ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第165話『PHASE-10『父の呪縛1』』

 遂に行われた地球連合からプラントへの宣戦布告。

 これにより、プラント内部は一気に緊張状態へと突入し、地球連合の部隊を迎撃する為の作戦が進めれてゆく。

 

「そうだ! 予備機も全て戦闘ステータスで起動しろ!」

「戦争が始まったんだよ!」

 

「第一戦闘群、間もなく戦闘圏に突入します。全機オールウェポンズフリー」

 

 

「防衛軍の司令官を! 最終防衛ラインの配置は?」

「核攻撃の部隊を見逃してはなりませんよ!」

 

「全市、港の封鎖完了しました」

「警報の発令は!?」

「パニックに備え軍のMPにも待機命令を!」

「脱出したところで、我等には行く所などないのだ! なんとしてもプラントを守るんだ!」

 

 慌ただしい指令室で、軍の部隊を見守るデュランダルとラクス。

 そして政府高官らを置き去りにし、事態は加速的に進んでゆく。

 

 既にプラントの軍本部を出撃した旗艦超大型空母『ゴンドワナ』は全艦の指揮を執りながらプラントの全面宙域へと部隊を展開してゆく。

 その部隊の中には当然イザーク達もおり、彼を中心としたジュール隊も出撃を命じられていた。

 

『シエラアンタレス1、発進スタンバイ。射出システム、エンゲージ』

「結局はこうなるのかよ、やっぱり! こちらシエラアンタレス1、ジュール隊イザーク・ジュール、出るぞ!」

『ジュール隊、ディアッカ・エルスマン、ザク発進する!』

『ジュール隊、ニコル・アマルフィ、ザク発進します!』

『ジュール隊、シホ・ハーネンフース、ザク出撃します!』

 

「ディアッカ、シホは後方から援護。二コルは俺と突っ込むぞ」

『はい!』

『了解!』

『了解しました』

 

「こんな戦場で死ぬなよ! 各機! 迎撃開始!」

 

 イザーク達は前大戦を乗り越え、エースの中のエースとして戦場の中央部を支配し、味方の損傷を押さえながら地球軍の戦力を削ってゆく。

 だが、戦場はあまりにも一方的な物であり、そのあまりにも手ごたえのない様子に、イザークは眉間に皺を寄せながら何かがおかしいと感じていた。

 

『イザーク! 何かがおかしいですよ』

「あぁ。分かっている……! だが、狙いはなんだ!?」

 

 

 そんなイザーク達の疑問は当然の様にゴンドワナの者達も感じており、敵の狙いを見つけようと各部隊へと指示を出していた。

 

「地球軍、モビルスーツ隊20、第二エリアへ侵攻中。第三管軍はオレンジ、ベータ15へ」

「敵主力隊の狙いは、やはり軍令部かアプリリウスか」

「だがまだ解らん! 敵艦の動き、どんな小さなものでも見逃すな!」

「哨戒機からの報告は?」

 

『報告! 敵別働隊にマーク5型、核ミサイルを確認!』

 

「極軌道哨戒機より入電。敵別働隊にマーク5型……! 核ミサイルを確認!?」

「なんだと!?」

「数は!?」

「不明ですがかなりの数のミサイルケースを確認したとのことです。」

 

 

 そして、イザーク達を含む全機、全艦へとこの情報は即座に伝わった。

 その衝撃と共に。

 

『全軍、極軌道からの敵軍を迎撃せよ! 奴等は核を持っている。一機たりともプラントを討たせるな! 繰り返す! 奴等は核を持っている! 一機たりともプラントを討たせるな!!』

 

「核攻撃隊? 極軌道からだと!?」

『じゃぁこいつらは、全て囮かよ!』

『イザーク!』

「行くぞ! プラントを撃たせるな!!」

 

 

 イザーク達も急ぎ極軌道へと向かうが、既に遅い。

 核攻撃隊は目標をプラントに置き、眼前まで迫っていた。

 

『目標、射程まで距離90!』

 

『レッド22ベータにナスカ級3。ですが、一隻は見慣れぬ装備を着けています! ナスカ級よりモビルスーツが一機出撃!』

『なんだと?』

 

『そぉら行け! 今度こそ蒼き清浄なる世界の為に!!』

 

 そして、プラントへ向けて……核ミサイルが今……放たれた!!

