カントーへ前倒しでやってきた私は移動ではレポーターのようなことをしつつ、要所の地でステージに立つという、私の本場であるイッシュ地方でも中々しない過酷なスケジュールを送っていた。
例えばその場所はカントー地方の……
「はい、ルッコです。ここはカントー地方の有名な釣りの名所、サイレンズブリッジになります。道が全て桟橋で出来ているんで、気を付けて歩かないと落ちてしまいそうです!」
「やっぱり釣りの名所だからか、釣り人が多いように感じるね」
「はい。今日は風が穏やかだからいいですけど、海風が強い日なんかは立っているだけで大変なんじゃないでしょうか!」
「それにしても、見渡す限りの海です。イッシュ地方じゃあ、こんな海を間近にした道路は少ないから、新鮮な気分になれるんじゃないかな?」
「そうですね。風にのってやってくる潮風がとても気持ちよくて、何時までもいられそうです」
「おや、取材の人かね。ここじゃあ、水ポケモンが逃げちゃうから静かに渡るのがマナーだよ」
「あ、そ、その……すみません」
「さて、どうやらポケモンを持っているみたいだね。一戦お願い出来るかな?」
「え、ポ……ポケモンバトルですか!?」
あるいは、港町で有名なジョウト地方の……
「今日はアサギシティの灯台に来ています。ここでは、灯台名物のアカリちゃんが今日も元気に明かりを灯しているんですよ~」
「はい、少し前までは病気で弱っていたんですけど、今ではこの通り、元気に灯をともしてくれています」
「そうなんですね。その時はミカンさんがお薬を取りに行かれたのですか?」
「いえ、アカリちゃんの看病をしていたので。ただ、ジムバッジ集めをしていたトレーナーの方が取ってきてくれたんです」
「……そうだったんですね。でも、ここに来るまでに結構なトレーナーがいましたよね。日頃からあのくらいの人がいるんですか?」
「この灯台は観光スポットにもなっていて、日頃から多くの人が訪れるんです。完成当初は船から降りた方を中心とした観光客が中心だったのですが、その中にはやはりトレーナーの方がいます。そうして、そのトレーナーと戦いたい人が集まるようになりました」
「気になったのですが、灯台の中で戦っても大丈夫なんですか?」
「そこは問題ありません……と、言いたいところだけど、地震とか波乗りとかされるとちょっと困るかもしれません」
「それはそうですよね……と、そろそろお時間が迫ってきました。それでは、私はステージの準備をしてきますので、今しばらくお待ちください!」
時には、ジョウト地方の中でもコアなスポットまで……
「こちら、タンバシティ奥にあるサファリゾーンになります。それにしても凄いですね、バオバ園長。タンバシティの山道を超えた先に、こんな大規模な施設があるなんて」
「そうだろう、そうだろう。こんな大きい施設はイッシュ地方出身のルッコちゃんでも、見たことないんじゃないかな?」
「はい。それに、このサファリゾーンの中のポケモン達は、気ままに過ごしている気がします」
「そうだね。なるべく、自然環境に近くすることを目的に、人が入る際も注意を払っているからかな。そう言えば、ルッコちゃんはポケモンの捕獲が上手だとか」
「自分では特別上手……とは思ったことはないんですけど」
「では、ちょっとやってみてはどうだろうか?」
「え、いいんですか?」
「とは言え、ポケモンを出すのは禁止。トレーナーが出来ることは、餌を投げるか、泥を投げるか、このボールを投げるかだ」
「な、なるほど……ポケモンとの駆け引きってことですね」
「そう、その醍醐味に嵌ってくれる人も多いんだ。ルッコちゃんはどうかな?」
「あ、あそこにいるのは……」
「あれはケーシィだね。うまくやらないとすぐに逃げられちゃうから、頑張って!」
「く……そうだ、餌を投げて……と、うん、食べているね、今!」
「……一発勝負って、難しいですね」
