who am i アイのかたち   作:お昼寝【スタジオホルス】

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正実実現委員会にて行われる行事、強化合宿。
それに選ばれたのは、一人の生徒だった。


who am i ◾️◾️◾️のかたち

…梔子ユメが生きている?

…いや、それ以前に…

何故…終わっていない?

貴様は…この世界は終わった、私が終わらせたはずだ

無かったことになどさせない、お前は…

いずれにしても…見つけたぞ…

ならば今一度…

思い出してもらおうではないか

 

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「ねえねえ聞いたよ!今度行われる強化合宿!」

「選ばれたんでしょう?羨ましいなぁ!」

「た、大変そうだね…でも頑張ってね!」

 

「…うん、ありがとう」

 

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私は正義実現委員会の一年生

今回行われる強化合宿…それに選ばれました

正義実現委員会主催で行われる予定の行事です

ツルギ委員長、ハスミ副委員長を始めとした名立たる委員達が新入委員をしごき上げる

…という噂が流れていますが、実のところなにをするのか

どういう経緯で開催される流れになったのか、全く不明なんです

選考基準も未公開、なんで私が選ばれたのか…

学科も実技も平均でしかない私が選ばれる理由が特にわかりませんが

選ばれた以上、全力を尽くします」

…選考人数も不明…本当になにからなにまで不明ですね、この合宿

今日は早めに備えることにします…

 

──合宿当日

 

「よく来てくれましたね」

「今回の合宿を担当します、羽川ハスミです、よろしく」

「…よ、よろしくお願いします…」

 

「(…まさか私一人だなんて、こんなの予想外です…)」

 

「それでは委員長、一言お願いします」

「きえええええええええええええええ!!」

「…」

「(おや…ツルギのこの様子を見ても動じないとは…)」

「…ありがとうございます」

「委員長の剣先ツルギについては…知っていますね?」

「はい、勿論」

「よろしい、今回の合宿は教官4名と補佐1名の計5名で行います」

「…期間中に治安維持活動が必要になった場合、同行してもらう可能性もありますのでそのつもりで」

「…全力を尽くします」

「それでは初日は学科から」

 

──突然、電話が鳴り響いた

 

「…おっと失礼」

「先生?どうされましたか?…ええ、恙無く進行しております」

「(…先生?)」

「はい、お任せください!ところで今度紹介したいスウィーツのお店が…」

「…あ、はいそうですね、ではお時間があるときに…はい!また!」

「…」

「ご、ごほん!では学科を行いますので…マシロ、お願いしますね」

「はい、お任せください」

「(…ハスミ先輩ってあんな態度も取るんですね…知らなかった)」

 

「ではこれより学科を行います」

「担当させていただきます、静山マシロです」

「同じ1年ではありますが今回は教官として対応させていただきますので、よろしくお願いしますね」

「はい、よろしくお願いします」

「では配布した資料の4ページから…まずは前線生徒の心得について」

 

学科の内容は前線の戦術指南から、後方支援及び狙撃の地形把握術まで、多岐に渡りました

私のようにまだポジションが定まっていない生徒はどこに配属されてもいいようにと

…要するに全部覚えろってことです…うぅ、頭が痛い…

 

「今日明日は全て学科の予定です、本日はここまで」

「では宿泊施設の案内はコハルさんにお願いします…コハルさん?」

「…あんたが今回の強化対象者?」

「えっと、はじめまして?」

「ふぅん…私を差し置いて選ばれるなんて…」

「…運営側だから選ばれなかっただけ、だと思いますよ」

「…ふふ、そうよね、そうに決まってるわ!」

「いいわ!案内してあげる!」

「ありがとうございます、お優しいんですね」

「こ、これは私の役目だからよ!あんたには快適に訓練に参加してもらわないといけないの!」

「勘違いしないでよね!」

「それでも親切にしてくださるのに変わりはないですから」

「…そう」

「まぁ、悪い気はしないわ!じゃあ早速案内を始めるわよ!」

「まずは書店から!」

「…書店?」

「…ば、売店よ売店!色々売ってるんだから!」

 

…コハルさんは色々と親切に案内してくれました

時折色んな物に目移りしたり…猫目になったりしていましたけど、何を見つけたんでしょうか?

見ていて飽きない、可愛らしい方ですね

特に売店ではなにも買いませんでしたが…回れてよかったと思います

 

──その後、宿泊施設内にて

 

「ちょっといいっすかー?」

「はい、どうぞ」

「どうっすか?調子は!」

 

イチカ先輩…

 

「恐ろしい学科の量だって聞いてるっす!いやー、選ばれたものは大変っすねぇ!」

「そうですね、ちょっと量は凄いですが…でもこうして教えていただけるのは光栄な事なので…」

「精一杯、全力で教えを学ぼうと思います」

「あはははは!努力家なんすねぇ!」

 

…そういう一つの事に頑張る姿勢、後輩とはいえ尊敬に値するっすよ

 

「?なにか言われましたか?」

「んー?特に何も!」

「でも常に全力でやる必要もないっす、要点だけ抑えて効率的に学ぶのも仕事のうちっすから」

「多分今日学んだ狙撃地形把握術、あれは後方支援を普段からしてない生徒には理解が難しいかもしれないっすけど」

「要は同じ場所に居続けるな、撃ったら動くを徹底しろってのが要点っすね!」

「あとは適した地形等の知識は関わってくるっすけど、小難しく考える必要はないっすよ」

「な、成程…イチカ先輩は後方支援を?」

「たまにっすね!前線にツルギ先輩がでるなら後方、ハスミ先輩が後方支援なら前線って塩梅っす」

「組織における潤滑油のような存在なんですね」

「あははは、器用貧乏なだけっすけどね」

「まだポジションは決めてないと聞いてるっす、そういう不足している場所を補うポジションもあるってこと」

「覚えておいて欲しいっすね!」

「…はい、覚えておきます」

「ギター、弾かれるんですか?」

「上手ではないっすけどね、続けてるっす」

「先生が褒めてくれたっすから」

「(…先生)」

 

──翌日、学科2日目

 

「…それでは本日最後の授業になりますが…」

「今から貴方には私が出す問題に答えていただきます」

「問題、ですか?」

「はい、以前私も悩んだ問題です」

 

…マシロさんが悩んだ問題…

 

「…あなたは機関車を運転する機関士です。ある日、あなたが進入しようとする線路上に5人の人が縛られているのを見ました」

「線路を変えればその5人は助かりますが…その変えた先には1人の人がいて、その人が犠牲になることでしょう」

「…この場合、あなたはどちらを選びますか?」

「あなたの正義をお聞かせください」

「…私の、正義」

「質問の許可を」

「どうぞ」

「この5人と1人は、私にとって等価なのでしょうか」

「…ご想像にお任せします」

「…もう一つ質問したいです」

「…選択肢はこの二つだけなのでしょうか?」

「…と、言いますと?」

「例えば…機関車を壊して止める等、誰も犠牲にならない選択はないのでしょうか」

「…その場合、壊したあなたに責任が及ぶことになりますが」

「構いません、人命には代えられませんので」

「…では、想定を変更します」

「?」

「1人の犠牲者、それはあなたにとって最も大切な人です」

「そして…機関車を壊す場合、それはあなたが犠牲に…命を落とすことを意味します」

「!?」

「その場合あなたは…どうされますか?」

「わ、私は…」

「(最も大切な人…)」

「(私にはそんな人…)」

 

