白き流星の羽搏き   作:丸亀導師

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第108話

 

宇宙世紀0086年、7月。

地球連邦軍第13外郭独立艦隊『クレール・ルクス(C・L)』の母港として機能している極秘基地は、うだるような夏の熱気と、絶え間なく続くモビルスーツの稼働音、そしてむせ返るようなオイルと硝煙の匂いに包まれていた。

 

北米のティターンズ特務士官養成学校への「強襲演習」から数ヶ月。C・Lの存在感は、連邦軍内部においてかつてないほどに肥大化していた。表向きは正規軍の治安維持部隊でありながら、その実態はティターンズの専横を物理的に牽制し、腐敗した連邦議会の闇を容赦なく切り裂く「最も危険な猟犬」である。

 

その日、基地内のパイロット待機室や整備ハンガーでは、ある一つの噂がまことしやかに囁かれ、隊員たちの間で尽きない話題となっていた。

 

「……おい、聞いたか? アムロ大尉が、コジマ准将から直接司令室へ呼び出されたらしいぜ」

 

「ああ。出撃のブリーフィングでもないのに、大尉が単独で呼ばれるなんて珍しいな。また何か、ジャブローの狸どもが厄介な特務指令でも押し付けてきたのか?」

 

「あるいは、ティターンズの過激派がどこかで蜂起したか、だ。……どっちにしても、俺たちの出番が近いってことには変わりねえがな」

 

ジムⅡ・カスタムやジムⅡ・スナイパーの装甲を磨きながら、整備兵やパイロットたちは声を潜めて語り合う。

 

彼らにとって、アムロ・レイという存在は単なるエースパイロットではない。部隊の絶対的な精神的支柱であり、いかなる絶望的な戦況であろうとも、彼が前線にいるというだけで必ず生きて帰れると確信できる、文字通りの『英雄』であった。

 

だからこそ、彼が司令官から単独で呼び出されたという事実は、部隊全体に微かな、しかし確かな緊張感を走らせていた。

 

「何か良からぬことの予兆でなければいいがな……」

 

誰かが呟いたその言葉は、夏の重い空気の中に溶けて消えた。

 

同じ頃、基地の中枢ブロック。

分厚い防爆扉と厳重なセキュリティシステムに守られた司令官室の前に、アムロ・レイは立っていた。

 

(……呼び出し、か)

 

アムロは、軽く制服の襟元を正しながら、小さく息を吐いた。

一年戦争の終結から七年。彼は戦場から離れることを許されず、常に最前線で血を流し続けてきた。デラーズ・フリートの決起を裏から粉砕し、C・Lの設立と共に数多のジオン残党やテロリスト、そして時には味方であるはずの連邦内部の腐敗分子とすら刃を交えてきた。

 

彼の両手には、数え切れないほどの命が染み付いている。どれだけ大義を掲げようとも、自分が「人殺しの道具」であるという重い事実は、常に彼の魂にまとわりついていた。

 

「大尉、アムロ・レイです。入室の許可を」

 

電子ロックのインターホンに向かって声を掛けると、すぐに「入れ」という短く重厚な声が返ってきた。

 

シューゥゥ……ッ。

 

気密扉が左右にスライドし、アムロは執務室へと足を踏み入れた。

 

室内は、過剰な装飾の一切ない、実戦部隊の指揮官らしい簡素で機能的な空間であった。壁面の巨大なモニターには地球圏の戦術マップが広がり、デスクの上には紙の書類とデータパッドが山のように積まれている。

 

そのデスクの奥に座る男――C・Lの総司令官であるコジマ准将は、手元の書類からゆっくりと顔を上げた。

 

東南アジア戦線で第08MS小隊を率い、泥臭い地上戦を生き抜いてきた歴戦の猛将。彼の顔には深く刻まれた皺と、決して揺るがない巌のような威厳が宿っている。アムロにとってコジマは、理不尽な軍の命令から自分たちを守ってくれる、数少ない「信頼に足る上官」であった。

