インフィニット・ストラトス REXM   作:灰崎 快人

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「一夏ァ!」「まだまだァ!」

あと2日で模擬戦か、随分と時間の進みが早く感じるよ。一夏くんはISの操縦にある程度慣れたらしく、今は箒ちゃんと何度か刃を交えているらしい。2人とも篠ノ之流派を学んでいることもあって刀の扱いは中々だね、一夏くんの方はブランクがあるけど千冬の血が流れているからなのかな?センスはやっぱりピカイチだよ、あと2日もあれば充分操縦技術では他生徒と同じスタートラインに立てそうだね。問題はオルコットの機体に勝てるかどうか、BT兵器搭載機は正直徹底的に対策しないと攻略は難しそうだ。一夏くんの専用機と僕の専用機に搭載されている武装がどんなものなのかも機体の仕様も未だに不明、このままだと本当に当日に2機とも届きそうだね。

「咲夜さん、どうでしたか?」

「太刀筋は少しブレてるけどかなり良くなってると思うよ、センスは千冬譲りだね。それに瞬発力も鋭い、咄嗟の時は考えるよりも身体が動いちゃうタイプだろうね。あとは頭の中でしっかり戦術を組み上げて、想定外の事にもしっかり対応出来るようにしたほうが良いかもしれないね。まだ時間はかかるだろうけど半年もあれば充分戦える操縦者になると思うよ」

「本当ですか!」

「うん、ISの操縦も悪くないけどまだ技術的にはスタートライン。これから先は一夏くんの努力次第でさらに上に上がることも出来ると思うよ、ただし当然周りも一夏くん同様に操縦技術などは上がっていく、つまり質は必ず上がるって事。箒ちゃんだって君の特訓に付き合ってるから初めの時と動きが変わってるのに気が付いてるでしょ?」

「確かに、最初の頃は真正面から何度も刃を交えてたのに最近は背後からとかかなり機体を動かしてくるようになった気がする……」

「いつまでも正面からだと機体を動かさないだろう、だから私は敢えてフェイントや射撃武装を使っているんだ。それにIS戦闘では射撃戦の方がメインだからな、一夏は近接メインに拘るのなら、弾幕を掻い潜って相手の懐に飛び込むしか無いな」

まだ専用機が近接特化って決まったわけでは無いから、あと2日で射撃武装を使った模擬戦も行った方が良いだろうね。専用機に搭載されている武装を初乗りで何処まで扱えるか、それも重要に鳴るだろうし、武装はある程度扱えるようになっておいた方が万が一の時には役立つからね。

「さてと、僕は少し野暮用があるからここで失礼するとしよう。残り2日、頑張ってくれたまえ。」

「「はい!」」

うむ、返事が大きいのは元気な証だ。2人とも元気で良いね。……さてと。

『久しぶりだね束、それで専用機について教えてくれるのかい?』

『お久しぶりだね咲夜ちゃん、声変わりして無くて可愛い声が聞こえてるよ~』

『ぶちのめすぞ』

『可愛くなくなっちゃった……』

『そういうの良いから。本題』

『つまんないな~まあいいよ、本題に入ろうか。咲夜ちゃんの専用機「REXM-ジェダ」機動性と運動性を兼ね備えた機体だよ。ISとは元から違うから全身装甲型なのが大きな点かな?各部にマウントがあるから武装を固定できるってのが利点、ただその分機体重量が重くなるってのは欠点かな。動力は束ちゃんお手製の高性能バッテリー、エネルギー系の武装を使わなければISと同等、エネルギー系メインの武装構成にした場合だけど、状況によっては半分しか動かせないのを覚えておいて』

「なら実弾・実体メインの武装で挑むとしよう」

「そう言うと思ったよ。だから武装はエネルギー系は無し、全部実弾・実体武装で構成してるからね。あとで全体図を送るけど大きさ的にはISの1.5倍くらいだと思って」

3メートル前後の大きさか。まぁ許容範囲と言ったところだろう、寧ろISとそこまで変わらない大きさに仕上げられたのは流石天才と言ったところ。専用機が楽しみになってきた。あとで千冬と一緒に全体図を見るとしよう、千冬の反応も楽しみだね。