「…すみません、少し負荷を与えすぎましたね」

「この問題に答えはありません、倫理学上の問題となります」

「単純にあなたがどう答えるのか、気になりましたので」

「…先生との時は私が答える側でしたね…」

「…先生?」

「私は正義について時々考えます」

「…以前は委員会の先輩たちが行う行為こそが正義だと思っていましたが」

「最近では自分で判断するよう心がけています」

「…決断の時というのはいつ訪れるかわかりません、心構えだけは持っておくべきです」

「…はい!」

「以上で本日の学科は終了となります、明日からは実技訓練が始まりますので」

「本日はゆっくり身体を休めて備えてください」

「ありがとうございました」

 

「あ、終わったのね」

「…あんた、ちょっと時間はある?」

「時間ですか?今日はもう講義はありませんので空いていますが」

「ならちょっと付き合ってくれる?」

「?」

 

──コハルさんに案内されたのは、補習授業部の教室でした

 

「コハルちゃん、おかえりなさい」

「あら、あなたは…」

「…えっと、コハルさん?」

「みんなに紹介するわ、今回正義実現委員会の強化対象者に選ばれた子よ」

「強化対象者、ですか?」

「…全く知らない、具体的になにをしているのか教えて欲しい」

「え、えっと…先輩達から色々とご指導を…」

「ご指導!」

「うふふふふ!どんな指導なんでしょう!手取り足取り…教えていただいてるんですか?」

「まだ学科…座学だけなので手取り足取りというわけでは…」

「実技は明日からの予定で」

「実技!つまり知識の習得は終わり明日からはいよいよ…というわけですね!」

「コハルちゃんが頻繁に様子を見に行っているわけです」

「…あんた、なに考えているの?!」

「選りすぐりのエリートしか選ばれない合宿なんだから!」

「私は今回運営側にまわったから選ばれなかったけどね」

「…合宿なのに一人だけが対象なんですか?」

「…確かに、合宿なら他の生徒が居てもいいと思う」

「…そこは私もわからないんですよね」

「うふふふ、合宿であっていますよ」

「?」

「でも、コハルちゃん…合宿で忙しいなら無理をさせているのでは…」

「そ、それは…そうかもしれないけど…」

「…息抜き、させてあげたかったんですよね?」

「息抜き、ですか?」

「休息は大事だと思う、身体を休めるという意味だけじゃなく娯楽に勤しむ時間も必要だと」

「…そう先生は私にも言っていた」

「…といってもあの人本人が全く実践できていないけど…困った人だ」

「先生はお忙しい方ですから…」

「もう少し自分のお身体を労わっていただけると嬉しいんですけどね…」

「頑張り過ぎなのよ、あの変態…!」

「(…また先生の話…)」

「話が逸れたわね…とにかく、先輩たちの補佐役としてあんたには身も心も万全の状態で合宿に参加してもらわないといけないの!」

「身も心もだなんて…コハルちゃんったらえっ」

「あんた、なんかやりたいこととかないの?」

「やりたいこと…」

「…私は特には…」

 

「ところで今度紹介したいスウィーツのお店が…」

ハスミ先輩の言っていた言葉が頭をよぎります

 

「…スウィーツ…」

「スウィーツ?」

「甘い物ですか?それなら私が案内してあげますね!」

「とっておきのモモフレンズカフェがあるんですよ!ペロロ様がいるんです!」

「ぺ、ペロロ様?」

「はい!この方です!」

「どうですか!?」

「ど、どうですか…えーっと…」

「ジィー・・・」

「とても、可愛らしいと思います!」

「わぁー!ペロロ様の良さを理解してくれて、嬉しいです!」

「…地雷は踏まなかったみたいだけど…まさか本当に可愛いと思ってるのかしら…」

「さあ、どうなんでしょうね?」

「ところで皆さん、一番大事なことを聞いていませんよ」

 

ハナコさんが話題を変えるように言いました

 

「一番大事なこと?」

「ええ」

「…お名前、お聞きしてもよろしいですか?」

「名前…ですか?」

「はい」

「…私の名前は…」

 

──その時、何かが変わった

変わったのか、失われたのか…それを知覚出来るのは誰も居ないが…

 

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「■■■■■です」

「■■■ね!素敵な名前じゃない!」

「あはは…最初に聞くべきでしたね、なんで忘れてたんでしょう?」

「よろしく、■■■」

「はい、よろしくお願いします」

 

「えっと、何の話だったかしら」

「…今度ペロロ様カフェに行きましょうってお話ですね」

「いいわ!■■■が行きたいなら案内してあげる!」

「…ヒフミがね」

「あはは…お任せください!」

「スカルマンもいる…一緒に行こう」

「はい、楽しみにしていますね」

「…なにか、忘れているような…」

「なんでしょうか?」

 

翌日、実技訓練初日

 

「それでは…始めたいと思います」

「まずは狙撃に関してのあなたの力量を測らせていただきます」

「はい!」

「実技に使用する装備はそこに置いてあります、自由に使用してもらって構いません」

「標的に向かって一度だけ射撃を、焦らず自分のタイミングで大丈夫です」

「(…よく…狙って…)」

「スゥ・・・」

「(当たった…!)」

「(けど…)」

「…成程、わかりました」

「ではひとつひとつ改善していきましょうか」

「あ、あの…」

「なんでしょうか」

「その、力量ってどれぐらいなんでしょうか」

「…平均といったところです」

「…そうですか」

「問題ありません、最初から強い生徒は滅多に…」

 

その隣では、マシロさんが一発で的の頭を射貫いていました

 

「…」

「…まぁ、例外はいるということです」

「…はい」

「(というか、なんで標的がゲヘナ生徒さんの形しているんでしょうか…)」

「(や、やりにくいです…)」

「まずは命中精度の改善から始めましょう」

「狙う際に片方の眼を閉じていましたね?」

「はい、そのほうがよく見える気がして」

「あくまで私の持論ですが…見ていない方の眼も開けたほうが負担が少ないように感じています」

「出来る限り無駄な要素を省き精神的負担を軽減させたほうが効率的でしょう」

「あとは射撃までに時間をかけすぎています」

「焦らず自分のタイミングで、とは言いましたが…あなた呼吸を止めていましたね?」

「!」

「視力は狙撃の成功率に大きく影響します、酸欠で視力が低下する前に射撃することを心がけると良いでしょう」

「はい!」

「(ハスミ先輩…そんなこまかいところまで見てくれてる…)」

「それと…引き金を引く際に銃身が数ミリぶれて…」

「(あ、まだあるんですね…)」

「…まだ半分にも満たないですよ?」

「(か、顔にでちゃってた!)」

 

…指摘はこの後も続きました…申し訳ないです…

なんで私がこの合宿に選ばれたんだろう…?

