インフィニット・ストラトス REXM   作:灰崎 快人

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「ほーん、これがね……」

僕は現在自室に置いてあるノートパソコンにUSBを差し込んでコピーしたデータを確認していた、今年の2年生3年生の生徒に関する名簿、その中で代表候補生の肩書きを持つ生徒をリストアップしていく。

3年のアメリカ代表候補生、ダリル・ケイシー。専用機は「ヘル・バウンド」と呼ばれる第3世代型機体か、学園での戦績はあとで確認するとしよう。

次にブラジル代表候補生のグリフィン・レッドラム、専用機は「テンカラット・ダイヤモンド」と呼ばれる第3世代型試験機体。

ギリシャ代表候補生、ベルベット・ヘル。機体名「ヘル・アンド・ヘヴン」……第3世代型機体か。

ふむ、3年生は基本的に第3世代型機体を専用機として与えられているのか。まあ妥当と言ったところだろう。第3世代型は操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器の搭載を目標とされた機体、未だに研究が行われているが搭載された兵器を稼動させるのにはかなりの集中力が必要だと資料に記載されていた。未だ実験機の域を出ない機体と言う点から、燃費の悪さが浮き彫りになっているのが懸念点と言ったところだろう。国によっては燃費を抑えるもしくは向上に重点を置いている機体を研究していてもおかしくは無い。

2年生。イギリス代表候補生、サラ・ウェルキン……専用機無しか、やはりISのコアの数に限りがある影響を受けているみたいだね。世界に467個しかないISのコア、それを代表候補生全員に与えてしまえば、研究用や訓練機に搭載するコアが無くなってしまう。322個は実戦配備、残りの145個は開発研究所や国家機関に流れたこともあり、やはり限られたコアでなんとかするしか無かったのだろう。僕の研究所もISのコアは2つしか無かった。

さて、少しそれてしまったが元に戻そう。

ギリシャ代表候補生、フォルテ・サファイア。専用機「コールド・ブラッド」か……ん?ダリル・ケイシーとは恋人関係?ふむ、まぁ頭の片隅には入れておくとしよう。

ロシア代表候補生、更識楯無……彼女か。専用機は第3世代型「ミステリアス・レイディ」、彼女にピッタリだな。それにしても2年で生徒会長か、3年生ではないことに少し驚いてしまったよ。まぁしっかりしてはいるが、何処か慢心しているようにも見受けられたがね。

1年生は日本代表候補生の更識簪か、専用機は……ん?専用機を所有しているのに機体名が記載されていないな。なにか問題でも起きたのか?日本の代表候補生と言うことは恐らく日本のIS制作・開発を担当していて、僕が所属していた倉持技研で開発されている可能性が高い。打鉄の後継機を開発するという話を噂では聞いたことがあるけれど、僕の所にはシステムの話が来た程度だったね。

「こっちからも時々連絡を入れた方が良さそうだね……」

それ以外は1年生で専用機を持っている生徒は居なさそうだ、クラス対抗戦で更識と当たればかなり良いデータが取れそうだね。まあ彼女と戦うのは一夏くんとオルコットのどっちかだろうけどね、僕は正直代表者になるつもりはないからね。面白い戦闘データを記録できるのであれば、興味がある機体を持つ生徒と1戦交えてみたいところだね。さてと、次は今リストアップした生徒の戦績でも確認しようかな。特に更識楯無、彼女が生徒会長という立場に居る理由を知っておきたいからね。

それに、ファントムタスクの息がかかっている生徒もあぶり出して戦術をある程度理解しておきたいからね……仮にダリルとフォルテが息のかかっている生徒だとしたら、正直相手にするのはめんどくさいね……IS展開前に始末するのが良さそうだ。

 


 

1時間後。コンコンと部屋の扉を叩いて誰かが尋ねてきた、鍵が開いてることを伝えると一夏くんと箒ちゃんが部屋に入ってきた。ノートパソコンの画面を閉じて部屋を尋ねてきた2人を歓迎した。どうしたのか尋ねてみると、どうやら放課後に訓練機を使って訓練を行ったらしい。しかし一夏くんはドがつく初心者であり、やはりまともに動かすのもかなり難しかったらしい。機体に振り回され壁に激突を幾度となく繰り返したという、そこでアドバイスをもらいに来たらしい。

