ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第195話『PHASE-26『約束1』

 薄緑の髪に、虹色の虹彩を放ったその少年は、銃口を真っすぐにユーレンへと向けながら、今見つけたとでも言うようにキラへと視線を向け、笑う。

 

「そう身構えなくても良いよ。まだ君たちを殺すつもりは無いんだ」

「そう仰るのなら、銃を下ろしてはくれませんかね」

「それは出来ない。何故なら君たちをこのまま連れて行く必要があるからだ」

「……」

「やはり僕は運命に選ばれている。『セナ』が連れ去られた時は少々焦ったけどね。まさか『キラ』が僕の手に零れ落ちるとはね。ククク」

 

 キラは実に嬉しそうな声で笑っているリボンズを見ながら、腕の中でジッとしているステラに囁いた。

 

「ステラ。静かに僕の言葉を聞いて」

 

 ステラはキラの言葉に少しだけ驚いた様な顔をしてからコクコクと頷く。

 その様子にキラは微笑みながら言葉を続けた。

 

「これから外に出て、ガイアに乗ったらZAFTのモビルスーツを攻撃するんだ。ただし、撃つのはビームライフルを一発だけ。狙うのもシールドに向けて、だ」

「……うん」

「お願いね。ステラ。セナを護って」

「ステラ、セナ。まもる」

 

 両手の拳を握りしめてムッと、気合を入れるステラに微笑み、キラは再びリボンズに声をかけた。

 

「悪いけど、僕はどこにも行かないよ。セナも、返してもらう」

「ふっ。よくもまぁ、そんな事が言えたものだ。この状況で。分かっているんだろう? 僕がここでセナを撃てば、彼女は死ぬ」

「……」

「精々大人しくついてくる事だ。セナは僕にとってそこまで重要じゃない。別にここで撃っても良いんだよ?」

「……わかった。でも、条件がある」

「条件なんて言える立場だと思ってる?」

「言えないだろう、けど……! セナが銃を向けられるのは嫌なんだ。向けるのなら、僕にして」

「フン……まぁ、良いだろう。けど、それなら抵抗しないって証を示すんだね」

 

 リボンズは連合軍から持ってきた手錠をキラに投げ、キラはそれを拾ってため息を吐いた。

 

「悪趣味」

「別に僕は君の条件に従う義理は無いんだ」

「分かってるよ」

 

 キラはリボンズが油断する様にとステラから離れ、後ろ手で手錠をかけた。

 そして、ステラにセナをお願いし、背中に銃を突き付けられたままフラフラと歩く。

 

 両手が拘束された状態ではうまく歩く事が出来ず、ふら付いてしまうのだが……リボンズはそんなキラに不快感を示す事なく歩いている為、キラは心の中で安堵の息を吐くのだった。

 

「さぁ、行こうか」

「待て! リボンズ・アルマーク! 私は」

「君に用はないよ。殺しても良いけど。小娘が暴れそうだ。そのまま何処へでも消えると良い」

 

 リボンズは蔑む様にユーレンへと言葉を掛け、そのままセナとセナを抱えて歩くステラ。

 そしてリボンズに銃を突き付けられたまま歩くキラと共に施設の裏口へと向かって歩く。

 

「僕のセイバーは僕じゃないと動かせないけど、どうするの?」

「心配しなくても僕のガンダムがある。お前は自分のモビルスーツで僕に付いてこい。ただし、セナは傷つけるなよ。それは大事な人質なんだ」

「……わかった」

 

 ステラはリボンズの言葉に頷き、キラを見てから目だけで合図をした。

 リボンズではなく、キラの言うコトを聞くという様に。

 

 そして、ステラとセナはガイア。

 リボンズとキラは少し離れた場所にあるガンダムへと乗り込んだ。

 

「さて。用は済んだ。撤退するとしよう」

 

 それからリボンズがガンダムを動かした瞬間、ガイアがビームライフルを、カオスと交戦していたインパルスへ向けて放った。

 しかもキラの指示通りに、そのビームライフルはインパルスのシールドにぶつかり、そのまま僅かな光を残して消え去った。

 

「何をやっている!? 貴様!」

「っ! シン君!! ガイアにセナが乗っている! 捕まえて!!」

「キラ・ユラ・アスハ!! 貴様!」

 

 キラはリボンズがガイアに意識が奪われた瞬間に、ガンダムの通信機能を使いシンへと訴えた。

 全周波で叫んだキラの声は、間違いなくインパルスへと届いたようで、インパルスは真っすぐにキラ達が居る方へと飛んでくるのだった。

 

 それを見て笑うキラであったが直後、銃を持ったリボンズによって殴られてしまう。

 

「何をやっている!」

「ぐっ! うっ……! くっ、くく。見て、分からない? 自称救世主さん。あなたをハメたんだよ」

「~~!!」

「ちょっとした賭けだったけど……ふふ。通信機能が同じで良かった……ぐっ、かっ……!」

「この! 小娘が!!」

 

 リボンズは殴られた事で頭から血を流しているキラを再び殴りつけ、蹴りつけ、キラが動けなくなった事を確認してから即座にガンダムを動かした。

 舌打ちをし、苛立ちを示しながら……追い詰めていた状況が一転し、追い詰められている現状に再び舌打ちをした。

 

「おのれ……キラ・ユラ・アスハ。よくも、やってくれたな」

 

 

 カオスと交戦している際に、突如としてビームライフルをガイアに撃たれたインパルスはカオスから離れ、ガイアへと意識を向けた。

 

『シン君!! ガイアにセナが乗っている! 捕まえて!!』

「この声!? キラさん!? セナがガイアに乗ってるって!?」

 

