ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

173 / 252
第169話『PHASE-12『血に染まる海1』』

 ミネルバが出撃したという報告を受けたカガリは、小さくミネルバへと感謝を告げながら、出撃の時を待っていた者達へと向き直る。

 

「どうやらミネルバは出撃したらしい」

「であれば、我らも行く時だな」

「あぁ。ギナ。悪いが任せる」

「良い。この為に用意したミラージュコロイド部隊だ。我のゴールドフレーム天と、ミラージュコロイド搭載のムラサメM装備数機。どの程度有用か試す機会でもある。モニターは忘れるなよ」

「分かっているさ」

 

「じゃ、カガリ。私達も行くわ。もうエクリプス一号機、二号機共に準備完了してるから」

「ミヤビ姉さんも気を付けてくれよ」

「私はただの後方支援よ」

「それでもさ」

「そういうのは、私よりも向こうの彼に向けなさいな」

「あぁ。そうだな」

 

 カガリはギナとミヤビから離れ、赤紫色のパイロットスーツを身に纏った藍色の髪の男へと近づく。

 そして、声を掛けた。

 

「アスラン」

「あぁ。カガリか」

「あんまり無茶するなよ」

「あぁ。大丈夫だ」

 

 アスランは平然とカガリに応えるが、カガリははぁ、とため息を吐いてからアスランの体に拳を向けた。

 カガリの拳は正確にアスランの体に突き刺さり、アスランは軽く、うっ、とうめき声を上げる。

 

「何をするんだ」

「お前が気負い過ぎてるからさ。気を抜かせてやったんだ」

 

 仕方のない奴だとでも言いたそうな顔でカガリはアスランへと言葉をぶつけ、その肩を勢いよく叩く。

 

「戦場にはギナ達も向かうし、現地にはキラも居るんだ。お前が考えている様な事態にはならないよ」

「カガリ……!」

「全部自分だけで―! なんて考えすぎるなよ! お前も確かに戦力としては重要だろうが、お前一人でどうにかなるってコトでもない。他の奴を信用しろ!」

「……分かったよ」

 

 アスランはカガリの厳しいが優しい言葉に苦笑して頷いた。

 

 それからアスラン達は、オーブの部隊でありながら、オーブの戦力ではないと擬装して戦場へと向かうのだった。

 

 

 アスラン達が戦場へと向かった頃。

 既にミネルバは地球連合軍艦隊を発見し、戦闘状態に移行していた。

 

「艦長。本艦前方100に多数の熱紋反応」

「艦種は?」

「ステングラー級8、ダニロフ級15、他にも15隻ほどの中小艦艇を確認。本艦前方左右に展開しています」

「かなりの大部隊ね。まったく気が滅入るわ……戦闘準備!」

 

「はい! ランチャー2、ランチャー7、全門パルシファル装填。CIWS、トリスタン、イゾルデ起動!」

 

「タンホイザー起動。目標前方地球連合軍艦隊」

「はい! タンホイザー起動。照準、敵前方地球連合軍艦隊。プライマリ兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除!」

 

「てぇー!」

 

 タリアの指示で放たれたタンホイザーは海面を蒸発させながら地球連合軍艦隊へと迫った。

 一応索敵はしていたが、意識をオーブへと向けていた地球連合軍艦隊は突如として側面から放たれた攻撃に対応する事が出来ず、数隻がタンホイザーによって爆発、炎上しながら海へと残骸をまき散らしてゆく。

 

『タリアさん!』

「えぇ。モビルスーツ隊、出撃!」

 

「了解! セイバー、カタパルトエンゲージ」

『キラ・ヤマト! セイバー行きます!』

「続いて、インパルス。どうぞ!」

『シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!』

「ブラックナイトスコード。発進どうぞ!」

『イングリット・トラドール』

『シュラ・サーペンタイン! ブラックナイトスコード出撃する!』

 

 カタパルトから出撃した三機は空中に飛びながら、慌てて出撃してきた地球連合軍のモビルスーツを端から順番に落としてゆく。

 エースの中のエースであるキラとシュラは言うまでもなく、シンも多数の敵相手に一切怯む事なく冷静に一機、また一機と撃墜してゆくのだった。

 

『あーあ。やっぱりこっちに敵は来ないじゃないの!』

「文句言ってないで、ガナーで狙撃しろよ! ルナ」

『当たるわけないでしょ! この距離で!』

『じゃあ、なんで! ガナー装備なんだって!』

 

 シンはルナマリアと言葉を交わしながら接近してきた敵モビルスーツをビームサーベルで切り捨てる。

 敵モビルスーツはまるで脅威には感じず、シンはルナマリアやレイと軽口を叩きながら戦う余裕がある程であった。

 

『こらこら! ふざけないの! 真剣に戦う!』

「はぁーい!」

『ごめんなさーい』

『まったくもう。緊張感が無いんだから! 後、シンはエネルギーには常に注意するんだよ。余裕が無くなる前にデュートリオンビーム! 良いね? 数が多いんだから、どれだけ節約しても足りないよ!

「はい!」

『ん? どうやらミネルバがもう一発タンホイザーを撃つみたいだね。全機、ミネルバからの通信を聞き逃しちゃだめだよ!』

『『「了解!」」』』

 

『さて。このまま何もなく終われば良いんだけど』

 

 戦場で、キラは祈る様に言葉を呟いていたのだが……願いは残念ながら地球連合軍艦隊の背後から現れた巨大機動兵器によって打ち砕かれる事となった。

 その機動兵器の名は『ザムザザー』

 万が一ミネルバと交戦する事になった場合の、地球連合軍艦隊の切り札である。

 

 

「なんだ……あれ?」

『シン君!? どうしたの!』

「キラさん! 連合艦隊の後ろに、なんかデカい……モビルスーツ……? いや、モビルアーマーが!」

『モビルアーマー……?』

 

 キラは疑問を浮かべたままシンが言うモビルアーマーを見やった。

 しかし、既にタンホイザーの発射体勢に入っているミネルバが居る為、突撃する事は出来ず、静かに情勢を見守る。

 

 奇妙なのは、タンホイザーを放とうとしているミネルバの前に三機とも展開していることだ。

 撃墜されても良いのか? 撃墜される事が目的……?

