ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第189話『PHASE-23『戦火の蔭1』

 ディオキアの基地を発進したミネルバは順調に海を進み、遂に戦いの舞台となるダーダネルス海峡に到着した。

 

「ダーダネルス海峡まで距離3000」

「コンディションレッド発令。ブリッジ遮蔽。対艦対モビルスーツ戦闘用意」

「対艦対モビルスーツ戦闘用意」

 

 そして、ミネルバのモビルスーツ発進指示に合わせる様に地球連合軍の艦隊も動き……モビルスーツ部隊が展開されてゆく。

 

「熱紋確認。一時の方向、数30。モビルスーツです。機種特定、地球連合軍ウィンダム……その後方、数20。オーブ軍ムラサメ、アストレイ!」

「多いわね。でも、やるだけだわ……飛行可能なモビルスーツは全機発進。離水上昇取り舵10!」

 

『シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!』

『キラ・ヤマト。セイバー行きます!』

『シュラ・サーペンタイン! ブラックナイトスコード出撃する!』

『アスラン・ザラ。ジャスティス出る!』

 

 ミネルバから飛び出した四機のモビルスーツは綺麗に円を描きながら地球連合軍とオーブのモビルスーツへと迫り、その戦闘力を奪ってゆく。

 そして、キラと話し合った作戦通り、この戦闘を即座に終わらせるべく……ミネルバは最初から切り札を切った。

 

「取り舵30。タンホイザーの射線軸を取る。目標地球連合軍艦隊」

「はい!」

「アレを落とせばキラの説得も通るかもしれない。必ず当てるのよ!」

 

「タンホイザー、軸線よろし!」

「よし! 起動! 照準、地球連合軍艦隊!」

 

「タンホイザー起動。照準、敵護衛艦群。プライマリ兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除」

 

「てぇー!!」

 

 タリアが地球連合軍艦隊へ向けてタンホイザーを放とうとしたまさにその瞬間……!

 青空の向こうから降り注いだビームライフルが発射寸前で臨界状態のタンホイザーを撃ち抜いた。

 

 それにより誘爆したミネルバの前部は大爆発を起こし、ミネルバ全体へと影響を与えてゆく。

 

「きゃあ!」

「うわぁあああ!!」

 

「何が起きたの!?」

「タンホイザー被弾! FCSダウンしました!」

「消火急げ! FCS再起動! ダメージコントロール班待機!」

「艦の姿勢維持できません!!」

「着水する! 総員衝撃に備えよ!」

 

 タリアの叫ぶ様な声に、ブリッジに居た者達は皆コンソールにしがみつきながら衝撃を待った。

 そして、すぐに海へと落ちて、ミネルバはひとまずの安定を得る。

 

「状況を教えて!」

「攻撃です! タンホイザーが何者かに狙撃されました!」

「索敵!」

「反応ありません! 攻撃対象の正体不明!」

 

「レーダーに引っかからないって……まさか!」

 

 驚愕したタリアが、叫ぶように正面モニターを見たが、肉眼で何かが捕らえられるという様な事はない。

 いや、そもそも電子機器を通した時点で、その機体は目に見えなくなってしまうのだ。

 

「ふっふっふ」

 

 そう。リボンズ・アルマークの駆る……ガンダムは。

 

 

「攻撃をする時こそ、もっとも警戒しなくてはいけない瞬間だ。君もそう思うだろう? キラ・ユラ・アスハ」

『あなたは!』

「随分と怒っている様だね。何かあったのかい?」

『よくもミネルバを!』

 

 リボンズの攻撃で黒煙を吹き出しながら海面に着水したミネルバを横目で見ながら、キラは真っすぐにリボンズの元へと向かった。

 油断をしているつもりは無かったが、まさかという思いはあった。

 まさか、キラではなくミネルバを狙ってくるとは。

 

 予測していた筈なのに。

 どこか当たり前の様に自分を狙うだろうとキラは考えていてしまっていたのだ。

 それがこの結果を導いてしまった。

 

 キラは強い後悔を胸にリボンズへとビームサーベルを構えながらセイバーで突っ込む。

 

 無論、その様な行動にアスランがジャスティスで援護に行こうとするが、地球連合軍艦隊やオーブ艦隊も無視できる状態ではない。

 彼はキラに通信で頼まれた事もあり、地球連合軍艦隊へとシンやシュラと共に向かうのだった。

 

 そうなれば、キラとリボンズの一騎打ちとなる訳だが……その戦いはやや一方的な物になっていた。

 無論、押しているのは、キラの方である。

 

 機体の機動力と、無限に成長してゆくキラの戦闘センスが、リボンズを圧倒しているのだ。

 

「戦えば戦う程に、強さを増してゆく。まったく、とんだ理不尽だ。しかし、僕は君を認めよう」

『……っ!?』

「認めた上で。君を屈服させるとしようじゃないか」

 

 リボンズは海を背にしながら飛行し、正面にセイバーが来た瞬間に指示を出した。

 それは、キラがどの様にしてガンダムを補足しているのか考え……その答えから導き出した、対キラ専用の兵器。

 

「さぁ、今こそ出番だ。セナ!」

『セナ!?』

 

 リボンズの声で海面から飛び出して来た機体は、リボンズの駆るガンダムとよく似た姿をした、赤いガンダムであった。

 そして、その機体は真っすぐにキラへとビームサーベルを振り下ろす。

 

 キラは咄嗟にその攻撃を避けるが、バランスを崩したキラをリボンズが見逃すはずもなく、追撃とばかりにセイバーへと蹴りをくらわせる。

 