「普段は体力を減らしてからボールを投げるからね。その感覚の違いが今回の結果だったのかもしれない。とはいえ、ルッコちゃんはとても上手だよ。餌を与えたらポケモンは逃げ出しにくくなるけど、残りを食べようと思うから、慌ててボールから逃げ出そうとするのに、当てる場所が上手い」
「でも、この駆け引きが病みつきになる人は多そうですね……こちら、ジョウト地方のサファリゾーンからでした!」
やりがいは感じている……けれども、疲れたというのが本音だ。
「ふぅ……」
元々、カントーとジョウト地方でステージの予定はあったが、ここまでレポーターの仕事をする予定ではなかった。それもこれも、イッシュ地方で起きた謎の帆船によるソウリュウシティ凍結事件が起因している。あの事件では人的被害こそなかったらしいけど、人々の心を凍り付かせるには十分だった。
だからこそ、仕事で違う地方にいる自分は何が出来るのか……その結果が、多くの番組に出て、顔を見せると共に現地レポーターのような仕事を敢えて増やすことだった。それが続けば、自分の首を絞めるだけなのは分かっている。それでも今、やらなければならないと感じていた。
そして、そんな行動がは功を奏したのかは分からないけれども、私というポケドルの知名度もカントー地方やジョウト地方で少しずつ広まっているらしい。さきほどあったバオバ園長も、嬉しいことに私の曲を知っていたようだ。
「…………」
とは言え、イッシュ地方のことが気になるのは私も同じだ。だから今もこうして、マネージャーから渡された新しい端末、スマホロトムで新しい情報を調べている。残念ながら、何も分かっていないけれど。そしてそれは、マネージャーや番組スタッフ達も同じだった。
ソウリュウシティが相変わらず凍結している為、元々行う予定だった番組も延長になってしまった。そもそも、どうやったら元に戻るかすら分からない。ソウリュウシティ自体の今後も全く以て分からない。
「……で、どうなの。状況は」
一応、マネージャーも情報収集しているようだけど、私と同じように新しい情報は手に入っていないようだ。
「セイガイハシティ周辺に現れた後、そのまま別の場所へ向かって以降、新しい情報はまだ……」
一つだけ言えることは、ソウリュウシティ以外に被害は出ていない、ということだろう。
「下手に絡めばあの集団と争うことになるし、現場の人がポケモンをそこまで鍛え上げているかとは言えないから、その辺りは今後の情報待ちね」
……マネージャーが私を見て、呆れたようにため息をついた?
「ルッコ。少し、気晴らししてきない」
突然どうしたんだろう。と言っても、今はあまり気晴らし出来る気分でもないんだけど……そうだ。
「でも……レッスンしないと」
「集中力」
「う」
「自覚しているくらい気が紛れている状態で、思い出したかのようにレッスンをしようとするくらいなら、休んだ方が身の為よ。というか、今レッスンなんかしたら、怪我するわよ」
マネージャーの冷静な指摘は事実だろう。でも……
「それでも、それでも何かしていないと、気持ちが落ち着かなくて……」
「そう。だったら、サファリゾーンへ行ってもいいんじゃないかしら?」
「まぁ、興味は……ありますけど」
「どうせあの事件以降のイッシュ地方が気になっているからまともに眠れていないんでしょう。貴女がそれを気にして仕事にいつも以上力を入れてくれるのは嬉しいけど、倒れちゃったら元も子も無いわ。ルッコはポケモンの捕獲上手なんだし、ここにはイッシュ地方にいないポケモンも沢山いるわ。入場料が必要なら私の方で建て替えるから行ってきなさい。その代わり、何か可愛いポケモンを捕まえたら、後で私に見せなさいよ」
マネージャーの温かい言葉で踏ん切りがついた。
「はい。それじゃあ、いってきますね!」
「夕方には戻ってきなさい」
部屋を出て、ルッコのままサファリゾーンへ向かう。
