ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

212 / 252
第207話『PHASE-32『ステラ2』

 ミネルバはジブラルタル基地を出港し、地球連合軍が投入したという大量破壊兵器……デストロイを撃破するべく最大船速でドイツの首都ベルリンに向かっていた。

 そして、それなりに長い時間をかけてようやく現地に入ったミネルバに飛び込んできたのは、既に半壊状態のベルリンと、デストロイと交戦しているアークエンジェル……フリーダムとムラサメという光景だった。

 

「目標まであと40」

「光学映像入ります」

「あぁ……そんな……」

「これが、デストロイ……! とんでもない物を作ってくれた物ね」

 

「前線司令部応答ありません」

「熱紋による状況確認。これは……アークエンジェル!」

 

「「っ!?」」

 

 バートの言葉に、タリアとアーサーは咄嗟に顔をそちらへ向けた。

 そして続く報告に顔をしかめるのだった。

 

「およびカオス、アビス、ウィンダムと例の三機のGAT-Xタイプモビルスーツ。オーブ軍ムラサメ……!」

 

「何故あの艦が」

「オーブのカガリ・ユラ・アスハ元代表は、大量破壊兵器の保持を許さない物として、その監視を行うと言っていたわ。だから、今回もその大量破壊兵器を排除する為に来たという訳かしら」

「艦長……!」

「今回は敵対する理由がありません。向こうが砲をこちらに向けないのであれば、こちらから攻撃する事は無いわ」

「了解しました!」

 

「コンディションレッド発令! 対モビルスーツ戦闘用意!」

「はい!」

「コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください」

 

 

 コンディションレッドが発令した事で、シンはコアスプレンダーへ向けて走り、すぐに出撃出来る準備をしながらブリッジと僚機からの通信を開く。

 

『現在、情勢は思ったより混乱してるわ。既に前線の友軍とは連絡が取れず、敵軍は今フリーダムとアークエンジェルが戦っています』

「フリーダム……?」

『つまり、オーブ軍という認識で正しいのでしょうか』

『おそらくはね。でも、こちらと敵対する意思を示してはいないから、出来る事なら共闘してくれると助かるわ』

「共闘……!」

 

 シンはギュッと操縦桿を握りしめながら呟く。

 その言葉には不安や期待。動揺や迷いなどが入り混じっていたが、シュラがその感情を正確に読み取り、シンに言葉を向けた。

 

『シン。共闘は可能ならば、で良い。無理にする必要はない』

「は、はい!」

『我々の作戦目的はあくまで、デストロイよ。それを忘れないで』

「はい!」

 

 そして、シンはメイリンの合図を受けてコアスプレンダーを出撃させ、すぐにインパルスへと合体した。

 

「アレか!」

 

 戦場へと飛び出したシンはすぐに超巨大モビルアーマーデストロイへと向かい、セナが言っていた様にビームサーベルを抜いてデストロイへと向かっていくのだった。

 

 

 シンがデストロイへと向かっている頃。

 ジャスティスで出撃したシュラはまずデストロイの周囲に居たモビルスーツ群へとイングリットと共に飛び込んだのだが、イングリットは自ら操縦し、戦う事に慣れていなかった為、ストライクノワールと、ブルデュエルに囲まれ、いきなり危機に陥ってしまった。

 だが、イングリットへと放たれたビームライフルは、横合いから飛び込んできた機体によって防がれ、イングリットは危機を脱する。

 

「っ! これは……フリーダム?」

『……無事か。イングリット』

「オルフェ……!」

『貴様! オルフェ! どういうつもりだ!』

『どういうも何もない。戦力の足りない状況だ。一機でも味方モビルスーツは減らしたくない』

『チッ』

 

 イングリットを含めたまま、喧嘩を始めるシュラとオルフェにイングリットはハラハラとしていたのだが。

 そうしている間にも敵は攻撃を仕掛けてきており、二人はひとまず言い争いを止める。

 

「しゅ、シュラ!」

 

 そして、その隙にイングリットはずっと口にしたかった事をシュラに伝える事にするのだった。

 