 シンは聞こえて来た声に一瞬動揺したが、攻撃するだけして動かないガイアに向かってインパルスを向かわせる。

 しかし、その心にはいくつもの動揺があった。

 

 キラはセナを助けろと言っていた。

 ならば、それをやらねばならない。

 でも、キラは何故……敵の機体から声を掛けていたのか。

 キラも捕まってしまったのか。

 あの時の様に……前大戦の時の様に、キラを失ってしまうのか。

 

 シンの頭の中ではグルグルと色々な言葉が躍るが……。

 

『行かせるかよ!』

 

 やらねばならない事は見えていた。

 

「邪魔を!! するな―!!」

 

 シンは頭の中で何かが弾ける様な感覚を受けて、ガイアの前に立ちふさがったカオスへと真っすぐに突き進む。

 そして、ギリギリの所でカオスのビームライフルをかわすとそのままカオスの右腕をビームサーベルで切り捨て、横合いから突っ込んできたアビスのビームランスをかわし、アビスのメインカメラにビームサーベルを突き刺す。

 

『なに!? なんだ、コイツ!?』

『アウル!』

 

 さらに背後から左手にビームサーベルを持ってインパルスへと迫ってきたカオスの攻撃を半回転しながら受け流しつつ、左腕も根元から切り落とすのだった。

 そして左手に握ったビームライフルでアビスの両肩にある攻防一体の盾である兵装を撃ち抜き、使用不能にしながらカオスの上部へと浮き上がり、そのままアビスの方へと蹴り飛ばした。

 

「セナ!」

 

 今まで膠着していた戦場が一瞬の間にZAFT有利へと転じてしまったため、リボンズは舌打ちをしながら撤退を選択し。

 ネオもまたカオスとアビスを捕まえて、撤退する選択を選ばざるを得ない状況になってしまった。

 

 逃げて行く彼らの事はアスランやシュラに任せ、シンはレイ達と共に動く気配を見せないガイアの元へと向かい、インパルスのコックピットから飛び降りながらガイアのコックピットに呼びかける。

 

『ちょ! シン! 危ないわよ!』

「セナ! セナ居るんだろう!? 助けに来たよ!」

 

 ルナマリアの警告を無視してコックピットに声を掛けるシンに、レイとルナマリアはため息を吐きながらガイアをひとまず動けない様にしようとしていたのだが……不意にガイアのコックピットが開かれた。

 何事か?

 まさか実はセナが一人で乗っていたのか? と疑問に思いながら二人がコックピットの中にカメラを向けると……そこにはセナを抱きかかえて操縦桿を握る金髪の少女が一人。

 少女は地球連合軍の制服を着ていたのだが……。

 

「き、君は……ステラ……?」

「シン……」

「どうして、君が……モビルスーツに……」

「ステラ、セナ、護る」

「セナを……?」

「うん。護る」

 

 コクリと頷くステラに、シンはワケが分からないという思いを抱えたままステラとセナをインパルスへと連れて行って、そのままミネルバを目指すのだった。

 

『え!? あれ!? どういうこと!?』

『さぁな』

『いや、さぁなじゃないでしょ! どうするのよ! アレ!』

『分からん。だが、ガイアもこのままには出来ん。連れて行くぞ』

『えっ!? 私達で』

『他に誰が居る』

『いや、それはそうだけどさぁ』

 

 ルナマリアはため息を吐きながらレイと共にガイアをミネルバまで運び始めた。

 

 

 そして、ルナマリアとレイがガイアをミネルバまで運んでいる間に、ミネルバまで到着したシンは急いでインパルスを着艦させるとステラからセナを受け取り、ステラと共に急いでミネルバの医務室を目指して走る。

 

「せ、先生!」

「なんだ。騒々しい。ここをどこだと思っているんだ」

「ごめんなさい! でも、でも! セナが、セナが帰ってきて! でも、目を覚まさなくて!」

 

 シンは必死に腕に抱えたセナを軍医に見せ、言葉を紡ぐ。

 軍医はシンが抱えている少女が長く行方不明だったセナ・ユラ・アスハである事に気づくと、彼も彼で慌てた様な顔をしながら助手を呼んだ。

 

「セナ様はどういう状態だった!?」

「分かりません。ただ、俺が見つけた時にはこんな状態で」

「ふむ……目立った外傷は無いようだが……何故寝ているのか。原因はなんだ」

 

「メンデル仮面が、寝てれば治るって言ってた」

「「「メンデル仮面?」」」

 

 ステラがセナの手を握りながら、どこかボンヤリとした口調で語ると医務室の中は一瞬時間が止まった様な状態となったが、ここでようやくステラの存在に気づいた軍医がステラの服を見て、驚きの声を上げる。

 

「ち、地球軍!? 何故地球軍がここにいる!」

「いや、違うんです! ステラは!」

「警備兵を呼べ! 艦長にも連絡を」

「違います! ステラは敵じゃなくて! 違うんです!」

 

「……セナ」

 

 セナの手を両手で握りながら祈る様に目を閉じるステラのすぐ傍で、軍医や助手、そしてシンの声が響き。

 その声とシンが地球軍の少女を連れていたという報告からタリア達が武装した警備兵を連れて医務室へと駆け込んだ為、場はさらに混沌とした状態になってしまうのだった。

 

 そして、その混沌とした医務室の中……一人の少女が長い、長い眠りから目を覚ます。

 

「……ここ、は」

 

 しかし、混乱する状況は少女の覚醒に気づけないまま、更に混沌とした状況へと陥っていく。

 彼らが落ち着くのは、もう少しだけ時間がかかりそうであった。

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