「まずは基本的な操縦から覚えていくのが良いと思うよ、足を動かして歩いたり腕を動かしてみたり。ISはヘッドギアから操縦者の思考をリアルタイムで反映してくれる機能がある、だからイメージが大切になってくる。人の身体を動かすのとは少し異なるから、まずは基礎から、そこである程度慣れてきたら少しだけ浮遊を初めて行くこと。最初は箒ちゃんが手を引いてアリーナをぐるぐると回るのが良いんじゃ無いかな?そうすれば一夏くんも飛ぶイメージガ身につくと思うし」

「イメージが大切なんですか」

「大切だね。操縦者のイメージ・インターフェイスを用いて、機体に搭載されてる武装をコール、つまり呼び出すことも可能だから。イメージをどれだけ具体的に思い浮かべることが出来るか、それだけでかなり戦局は変わってくるからね。例え最新の機体を使っていたとしてもイメージがうまく出来なければ第2世代型を操るパイロットにコテンパンにされる可能性だってある、だからイメージを思い浮かべることそれをよく考えながら訓練していくと良いと思うよ」

「分かりました!ありがとうございます柊さん」

「まぁ僕はISを操縦出来なから、あくまでも元開発研究所所属の1人の言葉としてね。千冬にもアドバイスを貰った方が良いと思うよ、あとは副担任の山田真耶先生。彼女は元日本の代表候補生だったって聞いているよ」

「山田先生と千冬さんか……わかりました」

「ありがとうございます咲夜さん!」

「うん、訓練頑張ってね」

2人にアドバイスをした後、僕は一旦夕食を食べるために食堂に訪れた。食像は1年生生徒で賑わっており、既に友達という関係を築けている様子だった。僕?僕は正直そこまで友好関係を築く積もりは今は無いかな、必要になれば2人意外との関係もある程度構築しておくとしよう。これから先転校生という形で各国の代表候補生が送られてくる可能性もある、侵入者も恐らく現れるだろうし……各行事で常に警戒しておかないとね。

「いただきます」

食堂のメニューは色取り取りであり、日本に馴染めない生徒に対応出来る様に多国籍な食事も提供できるようになっている。まぁ日本食のアレンジメニューは意外と評判が良いらしく、例えばアレンジを加えたカレーやカレーパンなどかなり好評だった。他にもナポリタンやコロッケなども人気だった。ただアイスコーヒーは暖かい方が馴染みがあるらしい。

僕が食べているのはオムライスなのだが……何故かてっぺんには旗が立てられていった、それを見ると僕は正直複雑な気持ちだった。これってお子様ランチについてくる旗なんじゃないのかい?つまり僕は子供だと思われている?いやそんなわけない、確かに僕の身長は150㎝と20歳にしては小さい方だ、現役の学生にでさえ身長では負けてしまっている。だとしても!僕が子供に見える理由はなんだ?制服のデザインか?デザインがやっぱりそうさせるのか!?それとも顔か?今は髪の毛を結んでないから幼く見えるのかもしれない、あとは研究所に居たときのように伊達眼鏡でも掛けてみるのも試してみるとしよう。そうすれば少なくともこんな子供扱いされることはないだろう……無いだろうからね!!!

オムライスは美味しかったよ。

 


 

それにしても女尊男卑というのは面倒な物だね。一夏くんはまだ千冬の弟と言うこともあってよく話しかけられて遠目から見られることが多いけれど、僕の場合は女子達が貶してくるからね……まったくISが無ければ腕っ節や筋力などでは男性に負けるというのに、どこからそんな大きい態度が出てくるんだろうね?君たちが有位に立てているのはあくまでも467個のISのコアを扱える存在だからと言うだけで、別に常時ISが手元にあるわけではないんだよ?ISが無ければ元の社会生活であり、その気になれば男性がデモを起こしてISのコアを破壊することだって出来る。ただ価値観に捕らわれてしまっているから出来ないだけだ、痴漢の冤罪をでっち上げられ実名を晒される、そんな世界になってしまえば男性は女性とあまり関わりたくも無いし、AEDも使用したくなくなる。だから最近女性が倒れても男性が助けなくなるんだ。