でも、そのおかげで訓練開始前よりは正確に当てれるようになりました

 

「では午前はここまで…昼食後はツルギ委員長の元で白兵戦…」

「ジィー・・・」

「…では昼食を取るように」

「…コハル」

「ッ!」

「…お役目、ご苦労様です」

「はいっ!」

「ほら!お昼一緒に食べましょ!」

「美味しいサンドイッチのお店があるのよ、他のみんなもそこにいるわ」

「はい、是非ご一緒させていただきます!」

「…ただこの後のことを考えると…あまり食べない方がいいのでしょうか…」

「…が、頑張りなさい!まだ吐くって決まったわけじゃないんだから…」

「はい…」

 

──昼食を取るため、場所を移した二人

 

「こっちですよ、こっち!」

「ここだ」

「こんにちわ!」

「皆さんこんにちわ」

「このお店のたまごサンドは絶品なんですよ」

「…毎日食べても飽きない」

「最近のお昼は毎回ここね!」

「あはは…流石に毎回頼むものは変えていますけどね」

「ということで、次からは私が呼ばなくてもここに来なさいよね!いい?」

「はい、わかりました」

「…あと、敬語の必要ないわよ」

「同じ一年でしょう?」

「…な、なんとなく落ち着かなくて…」

「ダメ!敬語はダメ!禁止よ!」

「えぇ…」

「私だけじゃなくて、他のみんなに対しても呼び捨てにしなさい!」

「…ヒフミさん達って…2年生の先輩…ですよね?」

「そうなる」

「そうなります♥」

「あはは…そうですね」

「コハルちゃん!駄目です!」

「な、なに!?」

「目上の方は敬うべきです!組織の上下関係というものもありますし組織外の方でも…」

「うふふふ、あらあらコハルちゃんどうします?」

「…と」

「と?」

「友達に学年なんて関係ないの!」

「友達…」

「そうよ、だから呼び捨てはおっけー!許可!」

「あはは!私は全然かまいませんよコハルちゃん、■■■ちゃん」

「ここは組織ってわけでもない、何事も時には緩める必要もある」

「ほら、■■■も呼び捨てで呼びなさい!」

「…は」

「ハナコ…さん」

「あらあら」

「…真面目な奴ね、■■■は…」

「まぁこれも個性ですね」

「ではそろそろ食べましょうか、ぱさぱさになってしまいます」

「ところでここのサンドイッチ、先生も大好物らしいですよ」

「元々サンドイッチが大好きだとかで…」

「(…)」

 

昼食後、実技訓練会場

…私はツルギ先輩と対峙していました

 

「…それでは午後の実技を始める」

「…よろしくお願いします」

「弾は訓練用に変えてある、さあ安心して…」

「かかってこい」

「(やっぱりこうなるんですね…)」

「(イチカ先輩も見てくれてますし大丈夫ですよね…)」

「…いきます!」

 

真っ先に遮蔽物に身を隠し射撃を開始する■■■

しかし…

 

「え?」

──遮蔽物は素手で破壊されてしまった

 

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「(しゃ、遮蔽物を直接壊して!?)」

「うっ!?」

「学科の成績は悪くないと聞いていたのだが…」

「きょ、教本通りに遮蔽物に身を隠し被弾面積を抑え制圧射撃の継続を…」

「…射撃の効果が見込めない相手にそんなことをしてどうする、状況を見ろ」

「部隊は壊滅、残るはお前だけ…相手の力量は圧倒的に自分を上回る…」

「そのような場合でもお前は今のような行動を取るのか?こうなって終わりだ」

「ではどうすれば…」

「それを考えろ」

「!」

「準備しろ、5分後に開始する」

「…はい」

「…む」

 

遮蔽物に隠れ、身を隠す■■■

 

「(相手が圧倒的なら…正面からは避ける…いや戦闘そのものを避ける)」

「成程、場合によっては有効だろう」

「…場合によっては、な」

ツルギはイチカに銃を突きつける

「おっと?」

「出てこい、出てこなければ…こいつを殺す」

「(な!?)」

「(へぇ…もうここまでやるんすね)」

「うわー、助けてっすー!」

「(くっ…)」

「…」

「お前はただの前線生徒だ、相手の目的が他にある以上…」

「逃げの一手のみは通用しない、さらに甚大な被害が出て終わりだ」

「自己の生存のみを考えるならそれもまた良いが…」

「…違います」

「ならば食後の運動といこうか」

「戦え、お前はなにをしてもいい、私はハンデとして…」

 

「銃しか使わん」

「(銃は使うんですか!?)」

 

「(ツルギ先輩の場合、練習用ゴム弾の銃のほうが弱いっすからねぇ…素手より)」

 

…その日は顔面以外、全身撃たれていない場所はない、といった具合になる程度には撃たれました…

顔面を避けてくれたのはせめてもの慈悲なのか…それとも別の意図があったのかはわかりませんが…

 

「…大丈夫っすかー?」

「…全身が痛いです…」

「それでは本日はここまで、明日も午後から同様の内容とする」

「…ゆっくり休みながら考えるといい」

「あ、ありがとうございました…」

「■■■、迎えに来てあげ…」

「あ、あんた!ボロボロじゃない!?」

「白兵戦の訓練だったから仕方ないの」

「ゴム弾の打ち身っすから、痕も残らないですし痛みも今日中に引くっすよ」

「そ、それにしたって…」

「いいの、コハルちゃん、それだけ先輩達が真剣に教えてくれてるってことだから」

「…■■■がそれでいいなら…」

「大丈夫?歩ける?」

「うん、見た目ほど酷くはないよ」

「まずは着替えたほうがいいわね…予備はある?」

「あれだったらハナコに言って…なぜか予備の制服持ってるのよね…全種類…」

「予備はあるから大丈夫」

 

「…それでツルギさんとずっと白兵戦を…?」

 

補習授業部の教室で一同は会話をしていた

 

「あはは…よく心が折れませんでしたね…」

「先輩達…やり過ぎな気もするわ、いままで一人に集中したことなんてなかったのに…」

「■■■さんに対する期待の表れなのかもしれませんね」

「…それなら尚の事頑張らないと…」

「でも、敵うビジョンが全く見えないんです」

「なにかアドバイスが出来たらいいんですが…」

「アズサちゃん、なにかありませんか?」

「…それを考えるように、とのことだったはずだけど…」

「人脈を駆使するのも力のうち、私も友達のために協力しよう」

「アズサ!」

「うふふふ…」

「まず前提として相手はあの正義実現委員会の委員長」

「力量の差は圧倒的、そして防衛戦故逃走も許されない」

「そのうえでなにをしてもよい、という想定なら…」

 

──翌日、ハスミとの狙撃訓練

 

「(精度が上がっていますね、ちゃんと反復していたようです)」

「呼吸を意識…片目で見らずに…引き金は銃身を固定して絞るように…」

「弾丸も重力や風向、その他の影響を受ける…それの考慮も忘れずに…」

「…」

突然鳴り響くハスミの端末

「はい、こちら羽川…」

「暴走車両ですか?」

「…いえ、こちらでも肉眼で確認しました」

「問題ありません、こちらで対処できます」

「…■■■、治安維持要請が来ました」

「!」

「ですが…あなたはそこで見ていてください」

「…一瞬ですので見逃さぬよう」

 

暴走する車内

 

「と、止めてくれえええええ!」

「ブレーキが壊れて…!」

「…捕まれ」

「え?」

 

ツルギが車両に飛び込み、搭乗者を掴んで飛び降りた

 

「うわああああああ!」

「…イチカ、周囲に人は」

「交通規制完了っす」

「ハスミ先輩、マシロ、やっちゃってくださいっす」

「カウント始めるっすよ」

「3…2…1…」

「…今」

 

…本当に一瞬でした

私達のいる場所から車両が見えたと思った次の瞬間には

2発の弾丸が正確に車両のエンジンを射貫き

…車両は爆発しました

 

