゃい!」

 

「なんだよ、ひゃいって……俺は真面目な話をだな」

 

「わ、わかってますわよっ!」

 

「今のは団長が悪いぜ」

 

「オ、オイラも……」

 

「私もー」

 

「アタイもだよ」

 

「あぅぅ……ユウマも破廉恥ですわっ!」

 

「……解せぬ」

 

 俺は至極当然のことを言っただけなのに。

 

 

 

 そして、移動を開始する。

 

「よし、この辺りが良いだろう。恐らくギリギリのはずだ」

 

 武装した集団がいたら怪しまれるので、出来るだけギリギリ到着にした。

 

「最後に、手はずを確認しますかー?」

 

「そうだな……鐘がなると同時に、西の門が開かれる。そしたら、俺達は北にある領主の館に向かう。幸いなことに領主の館付近には平民はいない。そこには子飼いの者しかいないから、遠慮はいらないそうだ。ただ、出来るだけ殺さないようにとのことだ。仕方なく従っている人もいるかもしれないからだ」

 

 全員が頷くのを確認すると……。

 

 ゴーン……ゴーン……。

 

「門が開いた! いくぞ!」

 

 いよいよ突入である。

 

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