ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第140話『それで、『インパルス計画』ですか』

 デュランダルの衝撃的な言葉と共に放たれた『インパルス計画』なる計画。

 キラはその詳細を聞こうと、聞き方を考えていたのだが、そんなキラの考えを察してか、デュランダルは苦笑しながら説明を続けた。

 

「色々と聞きたい事もあるだろうから、順番に説明していこう。事情を知らぬ者もいるだろうしね」

 

 デュランダルはチラリと興味津々にしているシンへと視線を送った。

 そして、再びキラへと視線を戻すと、伺う様にキラへと尋ねる。

 視線だけで意味が伝わるが、話しても問題ないか? と問う様なモノだ。

 

「……僕は別にデュランダル議長が全てご存じなら話しても問題ないですよ」

「そうか。助かるよ。では、間違えている場所があったら教えてくれ。とは言っても、私が知っている情報は、ほぼ全てセナ君から聞いている物だがね」

「セナから?」

「あぁ。彼女とはプラントで会った時からよく話をしていてね。情報交換の様な事もよくしているんだ」

「……そうなんですね」

 

 キラが納得した事を確認し、デュランダルは頷いた。

 そして、改めて先ほど話した事に関して詳細を話す事にした。

 

「さて。皆も気になっているであろう話をしようか。戦争がまだ終わっていないという話だ」

「……」

「無論、プラントと連合がユニウス条約を締結した事で戦争が終わった事は確かだ。しかし、停戦条約が締結されたとしても、コーディネーターを憎むナチュラルは消えないし。ユニウスセブンの事を許さないコーディネーターもまた、居るだろう」

「そうですね」

 

 キラはデュランダルの言葉に頷きながら、メイアとサトーを見やる。

 二人がユニウスセブンの怒りを忘れず、過去にせず、怒りと共に地球へ……ナチュラルへと復讐をしようとした事は記憶に新しい。

 

 そして、それは二人だけでない。

 未だ血のバレンタインの痛みを感じているコーディネーターは居るだろう。

 しかも一人や二人ではなく、それなりの数が居る筈だ。

 

 また戦争が始まれば、彼らは銃を手に、ナチュラルと戦うと思われる。

 

 だが、それはコーディネーターだけの話ではない。

 ナチュラルたちの中には、ブルーコスモスと呼ばれる過激派テロ集団がおり、彼らはコーディネーターの殺害をする為なら同胞のナチュラルを巻き込む事にも躊躇が無い。

 そして、その激しいテロ行為故に、ブルーコスモスの影響でナチュラルへの敵意を持つ者も少なくは無いのだ。

 

「しかし、だ。例えば、ブルーコスモスと呼ばれる者達が、何者かによって操られているとしたら、どう思うね?」

「……え、でも、ブルーコスモスって、どっかの組織とかに所属している訳じゃなくて、個人のテロ集団なんっスよね?」

「君は……」

「あ! ごめんなさい! 俺、シン・アスカって言います!」

「そうか。シン君。君の意見は正しい。彼らは組織で動いている訳ではなく思想で動いている。それは確かだ」

 

 シンはデュランダルに肯定されながら、うんと頷いた。

 そして、デュランダルの言葉を集中しながら聞いている。

 その姿に少しの危うさを感じながら、キラはデュランダルの話を気にしつつ、シンへも意識を向けた。

 

「しかし、彼らが個人でテロ行為をしているにしては、あまりにも装備が充実しすぎている様に私は思う。オーブの姫であったキラ姫やセナ姫を狙ったテロなどは、分かりやすい例の一つだろう。彼女たちはオーブの軍人が護衛をしている中で襲われているのだからね」

「……確かに」

「ただの個人が、軍人に守られた姫君を襲えるはずがない。そう考えれば、彼らの背後に組織が居る事は確かだろう。そして、彼らはブルーコスモスという者達を使って、世界を争いに巻き込みたいのだ」

「そんなこと……」

「無いと言えるかね? 彼らはコーディネーターが世界を乱すと言いながらコーディネーターを狙うが、キラ姫やセナ姫はナチュラルにも手を差し伸べている存在だ。そんな彼女たちを狙う理由がどこにある?」

「それは……」

 

「彼らは邪魔なのだよ。平和を訴える存在が。ユニウスセブンの追悼慰霊団として活動していたラクス嬢を襲ったという話もあるからね」

「……それは、そいつらは、なんで争いなんか起こしたいんです! 戦争なんて、起こしても誰も嬉しくないのに」

「本当にそうかね?」

「え? いや、だって……死ぬかもしれないじゃないですか。家族や大切な人が、殺されるかもしれない」

「そうだね。君のいう事は正しい。だが、ブルーコスモスや他の市民を操りながら自分は安全な場所に居るとしたら?」

「それは……確かに、大丈夫かもしれないですけど」

「理由が分からない。という事だね。だが、その疑問に対する答えは簡単だ。例えば、シン君はモビルスーツという物を知っているかね?」

「あ、はい! アカデミーで訓練をしているので、乗った事もあります」

「ならば分かるかな。モビルスーツというのはね。非常に高価なんだ。しかも戦争が始まれば、これが大量に必要となる」

「……はい」

「では、戦争が激化すればどうなるね? モビルスーツは破壊され、次から次へと機体が必要になるだろう」

「……そうですね」

 