「…■■■、撃った後は?」

「!」

「すぐに動く!」

「よろしい」

「いやー、一件落着っすね!」

「まぁこの程度、日常茶飯事ですから」

「…報告書の作成は必要です」

「合宿の報告書は特に紙媒体での提出義務とは…」

「データの方が盗難危険度が高いというのも困った話っすね」

「…」

「えっと、本日の訓練は」

「正義実現委員会の活動報告書のことも考えると…微妙ですね」

「誰かが持っていく必要がありますし…まぁここは私が」

「それでしたら私が行きます!」

「…え?」

「えっと、ハスミ先輩は報告書の作成がありますし、ツルギ先輩が不在というのも不味いでしょうから…」

「しかしあなたの午後からの訓練は…」

「…考える時間が欲しいのか?」

「!」

 

ツルギが■■■に話しかける

 

「…変化がない訓練をしても意味は薄い、それなら別の経験をしてみるのもいいと思う」

「と言っても会えるかはわからないが…」

「先生はご多忙故…普段あまりシャーレ執務室にお戻りにはなりません」

「不定期に戻ってはいるみたいですが…会えない可能性の方が高いでしょう」

「それでも行きたいと?」

「…はい!」

「(いろんな先輩や友達が反応を見せる先生…)」

「(私、少しだけ興味が湧いていました)」

「(一体どんな人なんでしょうか)」

「…わかりました、あなたに頼みます」

「では本日はこれにて解散です」

 

「…ということでこの後シャーレに行くことになりました」

「先生に会いに行くんですか?」

「そうか、私も久々に会いたいな、だが授業がある」

「あの変態のとこにいくの?!」

「気をつけなさいよね、なにされるかわかったもんじゃないわ」

「えっと、そんな人なの?コハルちゃん」

「あはは…安心してください、そんな人ではないので」

「よ、良かった…」

「でも、お忙しい方なので会えない可能性の方が高いとも言われました」

「確かに先生は最近出張の連続でほぼ執務室を留守にしていますね」

「当番制度も来てもらって会えなかったら悪いという理由で形骸化してますし…」

「…一応制度は残ってるんですよね?」

「一度撤廃したのですが、じゃあ自主的に手伝うという生徒で執務室が溢れかえった経緯がありまして…」

「あの時は大変でしたね…」

「私はおしくらまんじゅう、楽しかったですけどね?」

「…」

「えっと、皆さんはなんでそんなに先生を手伝おうと?」

 

疑問を口にする■■■

 

「そ、それは…」

「あらあらうふふ…」

「わ、私は別にそんなことない!」

「…恩返し、だろうか」

「恩返しですか?」

「あの人はどんな小さな相談でも乗ってくれるし、真摯に対応してくれる」

「…日常の中に小さな楽しさがあると気づかせてくれたのもあの人だ」

「戦闘指揮も的確だと聞いています、頼れる大人の人なんですよ」

「もう少し緩くてもいいと思うんですけどね、お硬すぎるところがまた可愛いところでもあるんですけど♥」

「変態よ変態!…まあ、悪いとこばかりじゃないけど…」

「…素敵な人、なんですね」

「会えるといいですね、■■■ちゃん」

「…そう、ですね」

 

先生の好物だと聞いていたたまごサンドを買い、私はシャーレへと向かいました

…ここが、シャーレ執務室…

数回ノックをして、しばらく待つ

…返事はありません

留守なのでしょうか、まぁ恐らく会えないというお話でしたし

 

「…あれ?」

 

鍵が、開いている?

 

「…失礼します」

「あの…いらっしゃられるのでしょうか…?」

 

執務室の中には机があり、その机の上には…

大量の物と書類、それに囲まれるかのようにして

…机で寝息を立てている男性の姿がありました

…この方が、先生?

なんていえばいいんでしょうか

…思ったよりも普通の方、といいますか

皆さんの口ぶりから…ハスミ先輩のような完璧な方をイメージしていましたが

業務中に居眠りをする方なんですね…

 

「…」

 

起こしても悪い気がしますし、ここは書類と書き留めを置いて…

…私としたことが、傍にあった桃色の水筒を倒してしまいました…

床に落下したそれは金属音を放ち…

 

「ん…」

 

先生は、起きてしまいました

 

「…」

「…」

「(ど、どうすればいいんでしょうか…じっと見られています…)」

「(入っては不味かったんでしょうか、でもでも鍵をかけてなかったのはあちらですし…)」

「(とりあえず書類の報告

 

「君は…当番の子かな?」

「…え?」

「いやー、ごめんね…最近夜遅くにしか帰ってこれないから当番は無くてもいいって言ってはいたんだけど」

「周知されてなかったのかな?せっかく来てくれたのに…こんな散らかってるところを見せちゃって恥ずかしいな」

「ちょっと待っててね、今お茶を…」

「…お茶と珈琲と紅茶、どれがいい?」

 

…一方的に捲し立てるように話していた先生は

どうやら私に飲み物を淹れてくれるようでした

 

「…珈琲を、いただきます」

「了解、砂糖とミルクは?」

「大丈夫です」

 

私は立ち尽くしたままそう答え、あとは先生の姿を眺めていました

慣れた手つきでコーヒーマシンを起動させる先生

若干疲れているようにも見える顔は、笑顔を浮かべていました

 

「(…あれ?というか普通こういうのって当番の生徒が淹れるものなんじゃ…)」

「(いやでも私は当番ってわけじゃ…でも目上の方にこんなことさせるわけにも…)」

「あ、あの…」

「いいからいいから、座っておきなよ」

「…あ、もしかして座る場所すらないのかな…」

 

苦笑いしながら戻って来た先生の手には、二つのコーヒーカップ

 

「本当は挽いた豆のほうが断然美味しいんだけどね…珈琲が趣味の子がいたりしてくれたら助かるなぁ…なんてね」

 

笑いながら珈琲を啜る先生の顔は、若干若返ったような幼さを感じる笑顔でした」

 

「…あれ?」

「…あら?」

 

珈琲が、甘い…

 

「あれ、これブラック…もしかして間違えちゃった?ごめん!」

「寝起きだから糖分を取っておこうかと思ったんだけど…」

「いえ、大丈夫です、甘いのも好きなので」

 

いつものブラックとは違う、甘い味

なんとなく私は、この味を覚えておくことにしました

 

「あ、そうです先生…これ、差し入れなんですけど」

「差し入れ?…あぁ!トリニティのたまごサンド!これ大好きなんだよ!」

「(…よかった、喜んでもらえました)」

「当番に来てもらって差し入れまで…なんだか悪いね」

「あ、その…私当番ってわけじゃないんです」

「…ん?そうなの?」

「えっと、報告書を持って来たんです」

「報告書…」

「…もしかして、合宿の?」

「はい、そうです」

「成程、ということは参加者なのかな」

「そうなります」

「制服からいって正実の…そっか」

「?」

「ううん、なんでもないよ…そのうちわかるから」

「当番じゃないならあまり引き留めるのも悪いね、たまごサンド、ご馳走様!」

「おっとっと…」

 

先生はそう言うと、傍にあった書類の山を倒してしまいました

 

「やれやれ、片付けは苦手でね」

「…あの、もしよろしければなんですが」

「?」

「お片付け、手伝いましょうか?」

 

