ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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SEED - DESTINY
第114話『ラクスはこの子のこと、知ってるの?』


 オーブから長い時間をかけてプラントまでシャトルでやってきたキラは、小さな顔に似合わない無骨なサングラスを付けながら、エアポートでキョロキョロと周囲を見渡していた。

 そして、人込みの中で長いピンク色の髪を見つけると、バッグを持ったままタっと駆け出す。

 

「ラクス!」

「っ!? キラ!」

 

 キラはラクスに抱き着いて、ラクスもまたキラを抱き返した。

 感動的な再会をする二人であったが、プラントの中でトップクラスに有名な二人は周囲から注目されており、ラクスの護衛としてエアポートまで来ていたディアッカは抱き合っている二人に苦笑しながら声をかけるのだった。

 

「あー。お二人さん? 感動的な再会は良いんだけどよ。目立つからやるなら別の所でやらねぇか?」

「あ! ディアッカ! ディアッカも久しぶりだね!」

「まぁ、うん。喜んで貰えるのは嬉しいんだがな……」

「ディアッカ、貴様いい加減にしろ」

「えぇ!? 悪いの、俺かよ!」

「連れて行くのならさっさと連れて行けば良いだろう。キラ、ラクス嬢。ここは人が多い、手早く別の場所へ」

「あら。イザークも居たのぉおぉぉぉおお!? く、くび! 首締まってるから! 手、離して!!」

 

 キラはイザークに引っ張られながら、ズルズルと引きずられてエアポートを出て行った。

 しかし、キラはどこかでお茶がしたいと必死にイザークへ訴えて、エアポート近くの喫茶店へと向かうのだった。

 

 そして、キラは首を押さえながら喫茶店へ入り、真っ白な椅子に座り、同じく真っ白なテーブルに置かれたお茶を口にした。

 

「まったく。君はいつになっても乱暴だねぇ。イザーク」

「フン。貴様がさっさと移動すれば良かっただけの話だ」

 

 イザークはキラの隣に座りながら紅茶を飲み、鼻を鳴らす。

 そんなイザークにキラもラクスもディアッカも苦笑するばかりだった。

 

「そういえばさ」

「うん?」

「キラのソレ。何なんだ?」

「あぁ、コレ?」

 

 キラは少し嬉しそうな顔をしながら顔に付けている武骨なサングラスを持ち上げてディアッカに微笑んだ。

 ただでさえ目立つ容姿のキラがそんなモノを付けていれば、見て下さいと言っている様な物であり、何を目的としているかが分からなかったからだ。

 

「まったくディアッカは鈍いなぁ。変装だよ。ヘンソウ!」

「変装?」

「そう。これを付けてれば誰も僕がオーブのキラだって分からないでしょ? ふふん。どう?」

 

 キラは似合わないサングラスで顔の半分を隠しながら笑う。

 だが、満面の笑みを浮かべているキラに対して、ディアッカとイザークは頭を抱えながら天を仰いでいるのだった。

 

 そんな二人にキラは不思議そうな顔をするが、テーブルの上に置かれた手をラクスが握った為、そちらへと意識を向ける。

 

「キラは面白い事を考えますのね!」

「でしょでしょー? バルトフェルドさんの事を思い出してさー。僕は自分が天才だと思ったね」

「ふふ。そうですわね。では、(わたくし)達も顔を隠さなくてはいけませんわね」

 

「そう言うと思ってさ! じゃじゃーん! 持って来たんだよ。ラクスの分!」

 

 キラは鞄からキラが付けている物と同じサングラスを取り出すと、はい。とラクスに手渡した。

 ラクスはそれを満面の笑みで受け取って、キラと同じ様にかけるが……残念ながらキラと同じ様に顔に対してサングラスが大きすぎて奇妙な姿になってしまう。

 

「どうですか?」

「うん! 最高に可愛い!」

「あら! 嬉しいですわ!」

 

 向かい合う形で座りながら、手を握り合ってイチャイチャし始めた二人を見て、イザークとディアッカはブラックの珈琲が恋しそうな顔をしていた。

 しかし、護衛対象から目を離す事も出来ず、甘ったるい空気に呼吸困難になりつつも、任務を続行するのだった。

 

 だが、そんな心を削りながら任務を行っている二人に、キラはあどけない少女の様な顔で問いかける。

 

「そういえばさ。イザークとディアッカは何でここに居るの?」

「……はぁ」

「あのさ。偽名を名乗ってるとは言え、他国の姫様が来るんだぜ? 護衛くらい当然つくだろ」

「ふーん。そういうモンなんだ」

「そういうモンなんだ。じゃない! 貴様、自分がプラントでどういう立場か分かってるのか!?」

「えっ、いや……え? もしかして、恨まれてる? ジャスティスは自爆しちゃったし。フリーダムは壊れちゃったし」

「そんなワケあるか!!」

 

 とぼけた事を言うキラにイザークは怒りのままに怒鳴りつけた。

 その激しさに、他の客が何事かと視線を向けてきたが、ラクスとキラの存在に気づき、すぐ見なかったフリをするのだった。

 

「ヤキン・ドゥーエの戦いでさ。プラントに核が撃たれただろ? あの時さ。一部の報道がアレを流したんだよ。すぐに避難しろって。で。どうなった?」

「え? あー、全部撃ち落とした?」

 

「そうですわね。しかも、キラがプラントを背にしながら、自由の名を冠した機体で、虐殺は許さないとハッキリ宣言されましたわ。それを見た方々は、キラの言葉に強く心を動かされたでしょうね」