 

 だが、ここまでの行動は全て予測されたものであり、事態を解決する為の手段もまた、世界に向けて放たれていた。

 

「あぁ。私が出撃した後、ニュートロンスタンピーダーを」

『了解しました。隊長もお気をつけて!』

「アデスもな。では、行くか……ラウ・ル・クルーゼだ! プロヴィデンス! 出るぞ!」

 

『プロヴィデンス発進を確認!』

『ニュートロンスタンピーダー起動準備!』

 

『全システム、ステータス正常。量子フレデル、ターミナル1から5まで左舷座標オンライン。作動時間7秒。グリッドは標的を追尾中』

『隊長に当てるなよ!』

『フルチャージオンライン。ニュートロンスタンピーダー起動!』

 

『スタンピーダー、照射!!』

『照射します!』

 

 ナスカ級『ヴェサリウス』に取り付けられたニュートロンスタンピーダーにより、ジェネシスの様な鮮やかな光がヴェサリウスの正面に放たれた。

 それは、影響範囲内に存在する核分裂反応を用いたあらゆる物をその場で暴走させる物であり、放たれた核ミサイルも、まだ使用されていない核ミサイルも、全て暴走しその場で自爆した。

 全てはプラントを護るために開発された武装であり、それが満を持してこの時に最大の成果を出したのだ。

 

 しかし。まだ実験段階にある兵器である為、撃ち漏らしが発生してしまうのも、また仕方のない事であった。

 

『艦長! 照射範囲外に核ミサイルが!』

『隊長!』

 

「あぁ。見えている!」

 

 だが、それも些細な事だ。

 何故ならZAFTにて最強と噂されている男、ラウ・ル・クルーゼが前大戦で多くの連合兵に悪夢を見せた機体に乗っているのだから。

 

 プロヴィデンスから放たれた多数のドラグーンシステムによる攻撃端末は、ニュートロンスタンピーダーが撃ち漏らした全ての核ミサイル。

 及び、核爆発の影響から逃れる事の出来たモビルスーツ全てを撃墜し、戦場に静寂を取り戻した。

 

 ニュートロンスタンピーダー、そしてクルーゼとプロヴィデンス。

 この二重の防衛網に守られたプラントの強固さは世界に示された。

 もう二度と、血のバレンタインの悲劇を繰り返さぬ為に、核攻撃など無意味なのだと言うように。

 

 

「核ミサイルは全て撃破。各攻撃隊は完全に消滅しました」

「よし! やったぞ!」

 

「流石はクルーゼ隊長ですな」

「スタンピーダーは量子フレデルを蒸発させブレーカーが作動。現在システムは機能を停止しています」

「多少の不安はありましたが、やはりクルーゼ隊長が居ると安心感が違いますな」

 

「……何とかなりましたわね」

「えぇ。これで終わってくれるといいんですがね」

「そうですわね」

 

 ラクスは短くデュランダルと言葉を交わしてから、テレビ報道の関係者が集められた場へと向かう。

 戦いに勝った事で気分が高ぶっている市民を落ち着かせる為に。

 

 そして、平和への歩みを止めてはいけないと訴える為に。

 

 

『繰り返しお伝えします。昨日午後、大西洋連邦をはじめとする地球連合各国は我等プラントに対し、宣戦を布告し、戦闘開始から約1時間後、ミサイルによる核攻撃を行いました。しかし防衛にあたったザフト軍はデュランダル最高評議会議長指揮の下、最終防衛ラインでこれを撃破。現在地球軍は月基地へと撤退し攻撃は停止していますが、情勢は未だ緊迫した空気を孕んでいます』

 

「信じられない……」

「開戦?」

「……核攻撃か、また」

「何故そんな……」

 

