ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第124話『僕が居ない間、カガリの事お願い。アスランだから任せられる』

 無事、ファウンデーション王国から逃げ出す事に成功したキラであったが、アスランの杞憂は正しく、キラはファウンデーション王国に対して特に悪感情を持っていない様であった。

 しかし、そんな事で安心できるはずもないアスランとカガリは何とかキラに危機感を持たせようと色々と言葉を重ねたが、その言葉に意味は無い。

 何故なら、キラにとってファウンデーション王国は、かつて共に戦ったオルフェが居た国であり、オルフェが信用している国なのだ。

 何一つとして疑う余地など無いのである。

 

 しかも、オルフェは大戦が終わってから世界を見てくるとオーブを離れており、キラの説得には参加出来ないというのも問題であった。

 結果、キラの呑気さはユニウス条約が締結されても変わらぬままであった。

 

 そして、不幸とは重なるモノなのか。

 プラントへ来て欲しいと最高評議会かキラに泣きついた事もあり、キラはプラントへとユニウス条約の締結を見守っていたラクスらと共に戻る事になる。

 

「じゃあ、カガリ。アスラン。オーブの事はお願いね」

「私は納得してないぞ!」

「オーブにはアスランも居るし。ギナさんも居るでしょ?」

「しかし! セナも居ないし! キラも居なーい!」

「もう。子供じゃないんだから。僕らが居なくても大丈夫。カガリならちゃんと代表首長出来るって」

「そういう事じゃない! 家族が離れ離れに暮らすなんておかしいと言っているんだ!」

「そんな事言っても。いつか僕もセナも結婚して家を出るんだし。それが早いか遅いかの違いだけでしょ?」

「何ィ!? 私は結婚など認めんぞ! 反対だ! ハンタイぃー!」

「はいはい。たとえ話だから。アスラン。悪いけど、カガリの事。お願いね?」

 

 キラはカガリを抑えながら無表情で立っている男へ視線を向ける。

 アスランはいつもの様に無表情で立っているが、どこか悲しそうな顔もしている様に思う。

 

「……あぁ。キラ」

「んー? なぁに?」

「本当に行くのか? プラントへ」

「うん。僕が居る事で安心する人が居るのならさ。行くよ。まぁー。何が出来るか分からないし。当分はラクスとアイドル活動でもしようかなって感じだけど」

「そうか」

「なぁに? そんなに寂しい? 僕が居ないと」

「あぁ」

 

 ハッキリとキラを見据えながら言葉にしたアスランに、暴れていたカガリも、キラの隣に立っていたラクスも……そして言われた当人であるキラも驚いたようにアスランを見つめた。

 そして、キラは小さく息を吐いてから、アスランの手を取る。

 

「大丈夫。これが最後じゃないよ。プラントに永住するってわけじゃないしさ。安定したらまた帰ってくるって」

「……あぁ」

「だから。僕が居ない間、カガリの事お願い。アスランだから任せられる」

「俺だから……か。分かった」

 

 アスランは納得した様な言葉を吐き、その言葉に微笑んで、キラはそっとアスランから手を話した。

 無重力の中でゆっくりとエターナルへ向けてキラは移動する。

 

 そして、あっと思い出した様にアスランへと言葉を託した。

 

「アスラン!」

「なんだ!」

「アークエンジェルが回収した例のアレ! アスランが必要だって感じた時に使って! きっと君の力になるから」

「……あぁ」

 

 アスランは小さく頷き、キラは少しだけ寂しそうな顔をしながら手を振って……そのままエターナルへと向かって行った。

 クサナギのブリッジへと戻ったカガリとアスランは遠く宇宙の向こうへ消えていくエターナルを見送り、オーブへと降りる。

 

 

 そして、クサナギと別れたエターナルはプラントへと向かう事になった。

 

「無理を言ってすまなかったな。キラ姫」

「良いんですよ。クライン派の方々には色々とお世話になりましたし。僕もプラントでやりたい事がありましたしね」

「やりたい事……?」

「はい。ちょっと気になる子達が居まして。出来れば面倒を見たいなぁと」

「教官をやる。という事か?」

「教官?」

 

