インフィニット・ストラトス REXM   作:灰崎 快人

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「見せて貰おうか、男性操縦者初の専用ISの性能を!」

5分のインターバルを挟んで僕と一夏くんの試合に入った。一夏くんのISに合わせてジェダの武装はほとんど変更せずに挑むことにした。ビームサーベルと打ち合えるようにアサルトライフルを実体ブレードに変更、一応脚部にアサルトライフルと予備弾倉をマウントして中距離からシールドエネルギーをちまちま削ってやろう。

「織斑一夏。ユニコーン、行きます!」

……僕の真似かな?正直言わなくても良いって山田先生に言われたんだけど、一夏くんは格好いいとでも思ったんだろうね。少しバランスを崩していたけど空中でしっかり静止できるようになっている、しっかり箒ちゃんとの特訓が成果を出しているみたいだね。関心関心。

「頑張れ一夏!柊さんは加減などしてくれないぞ!」

「よく知ってるね」

「いや……オルコットさんとの模擬戦を見ていれば誰でもそう思いますよ?」

山田先生もそう思うのかい?でも加減したら間違いなく僕はオルコットに負けていたからね、最初はお互いの機体を様子見していたからだけど、お互いにギアを上げたらこうもなるだろう。山田先生も元日本の代表候補生なら少しくらい分かるでしょうに。

「バッテリーも充分、武装も問題無い。さてと行くとしよう」

カタパルトに搭乗し起動されるのを待つ。……?…………??あれ?起動されないな。

「山田先生?あの、いつ起動させてくれるのかな?」

「あ、え?てっきり名乗るのかと……待ってたんですけど」

……あぁそういうこと。一夏くんも名乗ってたからね僕も名乗った方が良いのかな?名乗らなくても良いって言ったの山田先生なんだけどね?

「柊咲夜。ジェダ、発進する!」

山田先生はその言葉を聞いてカタパルトレールを起動させていた。これからは合図としてしっかり名乗った方が良さそうだね……それに一夏くんも気に入っているみたいだし僕もこのままで良いかな?特殊装甲を起動し機体色をオリーブドラブカラーに変色、これで戦う準備は出来た。あとはアナウンスを待つだけだ。

「武装がさっきと違う」

「同じ武装で挑むと思わないことだね、しっかり相手に対応出来る最適な武装構成をしてこそパイロットだと僕は思うよ。さて一夏くん、君の実力そして機体性能を試させて貰うとしよう。加減は勿論無いから全力でぶつかってきたまえ」

ブレードを一夏くんに突き出す。うんうん、いい顔になったね君が持つ今の全力を僕にぶつけてくると良い、最もこちらも本気で挑ませて貰うけれどね!

 


 

『第2試合。織斑一夏対柊咲夜を始めます。カウント5秒前』

カウントが開始されると同時にお互いのブレードを構える。本当に良い目をしてるよ、真っ直ぐなその目は千冬譲りだね。

『3、2、1、スタートです!』

スタートと同時にお互いの刃がぶつかり合い火花が散る、ビームサーベルに対抗出来るようにこちらのブレードはコーティングされている様子だ。全く、良い仕事してるよ束!お互いに全力の近接戦闘と言うこともあり何度もぶつかり合ってコーティングが摩耗、ビームが漏れていた。全く、前よりも太刀筋が鋭くなっているじゃないか!ここまでセンスが良いと正直嫉妬してしまうね!僕にもそこまでのセンスガあれば……いや過ぎた話をしても仕方が無い、今は彼とその機体性能をギリギリまで追い込んで見るか!