 

アムロは歩み寄り、完璧な姿勢で敬礼を捧げた。

 

「お呼びにより出頭いたしました、准将。新たな作戦の指示でしょうか」

 

コジマは、アムロのその隙のない立ち姿をじっと見つめた後、ふっと目元を緩めた。

 

厳格なその顔に浮かんだのは、軍の司令官としての冷徹な表情ではなく、まるで遠く離れた戦地で立派に成長した自分の息子を眩しそうに見つめる、一人の「父親」のような、柔和で温かな微笑みであった。

 

「……そう固くなるな、アムロ君。今日は、お前にモビルスーツの操縦桿を握らせるための呼び出しではない。楽にしろ」

 

コジマの意外な言葉に、アムロは少しだけ戸惑いを見せたが、言われた通りに肩の力を抜き、休めの姿勢をとった。

 

「まずは、一つ目の用件だ」

 

コジマはデスクの引き出しを開け、ベルベットの小箱を取り出してアムロの前に置いた。

 

「アムロ・レイ大尉。……いや。貴官を、本日付で『少佐』へと昇進させる。これは連邦軍統合参謀本部、ならびに我がC・L司令部の総意だ。受け取れ」

 

「……少佐、ですか」

 

アムロは、小箱の中に収められた真新しい階級章を見下ろし、小さく呟いた。

 

正直なところ、彼にとって軍の階級などどうでもいいものであった。大尉であろうと少佐であろうと、彼が前線で果たすべき役割は変わらない。むしろ、階級が上がれば上がるほど、政治的なしがらみや厄介なデスクワークが増えるだけであり、純粋なパイロットとしての居場所が狭まるのではないかという危惧すらあった。

 

「不満そうな顔だな」

 

コジマが、苦笑混じりに指摘する。

 

「いえ。……ただ、自分の働きが、階級という形に収まるようなものだとは思っていなかったものですから」

 

「謙遜するな。お前がこれまでC・Lで挙げてきた戦果、そしてティターンズの増長を抑え込んできた功績は、本来であれば大佐、あるいは将官に昇進していてもおかしくないものだ。

……連邦の上層部が、お前の影響力を恐れて意図的に昇進を遅らせていたに過ぎん」

 

コジマは立ち上がり、窓際へと歩み寄った。

強化ガラスの向こうには、夏の陽射しを浴びて訓練に励むC・Lのパイロットたちの姿が見える。

 

「そして、今日お前を呼んだ『本題』は、その昇進の先にある」

 

コジマは振り返り、鋭い、しかしどこか慈愛に満ちた瞳でアムロを真っ直ぐに見据えた。

 

「続いて、アムロ・レイ少佐に新たな辞令を発する」

 

コジマの口調が、再び司令官のそれへと戻った。アムロは背筋を伸ばし、次の言葉を待つ。ティターンズの中枢への直接打撃か、それともエゥーゴとの極秘接触の任か。彼の脳裏で様々なシミュレーションが駆け巡る。

だが、コジマの口から紡がれた言葉は、アムロの予想を根底から覆すものであった。

 

「アムロ・レイ少佐。……現時点をもって、貴官の第13外郭独立艦隊『クレール・ルクス』における作戦行動を、一時的に完全凍結する」

 

「……は?」

 

アムロの口から、間抜けな声が漏れた。

作戦行動の凍結。それは事実上の、前線からの強制的な離脱命令である。

 

「准将、それは……私が何か、軍規に触れるような――」

 

「最後まで聞け」

 

コジマは、アムロの動揺を片手で制し、辞令の続きを読み上げた。

 

「貴官を、北米シャイアン周辺に新設される『対モビルスーツ戦術士官・養成学校』の専任教官に任命する。……これは決定事項だ」

 

静寂が、執務室を包み込んだ。

アムロの頭の中で、その言葉の意味が反響し、そしてゆっくりと理解へと変わっていく。

前線からの、一時的な離脱。

 