…数時間後、シャーレに備え付けの倉庫に私達はいました

最初こそ断った先生でしたが、私のほうから頼んだ形になります

 

「えっと…実は今戻ると訓練が再開されてしまう恐れがあるので…」

「あー…正実ってことは…ツルギかぁ…」

「…つまり、winwinってやつだね?」

「そういうことになります」

 

今はまだ時間が欲しい…それに…

もう少しこの人がどんな人なのか、興味があるんです

机の上にあった大量の書類を仕分け、荷物をダンボールに積み込み

それから掃除機掛け、拭き掃除、届く範囲の窓の清掃まで

時間はあっという間に過ぎていきました

 

「これを運び終えれば終了かな、いやー、本当に助かったよ!」

「いえ、片付けは得意な方なので」

 

…時刻は夕方、夕日が差し込む倉庫で先生と二人

夕日に照らされる先生の顔は、こちらを見ながらなにかを考えているようでした

 

「…先生?どうされましたか?」

「…眼を」

「?」

「眼を、瞑って貰えるかな」

「え?」

 

年上の異性からの唐突なお願い

正直、戸惑いました

ですが…真面目な顔で見つめてくる先生を見ていると

不思議とそのまま、目を瞑ることが出来ました

なにかを漁り、そして開けるような音

髪を撫でるような感触の後に…

 

「これで良し、眼を開けてもらえるかな」

 

そこには…

 

「うん、やっぱり綺麗だ」

 

さっきよりも若干、見やすくなった視界の先に

微笑む先生の顔がありました

 

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「ッ!!」

「あ、あの…先生…」

「か、顔…」

「顔…近いです…」

「ん?んん?」

「…あ、あの…先生…」

 

【挿絵表示】

 

「ま、まま待ってくれ!!違う!違うんだ!いや違わないんだけど!」

「その、気になってて、どんな瞳をしてるんだろうとか、どんな色なんだろうとか、きっと綺麗なんだろうなとか…」

「待て待て落ち着け…こういうのってやっぱりハラスメントになるのか…?あれだよなセクシャルなやつ…」

「…ふふふ」

 

思わず私が笑うと、先生は驚いたようにこちらを見ていました

 

「私が連邦生徒会に言っちゃえば、先生は危ないかもですね?」

「…もしかして今の、声に出てた?」

「はい、ばっちり聞こえてます」

「あー…」

「なので…先生、この髪留めと」

「これからしばらく…訓練後に私はここに来ますので」

「珈琲、淹れてくださいね?」

 

そう伝えると、先生は困ったように苦笑いしながら

「私のクビがかかっているなら、断れないね」

そう、笑顔で言いました

 

「…ということで、しばらくの間シャーレの仮当番のような形になりました」

「…」

 

言葉を失う4人

 

「いやいやいや!急展開すぎてついていけないわよ?!」

「というか気をつけなさいって言ったじゃない!やっぱりあの変態になにかされたんでしょ?!」

「…貴方、大人しそうに見えてやるときはやる方なんですね…」

「…驚いた、戦力的評価を上昇させざるを得ない…」

「でもでも、綺麗な眼をしていますね」

「うん、綺麗だ」

「綺麗ですね」

「…確かに綺麗ね」

「…そ、そんなに見つめられると…少し恥ずかしいです…」

「あら、先生の時とどっちが恥ずかしかったんですか?」

「な!?か、髪留めを付けて貰っただけですから…」

「…冗談のつもりだったんですが、自分でつけたのではなく本当に付けてもらったんですか?」

「!?」

「じゃ、じゃあ見つめ合ったわけですか?!」

「…夕焼けに染まる教室、見つめ合う二人…何も起こらないはずはなく…」

「エッチなのはダメ!禁止よ!」

「教室じゃないしエッチでもない!何も起きてないから!!」

「もう!皆さんもご一緒にと思って話したのに…それなら私だけで行きます!」

「だ、ダメよ!■■■だけ行かせるなんて危ないわ!」

「お優しいんですね」

「…あら?」

「?」

「…ちょっと失礼しますね」

背後に回り■■■に対し何かをするハナコ

「!?」

「…華奢に見えていましたが中々どうして…」

 

【挿絵表示】

 

「やっぱり■■■さん、大人しそうに見えてやるときはやる方

「は、ハナコさんは連邦生徒会に通報されちゃってください!!」

「それで、■■■さんは先生の事、どう思ってるんです?」

「えっ?」

「どうなんです?どうなんです?」

「…気にはなります、でもそれだけです」

「あと、珈琲が美味しかった…かな」

 

「…では私は遠慮しておきますね」

「え?」

「…そうですね、呼ばれたのは■■■さんですから」

「??」

「…そうだな、そのほうがいい」

「…あんた1人じゃ不安だけど、仕方ないわね」

「???」

「なにかほかに変わったことはありませんか?」

「えーと…あ、なんだか身体の調子が良いんですよね」

「午前中の訓練も…」

 

──射撃訓練場、ハスミとの会話

 

「…何かあったのですか?」

「…え?」

「いえ、精度がさらに良くなっていますね」

「ありがとうございます、恐らく髪留めで視界が開けたからかと…」

「…成程、その調子で続けるように」

「はい!」

「(…心なしか、射撃の威力も上がっているように見えるのですが…気のせいでしょうか)」

 

「良かったですね、■■■ちゃん」

「…じゃあ、この後はいよいよ?」

「…はい、ツルギ先輩との訓練が再開です」

「準備は出来たのか?」

「はい、出来ることはしましたので」

「頑張るのよ、■■■!」

「うふふふ…失敗して元々、気負うことはありませんよ」

「はい、頑張ります!」

 

──午後、戦闘訓練

 

「さて…時間はくれてやった」

「無駄な時間じゃなかったことを証明してもらおうか」

「…はい」

「では10分後に開始だ、ポジションは好きに取れ」

 

「…」

「好きなところに行けとはいったが…」

「まさか正面から来るとはな」

「(あの表情、無策…というわけではなさそうだ)」

「(確かめてみるか)」

 

ツルギが放った牽制射撃は…一見当たったかのように見えた

 

「(直撃…ではないな)」

「(避けきってはいないものの、直撃は避けている)」

 

その時、■■■は教室での会話を思い出していた

 

「まず力量の差だけど…」

「各学園のトップクラス、例えば正義実現委員会の委員長は確かに圧倒的だ」

「でも、その中でも私達と変わらないものもある」

「弾丸の速度、それは訓練用ゴム弾を使用している限り変わることはない」

「弾丸を避けるなんて無理のように思えるけれど、銃口から弾道を予測すればある程度の先読みは出来る」

「直撃さえ避ければ、次の攻撃を避ける猶予が生まれる」

「それに…射撃の技術や肉弾戦の破壊力と耐久力は確かに私達とは比べ物にならない」

「だけど…その機動力に関しては、前者のそれと比較すれば差は小さいものだと思ってる」

「ビルを破壊したり、車を受け止めることは出来ても」

「瞬間移動するわけじゃない、眼で追える速度なら対応可能なはずだ」

「そして逃げに徹しているならば次に相手が取る行動は…」

 

「(…よく動きを見ている、だが逃げの一手ならば…)」

「(今!)」

 

イチカの元へ行こうとしたツルギに、■■■の射撃が直撃する

 