「他に何か問題はあるかい?」

「咲夜ちゃんの戦い方とか正直分からないからね、近中遠距離に対応出来るように武装は揃えてあるよ~シールドもね。ISと同等にするために機体の全身には耐物理・エネルギーコーティングがされているけど、これはバッテリーのエネルギーをゆっくり消費していくの。攻撃を受ければ勿論エネルギーの消費は大きくなるから気をつけてね」

「……待てそれについては論文で見たことがある。一定の電圧をかけて電流を流すことにより、相転移する効果を持った特殊金属があると。しかしそれはまだ論文段階であってまだ試験も行われていないはず」

「うん。通電されていない状態だとメタリックグレーの金属だけど、電圧や相転移率を変えると彩色が変化する面白い金属だよね~」

「……それを組み込んだと言うことか?」

「そうだよ」

「全身に?」

「うん」

……どう反応したら良いのか分からない。個人的には面白いと思うが冷静に考えたら論文が創られたばかりの物を完成させて機体に組み込んだ、部分的ならまだ分かるがそれを全面採用して全身の装甲がそれになっているとは、束の発想にはいつも驚かされるばかりだな。

「ちなみに色は?」

「それは当日のお楽しみ、待機状態はかなり頑張ったからね?良く落とし込めたって褒めてよね?」

「……当日を楽しみにしておくよ」

強制的に通話を切断し、送られてきた資料をパソコンで確認する。15枚ほどで資料が構成されており、前半は機体全体と各部の特徴、後半は搭載されているシステムについてだった。

「さてと、千冬誘って鑑賞しようかな」

 


 

「束から専用機の資料が届いたのは聞いたが、まさか一緒に見ることになるとはな」

「せっかくだからね、どんな機体か千冬も知りたいだろう?」

「確かにそうだが……私の部屋で見る必要はあるのか?」

「当然だとも、千冬の部屋なら教師ということもあって生徒は絶対に入ってこない。そうすればデータを盗んでこようとする人物も現れないからね」

千冬はこの学園で鬼教師って裏で呼ばれているみたいだし、そんな教師の部屋に行こうなどと行動に移す生徒が居るわけも無い。まぁ一夏くんは来そうなんだけどね。

「さてと、改めて機体を見ていこう。機体名「ジェダ」、ISよりも1.5倍の大きさで全身装甲型。ISの世代で例えるのであれば第2世代型に当たるだろう。肩部・腰部・腕部。背部・脚部にマウントラックがあり、武装をマウントすることが可能。背部マウントはパッケージの換装にも使用可能らしいね、今のところパッケージは一つも無いけれど」

「この非稼動状態とはなんだ?」

「束から教えて貰ったんだけど、この機体には耐物理・エネルギーコーティングの特殊装甲が使われている。その装甲は現段階では論文から域を出ないはずだけれど、束は実現させてしまった。この装甲の特徴は一定の電圧をかけて電流を流すことにより、相対的を持つこの特殊金属が強度を変えてミサイルなどの物理的な攻撃を無効化する。エネルギーコーティングはおそらくその金属にしたからだろうね。論文ではエネルギーに対する強度は持ち合わせていないから。その特殊装甲を動かしていないときが非稼動状態、ISで言うところの待機状態だと思ってくれれば良いと思うよ」

確か論文の内容では表面の相転移率によってはミサイルを何十発撃っても傷一つ負わないと書かれている、これを持続するためには大型のバッテリーが必要であり今の段階では10分持続させるのがやっとだという。それを束はオリジナルバッテリーでISと同等、全く企画外にも程があるじゃないか!

「武装は全て実弾・実体で揃えてあるのか」

「バッテリー機体だからね、エネルギー系は消耗が速くなるから全部実弾・実体構成にしたんだよ。僕もそっちの方がありがたいからね」

右手にアサルトライフル、左にはシールド兼パイルバンカー、背部のマウントには3連式ミサイルコンテナとガトリングか……中距離仕様かな?オプションを変更すれば極端な戦術も生み出せるということか。個人的にはパイルバンカーをいつ撃ち込むかしっかり考えておかなければいけなさそうだね、銃の扱いにはある程度慣れいるつもりだが、延長された機体の腕ともなれば感覚はかなり異なるだろう。パイルバンカー破壊されるとシールドも破壊されるのは正直いただけないね……ガトリングとシールドを組み合わせるのも良さそうではあるが、取り回しが……いや実際に使ってみたらかなり良いのかも知れない。僕は一度もISにもこの機体にも乗ったことはない、束が製造した武装である以上触って扱って試してみなければデータも使い心地も分からない。