 ニュースにより、戦闘とその顛末を知ったプラント市民は不安を口にしながら、徐々にその不安を怒りへと変えて行った。

 

「だが警報すら出なかったぞ!」

「一体どういう事だ!」

「こんなことになるなんて評議会は何をしていたの!?」

「もし一発でも当たっていたらどうなっていたか!」

 

 そして、怒りは容易く憎しみとなり、そして憎しみに染まった人は銃を取り、敵を撃てと叫ぶだろう。

 

「これからどうなるの?」

「宣戦布告されたんだぞ! こうなったらもう、戦争だ!」

「そんな、無茶苦茶よ!」

 

「戦争なんて嫌よ! またあんな…」

「だがしょうがないだろ! 放っておけば奴等はまた撃ってくる!」

「もう戦うしかないんだ!」

 

 やがてそんな声で世界が埋め尽くされてしまえば、世界などは容易く壊れてしまう。

 

「報復を!」

「守る為よ、戦うわ!」

「犠牲が出てからでは遅いんだぞ!」

「もう話し合える余地などない!」

 

「そうだ! 戦争だ! 奴らを殺せ!」

「殺せ! 殺せ!」

「思い知らせてやるんだ!」

 

 彼らは前の大戦でそれを知ったというのに、やはり人間は容易く憎しみの道を選んでしまう。

 それは人の業なのか。もしくは……。

 

「我々は一方的な地球連合からの宣戦布告に抗議する!」

「プラントを守れ!」

「戦争反対!」

「評議会は何をしているか! デュランダル議長は!」

「弱腰外交は舐められるだけだ! 結果として戦争を呼ぶ!」

「断固とした態度で我等コーディネーターの安全を!」

 

 争いたいという。

 他者と競うことが生きる事としてきた、人の本能なのかもしれない。

 

 だが、それを良しとしない者もまたプラントには居た。

 

『皆さま。落ち着いて下さい』

「ら、ラクス様……!」

 

『皆さまのお気持ちはよく分かります。しかし憎しみのままに銃を取れば、その銃弾は皆さまにも返ってくるのです』

『先の大戦のこと。皆さまもよく覚えているかと思います』

『あの様な悲劇が繰り返されれば、この世界は、今度こそ終わりを迎えてしまうでしょう』

 

『どうか、憎しみではなく思いやりを、銃ではなく言葉を持って私達と共に歩んで欲しいと、私は願っております』

 

『しかし、ラクス様。再びプラントに核が放たれたのです。防がれたから良かったものを。次撃たれた場合はどうされるのですか?』

「そ、そうだ……!」

「平和を願っていても、俺たちは撃たれたんだ!」

「それなら、戦うしか無いじゃない!」

 

『無論、一部の方が我々コーディネーターに対してその様な行為を行おうとした事は存じております。そして、それは私の最も信頼する友人であるオーブの姫。キラ・ユラ・アスハ様も同じ様に思い悩んでおりました』

『キラ様も……!』

『えぇ。そしてキラ様は、プラントを防衛する為の手段として、先の戦闘でも使用された防衛装置を開発され、他にもプラントを守る為の手段をいくつも用意して下さっております』

 

「おぉ……!」

「英雄……!」

「やっぱりキラ様は、プラントを護って下さっている……!」

 

『皆さま。キラ姫も、そして私も。一部の方の憎しみで戦争が始まる事を望んではおりません。地球に住まう者全てが敵では無いのです。平和を願う為の安全はここにあります。先ほどの核ミサイルを防いで下さったラウ・ル・クルーゼ隊長を始めとする軍部の方々も、プラントを守る為に日夜努力しております。そして、私ども最高評議会の議員もまた』

「あぁ……!」

「ラクス様」

 

『どうか、今は落ち着き、状況を見守ってください。私はただ、皆さまがそうあって下さる様に祈っております』

 

 そして、ラクスの願い通り、プラント市民は少しだけ落ち着きを取り戻し、情勢を見守る様になったのである。

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