そうして私、ルッコがサファリゾーンへ向かった後も、その部屋では引き続き、マネージャーとスタッフ達は話をしていたらしい。
「良かったんですか、行かせてしまって」
「貴方達も気づいていたでしょうけど、あの子、集中出来ていなかったでしょ?」
「ええ、つい先日までポケドルのツアー、ライブ、インタビューコーナー、連載番組の仕事が立て続けに入っていましたからね。今日は空元気で乗り切っていましたけど、やっぱり眠れてないんでしょうか」
「この前までは休めたと思うけどね。ソウリュウシティであんなことが起きて以降、ルッコがいつも以上に張り切って仕事しているの、貴方たちも分かっているでしょう」
「はい。やっぱり、イッシュ地方があんな状況だから……」
「あの娘のことだからね、家族もいるし心配なんだと思うわ」
「その辺はジムリーダーや四天王がいるんだから心配ない……と言いたいところだけど、ニュースの光景を見たら、みんな不安になりますよね」
一人の番組スタッフがおずおずと手を上げる。
「何、聞きたいことでもあるの?」
そのスタッフの様子がどうも可笑しかった。今日の仕事でも、ミスを特にしていないのにどうして彼は畏縮しているのか。
「一応、番組の今後として確認しろ、と言われまして……あの事件以降、ルリさんの事務所に問い合わせが来ているとか」
その質問は、聞きたくないけど聞かなければならないものだったのだろう。発言した後で申し訳なさそうに頭を下げていた。そして、その質問内容は他のスタッフも把握していたのか、軒並みビードルを噛み潰したかのような顔をする。それを見たルッコのマネージャーは眉間に皺を寄せたが……怒鳴り散らすような真似はせず、努めて平静を保っていた。
「……それ、ルリには言っていないでしょうね」
「はい。それは勿論」
「もうそっちに情報が流れた、か……それにしても困ったものよね、こういう情勢にかこつけて引き抜きしようとしているんだから」
「……早く鎮まることを、祈るしかないですね」
「それより、そんなことを聞くぐらいなら、ルッコの仕事をあんたらが潰すんじゃないわよ、さっさと編集に掛りなさい!」
「は、はい!」
「全く……」
サファリゾーンに到着した私は、もう一度受付へ入る。
「おや、ルッコちゃん。仕事はもう終わった筈だよ?」
「仕事ではなく、私用で来ました。確か、ボールは30個でしたよね」
入場料を払ってボールを受け取った。意表を突かれた顔をしているけど、どうしたんだろう。
「……そうなんだね、分かった。今は人が少ないし、ゆっくりしていくといい」
「ありがとうございます!」
「やっぱり隠していたみたいだけど、随分と疲れた顔をしていた」
サファリゾーンに入り、色んな場所を歩いてみる。歩いてみて改めて気付かされたが、各エリアはただ外見を模倣している訳ではない。気温や湿度までは変えられないようだけど……それでも、歩いている土や森、花畑といった各エリアは造られたものとは思えないほどに精巧だ。きっと、私では分からないような様々な工夫が凝らされているのだろう。
「ふぅ……」
施設内をくまなく歩いた後、通りがかったポケモンを見て、小さくため息をつく。サファリゾーンにいるポケモンはとても自由に過ごしている。それが少しだけ、羨ましいと思った。
ポケドルとして、イッシュ地方ではテンマ君と並んで人気も知名度もあることは自覚している。だからこそ、仕事以外では関係性を作ることにも注意を払っていた。そうした中での……ソウリュウシティ凍結事件。あの事件以降、テレビ番組も明るい放送が出来ない事情から、少しでも番組に映せるような現地のレポーターの仕事を緊急の仕事として入れるようにしていた。それこそ、眠る時間を失くしてでも。
「…………」
正直、イッシュ地方がどうなるかは分からない。それでも、自分達はイッシュ地方で生活しているのだ。直接役に立つことはできなくても何かをしたい……そんな想いから、大変になると分かった上で、日頃以上に力を入れて仕事に取り組んでいたつもりだった。同じポケドル仲間のテンマ君も確か今は……ホウエン地方にいるはずだけど、同じようにイッシュ地方の状態を気にしていたからきっと……同じ気持ちなのだろう。