「ふふふ。やはり、この機体は『見えない』ようだね。キラ・ユラ・アスハ」

『まさか。その機体は……』

「そうさ。この機体は無人機だ。そして、セナが改良したモビルドールシステムによって動いている。まだ実験段階で手動のシステムを動かす為には、機体からある程度距離が近くないと使えないという欠点もあるが……こうして僕のコックピットに乗っているのならば、何も問題にはならない」

『僕のコックピットって……まさか、セナ! そこに居るの!? セナ!』

「あぁ。乗っているとも。だが……彼女の自我は現在消失していてね。僕の命令に従う操り人形さ」

『っ! お前!!』

 

 リボンズの言葉に、キラの怒りは一瞬で沸点を超え、リボンズのガンダムを狙う。

 だが、どれほど鋭いキラの攻撃であろうとも、二対一でエースを超えるエースと戦う事は難しく、気が付けば防戦一方となってしまうのだった。

 

 そして、追い詰められているのはキラだけでなく、シン達も同じであった。

 ただでさえ、大量のモビルスーツが襲ってきているというのに。

 カオス、アビス、ガイア。

 それに、見慣れない黒いストライクやデュエルとバスターの改造機もいる状況では容易く突破は出来ない。

 

 ルナマリアとレイも何とか出撃し、迫りくる攻撃を迎撃するが、ミネルバの被弾は増え続け……援護に意向としても、エースクラス二人が常にマークしているシン達が動く事は難しかった。

 

 そして、遂にシン達を突破した爆撃機がミネルバの艦上から大量の爆弾を投下し、この攻撃でミネルバが撃沈する……と、思われたその時。

 

 遥か遠方から高速で接近する機体があり、その機体が幾多の光を放ちながら落ちて来る爆弾を全て撃ち落とした。

 

 予測していなかった機体の登場に、ZAFTも地球連合軍艦隊もオーブ艦隊も、呆然としながら蒼い空を背景に、空で制止するモビルスーツを見やる。

 

 

「投下弾全て、打ち落とされました!」

「何!?」

「これは……! 機種特定! フリーダムです! そして、その後方! オーブ軍ムラサメ2! それに、アークエンジェルです!!」

「まさか……助けに来てくれたの……?」

 

 タリアは救いを求める様に、白亜の戦艦を見やった。

 そして、その問いかけが正しいと言うように、フリーダムは迫りくる地球連合軍とオーブ軍のモビルスーツに対して、全火器での狙撃を行う。

 パイロットを殺さない様に、武装やメインカメラだけを的確に撃ち抜いていった。

 

 その戦い方はまるでキラと同じ様な物であったが、キラがセイバーに乗っている以上、フリーダムに乗っているのはキラではない。

 

 そして、誰もがフリーダムに目を奪われている間に、一機のムラサメが変形したままリボンズとキラの戦いに介入し、ミサイルとビールライフルを二機のガンダムに向けて放ち、急接近してからビームサーベルを抜きつつ変形してキラの背を守る様に舞い降りる。

 

『無事か』

「……君は」

『色々と言いたいことはあるだろうが、後でも良いか?』

「うん……ありがとう」

『あぁ。まずは、蹴散らすぞ!』

「分かった!」

 

 キラは聞きなれた声に微笑みを浮かべ、ムラサメのパイロットと共に息を合わせながらリボンズへと反撃を行うのだった。

 

 

 ムラサメの登場は、それほど大きな変化を戦場に与える事は無かったが、キラと息を合わせて戦う事で、二対二の戦いとなり、戦況は完全に膠着した。

 そうしている間に、フリーダムの登場で完全にミネルバ有利へと傾いたもう一つの戦場があっという間に地球連合軍とオーブ艦隊を押し込んで、このままでは全滅するとネオは早々に撤退命令を部下たちに下すのだった。

 

 フリーダムやアークエンジェルが現れた以上、核動力の機体を二機相手にしても良い事はないからだ。

 ミネルバのタンホイザーを無力化した千載一遇のチャンスではあったが、無謀な戦いで部下を消耗させる程彼は無能ではない。

 

 その引き際は非常に美しく、オーブ艦隊もネオの指示に従い、大人しく撤退していった。

 

 そして、艦隊が引いた事でリボンズも撤退し……オーブや地球連合軍が撤退した事でアークエンジェルやフリーダムもそのまま空の果てに消えて行くのだった。

 

 一瞬で始まり。

 訳も分からないまま、戦場が終わるのをただ眺めていたタリアは、大きくため息を吐きながら、生き残ることが出来たと喜びを胸に宿す。

 だが……今回は運よく助かっただけで、次回もそうなるかは分からない。

 

 地球連合軍はこの程度で諦める事は無いだろうし、次も大部隊を率いて来るだろう。

 そうなれば、ミネルバは……。

 

「艦長?」

「……あぁ、ごめんなさいね。ミネルバをディオキアに向かわせて。急いで修理しないとね」

「はい!」

 

 タリアは次の戦いへ気が重くなる様な想いを感じながら、戦場の跡が色濃く残るダーダネルス海峡を後にするのだった。

 次の戦いに向けた準備をしなくてはいけないと、自分の心に鞭を打ちながら。

 

 そして、ディオキアに戻ってすぐ……タリアはドタバタと忙しい中でキラから一つのお願いを聞く事になる。

 それは……彼女が少し調査したい事があり、ミネルバを数時間離れたいというモノだった。

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