『……なんだ、イングリット』

「今、重要な事は、デストロイを破壊する事、でしょう? なら、オルフェとも協力するべき、だと思う」

『裏切者と、協力しろ、というのか……!』

「っ!」

 

『効率の話だ。それとも、共闘し、自分が劣っていると思われるのは……嫌か?』

『ほざくな! 良いだろう! 俺に付いてこれると言うのなら、付いてこい!』

『言われるまでもない』

 

 シュラは、流石にこの状況で喧嘩を続けるつもりは無いらしく、アコードの力でオルフェの思考を読み、自らの思考を共有しながら再び戦いを始める。

 それは、かつてキラとアスランが行った共闘に勝るとも劣らないモノであり、その圧倒的な二機の力に地球軍は次から次へとモビルスーツを損傷し、撤退する事しか出来ないのであった。

 

 その戦いの中で、シュラはオルフェに問いを投げる。

 

『どういうつもりだ。オルフェ』

『何がだ』

『何故奴らを殺さない。手を抜く!』

『手を抜いたんじゃない。撃つのは敵ではなく、憎しみなのだと私は教わったのだ』

『教わっただと……?』

『お前も知っているだろう? キラは、平和をそう作るべきだと言っていた。そして、私もそれに共感した。ただそれだけだ』

『……!』

 

 オルフェの言葉に、シュラはグッと唇を噛みしめながら、怒りをその目に宿しながらオルフェに問う。

 既に、地球軍はデストロイを除き、全て破壊された戦場で……シュラはジャスティスのビームライフルをフリーダムのオルフェへと向けた。

 

『何故だ! 何故お前は我らを裏切った!』

『最初は、私が生まれた意味を見つける為だった……だが、今は違う。今は、キラやセナが静かに生きていける世界の為に、この剣を握っている!』

『バカな……! キラ様はこの世界を正しき方向へ導く御方だ。お前の理想は間違えている!』

『シュラ! 役目に目を曇らせるな! お前も彼女と同じ時を過ごしたのだろう!? 彼女は、どういう人間だった! 本当に支配を望んでいたのか!』

『俺は……!』

『俺は、キラとセナが笑っている姿を見るのが好きなんだ。その為に、それを阻む者なら! 例え、お前だとしても、容赦はしない!』

 

 オルフェもまた、フリーダムのビームライフルをジャスティスのシュラへと向ける。

 正しさよりも、自由を! と魂で叫びながら。

 

 そして、イングリットはオルフェがキラを語る姿にズキっと胸が痛むのを感じたが、それをグッと飲み込む。

 今はただ、二人の邪魔をしてはいけないと。

 

 ビームライフルを撃ち合い、ビームサーベルを抜いてぶつかり合う二機をただ、静かに見守る事しか出来ないのだった。

 

 

 オルフェとシュラが戦いを始めた頃、シンは巨大なモビルアーマーデストロイと戦っていたのだが、インパルスの機動力で翻弄しながら表面に傷を付けていると、デストロイはインパルスを脅威に感じたのか、巨大なモビルスーツの姿へと変形した。

 

「なに!? モビルスーツに変わった!? でも!」

 

 シンは一瞬デストロイの姿が変わった事に驚きを感じたが、守らなければいけない物を思い出し、すぐに気合を入れてデストロイへと接近する。

 だが、モビルスーツとなったデストロイは先ほどよりも攻撃の手数が増えており、インパルスは接近する事すら難しくなってしまうのだった。

 

 さらに、デストロイが腕部を分離し本体と二本の筆でインパルスを囲み、逃げ場を奪ってゆく。

 

「くっ! これは!?」

『シン!』

 

 だが、荒れ狂うビームの奔流に押し流されてしまいそうなシンの前に一機のモビルスーツが現れ、インパルスをデストロイから遠ざけるべくデストロイのビームを全て避けながらデストロイからやや離れた場所へと移動するのだった。

 