そして、後方支援部隊……それも新兵や士官候補生を育てるための「学校の教官」というポストへの左遷とも取れる配置転換。

それは、アムロにとって『良いこと』でもなければ、決して『悪いこと』でもなかった。

 

最前線で命を削り合う日々から解放されるという意味では、安息を得られるかもしれない。だが、自分が戦場から退くことで、残されたC・Lの仲間たちに多大な負担を強いることになるという事実が、彼の心に重くのしかかった。

 

「……理由を、お聞かせ願えますか」

 

アムロは、感情を押し殺した声で問うた。

 

「私がいなくなれば、C・Lの戦力は大幅に低下します。ティターンズがその隙を突いてこないとも限りません。何故、今なのですか」

 

コジマは深く溜息をつき、デスクの上に置かれた分厚いデータファイルの一つを手に取った。

 

「アムロ君。……君は、人を殺し過ぎている」

 

その一言は、いかなる物理的な弾丸よりも鋭く、アムロの胸の奥底を貫いた。

 

アムロの表情が僅かに歪む。

 

「……軍人として、任務を遂行してきた結果です。それに、撃墜した数の大半はモビルスーツであり――」

 

「君は機械を壊してきたんじゃない。その中に乗っている『人間』の命を絶ってきたのだ。君自身が、それを一番よく分かっているはずだ」

 

コジマの指摘に、アムロは反論することができなかった。

 

彼のニュータイプとしての鋭敏すぎる感覚は、敵機を撃墜するたびに、コックピットの中で断末魔の悲鳴を上げるパイロットの「死の瞬間」を、まるで自分のことのように感じ取ってしまう。その呪いのような感覚に苛まれながらも、彼は味方を護るためにトリガーを引き続けてきた。

 

「勘違いするな。私はお前の戦果を責めているわけではない。残党を鎮圧するにせよ、連邦の腐敗を滅するにせよ、アムロ・レイという個人の武勇と功績は、文句のつけようがない素晴らしいものだ」

 

コジマはファイルをデスクに投げ出した。

表紙には、『アムロ・レイ大尉(少佐)戦闘記録・撃墜スコア総合評価』と記されている。

 

「だがな、アムロ君。そのあまりにも圧倒的な実績のせいで、今、連邦軍の内部や民間人の間で何が起きているか分かるか?」

 

コジマは、険しい顔でアムロを見据えた。

 

「『神格化』……だ」

 

アムロの肩が、微かに揺れた。

 

「一年戦争の英雄。白い悪魔。連邦の救世主。……人々は、お前という一人の人間を、絶対に負けることのない『戦争の神』として祀り上げようとしている。

特に、ティターンズの強権に不満を持つ者たちや、行き場のない大衆にとって、お前は縋るべき偶像になりつつあるのだ」

 

「……私は、ただの一人のパイロットです。神でも、救世主でもありません」

 

アムロは吐き捨てるように言った。彼が最も嫌悪するのが、自分を特別視し、政治的な象徴として祭り上げようとする周囲の思惑であった。

 

「分かっている。私や、C・Lの仲間たちは、お前が血の通った一人の悩める青年であることをよく知っている。

だが、お前に直接会ったことのない何百万、何千万という人間にとって、お前は『象徴』でしかないのだ」

 

コジマは、デスクに両手をつき、アムロへと身を乗り出した。

 

「このままお前が前線で無双を続ければ、どうなるか。……遠からず、誰かがお前を『神輿』として担ぎ上げ、連邦に反旗を翻すような行動を起こす可能性が極めて高い。

エゥーゴの過激派か、あるいは別の反政府組織か。彼らは『アムロ・レイが我々と共にいる』という事実だけで、何万人もの若者を死地へと動員できるようになってしまう」

 

それは、かつてジオン・ダイクンがその思想を曲解され、ザビ家の独裁と戦争のための神輿として利用された歴史の、小規模な再現に他ならない。

 