「全く。君たちは実に馬鹿だな……」

「なんですって?」

「今の君たちはISを纏っていない、つまり普通の女の子。それは理解出来ているかい?代表候補生だとすればある程度軍事訓練も行われているだろう、しかし君らはそう言った経験が無さそうだ。男性を見下し利用することしか考えていない、可哀想に……」

女尊男卑に一度染まってしまえば元に戻ることは難しい、正直言って関わりたくないまである。しかし立場的には関わることは不可避であり、現状接触されている。こうなってしまえばもうどうでも良くなってきそうだ。

「男のくせに馬鹿にして……ッ!」

「馬鹿にもするさ。さて君たちのISは何処だい?女性としての優位性をここで見せてくれるのだろう?さっさとISを展開したまえ、僕は僕なりに抵抗させて貰う」

机の上に置かれていたフォークを手に取り女子生徒達の目の前に突き出す。ほら、さっさとISを展開したまえよ君たちにはその力が当然のようにあるのだろう?こんな弱い僕などあっという間に肉片にしてしまうほどの強力な力、当たり前のように扱えるよな口ぶりだったじゃないか。

おかしいね、ゆっくりと後退してるよ?まさか男相手に逃げるなんてことはないよね?ISはどうしたんだい?それともISを持っていないのかい?教室に置いてきた?なら取ってくると良い、何時間はあるさ僕は逃げずにここで待って置くとしよう。……どうしたんだい?速く取りに行ったらどうだい、何故突っ立っているなんだい?

「──はぁ、もう良いよ。君たちにはガッカリだ。ISを当然の様に持っているような言いぶりだったのにも関わらず、実際はISを操縦できる資格があるだけ。そもそもISのコアなど数が限られているのだから君たちのような生徒が持っているわけがない、ホラ吹きにしてももう少しまともな事を言うと思ったが本当につまらない。さっさと目の前から消えてくれ」

女の子達が何か騒いでいたが、僕にはもう関係ない。全く無駄な時間を過ごしてしまったものだ。まだISのコアを研究していたときの方が楽しかったまである、この学園は退屈しそうだ……

 


 

「咲夜、騒ぎを起こしていると聞いたが?」

「いや?僕は騒ぎを起こしているつもりは無いよ、騒ぎを起こしたのは彼女達のほうさ」

「……その騒ぎを大きくしたのは貴様だと聞いているが?」

「間違いでは無いね、彼女達のくだらない幻想に付き合ってあげたからね」

「何を話した?」

「女尊男卑という風潮、ISを扱えるからと偉そうに振る舞っている女性達。ISを常に持っているわけでは無いのに何故そこまで大きい態度が出来るのか、僕には全く理解出来ないからね」

ISが無ければ生身の身体能力と技術のみで男を見下すことが出来るのかと言われれば、彼女達は間違いなく出来ない。それどころか誰も来ない路地裏に連れて行かれて男どもの性欲解消道具に成り下がるかもしれないね。千冬は剣術と軍隊の指導経験がある、彼女クラスになれば男性とも対等になれるし寧ろ追い詰めることも可能だろう。僕など相手にすらならないだろうね。

「お前も同じだろうが」

「歴はね、身についた技術だったら天と地の差だよ。僕には君のような実力を身につけることは出来なかった、僕は君に追いつこうとしたけど……追いつくどころかどんどん遠くに行ってしまったね」

「咲夜」

「でも今はそれでもいいかって思えるんだ。束の様な天才的な頭脳も無ければ、君のような天才的な実力も無い。でも今の自分自身を僕は気に入っているよ、僕は君にも彼女にもなれない。僕は僕にしかなれない、これが僕なんだって」

「……成長したと、言えば良いか?」

「どうだろうね?人によっては諦めとも取れるかも知れないね」

だからそんな顔しないでよ千冬。もしこの場に彼女がいたらきっと同じ顔をするよ、だからもうそんな顔しないで。僕も二度とさせないって誓うからさ。

「今日は酒に付き合え」

「僕は生徒だよ、お酒なんて立場的に飲めないよ」

「私が許可する。教師と生徒ではなく、幼馴染みとして付き合え」

「……わかったよ、千冬」

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