「む、ムラサメ!? 誰が」

『無事か。シン』

「その声……! アスラン!?」

『あぁ。そうだ。俺だ。アスランだ』

「でも……アンタは、偽物だって……キラさんが!」

『偽物なら偽物でも良い。今大切な事はアレを止める事だ。そうだろう? シン』

「あ……あぁ」

『なら偽物のままで良い。俺に合わせろ!』

「……!」

『オーブで教えた事は、忘れてないだろう? それとも、忘れたか?』

「だ、誰が! 俺はちゃんと覚えてる!」

『なら安心だ。俺が前に出て、奴の注意を引く。その隙にお前がコックピットを撃て。どれだけデカくても、コックピットを撃てば終わりだ』

「はい!」

『行くぞ!』

 

 シンはジッとこちらを見せているデストロイに、アスランの駆るムラサメと共に突っ込んだ。

 かつてアスランに教わった様に、攻撃をかわしながら冷静に突っ込むアスランの背について、真っすぐにデストロイへと。

 

 そして、アスランがデストロイの注意を引いて急上昇した瞬間に、ビームサーベルをデストロイのコックピットへと向けて、突き進む……!

 前に、シンは動きを止めてしまった。

 

「……っ!?」

『シン!? どうした!?』

「す、ステラ……?」

『ステラ……?』

 

 シンの呟くような声に、アスランは疑問を返しながら、シンとデストロイの様子を伺う。

 何か、想定にはない何かが起きていると。

 

「ステラ! なんで君が、そんな所に!」

『はぁぁああああ!!』

 

 シンは通信を外に向けて叫ぶ。

 が、ステラは何も気にした様子はなく……シンを拒絶する様にスーパースキュラを放ち、インパルスを遠ざけるのだった。

 

「ステラ! 俺だ! シンだ! ステラぁぁああ!!」

 

 シンはパイロットがステラであると知り、攻撃の手段を失ってしまった。

 こうなってしまえば、戦いは一方的な物になってしまう。

 

 いくらシンやアスランが器用に攻撃をかわし続けると言っても、それはいつまでも続くものじゃない。

 いずれ疲弊し、落ちる。

 

 地球軍が意図したものでは無かったが、事態は最悪の方向へと進みつつあった。

 

 

 だが、それを許容できないモノも居た。

 それはミネルバに乗艦していたデストロイに乗っている少女のオリジナル……ステラ・ルーシェである。

 

「シンが気づいちゃった。ナイショにしてたのに」

「そう……ですか」

「うん。行かなきゃ」

 

 ステラはどこか遠い場所を見る様な目をしながら、共に居るセナに呟く。

 

「だから、セナ。お願い」

「……どうしても行くのですか?」

「うん。ステラ。シンを守りたい。それに、あのままだとこの艦も落ちちゃうから」

 

「……それなら、私も」

「だめ。セナには、やることがある」

 

 ステラはセナにギュッと抱き着いてから、感謝を告げた。

 今日まで一緒に居てくれた事。

 そして、シン達には絶対に止められてしまうが、セナならやってくれる事。

 

「セナ。ありがとう。ステラ、たのしかった」

「ステラさん……」

「泣かないで。ステラはずっと一緒。シンとセナと一緒」

 

 セナは俯きながら「分かりました」と言って涙をポロポロと流して頷いた。

 そんなセナに微笑みかけてから、ステラは驚異的な身体能力で、格納庫の奥に置かれたままになっていたガイアに乗り込んで、起動させる。

 

『なんだ?』

『おい! 誰がガイアを動かしてる!』

 

 そして、セナはそんなガイアを見送りながら格納庫のシステムをハッキングして、ガイアが……ステラが想う場所。願う所へ行ける様に導くのだった。

 

『ガイア。カタパルトへ』

「うん。ありがとう。セナ」

『いえ……でも』

「セナ」

『……』

「大丈夫。『私』は残るから。だから、シンとセナで平和な世界を作って、そこで『私』を幸せにしてあげて」

『……っ、はい。必ず』

「ありがとう。じゃあ、ステラ・ルーシェ。ガイア。行きます」

 

 ガイアは静かにカタパルトへと乗り、そのまま戦場へ向けて射出された。

 