 いや、違う!

 

 キラは前大戦と、アムロやシャアと模擬戦を繰り返す事で磨かれた直感によって、モビルアーマーの危険を察知した。

 そして、すぐにミネルバへと通信を繋ぐ。

 

『タリアさん!』

『何!? キラ!?』

『タンホイザー! 発射します!』

 

『いけない! タリアさん! 緊急回避!!』

『っ! バート! 緊急回避!』

 

 キラの言葉に従ってミネルバはタンホイザーを放った直後に、すぐさま左舷スラスターを全開にして右方向へと急速回避を行った。

 次の瞬間。

 ミネルバが放った筈のタンホイザーを、モビルアーマーはミネルバが居た方へ向かって弾き返してきたのである。

 

「なっ!?」

『タンホイザーを、撃ち返した……!』

 

 シンもキラも、レイもルナマリアもシュラも。

 皆が目の前で行われた曲芸に目を見開いた。

 

 そして、キラが咄嗟にミネルバへと注意を向けていなければ、ミネルバは沈んでいたと……緊張感を取り戻すのだった。

 

『あの三機のモビルアーマーは僕らで落とさなきゃいけない! シン君! シュラ君! 良い!?』

「はい!」

『えぇ!』

 

『行くよ!』

 

 キラの合図でシンとシュラは息を合わせながら一機のモビルアーマーへと迫った。

 しかし、三対一で攻撃を仕掛けるキラ達に対し、敵のモビルアーマーも三機での応戦をする。

 更には周囲に居たモビルスーツ達もキラ達へと攻撃を集中させ、その多すぎる戦力の相手をキラ達はする事になったのである。

 

 そして、全方位から攻撃を仕掛けられるという様な状況に、シンは攻撃をさばききる事が出来ず、僅かな隙にザムザザーに巨大クローで海へと叩き落されてしまうのだった。

 そのまま追撃の様に迫ってきたザムザザーの前にセイバーが立ちふさがる。

 

 モビルアーマーはモビルスーツよりも出力が高く、一機でモビルアーマー三機の相手をするなど正気の事では無いが、キラはシンを護るために体を張るつもりだった。

 

『いかせるか!』

『姫様!』

 

 キラはザムザザーへとビームライフルを放つが、タンホイザーが弾かれた以上……やはりというべきかザムザザーの装甲は硬く、攻撃は通らない。

 ならばとビームサーベルを抜いても、三対一ではどうしても対応が難しかった。

 

 そんな中、一機のザムザザーにシールドを掴まれてしまい、キラはビームサーベルでザムザザーの腕を斬り落とそうとするが……やはり装甲が硬くビームサーベルと装甲の間で激しい火花が散るのだった。

 

『くっ! 硬い……! っ! しまっ!』

 

 そして、セイバーのシールドを掴んでいた一機のザムザザーは腕を大きく振り回してセイバーを空中へと弾き飛ばした。

 キラは咄嗟にシールドを構えながら空中を回転するが、ザムザザーはそんなセイバーに両足の『M534 複列位相エネルギー砲:ガムザートフ』を向け、放っていた。

 

 セイバーのシールドでこの攻撃を防ぎきる事は出来ない。

 キラはセイバーが半壊する覚悟をした……が。

 

 セイバーの前に高速で駆け付けた機体が、シールドでザムザザーのエネルギー砲を防ぎきるのだった。

 

『っ! 君は……!』

『無事か? キラ』

『うん! 僕は無事だよ。まったく相変わらず格好いい登場をするね。君は』

 

 アスランからの心配そうな声に、キラは安堵の息を零しながら応え、アスランもキラの声に安心する。

 そして、キラを傷つけようとしたモビルアーマーザムザザーへと視線を向けるのだった。

 

『ここは俺に任せろ! キラ』

『ありがたいけどさ』

『……?』

『負けたままじゃいられないって子が居るんだよ。アスラン』

『何を……!』

 

「キラさんに!! 手を出すなぁぁああああ!!」

 

 海中から水をまき上げながら飛び出して来たインパルスが、ビームサーベルを構えながらザムザザーに突っ込み、勢いよくビームサーベルを突き刺した。

 ザムザザーがジャスティスに意識が集中していたからこそ成功した奇襲であるが、それを為したのは間違いなくシンが今日という日まで努力し続けてきた結果である。

 

 そして、前部にあるコックピット付近にビームサーベルを突き立てられたザムザザーは操縦が出来なくなり、海に落ちてから爆発炎上した。

 

 シンは荒い呼吸を繰り返しながら、落ちて行ったザムザザーを見つめていたが、周囲から警報が鳴る。

 ジャスティスの登場で止まっていた戦場の時間が再び動き出し、戦闘が再開したからなのだが……一瞬反応が遅れたインパルスの周りで連合のモビルスーツが一斉にビームライフルで打ち抜かれ爆発した。

 何事かとシンが周囲を見れば、空の景色がミラージュコロイドの影響で歪んでおり……。

 

『よくやったな。小僧』

 

 という。ロンド・ギナ・サハクからシンへと向けた通信が届くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。