ただ、今まで張り切り続けてきた反動が遂にやってきたらしい。少しだけ、独りになりたかった。
「…………」
それにしても、今後はどうなるか全く分からない、あらゆる意味でだ。
なら、考えを改める必要があるかもしれない。今まではダンスで一緒に踊るパッチールをメインにしていたけど、これからはある程度自分の身は自分で守れるようにならないといけない。ソウリュウシティを凍らせた犯人たちが、次はどういうことをしてくるかが全く分からない。きっと、ポケモンバトルの腕がより重要になってくる。
「…………」
ふと、頬が緩む。ポケモンバトルということは、だ。今頃、ジムバッジを集めているキョウヘイ君との会話も弾むようになるかもしれない。
最近はこうして、キョウヘイ君のことを考える機会が増えた。友人として……というのもあるけれど、こうしてキョウヘイ君のことを考えるだけで、あれもしなきゃ、これもしなきゃと焦り続けている自分の心が、驚くように落ち着くからだ。一度しか会っていないのに、あの声を思い出すだけで、包まれているような気持ちになれる。
「……うん」
少しだけ、気持ちに余裕ができた。そうだ、気晴らしにサファリパークへ来たんだから、ちょっとはポケモンを捕まえてみよう。あれ、今なにか……
「あ、あのポケモンは……!」
確か以前、捕まえようとしたけど捕まえられなくて断念したとか言っていたような……
「あ、待って!」
聞いていた通り、意外とすばしっこい。
「あ、そうだ。餌を使って……」
よし、足を止めたみたい。それから、あの二重丸みたいな模様の内側の丸に向けて……サファリボールへポケモンが入る。一度、二度……そして、ボールがカチリと閉まる音がした。
「やったー!」
確かに、苦戦するのも頷ける。餌のことを思い出さなきゃもっとボールを投げていたかもしれない。
念の為、使ってしまったボールを拾って、と。後で園長さんに返さないとね。
そう言えば餌以外にももう1つ別のものを渡されていた気がする。あれ、今見えたのは……
「あ、あれって、プリンだ!」
でも、歌うと私が眠っちゃうから……プリンには申し訳ないけど、えい!
「わっ!」
ポケモンの糸で編まれたであろうそれがプリンにぶつかると、少量の泥がばっと頭にかかった。薄い糸で包まれていたけど、あれって泥団子だったの!?
プリンが驚いてこっちを見た後、ぷくーっと体を膨らませている。ちょっと申し訳ないけど、その隙を逃さずサファリボールを投げる。膨らんでいたからか、今度は一発で当てることが出来た。
「ど、どうかな……?」
プリンの入ったボールが何度か揺れる……そして、カチンという音が確かに聞こえた。
「やったー、プリンをゲット!」
良い調子だ。とはいっても、私でお世話できる数も限度があるし、あと一匹捕まえたらサファリゾーンを後にしよう。
水辺の岩場に座って空を見上げると、水色からオレンジ色に変わりつつあった。
「もうじき、戻らないと」
でも今は少しだけ、周囲に誰もいないこの場所にいたかった。
耳を澄ませば、水の音、その先には森があるから葉っぱの擦れる音が聞こえてくる。
他にも、ポケモン達が草むらを駆ける音、サバンナの土地を駆ける音とよくよく聞けば、様々なポケモン達の音が紛れている。
「フフ……」
少し、楽しくなってきた。今、ここにいるのは自分だけ。なら、少しだけ。新曲のフレーズを口ずさんだっていいだろう。
♪♪♪♪~
♪♪♪♪~
うん、この後、どうしようか。転調……いや、それは最後のサビに使うから……もう一度、初めから。
♪♪♪♪~
♪♪♪♪~
♪♪♬♬~
♪♪♬♬~
うんうん、それもいいリズム……って、私は口ずさんでいないんだけど……え?