「ZAFTに入隊する前のアカデミーの事ですわ。キラ」

「あー、なるほど」

 

 ラクスの補足に頷きながら、キラはそれそれと笑う。

 そんなキラの姿にカナーバは笑顔で頷きながらキラの望む答えを投げた。

 

「そういう事であれば、キラをアカデミーで雇うというのはどうだろうか? そうすればその子達も教えられるかもしれん。まぁ、入学するかは分からないがな」

「まぁ、そうですね。でも……教師と言うのは少し興味があります。何だか格好良さそうで!」

 

 カナーバの言葉に微笑みながら頷いたキラは、月の幼年学校での日々を思い出すのだった。

 キラの記憶に残る教師は思い出補正もあり、とても格好いい姿をしていた。

 その為、キラはあの時の教師の様に格好良くなろうと一人拳を握りしめて強く決意を固める。

 

「格好良い……かは分からないが、まぁ、君なら皆、喜ぶと思うよ」

「えへへ。そうですか?」

「あぁ。少しでもいい。戦場に出ても生き残れる術を教えてやってくれ」

「生き残る……?」

 

 キラは首を傾げて、素直にカナーバへと疑問を返した。

 

「あぁ。これから世界がどうなるか、それは分からないが、テロリストは増えるだろうからな」

「あー。まぁ、そうですね」

「そうなれば、戦場で死ぬ可能性は上がる。だが、私は一人でも多くの同胞に生き残って欲しいのだよ」

「それは、はい。僕も同じ気持ちです」

 

 キラは小さく頷きながらカナーバに微笑んだ。

 そして、今日までずっと気になっていた事をカナーバに問う。

 

「そういえば、ずっと聞けてなかったんですけど。サトーさんやメイアさんはどうなったんですか? サトーさんは捕まったと思うんですけど、メイアさんは逃亡中ですか?」

「いや。メイアは投降した」

「えぇ!? 投降!?」

「あぁ。今はプラント本国で拘束されているが、裁判は難航するだろう。メイアも、サトーも……状況次第では無罪もあり得る」

「無罪、ですか? あ! いや、何か罪になれ! って思っている訳じゃなくて……!」

 

 焦った様に言葉を並べるキラにカナーバはクスリと笑う。

 そして、穏やかな顔で言葉を返した。

 

「分かっているよ。それに、君の驚きも分かる。だが……正直な所、プラントは人手不足なのだ。彼らが狂気的な行動で何かしらの実害を出していたのなら処刑もあり得たのだが。結局君が全て防いだからな」

「あ……なるほど」

「それに、彼らとしても、君が命を賭けてコロニー落としを防いだ事は予想外であったらしい。そして、キラの命を奪ってはプラントの未来に影を落とすと投降したという事だ」

「……メイアさん」

「私としても、あくまで軍人として正しくあるのならば、彼女らを無理に罰するつもりもない。まぁ、さっきも言ったが、プラントは人手不足でね。優秀な人材は一人でも多く欲しいのさ」

 

 キラは判断の難しい話に、んーと少しばかり悩んだ。

 が、特に答えは出ず、分からないままカナーバに言葉を返す事にした。

 

「僕個人としては、どうにかして欲しいみたいな事は無いので、プラントの判断に任せます」

「そうか。ならば遠慮なく」

「ん? 遠慮なく?」

「いやな。彼らはキラ様にご迷惑をおかけしたので、キラ様をお守りする事で罪を償いたいと言っていてな。正直、我々としてもキラ様に判断を仰ぐまでは難しいと言っていたんだが……まぁ、キラが良いのなら良いだろう」

「いやいやいや! それは何かおかしくないですか!?」

「しかし、最高評議会ではそういう結論が出ていてな」

「カナーバさんは議長なんでしょう!? 何とかできないんですか!?」

 

 キラの必死な言葉を、カナーバはハハハと笑いながら軽く流してしまった。

 そして、更なる爆弾を落とす。

 

「まぁ、連中をキラが見張ってくれるなら皆、安心さ。それに……私はもう議長ではない。これ以上は何も出来んよ」

「え? 議長じゃ……ない?」

「あぁ。私は引退するつもりだ。何か要望があれば私の後任に頼むよ」

 