「倒す必要はない、相手が嫌がる程度に気を引いてこちらに注意を向けさせる」

「どんなに弱くても銃撃なんだ、完全に無視はできない」

「■■■という弱者がトリニティの最大戦力をその場所に留めている」

「それ自体が莫大な戦果なんだ」

「つまり■■■が徹するべきは…」

 

「(これは、弱者の戦い方!)」

「(力量の差を理解し、援軍を待っている)」

「…」

「だが…」

「気に食わんな」

「初めから勝つつもりのない奴を育てるつもりは、ない!」

 

そのまま距離を詰めて来るツルギ

そして■■■は…

 

「(来た!)」

待っていたかのように、駆けだした

──直後、ツルギの足元が爆ぜる

 

「なっ!?」

「こ、これは…」

「トラップ!?」

 

見学していた3人が驚愕する中、回想のアズサはしたり顔であった

 

「なんでもありという想定なら、使わない手はないだろう」

「確か配布されていた装備の中に地雷があったと言っていたな」

「訓練前日に設置しておくといい」

 

「ひ、卑怯…じゃないっす!与えられた条件の中で可能性を掴もうとしてるっす!」

「(■■■は移動している!土煙でツルギは位置を把握出来ていない!)」

「(対して■■■ちゃんは位置を把握出来ている…これは…!)」

 

ここしかない!!

協力してくださっている皆さん

訓練してくださっている先輩方

なにより…私自身の為に!!

 

──お願い、届いて!!

 

【挿絵表示】

 

私が突きつけた銃口は、ツルギ先輩の眉間にあり…

ツルギ先輩の銃口は、私の眉間にありました

 

「…今同時に引き金を引けば、吹き飛ぶのはお前の頭だけだと思うが?」

「…そうですね」

「…良い眼をしている」

「…え?」

「合格だ」

「地雷を蹴り飛ばしてしまった、銃以外を使ってしまったからな」

「約束を破ってしまった、私の負けだ」

「あくまで訓練という前提ではあったが、与えられた条件の中で最善を尽くしたお前の弱者の戦い方」

「中々に…」

 

合格という言葉に、■■■は安堵…

 

「いらついた!」

 

…出来なかった

 

…あれ?

 

「さあ合格したなら次は肉弾戦だ」

「かかってくるといい…!」

「…えっと…イチカ先輩…」

「…頑張るっすよ、■■■…」

「…マシロ、湿布の準備をしておくように」

「…了解しました」

「げひゃひゃひゃひゃ!!次は強者の戦い方を見せてみろ!!」

「わ、私は一年生なんですよー!?」

「心配で見に来たけど…■■■ってあんなに脚早かったのね…」

 

後日、モモフレンズカフェ

 

「と、いうことで…」

「おめでとうございまーす!」

「あの委員長相手に一矢報いるとは…やるな」

「今回は褒めてあげるわ!」

「ありがとうございます、皆さん!」

 

ここがモモフレンズカフェ…

 

「お祝いに1つ、モモフレンズグッズを差し上げます!」

「どれが良いですか?」

「そういえばペロロ様?以外の方を知りませんでしたが…」

「…」

「このペンギン?さん…」

「アングリーアデリーさんです!」

「…」

「(目が似てる…)」

「な、なに?私の顔になにかついてる?」

 

猫目のコハルを連想させるそのペンギンを、■■■は気に入ったようだった

 

「…この子にします!」

「はい、どうぞ!」

「ありがとうございます、大切にしますね」

「この後、行くんですか?」

「え?」

「先生のところ❤️」

「い、行きますけど…」

「ふふふ…」

「…」

「仲良くなれるといいですね」

「…そう、ですね」

 

…シャーレに着いた時、先生はまた寝ていました

…もしかして結構だらしのない人なのでしょうか?

 

「たまごサンド、また持ってきてくれたんだね、助かるよ」

「珈琲淹れるから座ってて」

「や、やっぱり私が淹れます!」

「珈琲は私が淹れる約束だろう?」

 

…落ち着きません

 

「ツルギから一本取った!?」

「…どうやって?まさか正面から…?」

「いえ、アズサさんから色々と指南していただいて…」

「あー、アズサなら絡め手を教えそうだね、上手くいったんだ?」

「はい!…その後はあまり上手くいってないですけど…」

「?」

「せ、先生は本日はなにをされていたんですか?」

「私?私はね、今日はゲヘナへ視察に行ってきたよ」

「視察、ですか?」

「うん、少し確認することがあってね」

「?」

「まあ、多分近いうちに君もわかるよ」

「…ごめん、少し書類整理を手伝ってもらっても、いいかな?」

「はい!喜んで!」

 

…訓練の後の、先生の当番

先生との、2人きりの時間

…あんなことを言われたからでしょうか

繰り返していくうちに、ただの興味だった感情が

…なにか、違うものに変わっている気がしました

変わったのは感情だけではなく…

 

射撃訓練での■■■の射撃は、的の中心を射貫き、破壊した

 

「!!」

「…的が壊れましたね、まあ長い間使っていますし」

「…そうですね」

「(…射撃の威力が上がってる…?いや、そんなことはないかな…)」

「続けますね!」

「(…明らかに威力が上がっている…)」

「(どういう理屈なのでしょう、銃器に変化はないようですが…)」

 

午前の訓練は順調でした

しかし…午後の訓練は…

 

「…立て」

「はい…」

「継戦能力が無さすぎる、無駄な動きが多い証拠だ」

「無駄をなくせ、出来ないのならばスタミナをつけろ」

「…はい」

「…」

 

よく見て…最小の動きで躱して…!

顔面…違う!鳩尾…

足払い!?避けれな…

 

「ぐっ…」

「…眼で追えていても身体がついていかなければ意味はない」

「改善するように、それまでは繰り返しだ」

「…わかりました」

「では、解散」

 

戻ったツルギを、イチカが何か言いたげな様子で見ていた

 

「…どうした?」

「…なんでもないっす」

 

その後、当番にシャーレに寄った■■■に、先生が問いかけた

 

「…大丈夫かな?随分疲れているようだけれど」

「…そっくりそのままお返ししますね?」

「え!?あ、あはは…」

 

先生について、段々わかってきました

この人…寝ていません

最初はだらしのない方かと思いましたが…違う

私が帰った後も、恐らく書類整理や…もしかすると外回りに行っているかもしれません

顔色…目の隈から察するに、ほとんど睡眠を取っていないのでしょう…

 

「…先生、寝てください」

「…大丈夫だよ」

「大丈夫じゃありません!ちゃんと寝てもらわないと、倒れちゃいますよ!?」

「…時間が勿体無いんだ」

「勿体無い?」

 

…でしたら、私とのこの一時も先生にとっては

無駄な時間になるのではないでしょうか?