「しかも、どこのバカがやったか知らないが、血のバレンタインの時の映像が流出してな。例のガンダムに乗っていたのが、お前とセナだとプラント中にバレたんだよ」

「それで、もう二度と! だもんな。そりゃキラ様! になるぜ」

 

 シミジミと語るイザーク、ラクス、ディアッカの言葉に、キラは恥ずかしい気持ちになり、頬を朱色に染めながらサングラスを深くかけた。

 だが、そんな風にしているキラはとても可愛らしい物であり、あの時の凛々しいキラの面影は見えない。

 

「だからな、そんな英雄様に危険が無い様にって俺たちが護衛につくことになったんだよ。ま、俺ら以外も結構居るけどな。下手したら議長の護衛より多いぜ」

「当然だ。ここでキラが襲撃でもされてみろ。今度こそ戦争は止まらん」

 

 キラはやや難しい顔をしながらサングラスを外した。

 そして、先ほどまでとは違う……強い決意を秘めた瞳で三人を見つめる。

 

「それは、困るよ」

「分かっている」

「そうですわね」

「そうそう。もう二度とゴメンだぜ」

 

「ありがとう……じゃあ、みんなも協力してくれるって事で良いんだよね?」

「……何がだ?」

「え?」

 

 キラの言葉に、三人は不思議そうな顔をしながら首を傾げるばかりだ。

 そんな三人にキラは声を潜めたまま、オーブで聞いてきた情報を伝える。

 

「いや、ほら。今回僕が来たのは表向きはラクスに会いに来たって事になってるけど、ね?」

「ね? と言われてもな。何があるんだ」

「またまた……冗談は無しだよ。イザークなんか偉いんだから何か聞いてるでしょ? 特務隊の人から」

「特務隊は今、カナーバ議長の護衛で慌ただしい。何か作戦をしているとは聞いてないな」

「え……」

 

「キラ。キラは何を聞いてプラントへ来たのですか?」

「いや、えと。オペレーション・メテオの動きがあるってオーブで分かってさ。それと同じくらいの時期に、プラントで戦争を起こそうとしている勢力が居るから、僕に助けて欲しいって……特務隊の人から」

「バカな」

「そりゃあり得ねぇよ。キラちゃん」

「えぇ!?」

「特務隊が国外の人間。しかも、他国の姫に助けを求めるなんて、絶対に無いぜ」

「あぁ」

 

 キラは困惑しながら、パソコンを取り出し、ギナが受け取ったというメールを確認する。

 そして、その送信元を探るべく各システムに侵入してゆくのだった。

 

「んー?」

「なにか問題が?」

「いや、何かこのメールおかしいんだよね。確かに送信元はZAFTからなんだけど……そこから届いた様に偽装してる」

「まさか、外部の者が?」

「その元々の元は分かるのかい? キラちゃん」

「うん。ちょっと待ってね」

 

 キラはダダダとキーボードを叩きながら、難しい顔をしつつメールを調べ続けた。

 キラ、ラクス、イザーク、ディアッカという超有名人たちが難しい顔をしながらキラのパソコンを見ているという事で、周囲の人々はおそらく何か大変な仕事をしているのだろうと察し、邪魔にならない様に離れた場所からそっと見守っていた。

 

 そして。

 

「……! 見つけた。これだ」

「個人名も出ているな? しかし、見た事のない名前だ。ディアッカ。調べられるか?」

「おうよ。ちょっと待ってろよ?」

 

 イザークに言われ、ディアッカはプラントの住居情報を調べ始める。

 そして、そうしている間にもキラは謎の人物の住所まで調べ上げるのだった。

 

「ディアッカ」

「ん。相変わらず早えぇな。お、出たぜ。確かに存在している人間みたいだな」

「これがダミーという可能性は無いのか?」

「うーん。それは無いと思う。まぁ、この子のPCが乗っ取られて。みたいな可能性はあるけど。軍部を通してメールを偽装してる人間がそこまでやる?」

「無いとは言わんだろう。この少女を囮にして逃げる作戦かもしれん」

「だとしてもこの子の家に行って、PCを調べたらすぐにわかる話だよ。無意味だと思うね」

「しかしな。まさかこんな子供が……!」

「子供だ大人だは関係ないよ。僕とセナは10歳でプラントのメインコンピューターに侵入したし。大西洋連邦も、オーブもね」

「貴様……! とんでもない事をしているな……!」

「流石って感じだぜ」

 

 ほぼ三人で話をしている状況に、ラクスは少し面白くない物を感じて、ディアッカのモニターを確認し、その少女の情報を見る。

 そして、思わずあ、と声を出してしまうのだった。

 

「うん? ラクスはこの子のこと、知ってるの?」

「いえ……存じませんわ。ですが、そうですわね。皆さん気になっている様ですし。どうでしょうか。一度会いに行ってみるというのは」

「うーん。まぁ、そうだね。会いに行ってみようか」

「しかし、危険では無いか?」

「んー。でも、両親も別に軍属じゃないし。家族は全員コーディネーター。特に危ない要素は無さそうだけどな」

「貴様! どっちの味方だ!」

「そりゃ姫様方に決まってんだろ」

「くっ……!」

 

 イザークは味方だと思っていたディアッカに裏切られ、悔しさに声を上げた。

 そして賛成多数という事で、キラ達はディアッカが示した少女の家に行ってみる事にするのだった。

 

「では決まりですわね」

「うん。とりあえず会って話をしてみようか。この子と」

 

 キラは最後の紅茶を飲みながら、ディアッカが映している画面にジッと目をやった。

 そしてそこに刻まれた名前をしっかりと頭に焼き付ける。

 

 メイリン・ホークという名前を。

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