ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第110話『PHASE-47『終末の光2』』

 キラとアスランがジェネシスを破壊する為に、ヤキン・ドゥーエ方面に飛び去ったのを見送りながらアズラエルは脱出艇の中でため息を吐いた。

 ドミニオンはまだ残っているが、戦闘は難しい。

 モビルスーツ部隊だけではプラント撃破は難しく、核ミサイルも残弾はほぼない。

 

 これでキラ達がジェネシスを撃破出来なければ終わりだなとアズラエルは心の中で呟いた。

 

「ふっ」

「アズラエル様?」

「いや、何でもないよ。大佐。僕も焼きが回ったなと思ってさ」

「ハハハ。ご冗談を。アズラエル様はまだまだお若い。どの様な道も選べますよ」

「ふっ、コーディネーターとの共生の道、とかかい?」

「まさか。連中は危険ですからな。地球からは追い出した方が良いかと思います。宇宙へと放逐しましょう」

「それはそうだね。近くに居たら危険だからね……それは間違いない」

 

 アズラエルは笑いながらサザーランドの言葉に頷いた。

 しかし。

 

「でも、まぁ。連中はジェネシスみたいなとんでもない兵器を作れるくらいには使える様だ。適当に利用する方が良さそうだね」

「えぇ。その方が良いですな。しかし、それはそれとして、やはり遠距離破壊兵器は必要かと。核ミサイルも接近する必要がありますし」

「そうだね。そこは次の課題かな。少なくとも、今回ジェネシスを破壊できても、同じ物を連中は作れる筈だ。そうなればこちらも何か持たなくてはいけない……そういう意味では、キラやセナの言う和平も、まぁ良いだろう」

「承知いたしました。では二人に恩を売るという意味でも、ジェネシスが破壊された時点で我らも停戦しましょう」

「うん。そうしようか。カラミティ、フォビドゥン、レイダーはアークエンジェルの護衛をさせよう。デストロイは……」

「どうしました?」

「いや、どうやら、少し面倒な事になっている様だ。アークエンジェルへと急がせろ!」

 

 アズラエルが脱出艇から見たのは、待機を命じた筈のデストロイが動き始めている姿だった。

 しかもデストロイが動く先に居るのは、ホープ。

 

 セナは地球連合軍のドミニオンが停戦を受け入れたという話と、ジェネシスを破壊する為の共同作戦を地球連合軍全域に発進している所であり、デストロイの異変にはまだ気づいていなかった。

 そして、アズラエル以外は誰も気づいていない中、デストロイは遂にホープをその巨大な腕で抱え込む事に成功する。

 

『きゃっ!? な、なんですか!?』

 

 誰も戦闘を行っていなかった宙域で突如として響いたセナの声に、誰もが意識をセナに向けた。

 地球連合軍と睨み合っていたZAFTも、ZAFTと睨み合っていた地球連合軍も。

 

 内側で起こった異変に目をやった。

 

 そこではホープを押さえ込みながら、ゆっくりとアークエンジェルから離れてゆくデストロイの姿があった。

 

『貴様何をやっている! セナを離せ!』

『なに!? やっぱり停戦は出来ないってこと!?』

『やるぞ! ディアッカ! 二コル! 黙って見過ごす事は出来ない!』

『はいはい』

『そうですね!』

 

 三機のGは息をピッタリ合わせながらデストロイへと向かう。

 だが、分厚い装甲とトランスフェイズ装甲により、彼らの砲撃はその殆どが防がれてしまうのだった。

 更に言うのであれば、セナが捕まっている以上、あまり火力の高い攻撃が出来ないという事もある。

 

『コイツ……!』

『厄介なモンを作ってくれたもんだぜ! 地球軍も!』

『しかし、このままでは!』

 

『止まれ! ステラ・ルーシェ! お前にそんな命令は出していない! すぐにホープを解放しろ!』

 

 デストロイの強固さにイザーク達が攻めあぐねていると、アークエンジェルから声が響いた。

 それは、デストロイへの命令権を持っているムルタ・アズラエルであったが……その声を聞いてもデストロイは止まらない。

 逆にアークエンジェルへ向けてホープを押さえていない方の手……右手を向けてビーム砲を放ってきたくらいだ。

 

『艦長!』

『回避!!』

 