そんな考えが頭をよぎった、その時

 

「それは違うよ」

「先生…?」

「君達との時間は、なにより大切なんだ」

「こうして話して貰えるだけで、力になる」

「本当だよ?」

「…だから、そんな顔はしないで欲しい」

 

…顔に出ていたのでしょうか

 

「わかりました、信じます」

「ですが仮眠は取ってください、仮眠室もあるんですし…」

「あ、あー…仮眠室ね…」

「…先生?」

「ちょ、ちょっと今は使用出来ないかな…」

「…物置にしてるんですか?」

「…」

 

呆れたようにため息をつき、何かを決心した■■■

 

「…わかりました」

「?」

「私達との時間を大事にする先生に、素敵な折衷案です」

「ふむ?」

「これで私とお話しつつ、先生も休むことが出来ます」

「ほお?」

「わかった、じゃあソファーで少し仮眠を…」

「…はい、どうぞ?」

「…■■■さん?ちょっと狭いんだけども」

「…頭はこちら、ですよ?」

「…待って欲しい、それって膝枕…」

 

顔を真っ赤にしながら、■■■は笑顔で話す

 

「ま、枕がないと首を痛めますし…お話も出来ますよね」

「か、かんぺきー…」

 

【挿絵表示】

 

「…少し外の空気に当たって…」

 

外に行こうとした先生はそのままふらつき…

 

…私はふらついた先生をそのまま受け止め

…膝を枕にするような形で、半ば強引に寝かしました

 

「…案外強引なんだね?君は」

「…すみません」

「いや、私こそすまない」

「というか力も強いね…」

「ツルギ先輩の鍛錬のおかげですかね?」

「そうか…頑張っているんだね…」

「…」

「先生、あの…」

「寝心地は、悪くないでしょうか?」

「その、初めてなので…勝手がよくわかりませんので…」

「…先生?」

「…スゥ…」

…ものの数分で、先生は眠りについてしまいました

お疲れでしたもんね…

…ゆっくり休んでください、先生…

 

【挿絵表示】

 

…結局、先生は仮眠では済まず、眠り続けていたそうです

私が起こせれば良かったのですが…私も訓練の疲れがあり…

そのまま、寝てしまいました…

気づいたときには、ソファーで横になっており、毛布がかけられていました

 

「…おはよう」

 

はにかみながら笑う先生の顔は

心なしか、疲れが取れているようにも見えました

 

「すみません…寝てしまいました」

「お互い疲れていたみたいだね」

「…合宿、上手くいっていないのかい?」

「…」

「実を言うとね、君達がなにをしてるのか、詳しくは知らないんだ」

「だから、あまりアドバイスは出来ないけれど」

 

「…仲良くなって欲しい」

「仲良く…?」

「うん、仲良くなって、絆を深めて」

「友達や先輩の想いを、受け取ることができたら」

「それは多分、君の力になるから」

「想いを…受け取る…」

 

それが具体的に何を指すのかはわかりませんでした

ただ…なんでしょうか?

何かが変わったような、そんな気がしました

 

「…ご助言、ありがとうございます、先生」

「あまり無理をしない様にね?」

「それはこちらの台詞です」

「ははは…お互いに、かな?」

「ふふ、そうですね」

 

──そして、ツルギとの訓練

 

「(…動きがまた、変わっている?)」

「(確かに無駄をなくせとは言った、その為の訓練でもある)」

「(しかし…こいつの上達速度は異常だ)」

「(…試してみるか)」

 

一呼吸置いたのち、ツルギの様子が変わる

獣のような咆哮の後、猛烈な勢いで跳びかかって来る様子は…

トリニティの戦略兵器、その本来の姿だった

 

「!?」

「きゃっ!」

 

──なすすべもなく防戦一方の■■■

 

辛うじて眼で追えるだけで…到底追いつかない!

やられる!

 

「そこまでっす!」

 

イチカが割って入り、ツルギを止める

 

【挿絵表示】

 

「…それ以上は駄目っす、ツルギ先輩」

「もう…訓練じゃない」

「…そうだな、やりすぎた」

 

…ツルギ先輩は、本気じゃない、それはわかってた

でも、ここまで差があるなんて

 

「先輩、なんでここまでするんすか?」

「やりすぎっす!もうこんなの訓練じゃない!」

「貴方になれと言われてなれる生徒なんていないっす!」

「ハスミ先輩も止めない!なんでっすか!」

「私も詳しく知らないっす、大事な要件だとしか」

「でも、ちゃんと教えてくれてもいいはずっす」

「急に訓練が激しくなった理由も」

「そうじゃないと…■■■が可哀そうっス」

「…」

 

しばらく思案していたツルギだが、端末を取り出し…

 

「ハスミ、私だ」

「マシロと共に部室に…そうだ、話す」

「…場所を移す、付いて来い」

 

そのまま、部室へと移動し語り始めた

 

「この合宿だが…」

「先生は許可を出しているが、あくまで主導は私達学園側のものだ」

「先生には生徒の教育目的としか伝えていない」

「それは…何故でしょうか?」

 

「…ティーパーティー、サンクトゥス分派代表」

「!」

「百合園セイア、知っているか?」

「…お会いしたことはありません」

「彼女、セイア様は未来を予知することができます」

「予知夢のようなものを見るのだと」

「…合宿前、彼女は見たらしいのです」

「赤く染まる空、大勢の敵、そして…」

「シャーレの先生に迫る危機を」

「そして、それは完璧には見えなかった」

「見えなかったけれども、辛うじて見えた光景」

「そこには、今まで名の知れた生徒ではなく」

「見たことのない生徒が、先生を護っていたのだと」

 

【挿絵表示】

 

「…それが、■■■さんだと言うことですか?」

「…当初はわかっていませんでした」

「ティーパーティーが総力を挙げて探しましたが、特定には至りませんでした」

「そこで、彼女たちは手を打ったのです」

「この情報を各学校の上層部へ提供し、まだ見ぬ生徒を育成する」

「予言を逆手に取り、その生徒を見つけ出す」

「いや、作り出すと言った方が正しいのかもしれません」

「この合宿はトリニティだけではなく、各学校で行われているのです」

 

「じゃあ、■■■だという確証はないんじゃ…」

「セイア様は繰り返しその光景を見ているのです」

「見るたびに光景は更新され、学校は絞られて行った」

「最後の光景には、5名の生徒が映っていたそうです」

「5名…合宿を担当していた部活とその生徒、と見るのが妥当でしょう」

「どの学校の生徒だったんすか?!」

「…閃光で白く染まり、姿の特定はできないと」

「ただ、その段階で学校は2つに絞られました」

「ひとつはゲヘナ学園、風紀委員4名が合宿を担当しています」

「つまり、もうひとつが…」

 

「そう、我々正義実現委員会」

「じゃ、じゃあまだ確定はしないないってことっす!それにコハルを入れれば6名っす!」

「コハルは実質補助員です、そして…」

「…昨日、夢を見られたとの情報が入りました」

「人数は確認が出来なかったとのことですが、最後に先生を護った生徒」

「その生徒は…」

「正義実現委員会によく似た制服を着て、髪留めをしていたと」

 

「っ!」

「…」

「じゃあ…■■■が?」

「…私は、そう思っている」

「…正直、最初はそうは思っていなかった」

「少なくとも実技に置いては…期待をしていなかった」

「だが…お前は強くなった」

「確かに集中的に鍛えはした、それでもお前の上達速度は」

「眼を見張るものがあった…特別だと思える程に」

「その理由までは私もハスミもわからなかったが…」

 

──それを聞いて■■■は、先生の言葉を思い出していた

 

「うん、仲良くなって、絆を深めて」

「友達や先輩の想いを、受け取ることができたら」

「それは多分、君の力になるから」

 

