ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第120話『駄目だ! このままじゃ、間に合わない!』

 一人、コロニーを止める為に地球へ向かっていたキラは、地球へと向かうコロニーの前に展開する艦隊を見て目を見開いた。

 既に事態を察した地球連合軍が軍隊を展開していたのだ。

 

 これでは停戦は破られてしまうとキラは歯噛みするが、今はそれどころでは無いかと地球連合軍艦へと接近する。

 

「こちら、フリーダム。キラ・ユラ・アスハです。地球連合軍艦聞こえますか?」

『おぉ! キラ様! こちらには間に合わぬだろうという想定だったのですが! まさか地球の危機に駆けつけていただけるとは!』

「勿論です。地球の危機とあれば。それで……プラントは」

『はい。既にジュール隊を名乗る者達が、コロニーに攻撃を仕掛けつつ、中央部に爆薬を仕掛けコロニーを小さくしている様ですな。停戦してすぐにプラントとの共同作戦とは複雑な気持ちですが、キラ様達がいらっしゃるのであれば恐れる物は何も無いでしょう!』

「え……?」

 

 今回の事件に関して、コーディネーターを敵視する様な声が聞こえて来るかと思えば、思っていたよりも好意的な反応でキラは驚いてしまう。

 そして、そんなキラをさらに驚かせる様な通信が突如として入った。

 

『お姉ちゃん』

「せ、セナ!?」

『はい。セナです。あ、申し訳ございません。お姉ちゃんに作戦の説明をするので、後の事はお願いします』

『承知いたしました!!』

 

 地球連合軍艦の司令との通信を切り、セナはモニターの向こうで疲れた顔をしているキラに微笑んだ。

 何も不安な事は無いのだという様に。

 

『今回のコロニー落下事件に関して、地球連合軍にはプラントと地球連合軍の停戦を受け入れられない一部勢力が起こした事件という風に伝えています。ただし、コーディネーターかナチュラルかどちらかが起こしたのかは分からないままで』

「そんな事……受け入れられたの?」

『はい。地球連合軍もブルーコスモスという制御の出来ない人たちが居ますからね。後は、お姉ちゃんがZAFTのエターナルと一緒にテロリストの調査をしていた。というのも後押しの一つになったと思います。お姉ちゃんのお陰ですね』

 

 ニッコリと。いつも変わらない微笑みを浮かべるセナに、キラははぁーと息を吐きながら天を仰いだ。

 そう。セナはギナからの命令でキラがプラントへ行っている間に、情報を集め、地球連合軍を説得していたのだ。

 

 もしもの時に、再び戦争とならない様に。

 そして、地球や月が狙われた際に、すぐ動ける様にと。

 

「まったく。セナには勝てないね」

『私はお姉ちゃんのお手伝いをしているだけですよ』

「そう。それでも良いけどね。でも、これが終わったら大好きのぎゅーをするからね。覚悟しててね」

『それは……少し恥ずかしいですね』

 

 キラとセナが穏やかな顔で会話をしている中、ホープのコックピットから警報が鳴り響き、キラとセナはほぼ同時に迫ってくるコロニーへと視線を向けた。

 イザーク達の奮闘もあり、後ろ半分は大きく削れているが、それでも火力が足りなかったのかコロニーは未だその巨大な姿を地球へ向けている。

 

 破壊しなければ……地球は人の住めない星になってしまう。

 

「じゃあ行ってくるよ。セナは?」

『私も参加します。ただし。皆さんが前に出るなというので、私は後方支援ですね。劾さんがローエングリンランチャーを届けて下さるそうなので。劾さんと共に、遠距離でのコロニー破壊活動を行います』

「そっか。無茶はしないでね」

『はい! お姉ちゃんも』

 

 そして、キラはセナと別れ、ミーティアを最大加速させながら地球連合軍艦を追い抜いて、後方から飛んでくるビームやミサイルをかわしながらミーティアの最大火力をコロニーに叩き込んだ。