「面白い機体だな。元になったのがEOSとは思えない、ここまで出来るのであればISなどハッキリ言って要らなくなりそうだな」

「それはどうかな?大半のIS主義者達は絶対に認めないと思うよ、それにこれを量産して配ったら恐らくその時は戦争が起きるよ。それにこの機体はISのコア非搭載、男性でも扱おうとすれば簡単に扱える可能性だってある。それにハッキリ言ってこの装甲を積んでいるだけでISよりも強力に感じる、汎用性が高い分、操縦者によったカスタムが簡易的。そう考えるとこの設計図を持っている事自体かなり危ういな……千冬悪いがここで消去させて貰う」

「……お前はしっかり読んだのか?」

「しっかり読んださ、僕が操る機体なんだから当然だろう?」

パソコンから送られていた資料とメールを消去する、これで束の手元にのみこの機体の資料が残っただろう。あとは当日に賭けるしか無い、ぶっつけ本番で何処まで僕がいけるのか。オルコットに勝てるかと言われれば多分無理だ、BT兵器試験機という点で何処かに欠陥があるかを勝負中に探し出せるかどうか……恐らく動き回るので精一杯だろう。BT兵器の包囲網を突破して無理矢理本体に突撃する手もある、多用すれば間違いなく僕の負け。そうなってくると本体を牽制しつつBT兵器を破壊していくしか無い。僕に出来るかな……?

「オルコットの機体情報はある程度理解しているのか?」

「イギリスの第3世代型機体、BT兵器の有用性を示すための実験・試験機だと思う。恐らく近接ではなく中遠距離の射撃主体、エネルギー系の武装だけど恐らく実弾も多少積んでると思う」

「……よく知ってるな」

「ちょっとね、マルチ・ロック・システムっていう機能を開発するために論文を読み漁った物だよ。試作が創られたばかりでまだ完成させてないんだけどね……結局それが完成したのかも分からないままだよ。まぁその論文の中で無線式BT兵器の有用性について書かれていた物があったからね、まさか試験機が製造されているとは思わなかったけどちょっと色々調べているときに知ってね。その本物と戦えるともなればデータの1つや2つ欲しくなってくる、当日が本当に楽しみだよ」

「お前が先にやられなければいいがな」

「勿論逃げ回るに決まってるじゃ無いか。折角の試験機、どんな動きをするのかパイロット込みでこの目でハッキリと見ておきたい」

有用性が分かればBT兵器搭載のパッケージの開発を束に頼むのも悪くない、僕にBT適性があればの話だけどね。適性が無ければハッキリと言って扱うことすら難しい、僕にその資格があるか……多分無いだろうね。

「さてと、僕の用事は終わったからここで失礼するよ。明日も早いだろうしね」

「ん?もう行くのか」

「行くに決まっているだろう?千冬もかなり酒が回っているように見えるし、巻き込まれたくないからね」

僕がドアノブに手を掛けようとすると、彼女は後ろから抱きしめてきた。しかも絶対に逃げられないように身体を密着させてきている、こうなってしまうと僕にはもう抵抗手段が無い。全く、ちーちゃんは甘えん坊さんだね。

「今日も一緒に寝たいの?」

「そうだ」

お酒がかなり回っているのか、彼女の顔はかなり赤かった。これはお酒のせいかな?それとも恥ずかしくて赤くなっているのかな?まぁ多分きっとそうなんだろうけど……全く、お酒の力を借りずに言ってくれれば僕も拒む理由なんて無いのに。

「まったく、お酒の力を使わずにたまには素直になってくれてもいいのに」

「うるさい」

そう言って彼女は僕をお姫様抱っこしてベッドに歩いて行く、ベッドのシーツは綺麗でシワ一つ無かった。だけど彼女のさじ加減一つでこのシーツが汚れる、もしくは綺麗な状態を維持するだろう。

「咲夜……」

んっ……っ……キスは素直だね。

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