ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第153話『PHASE-4『星屑の戦場1』』

 アーモリー・ワンでキラとセナを攫い、新型モビルスーツを奪取して逃亡している不明艦を追う決断をしたミネルバであったが、追いつくまではまだ少し時間が掛かる様な状況であった。

 そんな中、デュランダルは改めてオーブの代表首長であり、今回の事件に不本意ながら巻き込んでしまったカガリに話し合いを申し込む。

 

「本当にお詫びの言葉もない。代表までこのような事態に巻き込んでしまうとは」

「いや。仕方のない事もある。それで……あの部隊についてはまだ全く何も解っていないのか?」

「えぇまぁ、そうですね。艦などにもはっきりと何かを示すようなものは何も」

「そうか……しかし、機体は連合の物だった、か」

「短絡的に繋げて考えたくは無いですが。我々もこの様な事をされて黙っている事は出来ません」

「議長! それは……!」

 

 デュランダルがハッキリとカガリに告げた言葉に、カガリは焦りながら言葉を被せた。

 しかし、デュランダルはそれで止まる事もなく話を続ける。

 

「代表。確かに平和を求めるオーブの……貴女方の活動は理解が出来ますし。我々も協力は惜しみません。しかし、それはそれとして、我らは向けられる暴力にただ耐えるだけの物では無いのです」

「それは……確かにそうであるが。それで戦争が始まってしまえば、また多くの者が死ぬ事になる」

「……それは承知しております。ですが、このままという訳にもいかないのは代表もお分かりでしょう?」

「あぁ。だからこそ。私はこの件を連合へ厳重に抗議するつもりだ。核動力の機体。どの様な組織が使っているにせよ、連合の機体である以上、連合が全くの無関係とは言えまい。組織の正常化をするなり、今回の事件の首謀者を捕まえるなり、協力はしてもらうつもりだ。そして、それの賠償も」

 

 カガリはあくまで話し合いでこの事態を解決しようと、思考を巡らせ言葉を尽くす。

 その行動は非常に涙ぐましい物であるが、既にこの世界の悪意は走り出してしまった。

 

 それをカガリに止められるかどうかは、カガリ自身もあまり自信が持てない所であった。

 こんな時に、キラやセナが居れば……と、つい甘えたくなってしまうのも仕方ない所だろう。

 

「しかし。何にせよ。事態を解決する必要はある。私も引き続き協力はさせて貰おう」

「ありがたいお話です」

「パイロットとして私の護衛を一人貸そう。先ほどもそちらのパイロットと連携が出来ていた様だからな。高レベルのパイロットは『初めて会った』相手ともその様な事が出来るのだな」

「あぁ。ザクに乗っていた彼ですね。分かりました。ありがたくお借りさせていただきます」

「あぁ。そうしてくれ。そしてこちらの護衛はブリッジに連れて行く。中々良い勘をしていてな。私も重宝しているんだ」

「ほぅ。そういえばアーモリー・ワンでも誰よりも早く襲撃に気づいていましたね」

「厳しい戦場を生き延びたからか、そういう勘も身に付いているようだ。なぁ? ヴァレ」

「えー。はい。そうですねー」

「なるほど。羨ましいことだ……しかし、そちらの護衛の方も、パイロットとしてお借りする彼も……どこかで見た様な顔ですが」

 

 腹を探る様なデュランダルの言葉と視線に、ヴァレンティーナは一瞬怯える様に身を震わせたが、カガリはフッと笑って軽く切り捨てる。

 

「気のせいだろう。あぁ、しかし。我がオーブの優秀な軍人たちだ。どこかで顔を出している機会があったかもな」

「なるほど。それは確かにそうかもしれませんね」

 

 カガリとデュランダルは笑い合い、話は終わりだとカガリはヴァレンティーナと一緒に部屋を出て行った。

 残されたデュランダルは、これまで一言も発さずタヌキ同士の化かし合いを見ていたタリアに言葉をかける。

 

「いやはや。まだ若い代表だと聞いていたが、随分としたたかな様だ」

「まったく。私には付いて行けませんわ。政治の世界は諦めた方が良いでしょうね」

「まぁ。あまり気にしなくても良いと私は思うがね。代表は特別だ。何せ妹君が二人とも世界的に有名な方々だ。姉として負けられないという想いもあるのだろう」

「それでも……ですよ。あの二人を護衛として連れていたり、パイロットとして貸したり、堂々とし過ぎて逆にこっちが間違っているんじゃないかって思ってしまいます」

「裏切り者部隊のヴァレンティーナ・ビノンとパトリック・ザラの息子アスラン・ザラだね。確かに、彼女の堂々とした姿から二人の事を追及出来る者は居ないだろう。あの、キラとセナの姉でもあるしな。その正義は疑うまでもない」

 

「だとしても、こちらは気が休まりませんわ……しかも、ブリッジへ入れるだなんて」

「しかし、彼女の経験は確かに重要だ。艦は君の考えで動かせばいいだろうが、意見は聞いても良いかもしれないな」

「そうですわね。私は艦隊行動ばかりで、彼女たちの様な経験は無いですから」

 

 タリアはデュランダルの言葉に頷き、相手の戦力も考え、思考の海に沈むのだった。

 そんなタリアに寄ってくるデュランダルの相手を適当にしながら。

 

 

 一方。

 カガリと共に部屋を出て行ったヴァレンティーナは、カガリにチクチクと文句を言っていた。

 

「やっぱりバレてるんじゃないのか?」

「だとしても何も問題は無いだろ」

「問題しか無いだろ!? あー。もう、こんな事になるんだったらODRの方にいれば良かった。ちょっとプラントに行くだけって聞いてたのに。クソッ。ケンの奴。私にこんな仕事押し付けて!」

