ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第18話『わぁー。なんか、秘密基地みたいだね! セナ!』

 メイアに案内されて車に乗り込んだキラとセナは、途中シャトルに乗り換えて、別のプラントへと移動した。

 プラントの首都となる市、アプリリウス市からマイウス市へと。

 

 そして、同じような街並みが広がっていく中、地価の道路へと移動してある程度走ってから封鎖されている通路の方へと移動して、さらに奥へと進んでゆく。

 

 入り組んだ道を進んで、一時間程走ってから、キラたちはその場所に到着した。

 

「わぁー。なんか、秘密基地みたいだね! セナ!」

「そうですね! 外とは少し雰囲気が違います」

 

「喜んでもらえて何よりだ。ここはマイウス市の地下にある秘密工場でね。お父さんやお母さんには内緒だぞ」

「はい!」

「ふぇー。秘密工場。凄いなぁ」

 

「では工場の中を案内する前に、例の人型機械を見せようか。気になるだろう?」

「そうですね」

「はい! 見てみたいです!」

「おぉ、そうかそうか。では案内しよう」

 

 そしてメイアは、キラと共に、車からセナを車イスに移動させ、車イスを押すキラと共に工場の奥へと進んでゆくのだった。

 ラクスとアスランは何とも微妙な顔であるが、ここまで来てどうこう出来る事もない。

 ただ、黙ってついていくのだった。

 

「これが! 記念すべき第一号だ!」

「「おぉー」」

 

 車が止まった場所からすぐの所にある大きな扉を開き、メイアがキラとセナに示したのは、一つの巨大な人型機械であった。

 やや薄暗い工場の中でもハッキリと分かる色彩は全身が黄緑色で、背部にあるバックパックの様な物は黄色に染められている。

 

「もう完成してるじゃないですか!」

「見た目はそうなのだがな。システムの方はまだ未完成なのだ」

「そうなんですね。でも、動いたら格好いいんだろうなぁ」

 

 キラは瞳を輝かせながら巨大な人型を見上げる。

 そんなキラを見て、メイアは少し安心した様な顔をしながら、キラたちと話の続きをしようとした。

 

 しかし、メイアが口を開く前に巨大な人型の足元から一人の青年が現れ、早口でメイアに話しかけた。

 

「ようやく来ましたか。協力を要請してきたというのに、責任者が居ないからどういう事かと思ってみれば、子供と一緒に観光気分とは、恐れ入りますね」

「君は……」

「ハインライン設計局から来ました。アルバート・ハインラインです。貴女が呼んだのですから、名前くらいは知っていて当然かと思いますが」

「すまないな。誰が来るかまでは聞いていなかったのだ」

「……まぁ良いでしょう。それで? そちらのお子様方は」

「む」

 

 早口でまくし立てるアルバートに子ども扱いされたキラは、目に見えて不機嫌になり、頬を膨らませた。

 そして、アルバートに対して挑発を始める。

 

「メイアお姉さんに、あの機械人形のシステム設計を頼まれた超天才技術者のキラです! 後、この可愛い子が妹のセナ!」

「ふっ、技術者? 貴方の様な子供が?」

「えぇー! そうですよ! 僕は子供ですけど、貴方よりもずーっと! ずぅーっと! 凄いので、協力しに来たんです」

「ほぅ。面白い事を言いますね」

 

 アルバートは自分よりも身長の低いキラを見下し、そんなキラが押している車イスの少女セナを見据える。

 

「……姉妹ですか?」

「はい。初めまして。セナと申します」

「ふむ。どうやら姉よりも妹の方が優秀そうですね。技術者とのこと。幼いながらに才能があるのだと理解しました。よろしくお願いします。アルバート・ハインラインです」

「はい。お願いします」

 