「…■■■」

「…はい」

「私は戦うことしか知らない」

「戦略兵器と呼ばれ、他学園から…いや同学園からも恐れられている」

「それはそうだろう、私自身ですら戦っている最中の私は…」

「醜い、恐怖の対象だろうと思っている」

「…」

「それでも、私はこの力が必要だと思っている」

「最強格と…戦略兵器と呼ばれるこの力で大切な物を」

「この学園の生徒達と先生を護れるのなら、私はそれでいいと思っている」

「■■■、私は戦うことしか教えられない」

「それはお前にとって苦しいことだとは思う」

「お前がやらずとも、私たちのうち誰かが先生を護る」

「お前が強くなる必要はないのかもしれない」

「だが…力が無いものは何も護れない」

「予言も絶対ではない気がする、夢の内容が変わっているように…」

「未来は私達の行動次第で変わり得る」

「…お前は、どうする?」

 

「…私は…」

「…強くなりたい、そう思っています」

 

翌日、合宿の終了が宣言されました

…表向きは

いつまでも終わらないままだと先生に怪しまれる、とのことでした

もう話した以上、合宿という体裁を取る必要もない

通常任務をこなしつつ、空いた時間で一番効果的な訓練…

 

「つまり、私との実技訓練のみを行う」

「はい、師匠」

「…師匠?」

「あ、えっと…弟子入りみたいなものだと思ったので…」

「…好きに呼ぶといい」

「…はい!」

 

「合宿終了、おめでとうございまーす!」

「お疲れさまでした!」

 

急に電気がつき、クラッカーが鳴り響く

 

「…えっと?」

 

突然教室に呼ばれた私を迎えたのは

補習授業部の方たちのお祝いでした

 

「一つの節目ってことで、お祝いです」

「コハルちゃんから聞いていますよ、あの後も物凄く頑張ってたって」

「…あの委員長とマンツーマン…絶対遠慮したいな」

「…■■■、これ」

「?」

「お祝いよ、開けてみなさい」

 

無骨なケースの中に入っていたのは

ライフルと、拳銃でした

 

「これは…?」

「訓練で使用しすぎて消耗していると思いまして」

「ライフルは見た目は一緒ですけど、私達で改造しているんですよ」

「…イチカ先輩に聞いて参考にしたから、下手な出来にはなっていないはずよ」

「そしてこっちだが…」

「サイドアームだ、名前はSturm Ruger SuperBlackhawk」

 

【挿絵表示】

 

「■■■が持っていた物のグレードアップ版だ」

「装弾数は6発、前の物と比べるとマグナム弾を使用出来るように耐久性を上げてある」

「常時使用するならオートマチックだが…こいつはサイドアーム」

「ジャムの心配がなく、引き金を引けば必ず弾がでるリボルバーのほうが適任だろう」

「以前使っていたものと同じで使いやすいだろうしな」

「なにかあった時に使う感じなので…使う機会は来ない方がいいのですが…」

「お守りだと思っていただければいいかと」

「…デコレーションする時間はなかったから可愛くないかもだけど…」

 

「皆さん…」

「本当に、ありがとうございます」

「ライフルですが弾自体は変わっていないので安心して…」

「少々取り回しの感覚は変わると思いますのでそこは慣れていただいて…」

 

「…」

銃の説明を笑顔で受ける■■■を、コハルが微妙な顔で見ていた

 

遅くまで祝っていただきました、本当に…

良い友人と会えました

 

「■■■!」

「?」

「コハルちゃん?」

「えっと…」

「はい!これ!」

「これは…」

「市販されている聖水?」

「市販のとは違うわ!特製の聖水」

「皆と私の祈りを込めた、特別な奴よ」

 

【挿絵表示】

 

「それを…私に?」

「私からの贈り物…」

「私達の、最後の切り札よ」

「…役に立つかはわからないけど」

「…」

「なにかあるんでしょ?先輩たちの様子を見てたからわかる」

「私にはこれぐらいしか出来ないから…」

「…コハルちゃん」

「ありがとう、大好きだよ」

 

【挿絵表示】

 

「っ!」

「な、なによ急に!」

「…頑張んなさいよね」

「うん、頑張る」

「コハルちゃんの想いも持っていくね」

「…うん」

「あ、あとこれはちゃんと敵に投げるのよ?炸裂する力が強いから最悪吹き飛んじゃうんだから!」

「あはは、気を付けるね」

 

それから私は訓練と任務をこなす日々

その合間に私はひとつ

やりたいことがありました

 

「…あの」

「?」

 

■■■は、ゲヘナの温泉開発部員に話しかけていた

 

「貴方が、ゲヘナの合宿参加者さんですか?」

「…えっと、貴方は?」

「私はトリニティの合宿参加生徒です」

「すこし、お話しませんか?」

 

【挿絵表示】

 

…そして私は

その日を迎えました

 

【挿絵表示】

 

──シャーレ執務室

 

「これで彼女の話はおしまい」

「なんだか、変わったお話だったね?」

「この世界の先生は忙しそうだったし…」

「なにがあったんだろう?」

「おーい、ハナコ!」

「あらあら、どうしました先生」

「■■■を呼んできてもらっていいかな?」

「?」

「誰を呼んで欲しいんです?」

「■■■だよ、さっき話してた生徒!」

 

「…えっと」

「…誰の事でしょうか?」

 

「え?」

「…失礼しますね」

 

立ち去ってしまうハナコ

 

「…ハナコ?」

「…コハル!コハルいるかい?!」

「どうしたのよ、先生」

「コハル!■■■を呼んでくれ!」

「?誰?」

「だから!■■■だよ!」

「だからって…誰よそれ」

 

「名前、言えてないじゃない」

 

「…」

「あれ…?」

「■■■!■■■!」

「名前が…」

 

「ねえ、先生」

「?」

 

──who am i ?(わたしはだあれ?)

 

【挿絵表示】

 

「…誰って…」

「…?」

 

「彼女たちの名前…」

「…なんだっけ?」

 

突如、鳴り響く時計の音

それを

 

「…来る」

 

──白石ウタハ…規格外は、聞いていた

 

「あははははははは!!」

「居た!やっと見つけた!」

 

【挿絵表示】

 

──突如空間を割り、現れる何者か

 

「こんなとこに世界を創って隠れていたとは!」

「さあさあ思い出せ思い出せ思い出せ!」

「お前の罪を!思い出せ!!」

 

 

 

初めまして…ではないのかもしれないな、観測者

 

【挿絵表示】

 

楽しんでいただいているだろうか、幸せな日常を

笑っていただいているだろうか、滑稽な日々を

 

残念だが、そのような要素はこれ以降はない

それらが好ましいと思う観測者であるならば…これ以降は見ないことをおすすめする

何故なら彼はもう…

先生ではないのだから

これから語られるのは…

 

 

「…違う」

 

…む?

 

「そんなことはない」

 

…貴様は

 

「この時のために私は…」

「いいや、私たちは準備してきたんだ」

 

【挿絵表示】

 

…そうか

ならば続けよう、この物語は…

 

「この物語は…」

 

とある男と、世界の終わり

 

「先生の思い出と、記憶の話」

 

彼の罪と…呪いを確認する物語

 

「生徒の願いと…祈りの物語」

 

私の名を懸けて宣言する、この物語に…

 

「私、規格外の名に懸けて言わせてもらう、私たちは…」

 

ハッピーエンドは、訪れない

 

「ハッピーエンドに、至ってみせる」

 

さあ始めよう、彼と彼女の物語を

 

──who am i アイのかたち

 

【挿絵表示】

 

 

次回、who am i 先生のかたち

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