「私は色々と狙われる身でな。お前の勘は役に立つんだよ。何だかんだ私もアスランも、ちゃんとした戦場しか経験が無いからな」

「けっ、嫌になるよ。過去がまとわりついて、離れないのはさ」

「だが、そのお陰で私は今も生きている。感謝してるよ。ヴァレ。オーブに戻ったらボーナスをやる。だから我慢しろ」

「おぉー! ボーナス! 代表は気前が良いからな。期待してる! 今度、タツミになんか奢ってやろ。ケンのバカは私を売ったから無しだけどな!」

「ふっ、仲良くやってるみたいで良かったよ。私がお前を引っ張ったせいでODRの連中と不仲になってたらどうしようかと思った」

「ケンとは不仲だぞ!」

「はいはい。その程度なら可愛いモンだ」

 

 カガリは軽く流しながら、アスランが居るであろう場所へとタリアから貰ったマップを片手に歩いていたのだが……。

 その通路の先で、よく聞きなれた声が聞こえてきて、はぁとため息を吐く。

 

「だいたい! アンタは別に俺の上司でも何でもないだろ! なんで偉そうに俺に指示してんだよ!」

「俺の方が経験が豊富だからだ。経験者として意見しているだけだ」

「嘘だね! 状況を報告しろって言ってただろ!」

「状況の共有は戦場の基本だ。アカデミーではそんな事も教わっていないのか?」

「だー!! ぎぃー!!」

 

「どうだ? ヴァレ。あれが本当の不仲という奴だ」

「あぁ、みたいだな」

 

 カガリはため息を吐きながらミネルバのブリーフィングルームへと向かい、久しぶりに会った少年をイジメている側近に声をかける。

 

「おい! アレックス。友好国の艦で何をやってるんだ。お前は」

「アレックス?」

「アレックスって、誰?」

 

「あ、あぁ。カガリ。すまない」

「ったく。こんな状況になっても外交の場だぞ。問題を起こすなよ」

「あぁ。すまない」

 

 素直に反省しているアスランに軽く注意をしてからブリーフィングルームの中を見渡したカガリであったが、シンが冷や汗をダラダラ流しながらカガリを見ている事に気づき、何かあったのかと心の中で疑問符を浮かべる。

 

「えっと、貴女は」

 

 そんな中、ブリーフィングルームにいた赤い髪の少女に話しかけられ、カガリは一応挨拶をするのだった。

 

「あぁ。挨拶が遅れて申し訳ない。私はオーブ連合首長国代表首長のカガリ・ユラ・アスハだ。艦内を勝手に歩いていた件についてはすまない。軍事機密に触れる様な場所や物は見ずに真っすぐここへ来たつもりだ。人がいないという事でな。すまないが、許してくれ」

「あー、いえ。それは艦長が許可された事であれば良いのですが……」

「うん? 他に何かあったか?」

「えと、そちらの方」

「あぁ、アレックスの事か。コイツは私の護衛だ。少々言葉が足りない所もあるが……」

「アスラン・ザラですよね」

「あー」

「前大戦の英雄で! 元ザラ議長の息子の!」

 

 カガリは、ルナマリアとの会話の中で思考を高速で回転させながらこの事態の解決方法を考えていた。

 これまでは堂々と連れて行く事でアスランではなくよく似た他人と貫き通し、質問をさせない事で回避する事が出来たが……こうまで正面から聞かれてしまうと困る。

 否定しても良いが、何やら相手は確信を持っている様であった。

 

「何かの勘違いでは……」

「いえ! だって、シンがアスランって呼んで、その人も返事してましたよ!?」

 

 決定打であった。

 カガリはどうやら冷や汗を流しながら申し訳なさそうな顔をしているシンと、カガリの隣でやらかした。という顔をしているアスランを横目で見ながら頭を抱える。

 やらかしたのは、完全な身内であった。

 

 しかし、原因が分かった以上対処はカンタンだとカガリは顔を上げてルナマリアを見据えた。

 

「そうか。既に知っていたのなら申し訳ない。コイツは確かにアスラン・ザラだ。しかし、アスラン自身は既にオーブの国民として生きている。不要な中傷や批判を避ける為に偽名を使っていた。こちらもトラブルを起こしたくは無いのだ。それは許して欲しい」

「あ、いえ! そういう事情は察するところがあります。キラさんも、同じ様な理由で偽名を使っていましたし」

「理解して貰えると嬉しい。有名人というのは不便でな。どこを歩いていても注目を集めてしまう。だから、どうかアスランの事は内緒にしてくれ」

「はい! 勿論です!」

 

「それと……あー。アスランと言い争いをしていた少年」

「は、はい! シン・アスカと言います!」

「そうか。シン。もしや君は前にオーブに住んでいたのではないか?」

「は、はい!」

「代表はご存じ無いかもしれないですが、シンはオーブがかつて戦争に巻き込まれた際に、レイと共にプラントへと避難して来たのです」

「そうか。それはすまない事をしたな。シン。レイ。プラントでは苦労してないか?」

「はい! 何も問題ありません!」

「代表が気にされる様な事態は何も起きていません」

「それは良かった。アスランはこういう奴だから、同郷の相手という事で、色々と言ってしまったかもしれないが、許してやってくれ」

「はい! 許してやります!」

「助かる。では、皆、戦場では気を付けろよ。私はこれで失礼する」

 

 カガリは軽く笑顔を向けながらブリーフィングルームからアスランとヴァレンティーナを連れて去って行き。

 残されたシンは敬礼を解きながら、崩れ落ちる様にソファーへと落ちるのだった。

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