 咄嗟の事であったが、総舵手のノイマンはアークエンジェルを動かし、ビームをかわすと、続く砲撃もかわしてゆくのだった。

 しかし、避けているだけは事態が解決しないのも事実であり、何かしら対策をしなければいけない状況である。

 

 だから、モビルスーツ部隊を向かわせてホープをデストロイから解放しようとするのだが、デストロイの装甲と密度の高い攻撃で、モビルスーツ部隊は次から次へと撃破されてしまうのだった。

 

 残されているのは、ZAFTのエースたちと、連合の第二世代GAT-Xシリーズに、オルフェのガンダムくらいの物である。

 

『アレはどうにか出来ないんですか!?』

『出来たらもうやっている! 誰かがステラに命じて、僕の命令を聞かない様にしているんだ!』

『誰かって……!』

 

『ふはははは! ようやく気付いたか。ムルタ・アズラエル』

『この声は……ジブリールですか。何の用ですか? 戦場にも来れない臆病者が』

『フン。私は次を見据えているのだ。この戦いの次! 次の次! 終わらぬ争いの次を考えているだけだ』

『臆病者ほどよく口が回りますね。それで? 今更デストロイを動かしてどうしようって言うんですか?』

『私は次を見据えていると言っているだろう? この戦いで地球軍が勝つことは出来ない。ならば、次の戦いを始める前に鍵を一つ手に入れようと思ってね』

『カギ……?』

『そう! 我らが勝利する為の鍵だ。セナ・ユラ・アスハ。彼女の力があれば、我らが勝利する事は容易い』

 

『だからな貴方は小さく、愚かなんですよ。ジブリール。セナが貴方に協力するワケが無いでしょう? その矮小な頭で少しは思考出来ないんですか?』

『フン。負け犬が偉そうに』

『負けかどうかはまだ、分からない……! そうだろう? 大佐』

『えぇ。我々はまだ負けておりません。バジルール中尉。全体の指揮は任せましたよ』

『了解した! カラミティ、フォビドゥン、レイダー! こちらの指示に従え! それとバスター、ブリッツ! それにZAFTの機体もだ!』

『なに!? ナチュラルなどに!』

『今、この場で何が一番大事か理解出来ないのか!? コーディネーターだろう! ならば理解しろ!』

『くっ……! ジュール隊! 地球軍に協力する! ホープもセナも! 失う訳にはいかん!』

『『了解!』』

 

 ナタルは、フッと一瞬笑みを浮かべてから、マリューへと言葉を向けた。

 いつかの時と同じように。

 

 

「艦長! アークエンジェルの全権を艦長へ! 私は全体指揮を!」

「分かったわ! ゴッドフリート! 1番2番、ローエングリン起動!」

「その様な高い火力で大丈夫ですか?」

「問題ありません」

「それなら良いですけどね。セナに怪我をさせたらただじゃすみませんよ……?」

「まったく野蛮なやり方だな。それでも正規軍かね?」

 

 今まで敵だったくせに、突然保護者面をしてくるアズラエルにマリューはやりにくさを感じながら、ひとまず仕事に集中しようと前を向いた。

 艦長として全員の命を預かるのも大変だが、それはそれとして、アズラエルやサザーランドといった、明らかなパワハラ上司に横からネチネチと言われるのも厳しいものがある。

 ナタルならば毅然と言い返すのだろうけど、等と思いながらマリューは上手く二人の嫌味な視線と言葉をかわしながら指揮を飛ばす。

 

「フォビドゥンを前に、カラミティ、バスターで遠距離から砲撃! 攻撃は脚部を狙え! レイダーはモビルアーマー形態で敵の注意を誘いつつ、頭部へと攻撃を! ブリッツはミラージュコロイドを使用しつつ背後に回り込み、スラスターを破壊! ガンダムはアークエンジェルの護衛だ! 全員にデストロイの攻撃パターンを送る! 参考にしつつ、行動開始!」

『『了解!』』

 

『ちょっと待て!? 俺は!』

『貴様らは時を待て……! デストロイが体勢を崩し、セナ様を救出出来る時を……!』

『……分かったよ! セナを助ける時だな……!?』

 

「ローエングリン照準! デストロイの右腕を狙って! ローエングリン、てぇー!」

「今だ! カラミティ! バスター! 避けたデストロイの脚部を撃て!」

 