「お前がどれだけ望まなくとも、お前がトリガーを引くたびに、お前の名前は神話になり、お前の背中を追って無駄死にする者が増えていく。……それが、英雄という名の『呪い』だ」

 

重苦しい沈黙が降りた。

アムロは唇を噛み締め、俯いていた。自分が良かれと思って、世界を少しでも平和にするために振るってきた力が、結果として新たな戦争の火種を生み出しつつあるという残酷なパラドックス。

 

「だからこそ、私から一計を講じさせてもらった」

 

コジマの声が、少しだけ穏やかなものへと変わる。

 

「アムロ。お前を前線から引き剥がし、士官学校の『教官』とする。それが、この呪いを解くための唯一の方法だ」

 

「……教官になることで、神格化が止まるとおっしゃるのですか?」

 

アムロが顔を上げる。

 

「ああ。偶像というものは、遠くの手の届かない場所にいるからこそ崇拝される。ならば、その偶像を大衆の目の前に引き摺り下ろし、触れさせればいい」

 

コジマは、ニヤリと笑みを浮かべた。

 

「教壇に立ち、訓練生たちと共に汗を流し、時には彼らの不甲斐なさに怒り、不器用に言葉を交わす。

……そうして、アムロ・レイという男が、伝説の神などではなく、ただの『一人の人間』であることを、次の世代に直接伝播させていくのだ」

 

コジマの狙いは明確であった。

神輿にされて反乱の象徴にされる前に、アムロを「血の通った一人の指導者」として現実に引き戻すこと。

 

「シャイアン周辺に新設される対モビルスーツ戦術士官学校は、連邦軍のパイロット育成の新たな中核となる施設だ。地球至上主義に偏ったティターンズの養成学校とは違い、ここでは純粋に戦術とモビルスーツの運用技術を叩き込む。

……すなわち、今後の連邦軍でパイロットを目指す者は、必ずと言っていいほどこの学校を通り、お前の教えを受けることになる」

 

コジマは、アムロの肩に重い手を置いた。

 

「お前個人の人柄、不器用さ、優しさ、そして戦争の現実。

それをお前の口から直接伝えられた若者たちは、決して『アムロ・レイ』という名前を政治的なプロパガンダとして盲信することはない。お前は彼らにとって、神ではなく『恩師』になるのだからな」

 

兵器としての戦果を積むのではなく、人間としての魂を次世代に残すこと。

それが、コジマ准将が考え抜いた、アムロ・レイという一人の青年を破滅から救うための、最大限の親心であった。

 

「……准将のお考えは、理解しました」

 

アムロは、少しだけ肩の荷が下りたような、柔らかな表情を見せた。

教官という仕事は、機械いじりや独りで戦うことが得意な彼にとって、決して向いているとは言えないかもしれない。だが、人を育て、未来へ繋ぐという行為には、破壊しか生み出さない前線での戦いとは違う、確かな希望があるように思えた。

 

「しかし……私が抜けた後の、C・Lはどうなりますか。ティターンズが黙っているとは思えません」

 

アムロの最大の懸念は、残される仲間たちのことであった。

その言葉を聞いた瞬間、コジマ准将の表情が、再び百戦錬磨の将官のそれへと引き締まった。

 

「……アムロ君。君には残酷な言い方になるかもしれないが、聞いてくれ」

 

コジマは、アムロの目を真っ直ぐに見据えた。

 

「第13外郭独立艦隊『クレール・ルクス』という特殊部隊が、たった一人のエースパイロットが抜けただけで瓦解するような組織であってはならない。……いや、絶対にあってはならないのだ」

 

それは、指揮官としてのコジマの、痛切な「本音」であった。

 

「我々は、ティターンズの独裁を食い止め、連邦を正常化するための最後の砦だ。だが、その砦が『アムロ・レイの武力』という一本の柱だけで支えられているのだとしたら、それはあまりにも脆弱すぎる。