「ふっ!」

「あっぶね!」

フェイントもある程度は読めるようになったかな?でもかなりギリギリで防ぐ、避けれたりしているが……

「ふげっ!?」

拳は無理か。

「ちょ、ちょっと待ってください!殴ってくるんですか!?」

「武装だけが武器だと思わないことだね!」

思いっきり加速を乗せた蹴りをお見舞いして一定の距離まで突き放す、これでお互いに仕切り直しだ。右腕のブレードを握り直し、シールドを構えて彼の動きを観察する。基本的には篠ノ之流剣術の動きだが、独自にアレンジを加えた動きをしてくる。僕の知らない技も使ってくるから正直言って、こっちが様子見しなくちゃいけなくなりそうだね。

ホワイト・ユニコーン、一角獣モチーフの全身装甲型。なるほど束が熱中する訳だ。彼女はこの機体に何を乗せた?力?純潔?無邪気?純粋?幸運?癒し?それとも夢と希望かな?

「っ……」

一夏くんもシールドを展開。片手にシールド片手にサーベル、さて打ち合おうじゃないか。お互いに加速を乗せた一撃を浴びせるが、同時にシールドで相手の一撃を防ぐ。一夏くんの方は実体ブレードじゃ難しそうだね……こっちのシールドは少しだけ溶かされてしまったよ。パイルバンカーを失う前に一撃打ち込んでおきたいね。

「そこっ!」

斬撃の合間にシールドに蹴りを入れてくる、全く相変わらず覚えるのは速いね!一夏くんはさぁ!!!!それに集中力も増している。集中は剣術の究極にして基礎とはよく言うものだ、それに積み重ねて得た経験は鈍ることはあっても失われることは無い。一夏くんの場合身体がしっかり覚えている、それに気のせいかも知れないけど一夏くんの動きがさっきから軽い、試合開始時よりもレスポンスが早くなっている気もする。

「おりゃぁぁぁ!!!」

「っ!?」

スラスターを加速させてそのままシールドバッシュ!?無茶苦茶な攻撃だ!悪いけどそのシールドは弾き落とさせてもらうよ。

背部のミサイルコンテナとガトリングを起動、シールドに直接ダメージを与えつつミサイルは後方からの爆撃。と行きたいところだがミサイルをガトリングガンで全て撃ち落とされてしまった、でもシールドは破壊させて貰ったよ!

「パイルバンカァァァ!!!!」

シールドが綺麗なくの字になりながらも、チャージして撃ち出された鉄杭はシールドをぶち抜いてホワイト・ユニコーンのエネルギーを大幅に削っていく。シールドが間にあった分、威力減衰が起きて浅く入ってしまったか……冷却まで持ちこたえられるか?

「そこっ!」

派手な音と共に火花が散る。一夏くんにブレードを真っ二つに切られて一撃を叩き込まれてしまった、そこから連撃をあびせようとしていたが勿論そんな事はさせるわけが無い。背部ガトリングを使って弾幕を張りつつ、マウントされていたライフルを構える。一夏くんは弾幕を回避しながら距離を取り、冷静にこちらを見ていた。シールドが無くなった分防御は薄くなった、ただ一夏くんがガトリングガンを手にしている以上、ここからは撃ち合いがメインかな?

「箒ちゃんと頑張って特訓した成果、僕にしっかり見せてくれよ?」

「言われなくても!」

お互いのガトリングを撃ちながら、致命的なダメージになる攻撃を避けて接近する。ビームサーベルの一撃は正直言って恐ろしい、特殊装甲のバッテリーが削れやすいどころか装甲自体を溶かしていく。実体ブレードが対ビームコーティングがされていたのにも関わらず溶けて折れたのは、打ち合いで同じ箇所を集中的に繰り替えし打ち合ってしまったから。コーティングが無くなり耐性がなくなった結果があれだろう。

ミサイルを発射するがあえて撃ち落とさせる、爆煙に紛れて一気に接近しシールドバッシュとパイルバンカーをお見舞いしてやる!

