ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第177話『PHASE-16『インド洋の死闘1』』

 カーペンタリアにて待機を命じられていたミネルバであるが、デュランダルと話をした後、正式に命令が下り出航する事となった。

 目的地はマハムール基地。出航は夜明けと同時である。

 

「明朝ですか?」

「ええ。カーペンタリアにも司令部から命令が来ててね。ボズゴロフ級を一隻付けてくれるそうよ」

「はぁ……」

「はぁ、じゃないでしょアーサー。全艦に通達。ほら、準備始めて」

「あ……はは……はい!」

 

 アーサーは休暇明けで気が抜けているのか、呆けた様な様子であったがタリアの声に自分を取り戻す。

 そして、ミネルバの全クルーへと通達をするのだった。

 

 

 それから夜明けと共にミネルバはカーペンタリア基地を離れ、海へと出る。

 

「ニーラゴンゴ発進しました」

「こちらも出ましょう。ミネルバ発進する。微速前進」

「ミネルバ発進! 微速前進!」

 

「……マハムール基地まで。何も無ければ良いんですがね」

「既に戦争は始まってるわ。後は祈るだけね」

 

 キラの言葉にタリアも頷き、静かにミネルバは海上を進んでゆくが……そんな二人の願いを打ち砕く様にミネルバを捕捉した連合軍は部隊の司令官へと報告を渡す。

 そう。黒い仮面を付けた男……ネオ・ロアノーク大佐へと。

 

「ふむ。まぁ、そろそろかとは思っていたが。予定通り。中々に几帳面な艦長サンの様だ」

「では」

「あぁ。船を出せ。もう一人のお姫様を迎えに行くとしよう」

「ハッ!」

「機関始動と同時にウィンダム全機発進!」

「ジョン・ポール・ジョーンズは○九○○出港。第一戦闘配備発令。整備各班、戦闘ステータススタンバイ」

 

「あぁ。それと……基地の連中に通信を繋いでくれ」

「ハッ」

 

 ネオは次から次へと命令を出してゆき、その流れの中でインド洋前線基地司令官にも通信を繋げる。

 そして、繋いで早々にある要求をぶつけるのだった。

 

「あぁ。忙しい所すまないな。悪いがそっちの基地のウィンダムを全機発進させてくれ」

『何ィ!? 当部隊のウィンダムを全機出せだと!? なにをふざけたことを!』

「ふざけてんのはどっちだ? ミネルバにはキラ姫様も乗ってるんだぞ。それに……ザムザザーも三機沈められてる。オーブの助力があったのだとしても、あの艦の戦闘力は無視できない。それとも何か? そっちの判断で、キラ様をZAFTの連中に奪われたままでも構わないという事かね?」

『ぐっ……! そ、そういうことを言っているのではない! 我々はここに対カーペンタリア前線基地を造るために派遣された部隊だ。その任務もままならないまま、貴官にモビルスーツなど……』

「その基地も何も、すべてはザフトを討つためだろ。寝ぼけたこと言ってないでとっとと全機出せ! ここの防衛にはガイアを置いておいてやる。それで何とかしろ! キラ姫様をお助けすれば全て解決するんだ。分かるな!?」

『いやぁ、しかし……』

「これは命令だ! 急げよ!」

 

 ネオは通信を切り舌打ちをしながら次なる命令を下してゆく。

 

「チッ……下らんプライドばかりで話にならんな。カオス、ガイア、アビスはどうか!」

「全機発進準備完了です」

「よし、ジョーンズは所定の場所を動くなよ! では、戦争を始めるぞ!」

「ハッ!」

 

 そして、ネオは格納庫へと向かい宇宙から一緒に連れてきたステラ達へと命令を伝えた。

 艦内の放送でも流しているが、彼らはネオの命令しか聞かないのだ。

 

「いいなぁみんな。ステラだけお留守番」

「しょうがねえじゃん。ガイア飛べねえし、泳げねえし」

「はぁ……」

「海でも見ながらいい子で待ってな。好きなんだろ?」

「……うん」

 

「さて。準備は完了という所かな?」

「ネオ!」

「悪いな。ステラ。今回は基地で留守番だ。アウルとスティングは頼むぞ。ただし、あんまり無茶はしない様にな。危なくなったら帰ってこい」

「うん」

「おう!」

「任せておけ」

 

「おやおや。お優しい事だ。ネオ・ロアノーク」

「彼らは私と同じ存在ですからね。言わば家族の様なモノですよ」

「ふぅん。君はもっと冷酷な物かと思っていたんだが。どうやら僕の見当違いだったみたいだね」

「まぁ、そういう事です。そして、冷酷ではない私は、救世主殿に、セナ様をこのまま艦に残していただきたいとも考えておりますが」

「フン。悪いが君の提案は却下だ。コレは僕のガンダムで上手く使わせて貰うよ。それに、こんな艦より僕のガンダムに乗っている方が安全さ」

 

 あの時。

 ガーティー・ルーの中でゆりかごにキラと共に入れられたセナであったが。

 洗脳や記憶操作などは失敗していたものの、あの時より感情の失った人形の様になっており、周りの者の言葉にただ従う物となっていた。

 それでも、人を殺したりという様な行為は出来ない為、ネオは大切に囲っていたのだが……リボンズが自分の機体の調整をさせるとセナを自身の機体に乗せると言い始めたのだ。

 

 最初は反対していたネオであったが、立場上逆らう事が難しく、結局セナを明け渡してしまった形となる。

 

「では行くよ。セナ」

「……」

 

