ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第231話『PHASE-45『変革の序曲1』』

 カグヤで宇宙へ上がる準備を終えたミネルバは、ガーティ・ルーと共に宇宙へと上がった。

 そして、そのまま月面ダイダロス基地を目指して進行を始めるのだった。

 

「レクイエムは超大型のゲシュマイディヒパンツァーを使い、ビームを複数回屈曲させる事で理論上、地球圏のどこでも撃つ事が出来る兵器です」

「まさか……この様なものが」

「ナチュラル共め」

 

 キラがミネルバで行っている説明に、デュランダルと共にいたZAFTの高官たちは苛立ちを口にするが、キラはため息と共にその言葉を否定する。

 

「ナチュラル。ではありません。作ったのは地球連合軍……の、ロゴスと関係が深い方々です」

「こ、これは失礼いたしました。キラ様」

「いえ」

 

 謝罪する高官の言葉をやや冷たく流し、キラはミネルバの正面モニターに映像を映し出す。

 

「現在。先行しているオーブ艦隊が、ゲシュマイディヒパンツァーを搭載した廃棄コロニーを攻撃し、使用不能としています。なので、現在はレクイエムがプラントを撃つも、地球を撃つ事も出来ません」

「おぉー!」

「オーブ艦隊になんと礼を言えば良いか」

 

「しかし! かの兵器を残せば、次、どこが撃たれるか分からない。その為」

「ミネルバと、君達の艦でダイダロス基地のレクイエムを破壊する。という事だね? キラ」

「はい。幸いという言い方はしたくありませんが、戦力は多い。ダイダロス基地の破壊は可能かと思います。ですが、一つ問題があります」

 

 キラはアビーへと視線を送り、転送した画像を表示して貰う。

 

「現在。連合艦隊の援護を受けながら、一つの廃棄コロニーがレクイエムの発射口正面に移動しています。これが配置完了した瞬間に、レクイエムは発射されるでしょう。その際、どこが標的となるのか僕らには分かりません」

「なんと……」

「ですから! この第一中継地点は何が何でも破壊する必要がある! しかし、レクイエムを放置すれば終わらないいたちごっこの始まりです」

 

「だから、部隊を二つに分ける必要があるという事ね?」

「その通りです。タリアさん」

「中継地点を潰す為に必要なのは足と火力か」

「そして、レクイエムの破壊には基地一つを相手にする為の戦力が無ければ難しい」

 

 キラの言葉に、ミネルバのブリッジはうーんと悩みながら部隊の編制について考えていた。

 だが、キラは既にきまっていると、再びモニターに映像を映す。

 

「中継地点の破壊及び、現地戦力の制圧には、僕とアスランがフリーダムとジャスティスで行きます!」

「なっ! たった二人で!?」

「危険です! キラ様!」

「大丈夫です。そろそろエターナルとも合流出来ますので、僕とアスランはミーティアを装備し、エターナルと共に第一中継地点を破壊します。そして、残った戦力で、ダイダロス基地を叩いてください!」

 

「うーむ。キラ様抜きか」

「出来ますかな? この戦力で」

「やるしか無いでしょう」

 

「向こうの艦には強い人がいっぱい居ますので、うまく協力してくれればと思います」

「……! キラ様。お話し中失礼いたします。ガーティ・ルーよりエターナルと通信が繋がったとの連絡が」

「ありがとう。アビー。じゃあ、僕は行きますので、後はガーティ・ルーの艦長とお願いします」

「キラ!? ガーティ・ルーの艦長って……!」

「あぁ。大丈夫。タリアさんのよく知ってる人ですよ」

「え? 私のよく知っている人って」

 

 タリアは疑問符を浮かべたままキラを見送り、アビーにガーティ・ルーとの通信を繋ぐように指示を出す。

 

『え? あぁ、ここ? わかりました。えー。こちら、ガーティ・ルー。艦長のマリュー・ラミアスです』

「っ! マリュー……! ラミアス艦長」

「あら。お久しぶりですわね。グラディス艦長」

「え、えぇ。本当に」

 

 タリアはチラッと後ろに座っているデュランダルを見たが、特に反応は示しておらず、安堵しながらマリューに応える。

 そして、作戦に入る前の綿密な打ち合わせをしてゆくのだった。

 

 

 キラが豪中したエターナルへと移動し、そのまま高速で月の引力を抜け、宇宙の彼方へと飛び去ってゆくのを見ながら、レイは複雑な顔でミネルバと並走するガーティ・ルーを見ていた。

 

「なぁに? 悩みごと?」

「ルナマリアか」

「そう。ルナマリアさんですよ。アンタ達の戦友のね」

「戦友……そうだな。戦友か」

 

 フッと笑いながら呟くレイにルナマリアは分かりやすくため息を吐くと、レイにジトっとした目を向けた。

 それはいつも変わらない顔であり、ここはまだ日常の中なのだと示している様でもあった。

 

「レイはさ。ちょっと色々な事を難しく考えすぎなんじゃない? まぁ、シンは逆に考えなさすぎって所があるけどさ」

「どうかな」

「私は、二人がどう生きて来たかって話は軽くしか聞いてないから、レイとシンの間に何があるのかは知らない。けどね。シンは、レイと話をしたがっている様に見えた」

「話、か……全ては今更な話だと思うがな」

「そう? 私はそう思わないけどな」

「……ルナマリア?」

「キラさんがね。前に言ってたの。『どれだけ時間が経ったって、間に合うのなら、遅かったなんて事は無い!』ってさ」

「間に合うのなら、か」

「私は、まだ間に合うと思う。まだ何も終わっちゃいない。そうでしょ? シンもアンタもまだ生きてるんだからさ」

「……あぁ、そうだな」

 