 ミーティアや地球連合軍艦の攻撃であっても超巨大なコロニーは表面しか破壊できないが、攻撃を続ける事で少しずつであるが、コロニーは破壊されてゆく。

 だが。

 

「駄目だ! このままじゃ、間に合わない!」

『キラちゃん! コロニーに直撃させるわ! 回避して!』

 

 キラは通信から聞こえて来た聞きなれた声にミーティアを加速させて、ミサイルを放ちながら地球よりたった今到着したばかりの懐かしい白亜の戦艦を見つめる。

 そして、栗色の髪の艦長はキラが離れた事を確認し、艦の主砲をコロニーに向けて放つのだった。

 

『ローエングリン! ゴッドフリート! 1番2番、てぇー!』

『主砲直撃! ですが、依然コロニーのコース変わらず、地球へ向かっています』

『こんな事ならアークエンジェルを後十隻は作っておくべきでしたねぇ。サザーランド大佐。例の奴は?』

『まだ建設中ですので』

『そう。デストロイも足は遅いですし。はてさて、どうしましょうかねぇ』

 

「マリューさん! それに、アズラエルさんまで!?」

『地球の危機だとセナに聞きましてね。動かせる艦は全て集めましたよ。ただ、ちょっと足りない様ですが』

『既にコロニーは落下コースに入っています。このまま攻撃を続けるよりは側部のもろい部分を全艦で破壊し、強固なベイ部分はアークエンジェルとフリーダム、ローエングリンランチャーで限界まで削り、被害を最小限に抑えるべきと具申します』

『まぁ、それしかないですか。サザーランド大佐。落下予想地点への避難警報。お願いしますね』

『ハッ! 承知いたしました!』

 

『では、我々は限界までコロニーを破壊しますので、アズラエル理事は退艦を』

『はいはい。後はお願いしますよ。キラ。セナ。君たちも適当な所で離脱しなさい。どの道ベイ部分だけで地球は滅びませんし。多少の被害はしょうがない……まぁ、テロリストにはそれ相応の責任をとらせますが』

 

「分かりました」

 

 キラはアズラエルの言葉に頷きながら、ミーティアの火力でコロニーの破壊活動を続ける。

 が、宇宙開発の初期に作られたコロニーらしく、その固さは相当な物であった。

 モビルスーツが現れる前の、どんな衝撃にも耐えられるようにと設計されたコロニーは伊達ではない。

 

 だから……。

 

『側部の完全破壊を確認!』

『ベイ部分は!?』

『駄目です! 未だ地球への落下軌道をとっています! このままでは大西洋に落下します!』

『アークエンジェル降下準備! 限界まで攻撃は続けて!』

『このままではアークエンジェルも巻き込まれますよ!?』

『それでも! 見捨てられないでしょう!?』

『……まったく。貴女は無茶ばかりする!』

『いつもの事よ。もう慣れたかと思っていたわ。ナタル』

『慣れる事は無いでしょう! しかし、命令とあれば実行するだけです! 主砲照準ベイ部分。港の装甲が薄い部分を狙え!』

 

『そういう訳だから、私達はこのまま降りるわ! キラちゃんとセナちゃんは離脱して!』

『そんな! 私も限界まで!』

『叢雲劾! カガリ様の命令だ。セナ様を連れて退避しろ!』

『依頼主の命令であれば仕方ない。ホープを連れ、離脱する!』

『劾さん!?』

 

 そして、多くの者が見守る中、コロニーの一部は大気圏に突入し、大気との摩擦熱で真っ赤に燃えながら地上を目指した。

 しかし、それでもアークエンジェルのクルーは諦めないと主砲でベイ部分を攻撃し続け、遂に一部の破片を残して破壊する事に成功する。

 

 だが、それでも未だ大きな部分は残っており、流石にもう駄目かとマリュー達が諦めた時、宇宙から一機の白い流星がコロニーの破片に向かって落ちて来た。

 遺された弾薬を全て使い、破片を大気圏の熱で消えるくらい細かい物にして、残された大きな部分にも臨界までエネルギーを高めてからミーティアをぶつけて爆発させる。

 