『ほらよー!』

『オラァー!』

 

 デストロイは二機の効果力モビルスーツの集中攻撃により、脚部を破壊されバランスを崩した。

 無重力の宇宙とは言え、機体の一部が破壊されれば機体は体勢を崩す。

 そして、デストロイが体勢を崩した所にレイダーとブリッツの攻撃が突き刺さった。

 

 頭部と背中から爆炎を出しながらデストロイはもがく様に右腕を前に伸ばしながら宇宙空間で、衝撃のまま倒れる。

 無論、上下左右の間隔などは無いから、倒れたと言っても方向を変えただけだが。

 それでもアークエンジェルからは倒れた様に見えたのだった。

 

「追撃をします! デストロイの背中を狙って! ゴッドフリート! てぇー!」

「今撃つんですか!? セナがどうなっているか分からないというのに!」

「君は少し考えた方が良いのではないかね?」

「……」

 

 文句を言われながらもマリューは何とか仕事をこなし、デストロイは更なるダメージを受けて背中から火花を吹いた。

 そして、この時になって、少し緩んだ拘束から逃れ、ホープを僅かに動かしてから、胸部にあるコックピットより、セナが飛び出した。

 

『……貴女の声! 聞こえていますよ! ステラさん!』

 

 そのままデストロイの表面を移動し、腹部にあるコックピットへと向かい、強制的にハッチを解放する。

 

『ステラさん!』

『……? せな……?』

『そう、私です! 私はまだ生きてますよ! お姉ちゃんも! だから!』

『セナ!』

 

 セナはコックピットの中へと手を伸ばし、ステラの腕を掴んでそのままデストロイを蹴り、ステラを抱きしめたままデストロイから離れた。

 そのあまりにも小さな姿に誰も気づいていなかったが、オルフェだけは小さなセナとステラの存在に気づき、ガンダムで手を伸ばす。

 

『艦長! バジルール中尉! セナとデストロイのパイロットを確保した!』

「っ! 了解! よくやったわ! オルフェ君!」

「いえ! 艦長! まだ、動いている!」

「えっ!?」

 

 デストロイはパイロットが居なくなったというのに、セナとステラに向かって手を伸ばしていた。

 決して逃がさないとでも言うように。

 だが、そんなデストロイの腕を蹴りつけて、暗い宇宙から一つのモビルスーツが姿を現した。

 

『やれやれ。せっかく良い所で、騎士らしく助け出そうとしたのだがな……お転婆なお姫様だ』

 

 ネオは驚いているセナをモニターで映したまま、ビームサーベルを抜いてデストロイの左腕の関節部に突き刺した。

 そして、そのままホープを救出するとアークエンジェルの方へと放り投げる。

 

『これは姫君を護る箱なのでね。返してもらおうか!』

 

 既にボロボロのデストロイであるが、事もあろうに、ここで胸部にあるビーム砲を放とうとした。

 要塞すら焼いたビーム砲をここで撃てばセナとステラが!

 そう判断したネオは咄嗟にビームシールドを構えたが、別方向から、この時を待っていた男が飛び込んできた。

 

 その機体はデュエル!

 

『これで、終わりだぁぁあああ!!』

 

 ビームサーベルを右手に持ちながら真っすぐにデストロイへと飛び込んだ。

 そのまま胸部に上からビームサーベルを突き刺して、デストロイの体を傾けさせ、左半身でデストロイのビーム砲を受けながらも深く、深くビームサーベルを突き刺した。

 

『『イザーク!』』

 

 左腕と肩辺りまでを失い、火花を散らしながらも、デュエルはデストロイに最後の一撃を与え、デストロイはそのままビームサーベルを受けた場所から火花を出し、大爆発を起こした。

 

『はぁ……はぁ……』

『イザーク! 無事か!?』

『あぁ……当たり前だ! お前らの事情とやらを聞くまで、俺は死なん!』

 

 

 こうしてデストロイとの戦いは終わったが、機体も限界が近く、アークエンジェルへと一度戻り、補給を受けながらジェネシスを目指す事となった。

 まだ、戦いは終わっていない。

 最後の脅威は……まだ宙域の中に居る。

 

 オルフェとセナは、強く、黒く広がっていく気配に目を細めたまま、闇に向かう一つの光に希望を託すのだった。

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