「ならば、モビルスーツを製造している人間たちはこう思うんじゃないか? 戦争が続けば、モビルスーツの需要は高まり続け、儲け続ける事が出来ると」

「……!」

「だから彼らは求めるのだよ。戦争を。その為ならばブルーコスモスを操り、反コーディネーター感情を高めたり、自国へのテロ行為もいとわない。ちょうどセナ姫が止めたアンティファクティスなる組織も、自国へ核ミサイルを撃ち、それを理由にして戦争を始めようとしていたしね」

「そんな!」

「だから、我々は今度こそ本当の平和を掴む為にも、戦争を起こそうとする者達……『ロゴス』と戦わなくてはいけないのだよ」

 

 デュランダルがハッキリと組織の名前を出してしまった事で、キラは深いため息を吐いた。

 

 ロゴスを討てば戦争が止まる。

 というのはデュランダルが言っているだけで、確証はない。

 

 だが、逆にロゴスを止める事で戦争が止まる可能性もあるため、何とも言えないのがキラの立場であった。

 だからキラはあえて何も言わず静観していたのだが、自分の選択が間違えたか? と少し不安になってしまう。

 

 しかし、そんなキラの手を後ろからミーアが握り、キラの不安を消す様に微笑んだ。

 そんなミーアの顔にキラは少しだけ心の重荷を下ろして、再びデュランダルへと視線を向けた。

 

「それで。デュランダル議長はどの様にロゴスと戦うつもりなのでしょうか」

「ふむ。そうだね。私はやはり……もう一度戦争を起こすべきだと考えているよ」

「……!」

「無論、キラ姫やセナ姫の努力を考えれば戦争など二度とするべきではないという事は分かる。私も出来る限り回避するつもりだ……だが、もしそうなってしまった時の為の準備をしたいのだよ」

「それが、インパルス計画、ですか」

「その通りだよ」

 

 デュランダルは懐から小型の映像投射装置を取り出すと、それを使って空中にインパルス計画の概要を映し出した。

 キラたちは、その概要を見ながら思考を巡らせていた。

 

「三機の戦闘機が一つになり、モビルスーツとなる機体か」

「シルエットシステムはストライクの系譜ね」

「でも、わざわざ戦闘機が合体して……なんて無駄な機能じゃないですか? 合体は戦場でやるんですよね? パイロットが危険だと思いますけど」

「これならばフリーダムやジャスティスの発展形を作る方がよほど扱いやすく、ZAFTの為になると思うが」

「クライン派は見た目ばかりで中身のない物を作るのがお好きな様だな」

 

「ふむ。あまり評判は良くないようだが……シン君はどう思う?」

「え? 俺ですか? 俺はすげー格好いいって思いますけど」

「あー。シン君は確かに好きかもしれないね」

「はい! 三つのパーツでモビルスーツが出来るって事は、例えば、足だけ壊れても、足を交換してまた戦えるって事じゃ無いっすか。それなら継戦能力も高そうだなって」

 

「ふむ。確かにそういう視点もあるか」

「しかし、シルエットシステムも含め、一人のパイロットに負担を押し付け過ぎだろう。これではすぐに潰れる。パイロットは消耗品では無い」

「デュランダル議長は、この機体を誰に乗せるつもりなんですか?」

「ふむ。そうだね……キラ君にと考えていた」

 

 キラは、なるほどと頷き。

 あれだけ反対意見を出していたメイアとサトーも、まぁキラなら問題ないかと頷く。

 

 しかし、デュランダルはそんな納得の空気が漂う中で、まったく違う答えを提示する。

 

「しかし……シン・アスカ君に頼んでも良いかもしれないと、今考えているな」

「……デュランダル議長」

「そう怖い顔をしないでくれ。キラ君。無論無理強いはしないさ。しかし、アカデミーの生徒でありながら彼はインパルスの特性をすぐに見抜いた。いい目をしていると私は思う」

「目だけで戦場は生き残れません」

「うむ。そうだろうな。幾多の戦場を戦い抜いて来た君の言葉は正しい。だが……インパルス計画には他の機体もあってね。例えば……この機体。セイバーだ」

「……セイバー」

「そう。この機体は先ほど言っていたフリーダムに近い機体だ。この機体にキラ君が乗り、シン君をサポートするという案もある」

 

 空戦に特化したモビルスーツであるセイバーは、キラにとって扱いやすい機体だろうし、確かにセイバーの機動性ならシンをサポートする事は十分に可能だろうとキラは考える。

 だが、ここで、大きな疑問がキラの中に落ちて来た。

 

 既に戦争が始まる前提で話が進んでいるが、何故インパルス計画が戦争が起きた際の対処法なのか。という疑問だ。

 ただの新型モビルスーツで、戦争がどうにかなるはずもない。

 

「皆、インパルス計画に疑問がある様だ。では、インパルス計画の最も重要な点を話そう。それは……インパルス計画で開発される『アビス』『カオス』『ガイア』の情報を地球連合へ流し、その三機を奪取させる事にある」

「……!」

「この三機は、囮だよ。システムにはセナ君が作った特殊な追跡プログラムが組み込まれていてね。奪取した部隊が背後の組織と連絡をとった際、その証拠を全て我々の元へ自動で転送する様になっているんだ。証拠さえ掴めばこちらの物だ。平和を訴える姫君はこちらに居る。すぐにでも戦争は止まるだろう。だが、それまでに三機のモビルスーツを止める必要がある。あらゆる戦場で、最適化された動きが出来るモビルスーツでね。それがインパルスなのだよ」

「なるほど。それで、『インパルス計画』ですか」

 

 キラは納得した様に頷いたが……そううまく行くのか? と疑問を胸に、デュランダルを静かに見据えるのだった。

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