 カナーバの言葉に、ここまで黙って話を聞いていたラクスが口を開く。

 

「カナーバ様は、議長を続けるつもりは無いのですか?」

「……あぁ。そうだな。本心としては続けたい気持ちもあるが、難しいだろうな」

「その様な事は……」

「あるさ。地球連合との交渉も、セナ様に助けられてようやく引き出せた物が、アレだ。アレではプラント市民は納得しまい。プラントは未だ安寧から遠い場所にある」

「……」

 

 ラクスは思惑もあれど、シーゲル共々世話になった人の疲れ果てたような姿に心をキュッと掴まれる。

 だからか、前の世界と同じ様にカナーバへと言葉を送った。

 

「それでも……最初から全てを手にするという事は難しいでしょう。世界はそれほど容易くはありませんから。(わたくし)は、この選択を正しい物と信じております」

「……ラクス嬢」

「それに以前、父が言っておりました。議長の大任を務められたのは、あなたの支えがあったからだと。そして、高い判断力と揺るぎない信念を持つあなたこそ、リーダーに相応しいとも申しておりましたわ。ですから、あなたの決断を信じて下さい。アイリーン・カナーバ」

 

「シーゲル。そうか……私も」

 

 カナーバは複雑な気持ちを抱えたまま右手を強く握りしめた。

 そして、その拳を見つめてホッと息を落とす。

 

「ですから、議長として」

「いや。もう十分だ。ラクス嬢……いや、ラクス・クライン」

「……!」

「私は十分に役目を果たす事が出来たと思えたよ。後は私よりもうまくやるであろう男に託そうと思う」

「それは……」

「ギルバート・デュランダル。まだ若いがな。優秀な男だ。彼ならば戦後のプラントをうまく導くはずさ」

 

 確信があるとでも言う様なカナーバの言葉にラクスはそれ以上何も言えずグッと押し黙ってしまった。

 この世界では、まだ尻尾を見せていない男を糾弾する事は出来ない。

 

 それに、デュランダルはセナをプラントへ連れて来た命の恩人ともいうべき男なのだ。

 ここでデュランダルを否定してもキラに不審がられるだろう。

 そうなれば、最悪はラクスという名前を利用してキラが奪われる可能性すらある。

 

 だからこそ、ラクスは微笑みに全ての思惑を隠して小さく息を吐いた。

 

「そのデュランダルっていう人。そんなに優秀な人なんですか?」

「あぁ。元は遺伝子の研究者だったんだがな。その優秀さでシーゲルが政治への道を開いたのさ」

「なるほどー。シーゲルおじ様が。それは凄いですねぇ。ね? ラクス」

「そうですわね」

「興味がありそうなら、一度会ってみるか?」

「良いんですか!?」

「勿論だよ。デュランダルも一度キラと話をしてみたいと言っていたしな」

「っ! デュランダル様が!?」

「あ、あぁ」

 

 酷く驚いた姿のラクスに、カナーバも驚き、ただ頷く事しか出来あなかったが、ラクスはその返答を見て、少しばかり悩んでしまう。

 そんなラクスにカナーバはフッと笑って一つの答えを投げた。

 

「それほど心配しなくても、デュランダルには恋人がいる。……あーいや、居た、か。まぁ、今は居ないが。奴はかなり一途でな。心配せずともキラが奪われる事は無いよ」

「ラクス~。心配しなくても僕はラクス一筋だよ?」

「あ、あはは。そうですわね」

 

 ラクスはうまく誤魔化す事が出来たと苦笑いをして、スッと一歩下がった。

 キラとカナーバの会話から離れるという合図である。

 

「それに……君は一度、デュランダルに礼を言っておいた方が良いだろうしな」

「礼……ですか?」

「あぁ。君が大切にしている妹をプラントへ連れて来たのはデュランダルなんだよ。アレが無ければセナは死んでいたかもしれない」

「……! なるほど。デュランダルさんが! それは是非とも会ってお礼をしなくてはいけませんね!」

 

 キラは満面の笑みでカナーバにそう言ってから、うんと頷いた。

 そして、遠く宇宙の彼方にあるプラントを心に描くのだった。

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