『キラちゃん! 駄目よ!』

 

「まだ……! まだだ!」

 

 更に、自分の機体も大気の熱で焼きながら武装を展開して、一つ、また一つと大量の破片を撃ち抜き、被害を最小限に抑えようとするのだった。

 だが、いかなフリーダムと言えど、大気圏に突入しながら高火力の攻撃を続けて無事。という様な事はなく……フリーダムは翼を失い、手足も破壊されながら地球へと流星の様に落ちてゆく事になるのだった。

 

 コロニーの破片が生み出す流星が、夜空を美しく彩っている頃……その流星に混じって、操縦不能となったフリーダムは真っすぐに地上へ向けて落ちていた。

 大気圏を抜けてからアラートは鳴り響いており、このままでは助からないとキラは考えつつも、帰りを待っている人の為に、必死にキーボードを叩き続ける。

 何か助かる為の手段は無いか、何か、何か……と。

 

 しかし、そう都合よく何かがあるという様な事もなく、フリーダムは雲を突き抜けて、驚異的な速さで地上へと落下していった。

 このまま地面に激突してフリーダムは跡形もなく破壊されてしまう……かと思われた。

 が、大きな振動と共にフリーダムの落下は途中で止まり、アラートが鳴りやんだ。

 

 何事かとキラが計器を確認すれば、どうやらフリーダムを何者かが捕まえてくれたらしい。

 その事実にキラはホッとしながら大きく安堵の息を吐くのだった。

 そして、ゆっくり、ゆっくりと地上へ降りてから、キラはコックピットを開き外へと出た。

 

「……地上だ。本当に助かったんだね」

「姫!」

「……?」

 

 すぐ近くから聞こえた声に、そちらへ視線を向けてみれば、フリーダムを抱えていた黒い機体から飛び出してくる一人の少年。

 いや、青年か。

 

 その青年がヘルメットを投げ捨て、キラのすぐ傍まで駆け寄った。

 そして、驚き固まっているキラの手を取りながら微笑む。

 

「ご無事で何よりでございました。姫」

「えと、あの……?」

「申し遅れました。私はシュラ。シュラ・サーペンタインと申します。姫」

「えー、あー。っとですね」

 

 キラは真っすぐにキラキラとした視線をぶつけてくるシュラに気恥ずかしさを覚えて、ポリポリと頬を掻きながら言葉を向けた。

 

「えっと、あの。僕の事はキラって呼んでくれれば」

「キラ姫様ですね」

「いや、あの……姫様も、ちょっと恥ずかしいので」

「では、キラと呼ばせていただきます」

「うん。それでお願いします」

「承知いたしました。では、お疲れかと思いますので、王宮へとご案内しましょう!」

「え? ひゃあ!」

 

 シュラはすくっと立ち上がると、キラを横抱きにして自らの機体へと戻る。

 ZAFTの機体とも、地球連合軍の機体とも違う。不思議な機体に。

 

「えと、じ、自分で、歩けますので!」

「我が王国の周囲は深い森となっておりますので、キラを歩かせる事は出来ません。我がブラックナイツでご案内出来れば、と考えております」

「えと! あの! なら、自分の機体に戻りますから!」

「いけません! フリーダムは傷つき自ら動く事は難しい状態。なれば、このままお連れするのが最も安全かと!」

 

 ああ言えば、こう言う。

 キラは何だかんだと言いながらも自分の思う通りに進めたいシュラに負けて、はぁと小さくため息を吐いた。

 

 国民からお姫様扱いをされる事はあれど、騎士の様に直接触れて来るタイプは居なかったため、キラは何だか恥ずかしい気持ちを感じて顔を真っ赤にしながら俯いてしまう。

 そんなキラを見ながらシュラは小さく笑みを浮かべ、ブラックナイツを操って、ファウンデーション王国へと足を踏み入れるのだった。

 

 思いもよらぬ幸運に、計画の修正を考えながら。

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