「は!? ちょっと!? 僕には鼻で笑っておいて、セナには丁寧に挨拶するの!?」

「なんですか。貴女は。姉でありながら、妹にも無礼な扱いをしろというのですか? セナ君も可哀想に」

「そんな事言ってないだろー!? 僕にも丁寧な扱いをしろって言ってるの!」

「さて。挨拶も終わったことですし。セナ君。君がどの程度出来るのか知りたい。ひとまずはシステム周りを見て貰おう」

「はい」

「無視するな!」

 

 それから、キラは何だかんだと怒りつつ、セナと共にアルバートから見せられた巨大人型機械のシステムを順に見てゆく。

 しかし、それはキラにとって衝撃的なほど稚拙な物であり、思わず失礼な事に「うわぁ」などと言ってしまうのだった。

 

「直さなければいけない場所は色々とありそうですね」

「分かりますか。セナ君」

「はい。ひとまずは駆動系回りを触るところから始めるべきかと思います。特に時間が掛かりそうですし」

「同感です。ここが特に酷い。素人の仕事かと驚きました」

「悪かったな。素人の仕事で。これでもアカデミーは主席なんだがな。開発チームの皆も優秀な者ばかりだし」

「ふっ、これで優秀とは。笑ってしまいますね」

「アルバートさん! 駄目ですよ! そんな事を言っては」

「まぁ良い。ありがとう。セナ。だが、アルバート。お前は言った以上の働きをして貰うぞ。良いな?」

 

 いつの間にかメイアも話に参加しており、一応ここの工場の開発責任者という事で、メイアはアルバート、キラ、セナにそれぞれ部下を付け、各種担当を振り分けるのだった。

 軽く話をしただけでセナやキラがある程度出来る人間だと理解したアルバートは二人にそれぞれの場所を任せさっさと自分の仕事を始めるのだ多。

 

 その周りを一切気にしないアルバートの態度に、メイアは苦笑しつつ、キラとセナにも仕事を頼むと依頼した。

 

 

 キラとセナが秘密工場に来てから一年程の時間が過ぎた。

 その間、キラとセナは秘密工場の中にある施設で生活し、何かあった際の医者すら用意して開発に挑み続けていた。

 そして、遂にC.E.(コズミック・イラ)65年4月18日。セナたちの前で巨大な人型の巨人は、大いなる一歩を踏み出した。

 

「どうですかー!? お姉ちゃん!」

「うーん! 良い感じー!」

「それはー! 良かったですー!」

 

 型式番号 YMF-01B

 機体名 ジン

 

 人類の長い歴史の中で初めて、モビルスーツと呼ばれる〝機動兵器〟が足を踏み出した瞬間であった。

 

「おぉ……素晴らしいな」

「キラ君。腕や腰も動かしてみて下さい!」

「はいはーい!」

 

 キラは地上から飛んできたアルバートの指示に従って、腕を振り回し、腰を回しながら歩いたり、屈伸したりする。

 その姿は人とほぼ変わらない物で、当初メイア達が想像していた物を遥かに超越する物であった。

 

「キラ! 何か物を持ったりする事は出来るのか!? 工具とか!」

「出来ますよー!」

 

 キラは近くにあったコンテナの中から、水の入った水鉄砲を取り出して、壁に向けて構えて引き金を引いた。

 

「キラ君! 駄目だ! 止めろ!」

 

 瞬間、水鉄砲から大量の水が飛び出して、地上に居たセナやアルバート、メイアに他の作業員と皆が巻き込まれてしまう。

 

「あ、やば! ごめんごめん!」

「何を! 考えて! いるんだ! 君は!」

「セナ君!」

「わ、わぷ、ありがとうございます。メイアさん」

 

 まだ体が万全ではないセナをメイアが助け、器用にもジンで頭を撫でながらペコペコと頭を下げているキラにはアルバートが怒鳴りつける。

 キラは優秀なのだが、どこか抜けているというのが工場の皆の認識であり、この手のやらかしはこれまでに何度もあったのだ。

 まぁ、そういう所が可愛らしいと作業員たちは思っているわけだが。

 