 


 

「柊さんって本当にISや機体の操縦初めてなんですよね?どう見ても素人には思えないんですけど……」

ピットでリアルタイムモニターを見ていた山田くんが困惑して私に聞いてきていた、確かに訓練無しの生徒であればここまで動かすことは至難の業。しかしある程度知識があり特訓を行った一夏やオルコットと戦えているのは、柊自身が持っているセンス故なのだろう。全く何が追いつけなかっただ、充分追いつけるだろうが。

モニターには一夏と咲夜が何度も撃ち合い、お互いの機体に僅かな傷をつけていた。一撃必殺を狙う咲夜相手に一夏は冷静にガトリングとバズーカで抵抗しているが少し厳しそうだ、咲夜の機体には追尾ミサイルが入ったコンテナが搭載されている、それを全て一夏に打ち込まずに目くらましとしても使用している。あいつも抵抗しているが背後からのミサイルに気がつけず直撃しているな……

「お互いに死力を尽くしているんだ、考えるよりも直感的に動いている可能性だってある」

「いえ、恐らく2人は冷静に頭の中で考えてると思います、直感的な動きだったら一夏はサーベルを持って突撃しているはずです」

ほぅ?流石に一週間特訓に付き合っただけはあるな、あいつが単純な動きをしていたときに気が付いたのか。

「そうだな、織斑は先ほどから左手を閉じたり開いたりしているだろう。あれは、あいつの昔からのクセだ。あれが出るときは何かしら簡単なミスをする。対して柊、あいつはパイルバンカーによる一撃必殺を狙いすぎている。織斑に狙いがバレるのも時間の問題だ」

「へ、へぇ……さすがご姉弟と幼馴染みですね。そんな細かいところまでわかるなんて」

なんとなくそう言った山田くんに、思わず私はハッとしてしまった。ま、まあなんだ?あれでも一応弟で幼馴染みだからな。長くいれば分かるものだ。

「あ、少し顔が赤い。照れてるんですかー?照れてるんですねー?」

「…………」

ぎりりりりりっ。思わずイラッとしてしまいヘッドロックが炸裂してしまった。

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「私はからかわれるのが嫌いだ」

「はいっ!はいっ!わかりました!わかりましたから!はっ、離し──うぅっっ!」

「ち、千冬さん。流石に離してあげた方が──」

「織斑先生だっ!」

「ひにゃぁぁぁぁぁぁ!?!?」

私達がそんな事をしているとき、試合は大きく動いていた。

 


 

「貰った!」

一夏の一撃でミサイルコンテナが破壊された。戦闘時間28分、バッテリーもまだ半分以上ある。ホワイト・ユニコーンも同等くらいか?

「これで終わらせます、零落白夜!」

彼がそう言うと雪片と同等のブレードを展開していた。そのブレードは変形し光の刃を形成してた。あぁ、まったく。姉弟揃って……まったく、つくづく思い知らされそうだ。元日本代表の、その弟が彼女の力を受け継いでいる。ほんとうに、まったく……ああ……

「俺は世界で最高の姉さんを持ったよ」

そうだね、間違いなく君の姉は世界で最高だよ。名付けるなら「雪片弐型」、君にこそふさわしい。だからこそ、その弟が不出来だったら格好が付かない。彼は間違いなく全力を出し切ってくる、ならちゃんとそれに答えないとね……

お互いに距離を詰めるように突撃、シールドが真っ二つなる前にパイルバンカーと分離する。あの刃に僅かにでも当たればこちらの消耗が早くなる、ライフルとガトリングで弾幕を張っているがその弾幕を真正面から突破してくる。随分と強引な突破方法だね!

弾薬切れを起こしたライフルを投げつけるが、それごと横一閃の一撃が───────

ほっ!?ほぁぁぁぁ!?!?残っていたバッテリーの6割が消し飛んでる!?