水辺から水色の体に……背中には殻をつけたポケモンが、私を見ている?
ちょっと、目の前のポケモンのリズムで口ずさんでみよう……
♪♪♬♬~
♪♪♬♬~
目の前のポケモンも今のリズムを気に入ったのか、繰り返してくれた。
折角だから、通してやってみようかな。
突如始まった、ポケモン相手へのソロライブ。とは言え、音響も何もないこの場所だから響くのは私の声だけ。
ちょっと経ってから、パッチールやニャースだけじゃなくて、さっき捕まえたプリンやオタチも出てきて私の歌を聞いている。目の前のポケモンはサビに入ったら私の声に合わせてコーラスをしてくれた。
「あー、楽しかった」
歌い終わって振り返ると、プリンやオタチが私を見ていた。さっきの曲を気に入って貰えたんだろうか。
そうして、もう一度背中に殻をつけた水色のポケモンを見る。嬉しそうな表情から気に入って貰えたんだろうか。でも、折角気に入って貰えたけど、ここでお別れ……か。
「パッチール?」
私が置いていた荷物から、ボールを1つ取り出して私に手渡した。
……迷いはある。だって、この子を本当にお世話出来るのか、今の私に自信がない。それでも、気に入ってくれたこの子が近くにいてくれるのは心強い……そう思えたんだ。
そうだ。ボールを見せたらどう反応するんだろう。
「ねぇ、一緒に来る?」
そして、宿へ戻ったのは日が暮れた頃だった。
「すいません。ただいま戻りました!」
「自由にしていいとはいったけど、遅い!」
急いで戻って来たつもりだったけど、辺りはすっかり日が落ちて真っ暗になっていた。
「すみません……それで、マネージャーに見せたいものがあるんですけど、いいですか?」
「何、可愛いポケモンがいたの?」
ああ、そう言えばそんな話をしましたね、丁度良かった。
「まぁ、そんなものです」
さて、マネージャーは喜んでくれるだろうか。
私が宿泊する部屋に入り、まずはマネージャーへボールを渡す。
「はい、こちらです。大事にしてくださいね」
「サファリボール……でも、ルリが捕まえたんでしょ?」
「まぁまぁ、出してあげてください」
「いいけど……え?」
やっぱり、驚いた顔をした。
「前に欲しいけど、捕まえられなかったって言っていたのをそのポケモンを見掛けた時に思い出しまして……マネージャーの言う通り、すばしっこいし、小さいしで捕まえるのに時間が掛かっちゃいました。いつもお世話になっているので、そのお礼です」
「そう……全く、ありがとね、ルリ」
ボールの中では、オタチが不思議そうな顔でマネージャーを見上げていた。
その後、メイクセットを落とした後に、サファリゾーンで他に捕まえたポケモンや、どんなポケモンがいたかの話題になった。
「その他にも捕まえたみたいだけど……その子は?」
「プリンです。まん丸なのが可愛いですよね」
歌を歌えばみんな眠っちゃうらしいのだから、驚きだ。どういう風に歌っているんだろう。
「へぇ、こっちも初めて見たけど、まん丸で可愛いわね。それからもう一匹いるみたいだけど……その子は?」
もう一匹にも気付いたみたい。だけどこの子は……
「実は私にも分からないし、この子は水辺のポケモンなので海とか湖で機会があったら紹介します。それに、この子についてあまり詳しくないので、色々と分かったら改めて、紹介しますね」
正確に言えば、バオバさんからどんなポケモンかを教えて貰った。この子自体の数が少ないこと、あのサファリゾーンでも滅多に姿を見せないことからかなり驚いていた。
「ええ。それにしても、いい気分転換が出来たようね」
「はい。ゆっくり散歩もできて、いい気分転換になりました」
ところでこの子のこと、キョウヘイ君はどのくらい知っているんだろうか。もしかしたら、驚いてくれるだろうか。今度会った時に見せてみよう。