「まったく。いつになっても成長しませんね。貴女は」

「いやぁー、申し訳ない。アルバートさん」

「セナ君はまだ泳げないんですよ? もしもの事があったらどうするつもりですか」

「本当に! セナもごめんね!」

「あはは。大丈夫ですよ。キラお姉ちゃん。メイアさんが助けてくれましたし」

「メイアさんも! 本当に! ありがとうございます!」

「いや、いいさ。久しぶりにいい運動にもなったしな。まぁ……機械類は……大惨事だが」

「あー! もう! みんなー! ごめんなさーい!」

「まったく。キラちゃんはよー!」

「加減ってモンを知らないんだからなぁー」

「いやーテヘヘ」

「「褒めてない」」

「はぁーい。反省してまーす」

 

 キラは作業員たちに謝罪しつつ、いじられて笑う。

 工場には多くの笑顔が溢れていて、メイアはその光景を見ながら目を細めた。

 ここに、メイアや多くのコーディネーターが望む未来の姿があったからだ。

 

 この平和を守る為に、メイアはただ、力を求めていたのだ。

 

「しかし、モビルスーツ『ジン』は完成した。これなら」

「いえ。まだです」

「そうですねぇ」

「うん? そうなのか?」

 

 メイアは素晴らしい機体が出来たと喜んでいたのだが、アルバートとセナは不満そうな顔をしながら首を横に振る。

 何故その様に考えるのかとメイアが二人に問うと、二人はペラペラとジンの欠点について語り始めた。

 

「まず、機体の装甲が薄すぎます。これでは宇宙で活動する際に衝撃ですぐ大破してしまう可能性が高いです。まずはパイロットの安全を確保するべきです」

「機動力も問題ですね。宇宙という場所はとにかく広く自由に動けると勘違いしがちですが、実際にはデブリや隕石など障害物は多い。もっと器用に動けるようにならなくては」

「それを言うならさ! やっぱり推進力が僕はもっと欲しいかな! 問題が起きるのはいつも突然なんだからさ。バーッと現場に向かって、バーッと解決出来るようにならなきゃ」

「キラ君の問題なら、量産すれば解決出来ます。まず必要なのは機動力でしょう」

「えー! いくら量産しても穴は出来るじゃん! それだったらさ、バーッと行った方が絶対良いって!」

「お二人の意見も分かりますが、宇宙は怖い場所ですから。まずはパイロットの安全を確保しませんか?」

 

 三者三様。

 意見は衝突し、アレが良い、これが良いと言葉をぶつけ合う。

 その様子にメイアは熱心だな、と笑いながら場を落ち着ける言葉を放つのだった。

 

「皆の意見も分かるが! まずはザラ閣下やシーゲル・クライン同志に成果をお見せしてからだ! 予算が無ければどんな改修案も夢物語だ! 分かるな」

「まぁ、そうですね。では、予算が出来たらまた呼んで下さい」

「おい! アルバート! どこへ行くつもりだ!?」

「再びジンの開発が始まるまで私は設計局の方へ戻ります」

「は!? 評議員方へのご説明はどうする!?」

「それは貴女にお任せします。メイア・シヴァ」

「あ! それならさ。アルバートさん! アレ作ろうよ! アレ! シミュレーター!」

「良いですね。ジンのデータを入れて、改造案を仮想で組み立てますか」

「よーし! じゃあそこで誰が正しいか確認しようよ!」

「良いでしょう。まぁ、正しいのは私ですが」

「分からないでしょ!」

 

 ワイワイと騒ぎながら、アルバートとキラ。

 そして、車イスに乗って、キラに運ばれていくセナが消えていった。

 

 セナは最後までメイアの方を見ていたが、自分ではどうする事も出来ず、この場を去る事になってしまうのだった。

 

「め、メイア様。我々はお手伝いさせていただきます」

「……すまない。私は良い部下に恵まれたよ」

「いえ!」

 

 メイアは恐る恐る話しかけてきた部下に言葉を返し、アルバートたちが消えた扉の方を見つめ、大きく深いため息を吐くのだった。

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