 リボンズの言葉にセナはコクリと頷いて、そのまま彼の駆るOガンダムへと乗り込んだ。

 いよいよ出撃の時である。

 

『スティング・オークレー、カオス発進する!』

『アウル・ニーダ、アビス出るよ?』

『リボンズ・アルマーク。ガンダム行く!』

 

 

 そして、ネオたちが動き出した事で、ミネルバもその存在を探知し、すぐに行動を開始した。

 

 

「艦長!」

「え?」

 

「熱紋照合……ウィンダムです。数40!」

「40!?」

「内一機はカオスです!」

 

「あの部隊だって言うの? 一体どこから!? 付近に母艦は?」

「確認できません!」

「……! またミラージュコロイドか!?」

 

「海で? 有り得ないでしょ!?」

「あ、あぁ……」

 

「タリアさん。モビルスーツ隊に発進指示を! 僕も出ます! 僕が行くまで指揮はシュラ君に!」

「えぇ、そうね! モビルスーツ隊全機発進! ブリッジ遮蔽。対モビルスーツ戦闘用意。ニーラゴンゴとの回線固定」

 

 キラはタリアに言葉を残し、急いでブリッジから出て行った。

 そんなキラにタリアもすぐさま戦闘モードへと移行し、指示を出してゆく。

 

 

『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令』

『インパルス、ブラックナイトスコード、ザク発進願います。パイロットは搭乗機へ』

 

 シンはメイリンの声に急いでコアスプレンダーへと乗り込み、続くシュラからの通信に耳を傾けた。

 

『隊長が来るまで俺が指揮官だ。まずは俺とシンが出撃し、その後でルナマリアとレイだ。ルナマリアとレイはグゥルを忘れるなよ』

『『「了解」』』

『シン。俺たちは先に出て、敵の注意を引く。まずはミネルバから意識を逸らせ。でなければ次に出る奴らが危険だ』

「了解!」

 

『シルエットハンガー1号を開放します。フォースシルエットスタンバイ。シルエットフライヤーを中央カタパルトにセットします。気密シャッター閉鎖。非常要員は待機してください。中央カタパルトオンライン。発進位置にリフトアップします。コアスプレンダー全システムオンライン。発進待機願います』

『ブラックナイトスコード、シュラ機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認』

 

『では、先に行くぞ。シュラ・サーペンタイン。ブラックナイツ。出る!』

「はい! シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」

 

 シュラはミネルバから飛び出してすぐに、目の前にいたウィンダムへとビームライフルを放ち、ビームサーベルを抜いて、その奥に居た機体を両断する。

 シンもすぐにフォースインパルスへと合体し、ビームライフルで正確にウィンダムを狙撃していった。

 

 彼らから少し遅れて出撃してきたルナマリアとレイもグゥルでザクを空に飛ばしながら接近するウィンダムを次から次へと落としてゆくのだった。

 しかし、彼らの良いようにはさせないと、カオスとアビスも空中と水中からシン達の行動を制限しようと奮闘する。

 だが、一瞬だけ拮抗した戦場も、ミネルバから出撃した紅い機体によってすぐに覆されてしまうのだった。

 

 そんな光景を戦場から少し離れた所で見ていたリボンズははぁ、とため息を吐いてからふわりと機体を浮かせた。

 

「やれやれ。ナチュラルではこの程度か。数ばかりいても意味はないみたいだね。やはり救世主たる、僕が出なくては……」

「ミネルバより新しい熱源」

「うん?」

「セイバーです」

「あぁ。あの機体か。キラ・ユラ・アスハ。良いだろう。まずは君を落とす事にしようか!」

 

 リボンズの駆るガンダムは真っすぐにキラへと向かって突っ込む。

 だが、このガンダムが放つ特殊な粒子により、セイバーは一切ガンダムが感知できずガンダムの接近を許してしまう。

 

 これにより警報すら鳴らなかったセイバーへとガンダムがビームサーベルを振り下ろしたのだが……。

 

「これで、終わり……っ! なに!?」

 

『変な殺気が飛んできたから何かと思ったら……また君か。意外な所で会うね』

 

「まさか! この僕の攻撃を防いだというのか!」

 

『この機体がここにあるって事は。やっぱり君も、地球軍の一員って事なのかな』

 

「何をした! キラ・ユラ・アスハ!! 僕の攻撃をどうやって防いだ!!」

 

『ホント、嫌になるね。でも……敵が一つっていうのは、逆に分かりやすくて良いのかな!』

 

「このぉ!」

 

 ガンダムとセイバーは同時にビームサーベルを相手に向かって振り下ろし、ぶつかり合う力場によって周囲にプラズマが発生する。

 しかし、両者どちらも引かず、戦場で押し合うのだった。

 

『シュラ君! ごめん! そっちをお願いできる? 厄介な奴がいる』

『ならば俺も……!』

『いや、これだけの数、母艦か基地があるはずだ! シュラ君はそっちを叩いて!』

『……! 分かった! シン! 聞こえたな!? セイバーを除けば機動力ではお前が一番上だ! 広範囲に索敵を広げ! 基地か母艦を見つけろ! レイとルナマリアはシンの援護だ!』

『『「了解」』』

『俺は、カオスとアビスを押さえる!』

 

 中々良い連携をしてくれると、キラはシュラ達の通信を聞きながら笑みを浮かべる。

 そして、アムロとシャアのお陰で、ようやく不可視だった敵が見える様になったと喜びの中で口を開いた。

 

『本当に、感謝しかないよ! これで僕にも敵が見える! さぁ、リベンジマッチの始まりだ!』

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