お前が風邪を引いて寝込んだだけで、作戦が破綻するような部隊では、ジャミトフの狂気には到底立ち向かえない」

 

コジマは、窓の外を顎で指し示した。

そこでは、ダグザ・マックール率いるエコーズの隊員たちが装甲車の整備を行い、C・Lのパイロットたちがフォーメーションの確認に余念がない。

 

「見てみろ。あの北米での強襲演習を経て、部隊の練度は飛躍的に向上している。エマ・シーン中尉やジェリド・メサのようなティターンズの若手ですら、我々の戦術を貪欲に吸収しようとしている時代だ。

……猟犬たちは、もう十分にお前の背中を見て育った。今度は、彼ら自身が自らの足で立ち、自らの牙で獲物を狩る術を証明しなければならない時が来ているのだ」

 

アムロは、窓の外の仲間たちを見つめた。

一年戦争の頃の、頼りなかった自分たちとは違う。ここには、歴戦を生き抜き、自らの意志で戦う理由を見つけた本物のプロフェッショナルたちが揃っている。

 

アムロの胸の内にあった「自分が戦わなければ皆が死ぬ」という強迫観念が、静かに溶けていくのを感じた。

 

「君という巨大な傘がなくなることで、C・Lは一時的に弱体化するように見えるかもしれない。だが、それは彼らが真の独立部隊として生まれ変わるための、必要な試練だ。……君は、仲間の力を信じて、安心して教壇に立ってくればいい」

 

「……分かりました。謹んで、教官の任をお受けいたします」

 

アムロは、深々と頭を下げた。

その声には、迷いや不満は一切なく、澄み切った決意が込められていた。

 

コジマは、少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「休暇の申請くらいは、私の一存でいくらでも融通を利かせてやる。……あまり待たせすぎるなよ」

 

コジマのその言葉に、アムロは図星を突かれたように少しだけ頬を赤らめ、苦笑した。

 

オーガスタ。そこには、孤児院を切り盛りしながら、いつも変わらない場所で自分の帰りを待ってくれている女性――セイラ・マスがいる。

 

最前線でいつ命を落とすか分からない状況下では、彼女と会うことも躊躇われた。だが、後方の教官職であれば、週末に彼女の元へ帰り、子供たちと一緒にテーブルを囲み、彼女の淹れた紅茶を飲むこともできるようになる。

 

それは、アムロにとって、大尉から少佐への昇進などよりも、何万倍も価値のある「報酬」であった。

 

「……ご配慮に感謝いたします、准将。必ず、立派な新兵たちを育て上げ、そして……C・Lの皆が胸を張れるような部隊になることを、祈っています」

 

アムロは、改めて完璧な敬礼を捧げた。

コジマもまた、それに応えて力強く敬礼を返す。

 

「頼んだぞ、アムロ少佐。……お前の『人間としての戦い』は、ここからが本番だ」

 

執務室を辞し、廊下へと出たアムロの足取りは、入室した時よりもずっと軽かった。

 

夏の眩しい陽光が、基地の天窓から差し込んでいる。

アムロは歩きながら、制服のポケットに入れた「少佐」の階級章にそっと触れた。

 

モビルスーツの操縦桿をチョークに持ち替え、コックピットから教壇へ。

 

撃墜スコアを稼ぐのではなく、若者たちの命を未来へ繋ぐための戦い。

それは、一年戦争から続く硝煙の匂いとは違う、全く新しい種類の『戦場』への旅立ちであった。

 

(……待っていてくれ、セイラ。今度は、少しだけ長く君の傍にいられそうだよ)

 

アムロ・レイは、北米大陸の空へ向かって、静かに、そして清々しい微笑みを浮かべた。

 

宇宙世紀0086年、夏。

 

神話となった英雄は、一度その剣を置き、一人の人間として新たな一歩を踏み出したのである。

 

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