 勢いよく飛び出したガイアはすぐにモビルアーマー形態へと変形し地上を走りながらデストロイへと向かう。

 

 

「えっ!? ハッチ解放! ガイア! 出撃します!」」

「なんですって!? 誰が許可を出したの!?」

『ごめんなさい。タリアさん。後でいっぱい怒られます。なので、今は……あの子を行かせてあげてください』

「あの子って……! まさか!?」

 

 タリアは真っすぐにデストロイへと向かうガイアを見て、目を見開いた。

 そこまで多く接したワケではないが、シンに懐いていた小さな少女が、シンの危機に何をするかなど考えるまでもない。

 そして、この様な地獄の戦場に出撃し……無事に帰る事が出来る保証がない事も……タリアはよく理解していた。

 

「レイとルナマリアに出撃準備を!」

「は、はい!」

「あの子を連れ戻すのよ! 急いで!!」

 

 ガイアは驚異的な速さでデストロイへと向かっており、間に合うワケがない事はタリアにもよく分かっていた。

 だが……それでも彼女には子供を見捨てられない甘さが、心の中にあるのだった。

 

 

 そして、戦場に居たインパルスも、出撃するガイアは補足しており、デストロイから向けられる雨の様なビームを避けながら通信を繋ぐ。

 

「ガイア!? レイか!?」

『ステラだよ。シン』

「ステラ!? なんで!!?」

 

『ステラは、シンをまもる!』

 

 ステラがいつもと同じ様に、可愛らしい声で、健気な気持ちで放った言葉に、シンは胸が引き裂かれてしまいそうな恐怖を感じて、地を駆けるガイアの元へ向かおうとした。

 だが、デストロイは完全にインパルスへと意識を集中しており、向けられる火砲が、飛び回る腕がシンを逃しはしない。

 

 だが、逆に言えばそれは、ガイアがデストロイまで向かう事を容易くさせてしまうという事であり。

 ステラは思っていたよりも簡単に近づけた事に笑みを浮かべた。

 

 しかし、流石にすぐ近くまで接近されてしまえば、デストロイもガイアの接近に気づく為、すぐにいくつかの火砲をガイアに向けた。

 

 

「あと、すこしで……! とどく!」

『はぁぁああああ!!』

 

 デストロイから向けられるビームを受けながら、装甲を破壊され、足も頭も腕も破壊されながら、それでもステラは唯一残った右腕をデストロイの胸部にあるスーパースキュラへと突き立てた。

 何の迷いもなく……後ろからステラを止めようと飛んできたインパルスの事すら見ずに、ただ一点。

 シンを守るという想いで突き進み……そして、同時に放たれたスーパースキュラを全身で受けながら、爆発するコックピットの中で笑みを浮かべた。

 

「……とどいた」

 

 

 その声が切っ掛けになったのか。

 それは分からない。

 

 だが、シンは気が付いたら虹色に輝く空間の中に立っていた。

 そこには何もなく、ただ色々な場所で光が輝いており、あらゆる場所から人の声がする不思議な場所だった。

 

「っ!? ここは……ステラ!?」

「なぁに? シン」

「うわっ! ステラ! ステラ……? 本当に、ステラなのか?」

「うん。ステラはステラだよ。そして、この子も……『ステラ』」

 

 シンの背後から現れたステラは柔らかい笑みを浮かべたまま、自身とそっくりの少女を抱き上げている。

 

「この子って……」

「ステラとおなじ子」

「ステラと、同じ……?」

「そう。でも、もう、これで、終わり」

 

 ステラがそう言った瞬間、世界中のあらゆる場所にあったステラの遺伝子情報とクローンを作る為の素材が全て砕け散った。

 

 

 ミネルバの中からデストロイの戦いを見守っていたメンデル仮面の手の中にあった物も含めて……。

 そして、メンデル仮面は砕けた容器を見てから再び虹色の光に包まれているデストロイへと視線を移す。

 

「これが……サイコフレームの力か」

 

 