 レイが薄く笑う姿を見て、ルナマリアは満足げに笑いながら、格納庫へ向けて、無重力の通路を移動し始めた。

 しかし、移動し始めてすぐに背後から声が掛かる。

 

「ルナマリア!」

「んー? どうしたのー?」

「お前はいい女だな」

「なに? 今更気づいたの!? 遅いのよ! シンも! アンタも!」

「あぁ。どうやら、その様だな。俺はいつも気づくのが遅い」

 

 レイは薄く笑みを浮かべたまま頷き、ルナマリアと共に格納庫を目指して移動を始めるのだった。

 

 そして、機体の調整も終わり、いよいよ出撃の時となる。

 レイは、久しぶりに出撃する副隊長の声を聴きながら、意識をこれから始まる戦場に向けていた。

 

『さて。久しぶりのミネルバ全員での作戦だ。準備は良いか?』

『「はい」』

 

『しかし、戦闘に関しては、向こうの艦の作戦指揮官殿が行うらしい。俺たちはその命令に従いながら戦うだけだが……まぁ、必要だと判断したら独自に動け。お前たちにはその力がある。無理に作戦に乗る必要はない』

「承知いたしました」

『それって、大丈夫ですかー? 副隊長』

『何も問題はない。先ほど、キラ姫と話もしてな。基本的には共同で動いて欲しいが、状況次第で自由に動け。との事だ。流石は姫様だ。我らの事をよく理解している』

 

 久しぶりの出撃だというのに、シュラの顔に緊張はなく、むしろキラと話をした事で高揚している様にさえ見えた。

 そんな姿に、どこか懐かしさを覚えながらレイは笑みを浮かべ、ここにシンやキラが居ない事を少しだけ残念に思う。

 

 だが、まだ希望はある。

 レイはルナマリアと話した事を思い出し、小さく息を吐いて、気持ちを落ち着けた。

 そして……いよいよ出撃の時となり、ミネルバから発艦するのだった。

 

「レイ・ザ・バレル! レジェンド! 発進する!!」

 

 

 ミネルバから勢いよく飛び出したレイは、ナタルの指示に従いガーティ・ルーから飛び出して来た機体とまずは合流する事となった。

 キラの希望もあり、スリーマンセル(三人で一組)で動く為に合流した機体は……デスティニーであった。

 

『……レイ。ルナ』

「……シン」

 

 シュラとイングリット、レイ、ルナマリアの三組でも良かったものを。

 わざわざデスティニーと組ませたキラの狙いは分からないが……しかし、キラの願いは分かる様な気がした。

 

「今は、作戦に集中しよう」

『あぁ。そうだな』

『あー! もう空気が重い!! ほら! デスティニーが前衛! 私が中衛! レイが後衛! 良い!?』

『「あ、あぁ」』

 

『もう、これまで散々一緒にやってきたんだから、今更呼吸も何も無いでしょ! シン! 腕前! 落ちてないでしょうね!』

『当然だろ! ルナも! レイも遅れるなよ!』

「あぁ。だが、あまり突っ込みすぎるなよ! 前に出すぎたら囲まれるぞ!」

 

 各人の中にある思いも、今は奥に押し込めて。

 三人はまるで一つの生命体の様に息を揃えながら戦場の中を突き進んでいった。

 

 シンが突っ込み、出来た隙をルナマリアが埋めて、二人ばかり見ている敵をレイが狙撃する。

 三人はずっとそうであったように。

 これかもそう在りたいと願いながら、戦場を支配してゆくのだった。

 

 

 そして、シンとレイ、ルナマリアだけでなく。

 シュラもまた、心をかき乱される相手と再会をしていた。

 

「貴様……! 生きていたのか。オルフェ」

『あぁ。なんとかな』

 

 シュラはそれ以上オルフェにかける言葉が浮かばず、沈黙ばかりが場を支配してしまう。

 そして、オルフェもまた、どの様な言葉を向けるべきか悩み、やはり言葉を詰まらせてしまうのだった。

 

 だが、そんな中、イングリットは勇気を振り絞って重苦しい空気を打ち払う様に口を開いた。

 

「シュラ! オルフェ!」

「……なんだ、イングリット」

『あぁ』

 

「今、大事なのは、互いを憎み合う事じゃなくて……レクイエムを破壊すること……でしょ!?」

「それは……! そうだが!」

『イングリットの言う通りだな。いつかの時と同じだ』

「オルフェ……!」

 

『それに、俺はお前ともちゃんと話をしたいと思っているんだ。シュラ。銃を向けるのではなく、相手を理解する為の言葉を……対話を求めている』

「対話、だと……! 裏切者の、お前が!」

『あぁ』

「今更、今更! 何を話すというのだ! 今更!」

『まだ……! 何も終わってはいない』

「なに!?」

 

『どれほどの時間が経とうとも、まだ間に合うのなら、遅い等という事はないのだと……私は彼女に教わった』

「……キラ姫!」

『私は、お前の話を聞きたいんだ。シュラ。そして、イングリット。また君と話がしたい』

「オルフェ……!」

 

「フン! 良いだろう! ならば聞かせてやる! 貴様が、貴様がどれほどの事を裏切って来たのかという事を!」

『覚悟の上だ』

「その言葉忘れるんじゃないぞ! 必ず、聞かせてやる!」

『あぁ。その為にも……! 今は生き残るぞ』

「貴様に言われずとも!! 行くぞ! イングリット!!」

「はい!」

 

『あぁ、行こう!』

 

 そして、シュラとオルフェもまた、一瞬のブレもない完璧なコンビネーションで、近づく敵を全て粉砕し、ダイダロス基地の戦力を削ってゆくのだった。

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