千冬の雪片とは違って完全に攻撃特化、溶けた装甲の隙間からは僕が着ているISスーツが見えているかも知れない。特殊装甲と光の刃がぶつかり合ったことで、なんとか操縦者の僕に直接的なダメージは行かなかった。だけどもう一度あれを喰らったら間違いなくバッテリーは空になって非稼動状態になる、つまり僕の負けだ。ただの横一閃、それだけで6割を消し飛ばしてくるなんて……冷静にならないと。まさか標準武装のビームサーベルを越えてくるなんて、なんで強力な武装なんだ!

「……っ!」

「おおおっ!」

彼の手の中でエネルギーがその密度を増していくのを感じる。その刹那、雪片の刀身が光を帯びてより強い力の存在となっていた。これを貰うのは不味いッ!

僕の懐に入ってきた一夏は、下段から上段への逆袈裟払いを放ってくる。パイルバンカーを撃ち込もうとするが、光の刃によってゆっくり溶けるように切断されいく。あぁ、クソ……

右横腹にゆっくりとその刃が近づき特殊装甲とぶつかる、バッテリーが凄まじい勢いで減っていく、それどころか装甲すら溶け始めている。あぁ……全く、僕の負けだな──

『試合終了。勝者、柊咲夜』

───ん?あれ?

「あれ……?」

多分僕は全力で「なんで?」という顔をしていたことだろう。向かい合っている一夏くんもぽかんと口を開けて同じような表情をしているだろう。そしてそれは第3アリーナに詰めかけていたギャラリーも、ピットで試合を見守っていた箒ちゃんや山田先生もだった。

ただ1人、千冬だけば呆れたような顔をしている。何が起こったのか正直わからないまま、試合は終了して、結果僕は……勝った。

 


 

「よくもまあ、持ち上げてくれたものだ。それでこの結果か、大馬鹿者」

第2試合が終わって、一夏くんは馬鹿者から大馬鹿者になっていた。絶対に嬉しくないランクアップだ。ランクダウンでは無くアップなのか千冬らしい。

それにしてもどうなっている?雪片と同じなのであれば、想定ではまだシールドエネルギーが保つはず。それなのに僕が勝ったということはエネルギーの消耗が千冬の時とは異なると言うことだろう。なんとも後味の悪い試合になってしまったな。

「武器の特性を考えずに使うからああなるのだ。身をもって分かっただろう。明日からは引き続き訓練に励め。暇があればISを起動しろ。いいな」

「…………はい」

頷くしかなかっただろ。まさかあんな良い展開で負けてしまえば……あぁ、疲れた。

ジェダを待機状態にして一夏くんとオルコットの試合を見守るとしよう、そう思ってジェダを待機状態にすると指輪になった。黒いシンプルな指輪だが、左手の薬指にピッタリのサイズでありそれ以外の指では難しそうだった。絶対わざとだ、絶対にわざとこのサイズに落とし込んでる。なるほどね、束からの婚約指輪のプレゼントって馬鹿か?よりによってなんでこれにした?千冬の視線が痛いんだが?まさか確信犯か?最初からこうなるのを見越していたのか?

あの女ァ……!!!

「……えっと、柊さんの機体は今待機状態になってますけど、呼び出せばすぐに展開できると思います。ただし、学園の規則があつのでちゃんと読んでおいてくださいね。はい、これ」

どさっ。どさって聞こえたんだけど。なにこれ論文?それとも新開発される機体の計画案と開発設計図?IS起動におけるルールブックと書かれているが、やっぱり開発資料の間違いじゃない?第3世代型機体の研究開発資料ではないのか?何ページあるんだいこれ……

「何にしてもお前はこれでおしまいだ。休みながら残っている試合を見ておけ」

あ、はい……え、これマジで読まないといけないの?嫌だ…………

 

ちなみに一夏くんとオルコットの試合は、かなり接戦だった。一つ言えることがあるとすれば、一夏くんはオールレンジ攻撃を真正面から突破していた。いやオルコットも彼も真正面から突破してるのは想定外だよ、なんでそれが出来るんだい?

ちなみに惜しくも一夏くんの負けだった。

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