「何が起きてるの!?」

「分かりません! 状況不明! 全ての計器が使用不能!」

「くっ……!」

『大丈夫。危険はありません。そして、戦いも……終わりました』

 

 セナは虹色に輝く虹彩でジッと戦場を見据えながら混乱するタリア達に言葉を残した。

 

 

 そして、全てを終わらせたステラは小さく息を吐いてから再びシンへと向き直る。

 

「シン」

「ステラ……?」

「全部、うまく行ったよ。セナとシンのお陰」

「何を言ってるんだよ。ステラ……!」

 

「デストロイはね。ステラが一番うまく動かせるんだって。だからね。ステラをいっぱい作ったって言ってたの」

「……」

「でも、きっとね。シンは強いから。いっぱいステラと戦わないといけない。それは、悲しいから。苦しいから。ステラが全部壊したの」

「意味が、分からないよ……」

「だからね。もう大丈夫。この子も、シンに優しくしてもらった事を思い出したから。嫌な事は全部忘れたから、もう大丈夫」

 

 ステラはふわりと微笑みながら、もう一人の眠っているステラをシンに渡す。

 そして、上を見上げながらさらに言葉を紡いだ。

 

「でもね。ステラは我儘だから、この記憶だけは。シンと恋人だった記憶だけは、ステラの物なの。誰にもあげない。ごめんね。シン。このステラは恋人になれない」

「待って、ステラ!」

 

「いっぱい、嬉しいをありがとう……シン。あの子のこと、おねがい」

「ステラ!!」

「大好きだよ。シン」

 

 光の中にステラが消えた瞬間、デストロイは世界を光で覆いつくすような閃光を放ち、そのまま各部位を破損させながら『自壊』した。

 シンは咄嗟に、インパルスを動かしてステラが乗っていたガイアを探すが……デストロイのスーパースキュラによって爆発したガイアはどこにもおらず、インパルスのレーダーで探しても、何の反応も示す事は無かったのである。

 

「ステラ……!」

 

 シンはただ、静かに涙を流し自壊したデストロイの元へと向かった。

 炎が噴き上がる崩壊したベルリンで、コックピットから投げ出されていたステラは不思議な事に傷一つなく……綺麗な顔をしていた。

 だが、このステラは……シンが長く接していたステラとは違う。

 

 それをシンは本能的に理解して、気絶したままのステラを抱きしめて声にならない絶叫を上げる。

 

 もうステラはこの世に居ないのだ。

 シンは残された少女を抱きしめて、世界の理不尽を再び知る事になったのであった。

 

 

 そして、全てに絶望し、打ちひしがれているシンの元へ一機のモビルスーツが下りてくる。

 その機体は『ムラサメ』

 降りてきたパイロットは『アスラン・ザラ』であった。

 

「シン」

「……あす、らん」

「その少女は……?」

「俺、ステラのこと、守ろうと、思って……でも、守れなくて……」

「……そうか」

 

 アスランは崩壊したデストロイとシンが抱きかかえる少女を見て、事情は分からずともシンの気持ちは察する。

 

「シン」

「……?」

「オーブに戻るか? 平和の国に。お前は戦士としては、優しすぎる」

 

 そのアスランの言葉に、シンは一瞬オーブで過ごしていた日々の事、両親や妹の事を思い出した。

 が、それと同時にミネルバにいる大切な少女の事も思い出す。

 

「……俺、でも」

「あぁ」

「セナを守らなきゃ」

「……」

「だって、セナをキラさんに、お願いって……言われて」

「分かった。シン。セナの事を頼む」

 

 アスランは真っすぐにシンを見ながら言葉を向け、シンはそんなアスランを見上げて、僅かに迷ってから立ち上がり、腕の中に居る少女を託す。

 

「……ステラを」

「俺で良いのか?」

「アスランなら、守ってくれる……って、信じてるから」

「……分かった。この子はオーブへと連れて行こう。全て終わったら、会いに来い。シン」

「……はい」

 

 そして、シンはムラサメに乗り去っていくアスランとステラを見送り、自らの機体へと向かうのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。